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闘神伝とうしんでん すばる


プラットフォームプレイステーション
開発タムソフト
発売タカラ
発売年月日1999年 8月
ジャンル3D対戦格闘
プレイ人数1〜2人
セーブデータ1ブロック


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
快適さが増したが・・・ 後付けが凄まじい かなり残念 バリエーション豊富 粗い キャラクターの魅力もパワーアップ!





・ゲーム概要

 「闘神伝」シリーズの流れを組み、「3」からおよそ3年ぶりにリリースされた新作「3D対戦格闘ゲーム」。
 その前2作「パズルアリーナ闘神伝」や「闘神伝カードクエスト」が闘神伝シリーズのキャラクターを用いたキャラゲーとしてリリースされたのとは逆に前作の10年後を舞台にして登場キャラクターをシリーズからほぼ一新し、再度格闘ゲームとして仕切り直した一本
 どう考えても悪手なのだが、実際シリーズは本作を最後に終焉を迎えることとなった。(「闘真伝」はカウント外か)
 その原因は一体どこに有ったのだろうか、そのツッコミどころの多すぎる内容を詳しく見て行くこととしよう。


・システム

 本作は格闘面のシステムを様々に変更し、遊びやすく白熱する対戦ゲームという方向性を模索している。
 それら変更の中で特に目につくのは「闘神流技」の導入と「一発必殺技」の仕様変更の2点だろうか。

 「闘神流技」とは弱から強の流れに沿って前の攻撃のヒット後の硬直をキャンセルさせる事が出来るシステム、言うなれば「チェーンコンボ」のことだ。
 第1・2作でも前の攻撃をキャンセルして新たな攻撃を繋げるシステムは存在していたが、それらは入力のタイミングがシビアで有ったり同じ攻撃の連打が有効であったりとやや荒削りな物であり、第3作にて「闘神連技」というシステムに置き換えられることとなった。
 これはあらかじめ決定されたコンボルートに対応した攻撃ボタンを押すことで技が派生して行くシステムで、手軽さと見栄えの魅力があったもののキャンセルによる自由度が無いという窮屈さも残るものであったろうか。
 そこで、本作の「闘神流技」だ。
 これは同じ強さの立ち・しゃがみ・武器・蹴り攻撃が相互にキャンセルでき、また弱から強、さらに必殺技へと派生可能というシステムである。
 例としては立ち弱武器からはしゃがみ弱武器や立ち弱蹴りに繋ぐ事が出来、それぞれはまたもう一方などに繋ぐ事が出来る。
 その後は立ち強武器や立ち強蹴りに派生可能で、同様の連携のほか必殺技に派生させてコンボを締める事が出来る。
 一方で立ち強武器から立ち強武器など同じ技はコンボに組み込めず、また強攻撃から弱攻撃へと派生し直す事は出来ない。
 また、攻撃ごとにリーチや前進距離、当てた後の相手の状態などが異なってくるためどの攻撃がどの順番で繋がるかには頭をひねる必要があるだろう。
 組立ての自由度は第1・2作、入力の手軽さは第3作、と過去作の魅力を再検証して利点部分を組み合わせたシステムであるわけだ。

 なお、立ち中やしゃがみ中に攻撃ボタンを押すことで組み込める「特殊技」もこの「闘神流技」に組み込む事が出来る。
 ただ本作の場合は弱強の入力を問わずこれらの特殊技が発動し、一律に「強攻撃」と扱われるため弱攻撃に派生できないほか、「↓要素+攻撃ボタン」で発生する特殊技がほぼ全てのキャラクターのほとんどの通常攻撃に用意されているという厄介な設定がある。
 しゃがみ攻撃を繰り出すためにはしゃがみ動作が終わるまでのワンテンポを待たねばならず、多くのキャラクターの「崩し」に影響を与えている難点と言える部分だろうか。

 さて一方の「一発必殺技」の仕様変更は「闘神流技」以上に遊びやすさを押し出した内容だ。
 前作までは一発必殺技ボタン一つが必殺技一つに対応しており、繰り出せるのも強版のみであるなど制限のある内容であった。
 が、本作は弱・強に対応した2つの一発必殺技ボタンと方向キーの同時押しによって任意に技を発動できるようになったのだ。
 特に弱版を出せるようになった、という変更は弱武器・強武器・弱飛昇斬といったコンボに対する恩恵の大きなものだろう。
 上記闘神流技の手軽さと見栄えをバックアップする魅力として、これもまた本作の大きな変更点だと言える。

