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ようこそクリエイティバース ・四日目


 (・前回の内容はこちら
 

5.ハイテク化のススメ

 今回は少々難易度の高い内容。ティンカー系ブロックによる施設のハイテク化のススメだ。
 率直な話それでどんな事が出来るようになるかと言うと、

 

 

 

 などなど。作物の収穫やペットの世話を「自動化する」機能は無いが、移動や探索を「安全・快適」にする効果は期待できるというところだ。
 また、複雑な謎解きギミックを施した迷宮を「アドベンチャー」として他のプレイヤーに公開するのも本作の楽しみ方である。
 ではこれらの機能を持つ「出力のブロック」、起動させる「入力のブロック」、挙動を整える「処理のブロック」、の順に詳しく見て行こう。





・ワイヤリングツール


 の、前に、今回のメインツール「Wiring Tool(ワイヤリングツール)」を忘れてはいけない。
 これは今回扱うさまざまな装置を接続させたり、設定を変更したりするツール。
 これを装備した状態だと・・・。




 こういう具合に装置同士の入力・出力端子やそれぞれの接続、動作範囲などが表示されるようになる。
 この状態で端子同士をクリックする事で簡単接続、テンキーの1〜3(初期設定)を押して詳細な設定を変更、というのがこのツールの操作だ。
 直感的であり、また接続する際に距離や障害物を意識する必要は無いので操作は簡単だろう。
 このツールを用意したら、改めてブロックの紹介だ。






・出力のブロック

 他のブロックから信号を受け取って動作するブロック群。
 結論から言うと、もろもろの状況や条件によってこれらのブロックを動作させたりさせなかったりさせるのが今回の目的だ。


 1.ドア・ゲート類

 開いたり閉じたりして通行に影響するブロック群。木や石といった材質、高さ2のドアと高さ1のゲート・タラップ、という差はあるが挙動はおおむね同じだ。
 普段はプレイヤーが直接アクセスして開けたり閉めたりできるが、プロパティを開くとこうしたアクセスを禁じることもできる。
 これによって他のギミックによってのみ開くドアと言う物も作れるだろう。

 なお、プロパティの「Flip Direction」は信号を受けて動作する際に開く方向を反転するというもの。
 観音開きのドアを作りたい場合は片方にチェックを入れよう。



 2.ランプ類

 点けたり消したりして周囲の明るさに影響するブロック群。たいまつ類、石炭ランプ類、アークストーンランプ類、火鉢類、に文字まで書き込める「Corrupt Obelisk(腐敗のオベリスク)」を加えた5種類ほどがあるがたいまつ類は動作を制御できないので除外。

 こちらもドア・ゲート類と同様にプレイヤーからのアクセスを禁じる事が出来る。
 といっても、このブロックのオンオフを切り替えても他のブロックの状態に影響する事(出力)は出来ない。
 「全てのランプを灯すことでドアが開く」様な仕掛けを作りたい場合は別途入力のブロックを経由させよう。

 また、文字を書き込める特徴がある腐敗のオベリスクは謎解きのヒントを与えるような使い方もできるだろう。



 3.ビーコン類

 直線状に光の帯を発するブロック群。この光に周囲を照らす効果は無いが、他のブロックを透過しながら非常に長い距離まで到達するので建築時の目印に良い。
 それ以外の特徴はランプ類とおおむね共通、「ドアの上のガラス窓に光を当てて・・・」というギミックの演出などに用いると面白そうだ。
 ちなみに「Healing Beacon(ヒーリングビーコン)」だけは少々特殊、色以外に接触するとHPが回復したり設置個所周辺の「Corrupt(腐敗)」ブロックを正常な状態に戻したりする効果がある。



 4.LED

 任意の色で発光するブロック。この光に周囲を照らす効果は無く、単純に飾りとして用いる物だ。
 残念ながら発光する色を入力によって変える事は出来ず、設定した一色で光るか否かのみを操作できる。
 とはいえ、任意の色を使えるためドットのように置いて絵を描くなんて使い方は可能だろう。



 5.アークサイン

 文字列や入力を表示する事が出来るブロック。入力に関してはオンオフ(1と0)のほか、ナンバーパッドによる数値(n)の入力も表示する事が出来る。
 5つもの入力端子を持つユニークな装置だが、残念ながら入力の数によって表示する文章の量を操作するという使い方が出来ないようで、具体的にどう生かせばいいのか難解な一品。



