サイトトップ/ゲームレビュー/ロックマンDASH 鋼の冒険心
ページ公開:2025/01/07 最終更新:2025/01/09


ロックマンDASHダッシュ はがね冒険心ぼうけんしん


プラットフォームプレイステーション
ウィンドウズPC
ニンテンドー64
プレイステーションポータブル
開発カプコン
発売カプコン
発売年月日1997年 12月(PS)
2000年 6月(PC)
2000年 11月(N64)
2005年 8月(PSP)
2009年 1月(PSP・バリューセット)
ジャンルフリーランニングRPG
プレイ人数1人
セーブデータ1つ1ブロック、5ファイルまで


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
一体感高し ファミリー向け アニメ調 メリハリあり 柔軟 心に残り続ける傑作のひとつ





・ゲーム概要

 1997年に「ロックマン」シリーズ第二のスピンオフとして世に出た「フリーランニングRPG」。
 ファミコンで高難易度2Dアクションとして人気を博した「ロックマン」、スーパーファミコンでハイスピード2Dアクションとして新たなブランドを作った「ロックマンX」、に次ぎ、プレイステーションで自由探索型3DアクションRPGという新たなジャンルの開拓者となったまさに冒険的作品である。
 一方では「ロックマン」シリーズでなじみ深い「ロック」と「ロールちゃん」をベースにした親しみのあるメインキャラクターに、敵役だがどこか憎めない「ボーン一家」との競争を通して不気味な古代機械の潜むダンジョンを攻略してゆくという流れによって全体はアニメを演ずるような感覚で楽しむことができ、未体験のゲームジャンルと言う抵抗感はまるで払しょくされている。
 特に「コブン」はそれだけでプレイステーションを代表するマスコットキャラクターのようにグッズ化された例もある。
 まさに歴史に残る傑作のひとつと評するべきだろう。

 ・・・が、その後「2」が出たのち「3」の登場はめっきり途絶え(ストーリー上では続きをほのめかされている)、何度かプレイヤーにアイディアを募集する企画が行われているものの、それらが形になることはなく、シリーズは移植とキャラクターのゲスト出演を繰り返すのみとなってしまっている。
 このへん「ヴァンパイア」もそうなのでカプコンの体質なのだろうか。

 というわけで現代でもSNSなどに「3」を望む声が頻繁に書き込まれる不朽の名作、中古価格も相応のプレミアを示すものとなっているので今回は番外編と言うことにしてその内容を見て行ってみたい。
 なお、移植の多い本作だが以下は「プレイステーション版」をもとに行うこととする。


・ディグアウト

 紺碧の海と空が果てしなく広がる世界。
 人類はわずかな陸地に身を寄せ合って暮らし、先史文明が残した「ディフレクター」をエネルギー源として消費することで辛うじて生きながらえていた。
 現代よりもはるかに進んだ技術力を持っていながらなんらかの原因によって姿を消した先史文明・・・現代では彼らの遺産が生存を支える糧となっているものの、しかしてそれは複雑怪奇な遺跡と敵意を持った自律機械「リーバード」たちによって守られてもいる。
 人々の糧を得るために自ら率先して危険に飛び込む存在、飛行船に乗って島々を巡り数々の冒険譚の主役となる存在、いつの日か先史文明の秘密を暴き世界にかつての栄光を取り戻すであろう「大いなる遺産」を追い求める存在・・・。
 人々はそれを「ディグアウター」と呼んだ。


 ・・・という、「ロックマンX」からさらに時代を進めたかのようなポストアポカリプス世界が本作の題材である。
 に、しては人々の間に悲壮感はなく、おやつのタコ焼きを奪い合ったり夕食のすき焼きに心躍らせたり草むらでエロ本を見つけてガッツポーズしたりと現代日本にごく近い平和な日常が繰り広げられているが。
 (いちおう、本作の時代背景においての「現代」であり、令和の世にしてみればスマホやSNSがない世界はより文明の崩壊を意識させるかもしれない?)

