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ページ公開:2011/05/31
ブシドーブレード
プラットフォーム
:
プレイステーション
開発
:
ライトウェイト
発売
:
スクウェア
発売年月日
:
1997年 3月
ジャンル
:
3D格闘
プレイ人数
:
1〜2人
セーブデータ
:
1ブロック
システム
シナリオ
グラフィック
サウンド
ゲームバランス
その他
一撃必殺
奇想天外
風光明媚
諸行無常
油断大敵
和洋折衷
・ゲーム概要
スクウェアから発売された奇奇怪怪な3D格闘ゲーム。
何よりも特徴的なのは体力ゲージが存在せず、一撃で勝敗が決するという斬新なシステムである。
「打刀」や「薙刀」などの武器を手に取り、一撃必殺の緊張感の元で行う対戦は一度味わったら病み付きになること間違いなしだ。
・一撃必殺
このゲームには体力ゲージが存在しない。ではどうやって相手を倒すのかというと、相手に「致命的な一撃」を加えれば良いのだ。
つまり、頭や腹の中心に近い部位に対して攻撃を加えることが出来れば勝利、というわけである。
簡単そうに書いたが、これがなかなかどうして、3Dの特徴を上手く生かしたシステムなのだ。
例えば刀を真正面(=正眼)に構えた相手の頭や腹を狙おうとしても、相手の刀や腕が邪魔でそこまで攻撃は届かない。
ならどうするかというと、相手の向きと軸をずらして斬りかかる、相手が刀を振ることで空いた部位に斬りかかる、相手の武器をはじいた上で斬りかかる、などが考えられる。
これをゲームで表現しようとすると、相手の無防備な方向へ移動する軸移動の概念や、武器や体の部位ごとに取るリアルな命中判定が必要となるわけだ。
とは言え、それらは既に3Dゲームの基本概念として用意されている。
また、軸移動した相手を捕らえる「横薙ぎ」や、軸移動で避けられる分素早く、リーチの長い「突き」など剣術の中にも3Dにぴったりの動きがある。
つまり、「剣術」をゲーム化するには「3D」が最適だし、「3D」を実感するには「剣術」がもってこい、というわけなのである。
そういう意味で「ブシドーブレード」は一見奇抜であるものの、「3D格闘」の良さや存在意義をとことんまで追求した王道的一品なのだ。
また後回しにしてしまったが、本ゲームでは相手を仕留めるに至らなかった一撃も「身体ダメージ」として蓄積され、動作が鈍くなる、片手が使えなくなる、立ち上がることが出来なくなる、といった制限を発生させる。
動きが鈍くなれば当然スキも大きくなり、相手から決定打を受ける確立が上がる。一撃で決まるからとまぐれ当たりに期待して大振りな攻撃を繰り返すよりも、緻密な戦術に基づいて確実にダメージを蓄積させていくことのほうが重要であることも多いのだ。
・対戦バランス
さて、そんな「一撃必殺」を題材とした本ゲームの対戦バランスはどうだろうか?
本ゲームは力や身軽さに長けた6人のキャラクターから1人を選択し、使用する「武器」を選んで対戦を開始する。
しかしそれぞれのキャラクターは皆同じ道場で学んだ者たちであり、その差は打ち込みの速さ・強さと、相手をひるませるサブウェポンの種類、オマケ程度に存在するオリジナル技くらいのものである。
それよりも大きなウェイトを占めるのは使用する「武器」そのものなのだ。
標準的な性能を持つ「打刀」、
巨大ながら最大の間合いを持つ「野太刀」、
短い分軽量な「セイヨーブレード」、
セイヨーブレードよりさらに軽量な「セイヨーツルギ」、
その重量で相手を叩き切る「騎士道ソード」、
最大の重量で相手の武器をはじく「金槌」、
その長さで遠く離れた相手にも攻撃が届く「薙刀」、
素早い突きで相手を倒す「レイピア」、
以上が本ゲームで使用可能な武器たちであり、本ゲームの対戦を形作るキャラクターでもある。
武器には一長一短があり、2、3回練習すればどれでも特徴をつかめると思うので、自分好みの武器で自由に戦って欲しい。
さて基本的な操作だが、先ずは攻撃について。
それぞれの武器に上段、正段、下段、の構えがあり、それぞれの構えから上段攻撃(△ボタン)、中段攻撃(○ボタン)、下段攻撃(×ボタン)を繰り出すことが出来る。
防御(□ボタン)は武器を軽く振り相手の攻撃をはじくことで行い、相手の攻撃一撃一撃に対応する必要がある。
移動(方向キー)は基本すり足で行い、L1ボタンと合わせて自由に走り回ることも出来る。
大体の基本操作は以上となる。非常にシンプルなつくりで、初心者でもすぐになじむことが出来るだろう。
