サイトトップ/ゲームレビュー/闘神伝S


闘神伝S(とうしんでんS)


プラットフォームセガサターン
開発ネクステック
発売セガ
発売年月日1995年 11月
ジャンル3D対戦格闘
プレイ人数1人〜2人
セーブデータ1ブロック(システムデータ)


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
前作とほぼ同じ キャラクター専用の「列伝」モード搭載 劣化気味 フルボイス・・・だが・・・ やや大味に? 本作専用キャラあり





・ゲーム概要

 プレイステーションで人気を集めた3D格闘「闘神伝」をセガサターンに移植し、「バーチャファイター」に真っ向から勝負を挑んだ(?)一品。
 各キャラクター専用のストーリーが展開される「列伝」モードを搭載し、フルボイスや立ち絵による会話シーンでキャラクターの個性を強くアピールしている。
 加えてプレイステーション版に存在したモードは全て搭載し、本作専用の隠しキャラクターが存在するため、プレイステーション版よりもお得感があるのだが・・・。


・列伝モード

 おそらく本作最大の目玉であるのが、この「列伝」モードである。
 各キャラクターが専用のストーリーを持っており、対戦の前後に他のキャラクターたちとの会話シーンが行われる・・・というもの。
 対戦相手は固定であり、因縁のある相手や関心のある相手が登場するためキャラクター同士の関係や性格などがよくわかる作りになっている。

 だが、正直言って余分である。
 その理由は3点ほどある。
 1つ目はキャラクター同士の会話がやたらと長ったらしく、対戦から対戦へのテンポを落としている点。
 2つ目は大して関係の無い共通のボスキャラクターが最後の対戦相手となるため、物語の盛り上がりにかける点。
 そして3つ目は、ボイスデータの容量がかさむために対戦するキャラクター数が減らされ、通常キャラ4人、ボス・隠しキャラ3人というあんまりな進行になっている点。

 ・・・あと、キャラクターの立ち絵はことぶきつかさ氏のものではない。やや残念なことになっている。
 目玉とされた本モードであったが、正直言ってファンサービス止まりでゲームとして完成されていない。本来どういう企画だったのかは知らないが、この内容では悔やまれてならない。


・隠しキャラ、「クピードー」

 本作には専用の隠しキャラクター、「クピードー」が存在している。
 オープニングから登場し強烈な存在感を放つこのキャラクター。設定的にはラスボスの「ガイア」と同じ秘密結社最高幹部「ジェラード財団四天王」の1人で、ゲーム的には隠しボスキャラクター「ショウ」のさらに後に登場するボスキャラクターという非常においしいポジション。イメージテーマもロック調でカッコイイ。
 そんな彼女と対戦する方法は何かというと・・・。「列伝モードで全キャラクターをノーコンテニューで倒す」というもの。隠しキャラの「ショウ」含めてこれである。ちょっとハードル高いんじゃないだろうか・・・。

 なんとか条件を達成して実際に対戦してみると、そのトリッキーな動きやしたたかなAIがなかなかの強さを発揮している。プレイステーションで慣れていたプレイヤーにとっても戦いなれない相手であり、苦戦することは必至だろう。
 ・・・だが、飛び道具一発で体力の1/5くらい軽くかっさらう「ガイア」、主人公やライバルキャラの完全上位互換である「ショウ」、と比べるとインパクトは薄い。
 やっとのことで倒してもその後の会話でピンピンしており、謎を含めたまま立ち去ってしまうので達成感も薄い。
 「俺たちの戦いはこれからだ」的なセリフで喜びを表す自分のキャラに、きっと多くのプレイヤーが置いてけぼりを食らったのではないだろうか・・・。


・システム

 本作はおおまかに言えば「オマケ付きセガサターン移植版」であるため、基本システムに大きな変更は無い。
 だが、セガサターンというハードのためか細かな挙動は大きく異なってしまっている。
 例えばポリゴンがもっさりしてるとか、方向ボタンの斜めが感知されにくいとか、投げが決まりやすくなっているとか・・・特に大きい問題は、攻撃を当てた後のスキが小さくなっている点だ。接近して攻撃ボタンを連打すれば怒涛の連続技となり、見る見るうちに相手の体力を奪ってしまう。
 結果として格闘ゲームとしての作りは粗く、理不尽で一方的な展開になりかねないため、本作を対戦目的でプレイするにはリアルファイトの危険を覚悟する必要がある。
 クピードーを使ってみたいので無ければ、プレイステーション版をプレイするべきだろう。


・まとめ

 このゲームはプレイステーション版の「闘神伝」やそのマンガ、OVAが気に入った人向けのファンアイテムだ。闘神伝のキャラクターたちが気に入り、彼らの物語をもっと深く知りたい、彼らの会話する姿が見たい、そう思った人たちに向けて作られたゲームなのである。

 そう思わないとやりきれない。





・関連作品

闘神伝第1作。3Dであることを生かした「側転」の存在や公式イラストレーターとしてことぶきつかさ氏を迎えたことなどが話題を集めた。
闘神伝2新キャラクター、新システムを導入し、最も人気を集めた続編。
・熱闘闘神伝キャラクターの頭身を下げGBに移植した作品。
・闘神伝2PLUS闘神伝2にセーブ機能を付け、一部の演出やカラーを変えた作品。
にとうしんでんPSで二頭身のキャラクターたちが闘う怪作。
闘神伝URA闘神伝2をベースにしてSSで発売された外伝。だがやはり・・・。
闘神伝3前作「2」の軽く倍のキャラクターが登場する続編。が・・・。
D-XHIRDエイジがゲスト出演。
・パズルアリーナ闘神伝なぜか落ち物パズルに。
・闘神伝カードクエストなぜかボードゲームに。
闘神伝昴シリーズにトドメを刺した問題作。


闘神伝:キャラクター紹介


サイトトップ/ゲームレビュー/闘神伝S