 その他の変更としては
 ガード時に追加入力することで相手の体勢を崩す「武器はじき」の導入、
 ガードの硬直を消して反撃できる「ガードキャンセル攻撃」の導入、
 戦場を任意の方向に走り回る「フリーラン」の導入、
 ステージに無限スクロールや落とし穴と言った「ギミック」を導入、
 オーバードライブゲージを「3本ストック式」に変更、
 攻撃の「命中判定の概念」を変更、
 といった所が有り、他の格闘ゲームから魅力となりそうな部分を意欲的に取り込んだ背景が読み取れるだろうか。

 読み取れるのだが・・・。

 ひとつよりにもよって今作でやってはいけないシステムを取り入れたことで、本作全体のプレイ感はなんともボリューム不足を感じる内容にまとまってしまっている。
 その点を詳しく見るために、先ずは本作に登場するキャラクター達を軽く見て行くこととしよう。


・キャラクター

 概要で触れたとおり、本作は前作の10年後を舞台にして登場キャラクターをシリーズからほぼ一新している。
 と言っても、「前大会(「2」)から10年なのか前作(「3」)から10年なのか」が曖昧であるほかエイジやナルが前作から10年以上一気に加齢しているあたりは二次創作も真っ青になるくらい設定を把握できていないのだが。

 ・スバル・シンジョウ
 タイトルを飾る通り本作の主人公に当たるキャラクター。
 エイジの教えを受けて「白虎の太刀」を受け継ぎ、修業の旅を送っている青年。
 その旅の中でナルと出会い、10年の沈黙を破る闘神大武会の開催とその主催者を知ったことで大武会への参加を決意した。
 キャラクター性能としてはエイジの必殺技を引き継いだコンパチキャラなのだが、全体的に踏み込みが足りないためコンボ性能が低く主人公なのに「闘神流技」のシステムをあまり活かせていない
 刀を正眼に構える姿といい、エイジの何を学んで来たのか少々疑問である。

 ・ナル・アモー
 なぜか「アモウ」ではなく「アモー」表記だが、シリーズに登場してきたカインの養女ナルその人。
 「3」の後にカインの手によってカリバーンと共に寄宿制学校へ預けられ、カインが音信不通となってしまった事に不安を感じて剣の旅を始めたという。
 本作の大武会も、カインの親友であるエイジとの面会を目当てに参加したようだ。
 性能面ではすらりと成長した姿の通り、カイン同様に足技を得意とするキャラクターとして前作から刷新されている。
 コンボもビシバシと入り当身投げも備えているなど、どうかと言うと主人公より主人公っぽい。

 ・ルーク・キャッスル
 幼い頃偶然に闘神大武会の試合を目撃し、以降カンフーやストリートファイトで腕を磨いてきた青年。
 ただ一度みやびに敗北した経験があり、逆に一目ぼれしたとして再戦を願っているようだ。
 性能面では、ヌンチャクを武器として密接でのコンボ火力が高いキャラクター。
 ただシリーズ初の連打コマンド技が暴発しやすいのが玉にキズ。

 ・フェン・ベアフット
 ブラジルで祖父と二人漁師として暮らしていた少年。
 ある日傷を負ったモンドを介抱したことで、モンドを狙う幻魔によって祖父を殺害され敵討ちを決意している。
 性能面では、銛を武器としモンドの性能を一部引き継いだキャラクター。
 リーチの長さと共に必殺技「キャプテン・シルバー」の性能が優秀でありオールレンジで戦える強さがある。
 ちなみに、対空技「ロング・バケーション」や銛から竜巻を放つ「ウィンド・ボヘミアン」など必殺技のネーミングセンスが未来に生きている

 ・ランスロット・レイクナイト
 フェンシングを習う少年。
 ある時フランスの古城でナルとフェンシングの勝負をする機会があり、それに完敗して以来特別な感情を抱くようになった。
 性能面では、平凡なフェンシング少年と言う背景に見合わす必殺技を絡めたコンボが安定度と威力の両面で強力なキャラクターである。

