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闘神伝(とうしんでん)2


プラットフォームプレイステーション
開発タムソフト
発売タカラ
発売年月日1995年 12月 (2)
1996年 8月 (2plus)
ジャンル3D対戦格闘
プレイ人数1人〜2人
セーブデータなし(セーブ機能がない) (2)
1ブロック (2plus)


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
より攻撃的に 不明瞭 粗い 豊富。活動的。 悪い 最強最悪キャラ、
ヴァーミリオン登場





・ゲーム概要

 プレイステーションで発売され、そこそこの人気を集めた「闘神伝」の続編。
 新たなシステムを豊富に搭載し、キャラクターデザインも一新するなど前作からの意欲的な変更が見られる。
 結果として多くのコミックアンソロジーが出版される、家庭用ゲームから業務用ゲームへと移植される、など本作の人気はシリーズ中最高となった。


・前作からの変更点

 側転や一発必殺技、飛び道具を特徴として、2D格闘と3D格闘の中間のようなプレイ感を持っていた「闘神伝」。
 そんな前作からの主な変更点は、

 ・新たなシステムの追加
 ダウン中の相手に攻撃を加えられる「ダウン攻撃」、相手に接近しつつ奇襲を行える「ダッシュ攻撃」、ゲージがたまった状態に限り強力な攻撃を繰り出すことの出来る「究極宝技」などなど、相手に攻撃する手段が増えたことによって戦闘はより攻撃的に進行するようになった。
 特に背後から受けたダメージが増加する闘神伝において、背後に攻撃する「背面攻撃」が登場したことは高い重要度を持つ。背後を取られたときの反撃方法として、また、相手を飛び越えて背後へ奇襲を行う方法として、さまざまな場面で活躍するはずだ。

 ・キャラクターデザインの変更・新技の追加
 前作はすでにある程度のキャラクターデザインが存在し、それをことぶきつかさ氏が設定やイラストに起こすという形であったらしく、ことぶきつかさ氏のデザインとポリゴンモデルにはさまざまな差異があった。(特にデューク)
 だが今作はイラスト通りにモデルが作られ、そのデザインも実に特徴的なものとなった。

 ・新キャラクターの追加
 今作のストーリーでは前作のラスボス、「ガイア」が大会を開催した理由が明かされ、それを裏切り行為と判断した秘密結社の最高幹部、ジェラード財団四天王の残りの二人「カオス」と「ウラヌス」、そして秘密結社総裁の「マスター」が登場するという急展開を見せた。(まぁゲーム中ではよくわからないのだが。)
 「ガイア」自身も格闘スタイルを変えて新キャラクターとなり、女刑事トレーシー、謎の男ヴァーミリオン、と、高い人気を集めることになるキャラクター達が登場した。

 ・ステージの一新
 対戦を行うステージが一新され、グラフィックのみならず音楽も新調された。
 また、それに伴ってギミックのあるステージが増え、対戦を盛り上げている。
 具体的には、閉められたカーテンが徐々に開けられ陽が差し込んでくるデュークステージ、回転するミラーボールによって影が刻々と変化するソフィアステージ、最終ラウンドに燃え上がり雰囲気を高めるマスターステージ、など。前作のカインステージが消えたのは残念だが、こういった演出はなかなかに心憎い。

 ・・・といったところである。


・対戦バランス

 さて、そんな変更を加えられた本作での対戦はどうかというと、はっきり言って大味である。
 キャラクターの攻撃力が高めに設定されており、ほとんど勝手に溜まっていくオーバードライブゲージのせいで超必殺技も撃ち放題。一瞬のまぐれ当たりで戦況が大きく変わってしまい、良く言えば気の抜けない、悪く言えば運任せの試合となってしまう。
 かと思えば説明書で「鉄壁の防御こそ勝利への第一歩」と待ちハメ推称まがいの攻略ヒントが掲載されており、単純に調整不足なのでは?と勘ぐらずにはいられない。
 他にも究極宝技、秘伝必殺技の「一発必殺技」のコマンドが共通の物であり暴発の危険があること、画面のフレーム数が少ないのかガクガクした動きであること、など不満要素が多く、勝っても負けても釈然としない物が残りがちだ。

 そして、ボスキャラクター、隠しキャラクターの強さが尋常ではない。
 羽の生えた鎧を装備し、滞空しながら弓矢による射撃攻撃を行うことの出来る「ウラヌス」。超能力で具現化した大剣を武器とし、出の早さ、リーチ、威力、判定と、かゆいところに手が届きまくりの「マスター」。
 この2人だけでも十分バランスが壊れているようだが、これらに余裕でパーフェクト勝ちできるキャラクターが存在するあたり、このゲームのぶっ壊れっぷりを物語っている。