 ただ、世界観として念頭に置いておきたいがこの世界の「人類」とは食事や睡眠の必要があり、けがや病気もし、妊娠・出産や老化の概念まである程度にリアルな「ロボット」のことを指す。
 つまり明確な「創造主」がおり、それとの対立がひとつ本シリーズのテーマとなっていることは意識しておきたい。


・ロックとロール

 そして、その日も一人の若いディグアウターが遺跡のディグアウトに挑んでいた。
 名を「ロック・ヴォルナット」といい、老齢ながら世界有数の実績を持つ名ディグアウター「バレル・キャスケット」を師にして親代わりとして、バレルの孫であり優秀なメカニックである「ロール・キャスケット」をパートナーとして、飛行船「フラッター号」で世界を飛び回っている一団である。
 ロールの両親、マチルダとバーナーはバレルの遺志を継いで「大いなる遺産」を捜索する中で行方知れずとなっており、ロールは祖父の悲願と両親の行方の手がかりを得るために、そして身寄りのないロックはロールを支えるために、「大いなる遺産」を求める冒険を繰り広げていた。
 抜群の反射神経と不屈の勇気で遺跡に挑むロック、強力な「発明品」と的確なナビゲートでロックをサポートするロールのコンビは、いよいよ遺跡の最深部にある巨大なディフレクターに手を伸ばすところまで来たが・・・。
 ディフレクターが奪われた瞬間遺跡の防衛システムは最大限の稼働を始め、次々に迫りくるトラップを辛うじて脱したロックはしかし、地上までの道のりを敵意ある「リーバード」たちのなか突破せねばならなくなったのだった。


 本作の操作系はキャラクターを背後から見た第三者視点型。
 十字キーの上下左右でキャラクターをその方向に移動させ、L1・R1で旋回、R2で近くの標的に視点を合わせる「ロックオン」ないし十字キーと組み合わせて視点を動かすフリーエイムを行うことができる。
 また、ボタンでは対象を調べるか、十字キーと組み合わせて進行方向に即座に視点を変更することができる。
 残念ながら、本作の段階ではアナログスティックの入力には未対応でキャラクターの動きは少々ぎこちなく、「ロックオン」もそれを明示するUIが現れないうえロックオン中に移動できなくなるなど、操作系やUIはまだ実験的な印象を受ける。
 このあたりは「2」で大幅に改善されたので、例によって第一作相応の粗さと見るべきか。

 そして、×ボタンではジャンプ、ボタンでは正面か近い敵に射撃攻撃を行う「ロックバスター」、ボタンでは様々な特性を持つ「特殊武器」、で立体感いっぱいにダンジョンを駆け回り敵と撃ち合ってゆくこととなる。
 本作の敵は原則的に接触ダメージを持っており直接触れるとダメージを受けて吹っ飛ばされてしまうので、見つけ次第R2で視点を合わせてロックバスター、が戦闘の基本。
 ただしR2のロックオンは視界に入っている敵にしか利かないため、ダンジョンの曲がり角や分岐点ではその先に敵がいないか手動で視点を動かす必要がある。
 この点は煩わしいというよりむしろ、自分自身がそこにいて恐る恐る覗き込むような「体感」要素になっていると好意的に評価しておこう。