 ・プエラ・マリオネット
 スイスの孤児院で聖歌隊として活動していた少女。
 幼い頃にウラヌスから朱雀の弓を託され、またその声に宿る「秘密」から命を狙われているらしい。
 性能面では、ウラヌスの性能を一部引き継いで遠距離攻撃を得意とするキャラクター。
 とはいえゲーム全体で見ればより遠距離攻撃を得意とするキャラクターがおり、可愛い子ぶりっ子している分性能を犠牲にしている感がある

 ・みやび
 忍者の末裔であるくノ一。
 だが幻魔によって記憶を書き換えられた事で現在は幻魔の指示に忠実な操り人形と化している。
 また過去にルークと対戦した事があり、みやびもルークに対して興味を抱いているようだ。
 性能面では、多彩な技を備えており変幻自在の攻めを得意とするキャラクター。
 性能は高いのだが、隕石を落下させる「月雫」や相手を抱えて宇宙空間まで飛び上がり、大気圏に再突入して落下した後相手の尻から大量の血液を噴出させる「月下白百合」など必殺技のインパクトがイロイロおかしい

 ・幻魔
 中国に二千年前から伝わる闇の暗殺一族の伝承者。
 以前カオスに襲われた事があるが妖術で返り討ちにし、玄武の盾を手中に収めたことで他の3つを求めて暗躍を開始した。
 性能面では、一見小柄ながら大きく伸びる通常技のリーチや浮かせ能力が驚異的なキャラクター。
 必殺技の威力に乏しい反面通常技のコンボが思う様に決まるため総合性能は崩し・火力共に高い部類に入る。

 ・バン・ブー
 ジェラード財団によって作られた戦闘用サイボーグ。
 現在は幻魔が所有して配下として扱っているが、最終的には幻魔を裏切る内容のプログラムが搭載されている。
 性能面では、ガード不能の強武器など飛び道具に特化したキャラクター。
 ガード不能レーザーの「ギガ・ファントム」や全地上判定の「ビースト・シュート」といった必殺技での固め性能が高く、その戦闘光景は別ゲー状態である。

 ・イオス
 かつてウラヌスが作り出した戦闘用生命。
 相手のあらゆる動きを予測する事が出来るという能力を持っていたが、美しすぎるという理由でウラヌスに封印されたらしい。
 現在はエイジが封印を解き、その片腕としてつき従っている。
 性能面では、青龍の槍を武器とした長いリーチと竜を召喚する飛び道具の安定性が高いキャラクター。
 相手の間合いの外からコンボを決めていける強みがあるが、崩し能力の乏しさなどから総合では平均的か。

 ・エイジ・シンジョウ
 かつての闘神大武会の制覇者エイジ・シンジョウその人。
 現在はある理由からジェラード財団の当主におさまっており、今回の闘神大武会もエイジの意向で開催された物である。
 性能面では、戦闘スタイルを抜刀術に変え、スバル以上に攻め手に乏しいというエイジらしからぬキャラクター。
 相手に鳥居を投げつける究極宝技「真・地獄門」などによる爆発力はあるが、いかんせん通常の立ち回りから言って下から数えた方が早い性能である。

 ・ゼロ
 かつてウラヌスが作りだした戦闘用生命。
 実験中の事故を経て専用のスーツによって超人的な力を発揮するようになり、危険視されて封印されることとなった。(スーツの方を破棄するわけにはいかなかったのだろうか?
 現在はエイジが封印を解き、その片腕としてつき従っている。
 性能面では大剣を武器とする通りリーチと威力に長け、ザクザクと斬り込んでいけるパワーファイター。
 巨大なマッチョを発射する各種超必殺技も強力で扱いやすいキャラクターだ。

 ・ヴァーミリオン
 今回も登場した問題児
 性能面では今までどおりに銃を武器にしつつ武器攻撃が全てガード不能というぶっ壊れたアッパー調整を受けており、過去最悪の暴れっぷりを見せている


 ・・・以上13名だ。
 前作「3」が32名と異常な大所帯であった反動で少なく感じるが、初代「1」が10名、「2」が15名。キャラクターを一新した事も加味すればまあ平均的な数字と納得できる範囲だろうか。
 ・・・そう、「普通の格闘ゲームとしては」そう問題ない人数のはずだ。
 だが、何を思ったか本作は3人1組のチーム制を採用しているのである