 6.ファン

 強力な風を起こしてプレイヤーやキャラクターを動かすブロック。一つでおおよそ5ブロック分ほど持ちあげたり、吹きとばしたりできる。
 この風でブロック自体は動かないので乗り物を作る用途では使用できず、レシピにルマイトが必要で希少性が高いなど長距離移動には全く向かないのだが、2つ3つ重ねておくと高高度などをあっというまに移動する爽快な装置が出来る。

 ちなみにこの風はブロックを貫通する不思議な力があり、「特にエフェクトがないのに吹き飛ばされる」という少々理不尽な仕掛けを作ることもできる。
 また、ブロックを貫通するわりに水中にいる間はこの影響を受けないという特徴もあるぞ。



 7.スポーナー

 特定のアイテムを収納しておき、オンになるとそれをスポーン(出現)させるブロック。この際宝箱にアイテムを収納してスポーンさせるのが「Loot Spawner(ルートスポーナー)」、キャラクターにアイテムを持たせてスポーンさせるのが「Mob Spawner(モブスポーナー)」だ。

 プロパティでは宝箱やキャラクターの種類、スポーンエフェクトの有無を選択できるほか、モブスポーナーについては
 ・Aggressive (キャラクターが登場時点から敵対状態になっているかどうか)
 ・Requires Loot (スポーンするためにアイテムが収納されている必要があるかどうか)
 を追加で設定できる。

 当然と言うべきか、これらに収納したアイテムはスポーンさせると空になり、同じアイテムを何度も入手するという事は出来ない。
 モブスポーナーの方で出現するキャラクターも固有のアイテムを持っておらず、通常のプレイでこれらの装置を使用するメリットはあまりないだろう。

 つまり、このブロックは「アドベンチャー」で敵キャラクターやアイテムを出現させるために使う装置と言うわけ。
 後述の処理のブロックと組み合わせることで、仕掛けの解除に失敗してペナルティの敵が湧く、敵を殲滅させないと次の扉が開かない、夜のモンスターが大量に湧いた状態で天窓を開いて蒸発させる・・・。
 と様々なギミックを作る事が出来、アドベンチャーの面白さを盛り上げるアクセントとなるだろう。



 8.ブロックフェーサー

 他のブロックを鹵獲・隔離させてしまうブロック。一つで8ブロック分の効果がある。
 かなりユニークな効果があり、先ずはこの装置のスイッチを切った状態にしてプロパティを開き効果範囲内(正面8ブロック)にあるブロックを選択、装置を起動するとそれらのブロックを見た目上消滅させてしまう事が出来る。
 が、再度この装置を停止させるとそれらのブロックが今度は出現するという仕組み。

 ツタやダイヤモンドガラスなど見た目の好みで選んだブロックを現れたり消えたりする扉や橋に使う事が出来、壁の一部が消える隠し通路や、時間経過で点々と現れる飛び石の足場なんて仕掛けを作ることもできる。
 このブロックを使ってどんな事が出来るのか、これもまた以下の入力や処理のブロックを知ることで様々に想像が広がって行く事だろう。


 ちなみに、この装置でブロックを出現させる際に既にほかのブロックが置かれていた場合はそちらが優先されてブロックが出現する事が出来ず、元々あったブロックの存在そのものを消滅させてしまう恐れがある。
 例えば、水の下に木のブロックで水門を作ろうとした場合などは、上から流れてくる水が優先されてこの現象が発生してしまうわけだ。
 最近のアップデートでドアも水門として使用できなくなったのが頭の痛いところだが、水周りでこのブロックを使いたい場合は細心の注意を払うようにしよう。



 9.信号を受け取らない物

 テレポーターや写真フレームはハイテク機器っぽいがオンオフを切り替える機能は無い。これらを組み込んだ仕掛けを作りたい時は、たどり着くまでの工程に障害を設けるようにしよう。

 また、なぜかティンカーのタブに表示されるはしご類は触れることではしごに沿って移動でき、粘液の塊類は勢い良く触れると弾力で弾むものだ。






・入力のブロック

 他のブロックからへ信号を送って動作させるブロック群。
 もっとも単純なものとしては、これらのブロックを出力のブロック群に接続すればそれでひとつのギミックが出来ると言える。