 「特殊武器」について―・・・は、重要だが長くなりすぎるのでのちほどまとめてみよう。


・カトルオックス島

 多少のトラブルはあったが無事戦利品を手に遺跡を脱したロックとロールは、雄大な空の中また新たなトラブルに慌てていた。
 金銭的な理由から満足な整備が行えなかったフラッター号のエンジンがいよいよもって火を噴き、航行不能に陥ろうとしていたのである。
 もはや一刻の猶予もなくどこかの陸地に不時着するしかないと見た一行は、最寄りの「カトルオックス島」に舵を切った。
 ・・・これといった観光資源もなく、遺失物の相談や駐車違反の切符を切ることが警察の主な仕事というごく平凡で平和な小島を、この日ふたつのニュースが賑わした。
 ひとつは「空賊」。この島の地下に広がる遺跡を狙って空賊・「ボーン一家」が襲撃を計画しているというのである。
 「ディフレクター」が生活を支えている世界、都市と遺跡が組であることは全く珍しくもないのだが、この島の遺跡には「大いなる災い」が眠るという言い伝えがあって特別に空賊の注意をひいてしまったらしい。
 結論から言えばこれは噂話ではなく事実であり、中央市街地および市庁舎は大慌てで住民の避難を進めている最中であった。
 そしてもう一つのニュースは、島の平野部に島外の飛行船が墜落、空賊の襲撃を警戒した警察が対応に当たったものの、三人の乗組員は全員無事で、船の修理のためにしばらく滞在することになったというものである。
 これが、この島の「大いなる災い」の秘密を暴き、島の運命を永遠に変えてしまう物語の幕開けであった――。


 というわけで、ゲームは地上にある市街地で物資を売買したりイベントをこなしたりし、地下にある広大なダンジョンの攻略に取り組んでゆく、という流れとなっている。
 とくに空賊「ボーン一家」とはダンジョンへの突入をかけて地上で衝突することとなり、意外にもダンジョンで戦力を強化し、地上でボス戦を行うという変則的な形態が中心的だ。

 戦力の強化とは、具体的には「資金」の調達と「素材アイテム」の調達。
 本作には「レベル」の概念がなく、主人公・ロックの戦力はジャンク屋で「ライフアップ」や「エネルギーボトル」を購入する、「ロックバスター」の強化パーツを購入したり開発したりする、「特殊武器」を開発して強化を購入する、といった形で行われる。要するに資金が消費型の経験値のようなものである。
 防御面に不安があればザコ相手に狩りを行ってライフアップ購入の費用を稼ぐ、攻撃面に不足があれば特殊武器に費用を注いで強化する、といったふうにして難易度に対応できるわけだ。
 RPGとはいえアクション要素も強い本作、その気になればノーダメクリアもできるのでライフアップの購入は縛ってみても構わない。
 ・・・というべきか、ザコが装備品をドロップして余った分を売るというような金策がなく、敵が落とすものはただただ資金と即時消費の回復アイテムくらいなので、RPG要素のほうが薄いというべきかもしれないが。

 一方で、資金以外に重要となるのが「素材アイテム」の存在。
 メカニックのロールには素材アイテムから便利な道具を発明する「アイテム開発」の能力があり、これによってロックバスターの非売品パーツや各種の「特殊武器」を獲得する形になる。
 そして素材アイテムの調達手段とは「ダンジョンの宝箱や壁の穴から見つけてくる」と「カトルオックス島の人々と交流してお礼にもらう」、「ゴミ箱やダンボールから漁ってくる」の三通り。
 これがあって、ただザコをいじめていればいいというものでもなく、危険を冒してダンジョンの奥深くを目指したり、人々の悩みを聞いて回ったりという広いアクティビティが評価される形と言えるだろうか。
 とくに本作の最強武器(にして、外部出演作での最強必殺技)「シャイニングレーザー」はダンジョンでの探索もカトルオックス島での交流も幅広くこなしてようやく素材が揃うという代物である。
 次はその特殊武器について詳しく見てみよう。


・特殊武器

 「フラッター号を改造するのに、けっこうお金かかっちゃって・・・ゴメンね!ロックの装備、全部売っちゃった!
 特殊武器について、「2」オープニングのロールによる衝撃的なセリフ