 13を3で割れば4あまり1。
 ヴァーミリオンが別格の隠しキャラクターとして登場するのはまあ良いとして、本作はチーム制のゲームなのにわずか4チームしかないわけだ
 一人用モードの「チームストーリー」ではストーリーに沿って用意されたチームから操作する物を選び、その他2チームと試合、2試合勝てばあとは同キャラ対戦も無くラスボス戦・・・主催者とのエキシビジョンマッチへ突入とあいなるわけだ。
 町内大会でももう少しマシな規模ではあるまいか

 いやもう、チーム制を採用するならキャラを続投させるべきだし、キャラを一新するなら今までどおりの個人制を維持するべきだし、でやりたいこと2つが親の敵同士のように噛み合っていない
 そもそも本作は戦闘中のチームメンバーを交代したり援護攻撃を行わせたりと言ったシステムが無く、このチーム制はただ順番にキャラクター同士を戦わせるだけという連携度の薄いものなのである。
 そのうえでラウンドごとにオーバードライブゲージがリセットされて次のキャラへの持ち越しが出来ないというのだから、全くチーム制にした意義が感じられない設計だ。
 ラウンド毎に新しいモデルの読み込みを必要とする、使用チーム内のキャラクター全ての性能を把握して適宜切り替えなければいけない、というデメリットばかりが気になる形で、「闘神伝 昴」は格闘システムそのものではなくゲームの進行システムと、それまでに人気を集めていたキャラクターの一新という暴挙によって大幅に評価を落とすこととなったと言えるだろうか。
 (まあ、36歳のソフィアや28歳のエリスで戦いたいかと聞かれると口ごもるところだが。
 ただ、一応はチーム内容を組みかえてプレイするモードや従来通り1対1で戦うモードもきちんと用意されている。
 格闘ゲームとして好きなキャラクター一つ選べない設計なのか、というと、辛うじて最低限の体裁は整っているので安心してほしい。


・グラフィック

 また、「闘神伝 昴」にはチーム制と同じく一目見て分かる難点がもう一つある。グラフィックである。
 キャラクターの2Dイラストの作画が安定しない(特にスバル)・・・のはまだ可愛い方だとして、本作はキャラクターのポリゴンの質がなんとも残念なのである。
 さすがに「F.I.S.T.」程ではないしキャラクターによって程度も異なるが、アニメらしさを強調しようとしたのか瞳が不自然に巨大で輪郭が下膨れ、また表情を出すためか口が輪郭の端から端に届くほど裂けているのだ。
 また表情を出すべき「チームストーリーモード」に限ってキャラクターの表情が一切変化しないというのも、本作のグラフィックに粗さを感じさせる一因だろう。
 勝利ポーズなどで分かる通り本来はキャラクターの表情を変えられる設計になっているはずなのに、この点は本当にやるせない。

 ほか素肌を出しているキャラクターは妙に肉付き良くモデリングされている感があるだろうか。
 顔と体のダブルパンチで特に残念な事になっているのはプエラ・イオス・フェンの3人で、
 プエラは輪郭と肉付きの関係から目も当てられないほどふとましい事に、
 イオスは下膨れた輪郭と裂けた口に加えて糸目と言う特徴からがきデカみたいな事に、
 フェンは目が大きいのに瞳が小さく描かれたため三白眼でパンツ一枚のマッチョという近寄りがたい事に、
 それぞれなっている。
 ただまあ、それに加えて丈の短いワンピースでやたら開脚蹴りを放つため全く嬉しくない布がチラチラ見えるプエラが頭一つ抜けて残念度が高いと言えるかもしれないが。

 シリーズとの関連の薄い新キャラクター達がこういった残念なモデルで登場する内容をパッケージ裏では「キャラクターの魅力もパワーアップ!」とまとめているわけなのだが、「ちょっとヤケクソ気味だったのだろうか」などと思わずにはいられないところである。


・ミニゲーム

 と、実現してほしい部分がことごとく実現できていない内容が続いたわけだが、本作は格闘ゲームに加えて7種類のミニゲームがプレイできると言う特典がある
 落ち物パズル「パズル闘神伝」、
 落ち物パズル「プエラのタマゴ」、
 ブロック崩し「スクープ!闘神伝」、
 エアホッケーゲーム「バトルホッケー闘神伝」、
 全方位シューティングゲーム「オリジン」、
 キー早押しゲーム「がんばれ!ウルフィー」、
 記憶系音ゲー「闘神大舞会」、
 の7つ。