・・・そう。武器や技の性質を熟知した上級者が強いのは当然だが、「一撃必殺」という性質上初心者であっても十分に勝利するチャンスがあるのである。
とは言え、それはとても「運任せ」と言えるものではない。適当に武器を振り回しているだけでは上級者にスキを突かれて終わるのが関の山だ。
そうではなく、上級者、初心者共に「相手が自分を倒しうる力を持っている」という緊張感を抱きながら相手の出方を伺う、対等な条件下での対戦を楽しめる対戦バランスに仕上がっているのだ。
対等な対戦相手探しに困ることが無いのだから、これは初心者よりむしろ上級者にとってうれしい対戦バランスなのかもしれない。
・小物について
本作のグラフィックについて言えば、服の帯やハチマキなどひらひらとゆれるパーツが目に付く。
「それがどうした」という声が聞こえるようだが、いやいや、これは当時の技術力からすればなかなか衝撃的だったのである。
それに、互いに武器を構えて相手のスキを狙いあう緊張感・ムードを、この布のパタパタと揺れる感じが程よく引き立ててくれるのだ。
また、竹林の中で戦う「翠の廻廊」というマップがあるのだが、実はこの竹、切れるのである。
これまた非常に衝撃的であり、あまりにも楽しいゆえに対戦そっちのけで相手プレイヤーと2人竹斬りに興じてしまうのも仕方が無い。
他にも、雪原に残る足跡や石畳の上で出来ない砂かけ、水中に落下したとき水面に浮かぶひらひら、勝利ポーズに存在する攻撃判定などなど、とにかく細かいところまで丁寧に作りこまれているのだ。
さらに本作はキャラクターのリアルな動きを追求し、動作と動作の移行をなめらかにする「モーションシフト」というシステムを取り入れている。
普段気付かないくらいのこういった細かな仕組みが、プレイステーションのゲームながらも本作に高いリアリティを与えている。その完成度には、誰もがきっと感動を抱くだろう。
・ストーリー
・・・と、ここまでなら高い技術力と細かな気配りを見せる、正にメイド・イン・ジャパンのゲームなのだが、ストーリーモードをプレイしてみるとちょっと
未来に生きている
。
ここまで一度も書かなかったが、本作の舞台は「現代日本」である。
「鳴鏡館」なる道場の裏で活動する暗殺集団「陰」から脱走した抜け人の物語が本作のストーリーモードであり、登場する敵は道場で共に汗を流したかつての仲間や道場主という重い設定があるのだ。
そんな彼らは、礼儀正しくも戦う前に「いざ、尋常に勝負!」などと一礼してくる。
一礼している間に斬りかかっても勝ち
である。
まぁ、そんな方法で勝ち進んでいては「卑怯者」と言われてゲーム終了となるのだが。
ついでに言えば、
ラスボスの前口上がまた長い
のである。
綺麗に正座して説教をたれる無防備な姿は、ある意味実にやっかいだ。
また、礼をし終えた相手と正々堂々戦っているとボス戦となり、それまでの城〜洞窟から
ヘリポートに移動
し、
拳銃を持ったドイツ人と真っ向勝負
することになる。
もちろん
拳銃で撃たれたらほぼ即死決定
である。
攻略法としては開始と同時に武器を振り回しながら周囲を走り回り、攻撃してきた相手のスキを狙って
背後から体当たりして斬りかかればイチコロ
だ。ちなみに
この戦法は卑怯じゃない
らしい。
その後さらに
「顔面白塗りの両刃薙刀持ち」
や
「コマのように回転して斬りかかって来る忍者刀持ち」
など3人のボスキャラクターと対決し晴れてエンディングとなるわけだが、まぁラスボス含め3人ともたいして強くないので大丈夫だろう。
なお、実はさらに隠れたボスキャラクターが存在している。その出現条件はまず自力発見不可能と思われる難易度なのだが、隠しボス撃破後のエンディングが本当のエンディングであると思って頑張って欲しい。
このシュールさを見れば、ブシドーブレードは確かにバカゲーっぽく見えてしまうことだろう。
・まとめ
ブシドーブレードは確かに類を見ない奇妙なシステムとシュールなキャラクターたちで構成されたゲームであり、一見はバカゲーっぽく見えてしまうかもしれない。
だが実際に遊んでみれば、そこには驚くほどの完成度と緊張感がある名ゲーだと納得することだろう。
友達を集めてワイワイとチャンバラするも良し。上級者同士で真剣勝負するも良し。
ゲームで対戦する機会が多い人にはぜひ一度遊んでもらいたい一品だ。
・関連作品
・
ブシドーブレード弐
:
おまえら刀で勝負しろ。
・トバルNo.1
:
おまけディスクに本作の開発途中ムービーが。
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