 ロックは左手に光弾を発射する「ロックバスター」を、右手にロールお手製の「特殊武器」を装備することができる。
 「ロックバスター」はボタン押している間ポンポンと連射されるオーソドックスな武器でこれといったクセがなく、走り回ったりジャンプしたりしながら使えるほか、弾切れの概念がない。
 カスタム要素として「パーツ」を装備することができ、威力・射程・連射力・弾数(連射上限)を強化できるため状況や、同時に装備する特殊武器との兼ね合いを見て調整するとよいだろう。

 「特殊武器」には地雷や機関銃など様々な「特殊」な特徴があり、状況に応じてこれらを選択することでぐっと攻略が楽になる。
 ただし、一度に遺跡に持ち込める特殊武器は一種類のみで、使用回数にも制限があり、「1」ではダンジョン中に使用回数を回復する手段がスタック不可の消費アイテム一種しかない、と、その性質の見極めは非常に重要だ。
 ・・・というわけで、本作に登場する特殊武器の詳細を一挙に解説してみるとしよう。
 (ネタバラシを避ける意味で折りたたんでおく。)

 ■:表示
 
 ・スプラッシュマイン
威力:☆☆☆☆汎用性:☆扱いやすさ:☆☆隠し度:なし強化費用:☆
概要:目の前に地雷を設置する特殊武器。
特殊武器のチュートリアルとして最初に入手することとなり、直後のボーン一家戦で使える唯一の特殊武器となる。
この戦いでは道路に沿って走り回るブルムベアや動きの遅い重機メカへの有効打となる一方、接地面積の少ない多脚型メカ・フェルディナントや宙を浮遊するクレーンアーム型メカには当てること自体困難と、早速特殊武器の使い分けを意識させられるシチュエーションと言うところだろうか。
さておき爆発物としてそれなりに威力が高いうえ設置モーションが短いことからラッシュ火力はかなり高い部類であり、この戦いののちでも相手によっては十分有効。
特にこちらを一直線に追ってくる二足歩行型リーバードや円盤型リーバードに対し、一直線に逃げながらこれを撒いて反撃するという用法は痛快だろう。
特殊武器を「状況によって切り替えるもの」と捉えるならば、十分に選択肢として機能するはずだ。
 

 ・マシンバスター
威力:☆☆☆汎用性:☆☆☆☆扱いやすさ:☆☆☆☆隠し度:☆☆☆強化費用:☆☆☆
概要:ボタンを押している間機銃を連射する特殊武器。
弾丸は直進して単体にヒットし、反動はごく小さく移動やジャンプ中にも使用できると、使用感はほぼロックバスターと変わらない。
しかして比較的低価格で威力や射程などを強化することができ、最大まで強化したときの性能は終盤のロックバスターと同等以上という「特殊」でない特殊武器がマシンバスターである。
終盤まで来るとさすがにほかの特殊武器に目移りするものの、序盤から使用できるにしてはゲームバランス破壊級の性能があるといっても過言ではないだろう。
難点は「特定のイベントを終えないと素材アイテムがスポーンしない」うえにその隠し場所もひっそりとしているという発見難易度か。
あと絵面が地味。
 

 ・バキュームアーム
威力:なし汎用性:☆☆扱いやすさ:☆☆☆隠し度:☆☆強化費用:☆
概要:ボタンを押している間周囲のディフレクターやエネルギーキューブを引き寄せる特殊武器。
攻撃能力は全くなく、敵を破壊したときに周囲に資金が飛び散るという本作の演出においてそれを回収するために走り回らなくてもよくなるというもの。
一見どうでも良さそうな効果だが、本作が射撃戦を中心としたゲームバランスであることや、飛び散った資金が一定時間で消滅してしまう仕様であること、資金の回収のために走り回るという行為が金策において最も重要な効率を落とす行為であること、といったことを考慮すればそれは一転不可欠の存在と思い知るだろう。
ただ、これを装着するということはほかの特殊武器で戦闘をこなせなくなると言うことでもあるのでご利用は計画的に。
また、ディフレクターを引き寄せる速度は「特殊性」を最大限に強化しないとほぼ無用である。
 