 ミニゲームによってはキャラクターを選択できる要素があり、「パズル闘神伝」と「プエラのタマゴ」では連鎖時のボイスが選択したキャラクターの必殺技のものに、「スクープ!闘神伝」ではゲームの背景やフレームがキャラクターに対応したものに、記憶系音ゲー「闘神大舞会」ではボタンに合わせてダンスするキャラクターが選択したキャラクターの頭身を下げたモデルに、とそれぞれ変化する。
 簡単すぎる気もするが、まぁキャラゲーとしての体裁は有るだろうか。
 ほか、「オリジン」に関しては視覚面での変化こそ少ないものの選択したキャラクターによって機体の性能が変化するという特徴があり、ゲーム内容で使い分けの重要度を出した設計となっている。
 「がんばれ!ウルフィー」はウルフィーのカラーを4色から選択できるのみで「闘神伝」があまり関係なく、「バトルホッケー闘神伝」に至っては本編に登場したキャラクター要素が全く無くマシンハンドを操作する味気ない内容。この2つはなぜこの内容なのか頭を抱えるところだ。
 本編にキャラやグラフィックの物足りなさが残る一方でこういったミニゲームを、特に「闘神伝」が微塵も関係ない「バトルホッケー闘神伝」を収録しているあたりには「その労力や容量を別の事に割けなかったのか」という憤りが湧くだろうか。
 もちろん空いた手で製作したものだとは思うのだが、プレイヤーがこういったミニゲームに時間を割けば本編の印象が薄れるのは必至、馴染みの無いキャラクターを露骨にプッシュされると抵抗感を感じてしまうものでもあり、これらの収録もまた本作が採った悪手の一つだと言えるだろうか。

 ただ、対戦ゲームに収録するミニゲームとしてこれら7本全てが対戦や協力プレイに対応しているのはうなるところだ。
 存在が蛇足だった感はぬぐえないが、本編をプレイする多人数のプレイヤーがそのまま楽しめるよう設計した事は行き届いた配慮が感じられると言える。


・音楽

 ちなみに、本作は音楽にも力を入れている。
 キャラクター一人一人にステージBGMがあるのはもちろん、チームストーリーのクリア時には一人一人のエピローグに専用の曲が用意されており、またチームのブリーフィングや因縁の対決にもテーマを付けた曲数は全62曲+OPテーマにも及ぶのだ。
 南国らしいフェンステージのテーマ(06番)、穏やかながら何処か悲しさを含んだナルのエピローグ(20番)、荘厳なランスロットチームのテーマ(35番)、神話的な戦いを予感させるプエラとイオスの対決(41番)、あたりはなかなか聞きごたえがあるので機会が有ればじっくりと聞いて見てほしい。
 これでサントラでも出ていれば、と思うのだが・・・。


・まとめ

 キャラクターゲームを連発した「闘神伝」シリーズが、仕切り直しとして発売したであろう3D対戦格闘ゲームの本作。
 格闘システムに関してはシリーズの集大成と言っても過言ではない程度にまとめられ「遊べる」内容なのだが、いかんせん「キャラクターの一新」、「チーム制の採用」、「キャラクターモデルの質の低下」、という難点が致命的すぎて全体を殺している内容である。
 キャラクターの一新で旧来のファンは離れ、少ないキャラ数でチーム制を強行したことからゲーム全体のボリュームに不足が感じられ、キャラクターのモデルの悪さから新規のファンも定着せず、シリーズを終えさせた物として納得の理由がそこに透けて見えるだろうか。

 シリーズのファンにとってはあまりにも期待外れ、一本の格闘ゲームとして見ればキャラクター面での魅力に欠け、その内容はなんとも人に勧めづらい問題作だ。
 それでも強いて魅力を挙げれば・・・フルアニメーションのオープニングムービーやBGM集として満足するコレクション用、ストーリーモードのシュールな内容やヴァ―ミリオンのぶっ飛びすぎた強さをいじるバカゲー用、としてならば楽しみが見いだせないでもないか。
 そして、「期待外れである」ということを踏まえてなお、シリーズの最終作として「闘神伝」のファンが期待に負けて本作へ手を出す事は責められないと、一ファンとしてそう思う。





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D-XHIRDエイジがゲスト出演。
・パズルアリーナ闘神伝なぜか落ち物パズルに。
・闘神伝カードクエストなぜかボードゲームに。


闘神伝:キャラクター紹介


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