「零式」の開発に関しては方針が二転三転した経緯があり、はじめは2006年05月に「FF13」の外伝作として「ヴェルサスXIII(現FF15)」とともに「アギトXIII」という携帯電話アプリして発表されたものだった。
「FF13」は「FABULA NOVA CRYSTALLIS FINAL FANTASY XIII」という世界観を立ち上げて様々な方向からアプローチする連作という初期構想を持っており、本作はその中の一本としてスタートしたというわけだ。
ところが2008年8月に「FINAL FANTASY 零式」と改題しPSP向けソフトに方針転換。
改題の理由は「このタイトルを新たなシリーズの出発点にしたい」、「マルチプレイを特徴とした、新しいFF」、「東洋風の世界観」、などの言葉によって説明され、これに伴って共通する世界観は「FABULA NOVA CRYSTALLIS FINAL FANTASY」として「XIII」を省く形に改められた。
さてその後2011年08月には無料体験版「ナツビ」としてゲームシステムを試遊できる体験版をリリースした。
この体験版はアクション性が強くマルチプレイを導入したゲームとして既存の「FF」から離れた驚きをもって迎えられたが、のちにゲームシステムへの批判を受けてブラッシュアップするために製品版の発売を延期、また無料体験版も「ゼロシキ」という修正したゲーム序盤をそのままプレイできるものに差し替えている。
ここでいう「神々」とは「FABULA NOVA CRYSTALLIS FINAL FANTASY」の神話観における「ブーニベルゼ神」、「パルス神」、「リンゼ神」、と伝えられておりPSP版のパッケージイラストもこれらを描いたものらしい・・・が、この神話観を具体的に、詳細に説明した公式動画がyoutubeにアップ後即削除されたらしく、もったいつけているにせよ後から変更する意図があったにせよその辺の理解をプレイヤーに提供する気はないようだ。
こんな調子なので本作の黒幕の意図や正体が作中から知れなくなっており、対を成す「謎の仮面の人物」も最終章の顔見せだけでホントに謎の仮面の人物のまま物語が閉じられることとなる。 プレイヤーの想像力にゆだねるなんて甘えどころじゃない投げっぱなしジャーマンである。
考察の余地や物語の余韻、裏設定といったものすべてを否定する気はないが、この情報不足では一つの創作物として完成未満ではあるまいか。FFブランドや連作としての展開に甘えすぎてはいまいか。