 ・パワードバスター
威力:☆☆☆汎用性:☆☆☆扱いやすさ:☆☆☆隠し度:☆強化費用:☆☆
概要:遠距離まで直線的に飛翔する榴弾を発射する特殊武器。
弾速こそ遅いがきわめて遠距離まで攻撃することができ、危険度の高い相手を安全に処理することが可能になる。
とくに、閉鎖空間のダンジョンよりも地上で巨大なボーンメカを相手にする際に重宝する性質だと言うべきだろうか。
最速で入手し強化した場合、採掘メカ・マオルヴォルフ戦で安定した攻略を展開することができるだろう。
ただし、攻撃時の反動が大きく接地していないと使えないため逆に近距離での使用はリスクが大きく、連射が利かない点で威力の伸びもあまりよくない。
この特殊武器を使用するということはロックバスターは射程を切って威力と連射力重視でカスタムすればよいということなので、両方の使い分けを意識しながら戦ってゆくことである。
 

 ・グレネードアーム
威力:☆☆☆汎用性:☆☆☆扱いやすさ:☆☆☆隠し度:☆強化費用:☆☆
概要:手投げ式の榴弾を投擲する特殊武器。
爆発の威力はスプラッシュマインと同程度だが多少離れた相手にも届くほか移動やジャンプ中にも使用することができ、また壁に当たった場合跳ね返る性質があるので通路の角に隠れた敵に安全に攻撃できるなどより応用範囲が広い。
・・・のだがスプラッシュマインほど連射が利かず、パワードバスターほどの射程もないと、正直立ち位置が微妙な感もある。
本作にはより威力に富んだ「グランドグレネード」という存在もあり、そちらが入手可能になるまでにこれと言った使いどころもないという性質なので、結論としてあまり使うことはないだろう。
 

 ・ブレードアーム
威力:☆☆☆汎用性:☆扱いやすさ:☆隠し度:☆☆☆強化費用:☆☆
概要:ビームブレードで目の前の相手を切りつける特殊武器。
ゼロというかブルース.EXEというか、かっこよさの代名詞みたいなものだが接触ダメージのある本作においては威力とリスクがまるで見合っていないうえそもそも届かない相手が結構いる。
素材アイテムとしてはまさかの「ゼットセイバー」を使用する・・・のだがこれはDASHの世界のアニメ「ロックマンゼロ」を題材としたおもちゃという扱いであり、その点であまり性能が良くないのかもしれない。
「2」ではだいぶ性能が向上するが・・・。
 

 ・シールドアーム
威力:なし(厳密にはダメージはある)汎用性:☆☆扱いやすさ:☆☆☆隠し度:☆☆☆☆強化費用:☆☆☆☆
概要:ビームシールドで敵の攻撃を防ぐ特殊武器。
適当にばらまかれるバルカン弾や正確に撃ち込まれる火炎弾はもちろん、敵の体当たりに対しても相手を強制的にひるませて無力化できる強力な防御武器である。
ひるむことによって弱点をさらす円盤型リーバードや、ヘッドスライディングが強力なジュウイン湖のサブゲートのボスに対しては特に特効と言える効果を発揮することだろう。
・・・が、なぜか爆風が残る攻撃に対して無力で、ボーン一家が良く使う爆弾に弱い。
ホーミング性の高い緑弾をシャットアウトできる点で有効とは評せるのだが、これがあっても回避行動を忘れないように要注意。
 