 問題のキャラクターは「ヴァーミリオン」だ。剣や槍を使って戦う本ゲームにおいてショットガンデリンジャーを振り回し、どんな離れた場所からでも強烈な一撃を叩き込み、どれほど必死に接近しようとしても銃撃で転倒させ、飛び道具で応戦しようとしても飛び道具ごと撃ち抜いてくる、とにかく脅威のぶっ壊れキャラ。
 ・・・まぁ対戦で相手の承諾なしに使えばリアルファイト必至の最強最悪キャラだが、CPU戦などで一度は使ってみたいキャラクターでもある。

 これくらいバランスのぶっ壊れたゲームだが、まぁ良い方にとれば、通常キャラクター同士であればワンチャンスで逆転も可能な白熱したバランスということにもなる。あくまでも良いほうにとれば、だが。


・謎のオープニング

 初代「闘神伝」のオープニングは、夕日をバックに闘神大武会の概要が語られる物で、「闘神伝S」のオープニングはポリゴンキャラクター達が演舞を行うという物だった。
 本作はその二つを足し、さらにコスプレイヤー3名によるどや顔を加えた物になっている。
 緊張した面持ちで素振りを行うエイジ(の格好をしたお兄さん)、挑発的にウィンクを行うソフィア(の格好をした金髪美女)、プレイヤーに向かって投げキッスをするエリス(の格好をしたお姉さん)、という、一体誰が得をするのかわからないシーン。まぁホーやカオスでないだけマシだが。
 後述する「闘神伝2PLUS」でも残っているあたり黒歴史ではないのだろうが・・・。そのインパクトは非常に強烈だった。


・リングアウト

 ・・・と、これまでさまざまな特徴を書いてきたが、本作を象徴する1番の要素と言えば、やはりリングアウトだろう。
 もちろん前作にもリングアウトはあったが、本作ではその頻度が格段に上がっている。
 突進系の必殺技がそれてリングアウト、ダッシュ攻撃で押されてリングアウト、投げられてリングアウト、側転の方向を間違えてリングアウト・・・その落ちっぷりは、トレーシー刑事の勝利ボイスいわく「落ちるか!?フツー!」とのこと。
 ホー・ファイの喝砲烈(カッポレ)やガイアの燕など、自分の必殺技でさわやかにリング外に落ちてゆく姿はきっと笑いと涙を誘うだろう。


・まとめ

 はっきり言って、本作の格闘ゲームとしての出来は良くない。
 だが活き活きとしたキャラクターのおかげで、頻繁に起こるリングアウトも、ぶっ壊れた強さの隠しキャラも、むしろ「闘神伝」ならではの楽しさとして受け止められる・・・かもしれない。
 闘神伝Sのようなファンアイテムと割り切ってもいいが、2D格闘らしさと3D格闘らしさを併せ持った「闘神伝」の独特のスタイルは、格闘ゲーム愛好家ならプレイしてみて損はしないはずだ。
 あと、ある意味バカゲーの要素もあるので、そっち方面が好きな人も気に入るかもしれない。


・PLUS

 なお、本作はプレイステーションベスト版をセーブ機能や微調整を加えた「闘神伝2PLUS」として発売した。一見こちらのほうがお得だが、説明書の内容において一般キャラクターのプロフィールが省略され、代わりにボス・隠しキャラクターのプロフィールが乗っている。キャラクターの色も変更されており、ヴァーミリオンをロード一発で使えるようになるのもどうか・・・。一概にどっちが良いと言えないのが難しいところだ。





・関連作品

闘神伝第1作。3Dであることを生かした「側転」の存在や公式イラストレーターとしてことぶきつかさ氏を迎えたことなどが話題を集めた。
闘神伝S新キャラクターやキャラクター同士の会話イベントを追加したSS移植版。だが・・・。
・熱闘闘神伝キャラクターの頭身を下げGBに移植した作品。
にとうしんでんPSで二頭身のキャラクターたちが闘う怪作。
闘神伝URA闘神伝2をベースにしてSSで発売された外伝。だがやはり・・・。
闘神伝3前作「2」の軽く倍のキャラクターが登場する続編。が・・・。
D-XHIRDエイジがゲスト出演。
・パズルアリーナ闘神伝なぜか落ち物パズルに。
・闘神伝カードクエストなぜかボードゲームに。
闘神伝昴シリーズにトドメを刺した問題作。


闘神伝:キャラクター紹介


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