 1.スイッチ

 アクセスする事でオンオフを切り替えるブロック。このブロックの状態が出力用のブロックに伝わって開閉や点灯・消灯を操作できるわけだ。
 動作がシンプルなためにこれと言って説明する内容は多くない。早速このブロックを配置して拠点の回りに置いたランプを一斉に点灯して見るといった実験をしてみてもいいだろう。




 なお、この際の接続の仕方はワイヤリングツールで端子同士をクリックするほかに・・・




 それぞれのプロパティを開いて、入力と出力の「イベント名」を打ち込むというのもいい。
 ここではスイッチに「red」と打ち込み、ランプの方にもこの名前を入力する事で接続された事になる。
 こうすると管理しやすく意図しない接続を避けることにもつながるので、複雑な回路ではよく利用しよう。


 なお、プロパティにアクセスを禁じるという物があるが、スイッチは他のブロックによって切り替わる機能がないためこれにチェックを入れると何をしても切り替わらなくなる。
 複雑な制御では必要になることもあるが、その場合は地下に埋める等の手もあるしあまり使う事は無いだろう。



 2.圧力盤

 接触している間オンになるブロック群。初期状態では床に置いてその上に乗る形だが、回転させて壁に埋め込むこともできる。
 また、プロパティではReset Delay(リセットまでの遅延)を設定する事が出来、これによって「離した後も○秒間オンになっている」という挙動を作る事が出来る。
 あとアクセス禁止のチェックもあるが、そもそもアクセスできるブロックでは無いのでこれは意味がない。


 比較的分かりやすい機能を持ち、触れている物で有ればプレイヤー・敵キャラクター・ドロップしたアイテム・ペット・他のブロックの全て、となんでも検知できるという特徴がある。
 一つにつき1ブロック分しか感知できない範囲の狭さやこのブロックを表面に露出させなければいけないというデザインがややネックだが、次のセンサーでは補えない部分もあるのでうまく使い分けて行こう。



 3.センサー

 一定の範囲を指定して、その中にプレイヤーやキャラクターがいるかどうかを感知するブロック。
 非常に使い勝手が良く、これをドアの近くに置いて範囲を指定するだけで自動ドアが出来、地下でランプに繋いで置けば敵キャラクターの出現を知らせる警告灯、モブスポーナーに繋げばエンカウントを演出するという具合。
 またこれ自体が「プレイヤーとモブキャラクターの区別」や「感知した数の出力」、「範囲に入った時にメッセージを表示する」なんて機能を備えている。
 さらに他のブロックから信号を受け取って電源のオンオフを切り替えることも出来、これ一つであれやこれやと応用が利くのである。


 ただ、今のところドロップアイテムに敵味方識別せず反応するというやや釈然としない設定もある。
 圧力盤にあったReset Delayも使用できず、感知範囲の指定も回転させないと上手く使えないなど、便利ではあるが万能ではない点に要注意だ。



 4.ナンバーパッド

 特定の数字を打ち込む事が出来るブロック。最大32ケタまでの大きな数字を表現する事が出来る。




 ・・・というわけで、このブロックは数値の入力をそのまま表示する「アークサイン」や数値の比較処理を行う「数値比較ゲート」とセットでしかそれらしい使い道がない。
 パスワードを入力して秘密の機能を起動、フロア数を入力してその分だけファンを起動、プレイヤー同士で答えを合わせる仕掛けに使用、とあまり応用の幅はなさそうだ。


 ちなみに、Reset Delayの設定が出来、入力後一定時間で再度0を出力する使い方もできる。






・処理のブロック

 他のブロックから受け取った信号を比較したり遅延させたりしてまた他のブロックへ信号を送るブロック群。
 このブロックを組み合わせることで一連のブロックに複雑な挙動を持たせる事が出来るようになる。
 話を脱線させれば、こうした論理回路を思い切り複雑に組み合わせたもので我々の使うコンピューターが成り立っているわけだ。


 1.反転ゲート

 一つの入力を受けて反転させて出力するブロック。論理演算で言う「NOT」というやつだ。

 具体的には、これを経由させることで「センサーが感知したら扉を開ける」という挙動を「センサーが感知したら扉を閉める」に、「センサーが感知したら壁ブロックを消す」という挙動を「センサーが感知したら壁ブロックを出現させる」に、と言う具合にひっくりかえすことが出来る。
 また、赤のランプと青のランプを並べてスイッチに繋げる際、片方だけにこれを挟んで置くことでどちらか片方が常に点灯している、「状態の切り替え」を演出する事も出来るだろう。