 ・グランドグレネード
威力:☆☆☆☆☆汎用性:☆☆☆扱いやすさ:☆☆隠し度:☆強化費用:☆☆☆☆
概要:手投げ式の強力な榴弾を投擲する特殊武器。
榴弾は着弾地点で複数の爆風を発生させ、すなわちほかの爆発物系特殊武器の数倍の威力を叩き出す攻撃力特化武器である。
ボスのライフバーが一瞬にして削り取られるさまは見ていて痛快以外の何物でもない。
・・・のだが投擲型なので射程に限界があることや、使用可能弾数がごく少ないこと、強化費用がべらぼうに高いことなど難点も多く、しかもこのすぐ後には非常に強力な「アクティブバスター」が控えているという登場タイミングの遅さもある。
一方では、遺跡の特定の区画にあるキューブ状のブロックを破壊し探索範囲を広げられるというキーアイテム的な一面があり、どうかと言えばこの土木作業用に数回使っておしまいと言う限定的な存在になってしまうかもしれない・・・。
 

 ・アクティブバスター
威力:☆☆☆☆☆汎用性:☆☆☆☆☆扱いやすさ:☆☆☆☆☆隠し度:☆強化費用:☆☆☆☆☆
概要:ホーミング能力のある小型ミサイルを連射する特殊武器。
初期状態の性能こそ頼りないが多額の資金を費やすことで全能力を強化することができ、最終的には弾数無限で視界内の敵すべてに高威力ミサイルの雨あられを浴びせかけるお手軽殲滅ウェポンへと変貌する。
本作の最強武器と言えば「シャイニングレーザー」だが、ホーミング性の優位に着目すればその評価は覆るかもしれない。
また、この武器の利点はその入手難易度にもあり、終盤のダンジョンの目立つ位置に必要な素材アイテムがでんと置かれているためまずもって取りこぼすことがないのだ。
あとは、総額1,740,000ゼニー(参考までに、マシンバスターの最大強化に必要な総額は57,200ゼニー)という莫大な強化費用さえ稼げばゲームクリアまで攻撃面での不安はないだろう。
・・・その時間でラスボスの動きに慣れる方が早そうだが。
 

 ・スプレッドバスター
威力:☆☆☆☆☆汎用性:☆☆☆扱いやすさ:☆☆隠し度:☆☆☆☆強化費用:☆☆☆☆
概要:扇状に複数の榴弾を発射する特殊武器。
見た目通りの高い攻撃力を誇り、複数のザコを一気に殲滅するような使い方もできる反面、射程が短く硬直も長いため決して扱いやすくはない。
・・・というべきかその性質は「グランドグレネード」とあまり代わり映えせず、しかも素材アイテムの配置上この特殊武器の入手にはグランドグレネードの入手が必須となるという形。
さらには街でのイベントもこなさなければ素材が揃わないという入手難易度に対して十分な見返りと言えるかは怪しいところだ。
 

 ・ドリルアーム
威力:☆☆汎用性:☆扱いやすさ:☆隠し度:☆☆強化費用:☆
概要:ドリルを回転させ接触した相手にダメージを与える特殊武器。
ブレードアーム以上に射程が短く、そのぶん威力が高いというわけでもなく、使用中は動けないと、攻撃目的では全くと言っていいほど使いどころのない特殊武器。
遺跡の中にはこれでしか壊せない壁が4枚ほどあるので、これを壊したらお役御免と言う存在だろう。
いちおう「シャイニングレーザー」の入手に必須だが、この武器自体の存在感はあまりないだろう。
・・・正直「タツカプ」でのほうがよほど活躍している。
 

 ・シャイニングレーザー
威力:☆☆☆☆☆汎用性:☆☆☆☆☆扱いやすさ:☆☆☆☆☆隠し度:☆☆☆☆☆強化費用:☆☆☆☆☆
概要:言わずと知れた最強の特殊武器。
三角錐状のレーザーを高速回転させて相手を攻撃するというビジュアルで、途切れることなく攻撃判定を発生させ、非常に長い射程を誇り、弾数は無制限まで強化可能、威力についてはボスが一瞬で消滅するほど、とおおよそ欠点と言う物がない。
本作以降のロックがゲスト出演する様々な作品においても、このシャイニングレーザーが最強必殺技の地位を不動にしているほどだ。(正確に言うと「2」のデザインになるが)
強いて難点を言えばアクティブバスターに次ぐ高額な強化費用が必要なことと、ゲーム中の隅々まで探索しなければ手に入らないその入手難易度。
ついでに言うとエロ本・エックスバスターとトレードオフの関係にある。
 