 2.遅延ゲート (※201/07/01 追記

 一つの入力を受けて、一定時間遅らせてから出力するブロック。

 設定できるのは0.5秒単位で最大10秒、単体で任意の時間を遅延させる利便性の高いブロックだが、複数個重ねるとさらにその機能が充実する。
 画像のように順々に点灯する電飾としたり、分単位の時間を計るタイマーとしたり、また上記の反転ゲートと回路を繋げて一定時間ごとにオンオフの信号を切り替える発振回路にしたりすることもできる。
 また、こういった処理のブロックを通る信号は処理の手数だけ元々遅延してしまうので、それを補う緩衝材のような使い方もできるだろう。

 ただ、どうにも釈然としないのだが今のところこのブロックはオンの信号を遅延させている最中にオフの信号を受けるとオンの信号をどこにも送ることなく動作を止める模様。
 少々バグくさい気もするのだが・・・。



 3.フリップフロップゲート (※201/07/01 修正

 一つの入力を受けて、保持した状態を出力するブロック。

 挙動から言うと「オン」の信号を受け取るたびに「オン・オフ」の信号を切り替えて送るというもの。
 直列につないでゆくと2進数で数を数える「カウンタ」に応用できる。

 利用方法としては圧力盤やセンサーとの組み合わせが明快か。これらは「触れる」ことと「離れる」ことの両方を検知するが、フリップフロップゲートと繋ぐとこのうち片方の信号に反応してオンオフの状態を「保持する」、スイッチのような機能を持つ事になるわけだ。
 あとは、件のカウンタとして組んでナンバーパッドによるパスワード入力に挑戦回数を設けると言った使い方もできるだろう。



 4.数値比較ゲート

 二つの数値入力を受けて、比較した結果を出力するブロック。

 数値の比較では「==(等しい)」、「!=(等しくない)」、「<(より小さい)」、「<=(以下)」、「>(より大きい)」、「>=(以上)」、が使え、条件を満たしていた場合にのみオンを出力する。
 また片方の入力はブロックに接続する代わりに固定の数値を設定しておくこともでき、ナンバーパッドとこれ(==)、それから石製のドアにでも繋げばそれだけでパスワード式ドアの出来上がりと言う事になる。

 ・・・のだが、ナンバーパッドとセンサー以外で「1」を超える信号を送る装置がないため、「==(等しい)」以外の設定はあまり使い道がない気がしないでもない。



 5.論理ゲート

 二つの入力を受けて、比較した結果を出力するブロック。

 この比較は「AND(両方ともオン)」、「OR(どちらかがオン、あるいは両方ともオン)」、「NAND(ANDの結果が反転したもの)」、「NOR(ORの結果が反転した物)」、「XOR(両方の入力が違う)」、「XNOR(両方の入力が同じ)」、が使え、条件を満たしていた場合にのみオンを出力する。
 いわゆる論理演算というもの。始めはとっつきづらいかもしれないが、これをどう組み合わせるかが一連の回路の幅を広げる一番面白いポイントでもあるのだ。
 というわけで、それぞれの論理演算の扱い方はもう少し詳しく見て行く事にしよう。



 5‐1.ANDゲート

 二つの入力が「両方ともオン」のときにのみオンになるもの。
 言い換えると「複数の条件を全て満たしている時に作動する」仕掛けを作る事が出来るというものだ。
 例としては「スイッチを入れてモブスポーナーを起動し、かつ殲滅してセンサーが敵を感知しない(ここは反転ゲートを通す)」や、「3箇所のスイッチを全てオンにした(ANDを2つ重ねて3つの入力を作る)」といった条件を作る事が出来るだろう。



 5‐2.ORゲート

 二つの入力が「どちらかがオン、あるいは両方ともオン」のときにオンになるもの。
 言い換えると「複数の条件のうちいずれか一つ以上を満たしている時に作動する」仕掛けを作る事が出来るというものだ。
 例としては「複雑なギミックを抜ける(最初の条件)か、出口部分に置いた仕掛けの解除用スイッチを入れる(二つ目の条件)」や、「部屋の敵を全て殲滅する(最初の条件)か一定時間生き延びる(二つ目の条件)」といった条件を作る事が出来るだろう。