 ・キック
威力:☆汎用性:☆扱いやすさ:☆隠し度:なし強化費用:なし
概要:なお、特殊武器は一度に一種類しか装備できないとは言え、装備を外すことはできる。
その場合「キック」によって正面を攻撃するアクションを行う。
威力はごく低くべつに使いどころはない・・・のだが、当てた相手をひるませる効果があって円盤型リーバードを一撃でひっくり返すことができることを使いどころと言えないでもない。
また、ボーン一家のサポートロボ「コブン」が登場したとき、これを丸コゲにするまでロックバスターで攻撃した後さらに死体蹴り(注:死んでいません)するといくつかのエネルギーキューブを落とし回復することができるという大概な鬼畜ムーブがある。
 
 


・評判

 それから、ロックの「評判」も本作のユニークなシステムだろう。
 のちの「ロックマンXDiVE」でも「悪ロック」というキャラクターとして表現されたが、本作は自由度の高い行動のうち「悪いこと」をこなすとロックの評判が低下し徐々に体が黒ずんでゆくというシステムがあるのだ。
 例えば、ボーン一家のトロン・ボーンが犬に追われていてこれを助けるという序盤のイベント。
 良いロックはトロンに向かって吠えている犬・パプリカにボタンで話しかけ説得を試みるが、悪いロックは問答無用でボタンで蹴り飛ばし追っ払ってしまうのだ。
 (ちなみに、トロンはこの一件でどっちにしろロックに一目ぼれする)
 このほかにも自販機に蹴りを入れて缶ジュースをタダ飲みしたり、店のカウンターに空き缶を蹴り入れたり、銀行強盗の手助けをしたり、といったアクションで評判を下げることができるのでいろいろ試してみると良・・・くないかなあ、やっぱり。
 とはいえ「1」の時点ではこの評判によって特に影響はなく、特に意識しない場合評判が下がる条件を満たしづらいので、見た目が面白くなる裏技くらいの扱いだろうか。
 「2」ではこれによって店での買い物に値引きが付いたり闇商人と取引できるようになったりと言った「実利」を追加したが、これが良い変更だったのかどうかは少々議論を必要とするところだ。


・メインゲートとサブゲート

 なお、本作のダンジョンは物語の最後に挑む「メインゲート」のほかに3つの「サブゲート」と、3か所に入り口がある「遺跡」からなる。
 「サブゲート」が物語上攻略必須のダンジョンで、入り口から最奥部までつながった完結した構造を持つのだが、しかしていずれも「遺跡」と連結している構造でもある。
 そして、ジャンプ力強化の「ジャンプパーツ」や特殊武器の「グランドボム」と「ドリルアーム」を入手することで遺跡内の障害を突破し、メインゲート・サブゲート・遺跡はすべて一体であり広大なダンジョンであるという姿を晒すのである。
 部分的にだがメトロイドヴァニア系の設計を思わせる構造で、個人的にはこの点非常に胸躍る気がしている。
 といってもこれによって攻略順を前後させることはできないし、基本地上のほうが移動が速いのでこの構造によって一部のショートカット以上の攻略方法が思いつくというものでもないとは思うが・・・。


・まとめ

 現代にしてみればメトロイドヴァニアやソウルライクと言った、探索に重きを置いた3DアクションRPG作品は特別珍しくもない・・・というか人気の高いゲームジャンルだが、その黎明的な作品にして、いまだに続編が待ち望まれているという傑作たる一本。
 確かに今遊ぶと操作系やグラフィックに粗さを感じはするものの、広大なダンジョンの探索や地上の人々との交流において、手探りで自分らしく取り組んでゆく自由度や没入感と言った魅力こそは確かに形作られていると言えるだろう。