 あとは圧力盤との相性か。「圧力盤でスタートを切ってからゲートが閉まるまでのランニング」という仕掛けを作る時に、複数の圧力盤からこれ(を複数重ねて)を通してゲートに繋げれば「触れていない圧力盤がオフになった時に仕掛けの解除に失敗する」という状況を回避する事が出来るだろう。
 ただ、条件を満たしている時に改めて異なる条件を満たすと改めてONの信号を出力する動作を取る模様。面倒くさいが、これで再度信号を送りたくない場合は片方の端子に「true」を設定したANDゲートあたりを経由させよう。



 5‐3.NANDゲート

 ANDの結果を反転ゲートに通したもの。「NOT AND」の略。「両方ともオン」のときにのみオフになるもの。
 言い換えると「複数の条件を全て満たしている時に停止する」仕掛け、あるいは「複数の条件のうちいずれか一つ以上を満たしていない時に作動する」仕掛けを作る事が出来るというものだ。
 例としては「複数のスイッチ全てをオンにしたときにファンが『停止』して進めるようになる」や、「スイッチが入っていない(一つ目の条件)かプレイヤーが近くにいない(二つ目の条件)かする間ブロックフェーサーが『作動』してカモフラージュを出し続ける隠し通路」といった仕掛けを作る事が出来るだろう。
 複数の論理ゲートを使う複雑な装置ではNANDの利用価値も高まってくるが、仕掛けのオンオフの差くらいしかない場合は仕掛け側のそばに反転ゲートを置いた方が分かりやすいかもしれない。

 なお余談として、実際の電子回路ではこのNANDか次のNOR演算を行う素子だけあればその他の論理演算全てを実現する事が出来、大量生産してコスト削減に繋げる事が出来るという。
 とはいえ本作では「ロジックゲート」か「反転ゲート」のブロック一つあればそれらの機能を盛り込めるので、この話はやっぱり余談の域だ。



 5‐4.NORゲート

 ORの結果を反転ゲートに通したもの。「NOT OR」の略。「どちらかがオン、あるいは両方ともオン」のときにオフになるもの。
 言い換えると「複数の条件のうちいずれか一つ以上を満たしている時に停止する」仕掛け、あるいは「複数の条件を全て満たしていない時に作動する」仕掛けを作る事が出来るというものだ。
 例としては「水の流れこむ密室で、漏水地点にある圧力盤がどれか一つでも水の接触を感知している間出口を『閉じる』」や、「正解と不正解のスイッチが並んだ部屋で、不正解のスイッチが『いずれもオンになっていない』ことを検出して正解のスイッチとのANDをとりドアを開ける」といった仕掛けを作る事が出来るだろう。

 ただもちろん、NORの結果をさらにNORに通すと反転の反転でORと同じ挙動になってしまうので要注意。



 5‐5.XORゲート

 「EXCLUSIVE OR」の略。二つの入力が「等しくない」ときにオンになるもの。
 言い換えると「二つの条件が共に異なる状態の時に作動する」仕掛け、あるいは「二つの条件のうちいずれかのみが満たされている時に作動する」仕掛けを作る事が出来るという物だ。
 例としては「廊下の奥か手前のスイッチを操作すると点灯・消灯するランプ」や、「○×クイズで片方の選択肢を選んだ時にのみ開くドア」といった仕掛けを作ることが出来るだろう。

 なお、3つ以上の入力にXORを重ねて行くと「入力の合計が奇数のときのみオン」という挙動になる。
 3択以上のクイズを作りたい場合は入力2つ同士のANDをとってORにまとめ、不正な入力を検出する・・・といった手間を加える必要が出てくるだろう。



 5‐6.XNORゲート

 NORの結果を反転ゲートに通した物。二つの入力が「等しい」ときにオンになるもの。
 XORを反転しただけあって三つ以上の入力を考えた時の挙動は同様。「三つ以上の全ての入力が等しい」条件を検出したい時はこのゲートでは無くそれぞれのANDとNOR(まとめたORの結果を反転ゲートに通す)のORを取るのがいいだろう。
 というわけでこのゲートを単体で使う例としては「部屋に入った後2つある仕掛けを正しく解くか初期状態に戻さないと開かない入り口」くらいの限定的なものではないだろうか。






 以上でブロックの紹介は終了。
 (※2017/07/01 追記
 では、ここでまとめとして一つのギミックを作成する例を見て見よう。センサーに「Reset Deray」機能を持たせてみる例。