 ただ・・・個人的には続編の「2」に少なからず不満があり、ジャンルとして珍しくなくなった現代ではなお「3」に求められているハードルが高まり、シリーズが途絶えてしまっているということなのかもしれない。
 我々がこのジャンルに期待している面白さとは何か?本作を通して、それを今一度確かめてみるのもよいのだろう。





・関連作品

ロックマンDASH2続編。ロックオンシステムのブラッシュアップやアナログスティックへの対応など操作系とUI、そしてグラフィックが大幅に改善された。
のだが、個人的には資金周りやダンジョンの設計が好みではなく「1」派である。
・ロックマンDASH3(仮)幻の続編。ユーザーへの募集企画など、何度か開発が行われてはいるようなのだが・・・。
・トロンにコブンスピンオフ。ボーン一家が悪事を通して生計を立てる様を描く空賊シミュレーターというべき一作。
時期的には「1」と「2」の中間にあたり、「2」では当作の事情がふんだんに盛り込まれているのだが移植がまったく行われておらずプレイ困難である・・・。
・「ロックマンX」シリーズ「ロックマン」シリーズにおいて兄貴分に当たるシリーズ。
本作では「ゼットセイバー」と「エックスバスター」がアイテムとして登場するほか、のちの「ロックマンX5」のゼロ覚醒エンディングでは・・・。
・「ロックマンX7」「ロックマンX」シリーズの一作。
「ロックマン」シリーズでは異色のもう一つの3D作品・・・なのだがその完成度はぞっとするような代物である。
「DASH3」が世に出ない原因の一つがコレだろうか?
・「ロックマンX コマンドミッション」「ロックマンX」シリーズの外伝作。
「ロックマン」シリーズでは異色のもう一つの3DRPG作品・・・なのだがジャンプアクションはなく戦闘はランダムエンカウント方式、「DASH」よりももっとオーソドックスなRPG(JRPG)に寄った作品だ。
・「ロックマンゼロ」シリーズ「ロックマン」シリーズにおいて兄貴分の続編(パラレル)に当たるシリーズ。
本作で「ロックマンゼロ」という名前が出てくるが、「2」のポスターによると主人公は黒ゼロのようで「本作から」ロクゼロシリーズへの接点はない。
・「ロックマンゼクス」シリーズ「ロックマン」シリーズにおいて兄貴分の続編(パラレル)の続編(正統)に当たるシリーズ。
シリーズを追うごとに生身の人間と機械のレプリロイドの境界があいまいになっており、そして・・・。
・マーベルVSカプコン2マーベルコミックスとカプコンのキャラクターがクロスオーバーした格闘ゲーム。
トロンがプレイアブルで登場。
・ナムコクロスカプコンナムコとカプコンのキャラクターがクロスオーバーしたシミュレーションゲーム。
ロックとロール、トロンとコブンがプレイアブルで登場。
・タツノコVSカプコンタツノコプロとカプコンのキャラクターがクロスオーバーした格闘ゲーム。
ロックがプレイアブルで登場。
・アルティメット マーベルVSカプコン3マーベルコミックスとカプコンのキャラクターがクロスオーバーした格闘ゲーム。
トロンがプレイアブルで登場。
・大乱闘スマッシュブラザーズ3DS「ロックマン」が参戦しており、その最後の切り札演出でロックがちょこっと登場。
ロックマンXDiVE(およびオフライン版)ロックマンXをベースにしたソーシャルゲーム(およびそのオフライン版)。
ロック、ロール、トロン、コブン、がプレイアブルとして登場。
衣装違いに「悪ロック」と前髪を下した水着版トロン「葵陽のトロン」が登場。
私事を言うと、オフライン版をプレイしていてコラボステージでリーバード風にリデザインされたザコエネミーを見て懐かしくなって本作をプレイしなおして今回のレビューに至る。


サイトトップ/ゲームレビュー/ロックマンDASH 鋼の冒険心