 先ずは機能の確認、圧力盤が持つ「Reset Deray」の特徴は
 ・触れると即座にONになる
 ・離れてから一定時間後にOFFになる
 ・離れてから一定時間内に再度触れるとONになり、時間もリセットされる

 といったところだ。
 次にそれぞれの特徴を再現するために必要な物を考えて見ると、2番目の特徴で「時間」を盛り込む事になるので遅延ゲートは必須。
 ただ、センサーと遅延ゲートを繋ぐのみでは1番目の特徴まで遅延して実現できなくなるので、触れた瞬間から、離れても一定時間までONであることを「保持」するフリップフロップゲートで補ってみたい。
 また、時間の計測は「離れた」タイミングで始めたいので反転ゲートと、遅延ゲートの仕様上の問題があって瞬間的な入力も検知・保持できるフリップフロップゲートを用意だ。
 3番目の特徴については少々厄介なのだが、時間のリセットは置いておいてフリップフロップゲートの信号を切り替えさせたくない場合の対処と言う点を見て見よう。

 では、おおまかに必要な物が見えてきたら実際に組み合わせてみる。


 一つはセンサーが感知した信号をフリップフロップゲートに渡すルート。考えて見ればこのルートに遅延してきた信号を合流させればフリップフロップゲートが切り替わってちょうど1・2番目の特徴を実現できるので、手前にその信号と合流させるための論理ゲートを「OR」あたりで置いておく。



 もう一つはセンサーから離れた信号を保持して遅延させるルート。暫定的に3秒くらいを設定して見よう。
 反転ゲートから出た信号を遅延させるわけだが、この2つを直に繋ぐと少々動作が悪い。
 ので、ここは遅延ゲートの手前にフリップフロップゲートを置いて、「フリップフロップゲートの状態と」「遅延ゲートの状態と」「が等しくなったか否か」を検出する修正案を取って見たい。
 ONにせよOFFにせよ等しい状態で有ればいいので論理ゲートは「XNOR」、ただもちろん時間の計測が始まっていない時も始端と終端が等しいはずなので、この論理ゲートをさらに一つ目のフリップフロップとの「AND」に通して準備OKだ。



 あとは、このANDの結果を先ほどのORに接続して・・・その先のフリップフロップをLEDなどに接続して動作を見て見よう。思った様に動作しないはずだ。
 こんなときに原因を調べる場合は、それぞれのゲートにLEDを置いて動作を見て見るといい。


 タネを明かすと問題があるのは一つ目のルートで、「OR」の論理ゲートが二つ目のルートの信号を感知したりしなかったりして何度もONの信号を送ってしまっているため。
 「OR」の仕様であり、また通ったゲート数によってどうしても処理に遅延が発生するという仕様でもある。

 ・・・ちょっと釈然としないがしょうがないのでORの信号をさらに片方の端子に「true」のvalueを設定したANDで調整するのだ。
 また、まだ今の状態だとセンサーに入り直した時にもフリップフロップゲートが反応して信号が切り替わってしまうので、フリップフロップがONの時はセンサーの信号を、またセンサーがONの時は二つ目のルートの信号を送らないように論理ゲートを追加しておきたい。
 フリップフロップの信号を反転してセンサーとの「AND」、センサーの反転の遅延(初期状態との一致対策、0.5秒)と二つ目のルートの「AND」、をとると・・・。





 疑似Reset Derayの完成!

 まだ動作が不安定だったり長時間を計測する機能を盛り込んでいなかったりするが、とりあえずはこんなところだ。
 あとは一つ目のルートのフリップフロップの出力が終端なので「gametime_00」とか「beachflag_south」とかといった分かりやすいイベント名を付けておくと遠隔地にあるゴールなどに接続しやすいだろう。



 実現したい機能を要素に分けて考えること、その要素の実現に必要な装置を準備すること、どんな入力が起こりうるのか考え付かない物も試してみること、意図しない動作に対して問題の個所を探す方法、あとは失敗にめげない心、といったところがあればもっと複雑なギミックなども作って行けるはずだ。
 では、次回はいよいよこれまでに培った知識や作り上げた「アドベンチャー」を他のプレイヤーとシェアする方法について挑戦だ。
 果てしない幅の創造性に果てしない数のプレイヤー、「クリエイティバース」の冒険はすでに自分の手にも託されているのだ。


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※当ページ中の情報は2017/06/20〜07/04時点の物です。バージョンによっては内容が異なる場合があります。




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