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ページ公開:2020/02/25


GRANDIAグランディア II2


プラットフォームドリームキャスト
プレイステーション2
PC
開発ゲームアーツ
発売エニックス
発売年月日2000年 8月(DC)
2002年 2月(PS2)
2015年 8月(PC)
ジャンルロープレ
プレイ人数1人
セーブデータ1つ9ブロック、10ファイルまで(DC版)


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
育成要素が強力 陰鬱 粗い やや単調 ヌルめ 続編に注意





・ゲーム概要

 セガサターンの傑作RPG「グランディア」の続編にあたるRPG。
 グラフィックを3Dにしたことでより迫力のある戦闘演出を可能とし、「マナエッグ」や「スキルブック」といった育成システムを取り入れて多彩な戦術や痛快なゲームバランスを提示した作品だ。
 一方でストーリーは前作から一新され、神々の戦いによって破壊された世界やトラウマを抱え人間不信になっている主人公など前作とは正反対の陰鬱な作風となっている。
 率直に言うとこちらの出来はイマイチなのだが、パッケージに描かれた本作のキーアイテム「グラナサーベル」の入手など要所要所での盛り上がりはあるので後読感は悪くないだろう。

 ドリームキャストで発売されたのちプレイステーション2にも移植され、こちらは続編の「グランディア エクストリーム」のやや後の販売となった。
 実際の制作時期は逆なので、本作のバトルシステムをさらに楽しみたいならばあちらを探してみると良いだろう。
 なお、PCゲームのダウンロード販売サイト「Steam」でもHDリマスター版が発売されているものの、2020/02/25時点で日本語字幕未対応の「おま国」案件なので注意されたい。


・バトルシステム

 本作でもグランディアの特徴的なバトルシステムは健在だ。
 概要はおおむね同じなので手っ取り早く前作のレビューからコピペして加筆修正すると、

 本作はシンボルエンカウント制であり、フィールドやダンジョンでエネミーのモデルと接触すると「エンカウント」して戦闘に突入する。
 戦闘においては箱庭状の空間内にパーティーメンバーとエネミーそれぞれのモデルが現れ、「位置」や「距離」の概念がある攻撃が交わされることとなる。
 「剣」による攻撃ならば対象まで接近してから攻撃し、「弓」による攻撃ならば遠くからの攻撃が可能、鈍足なエネミーに対しては距離を取ることで攻撃そのものを不発に終わらせることができる・・・などの要素があるものだ。
 他にも「魔法」と「必殺技」の概念があり、直線や円形といった範囲内の敵をまとめて攻撃するアクションもある。
 ただ本作のパーティーメンバーは一人を除いて全員近接キャラ、その一人も頻繁に離脱と加入を繰り返すうえ強力な魔法使いでもあるので弓の存在感はほとんどないか。
 なお「2」での魔法はキャラクターごとのMP総量から必要分を消費してゆくシンプルなMP制になり、使用可能な魔法は後述する「マナエッグ」の装備によって決定される。

 そして、本シリーズならではのシステムとして「IPゲージ」というものがある。
 これは戦闘に参加しているキャラクターの行動順を視覚的に表現したもので、各キャラクターのアイコンが同一のゲージ上を進み、端に到達したものから行動を選択・実行するというもの。
 アイコンの速度は「行動力」によって決まるほか、ゲージは行動の選択を待つ「待機」ゾーンと行動の実行を待つ「行動」ゾーンに区切られており、行動ゾーンでは選択した行動によってゲージの進み方が変動することとなる。

 このうえで、キャラクターには総合威力が高く隙も小さい「コンボ」と、威力に劣る代わりに相手のIPゲージを後退させる「クリティカル」という2種類の攻撃方法が用意されている。
 特に「クリティカル」は使いづらいが重要なアクションで、上手い具合に連携すれば相手の足を止められるほか、行動ゾーンにいる相手に当てると行動そのものを「キャンセル」させ未然に防ぐことができるのである。
 また、IPゲージの進み具合を調整する「パス」のような役割として移動や防御といったコマンドもある。
 言うは易しだが、このあたりの戦術眼があれば多少の戦力差はひっくり返してボスを攻略することが可能というわけだ。

 ただし、本作はダンジョンのデザインがいまひとつでシンボルエンカウント制はあまり生きていない感がある。
 3Dながらダンジョンが全体的に狭いため壁や障害物にキャラクターが隠れやすく、マップやレーダーの存在もないため物陰に入った時に敵を回避することが極めて難しい。
 というか、そもそも狭い場所をパーティーメンバーが一列になって移動し、後方のキャラに接触されると不意打ちの形で戦闘が始まるという本作の仕様では物陰でなくとも回避が難しい。

 ダンジョンに関してはほかに「障害物を壊す」、「岩を転がす」、といった特殊ギミックをこれでもかと詰め込んでアトラクションのような楽しさを表現しようとしている感もあるが、やることは結局全部近づいてAボタンを押すだけとアクション性が皆無なのでこれも空回りしている感があるか。

 一方で本作はレベルや装備の他に「マナエッグ」と「スキルブック」という育成システムが登場した。
 それぞれ戦闘で手に入るポイントを割り振って成長させるという形式で、特に序盤はキャラクターを特化すればザコ戦を範囲魔法一撃で終わらせるほどの戦力を実現できるので戦闘をこなすこと自体に煩わしさはあまりない。
 本作はキャラクターを「育成」することの楽しみが強く、育成したキャラクターで敵をガンガン殲滅して進むのが基本的なプレイスタイルとなると言えるだろうか。
 それでいてしぶといボス戦にはなかなか苦戦する歯ごたえがあるので、次はこの二つの育成システムについて詳しく見て見ることとしよう。


・マナエッグとスキルブック

 「マナエッグ」と「スキルブック」は本作の育成システムであり、どちらも戦闘で得たポイントを割り振ってスキルや魔法を習得・強化してゆくという概要を持つ。
 「マナエッグ」は「ホーリーエッグ」や「カオスエッグ」といった一品モノの装備アイテムとして獲得するアイテムで、それぞれが攻撃魔法や補助魔法など最大18種類の魔法を内包している。
 下位の魔法を「強化」したり新たな魔法を「習得」したりすることで習得可能な魔法が増えて行き、徐々に範囲回復や全体攻撃といった強力な魔法が使えるようになってゆくという寸法だ。
 とはいえこの「強化」による伸びしろがかなり強力なうえ必要なポイント量はあまりインフレせず、基本の攻撃魔法を一息に最大レベルにまで上げてしまえばそのまま最終盤まで活躍すると思っても構わない。
 消費MPの増大などもなく詠唱時間はむしろ短縮、威力はぐんぐん伸びてゆくと言うことで、むしろ後半にアンロックできる最強魔法の方がMP効率で見劣りするくらいのバランスである。
 なお、入手手段は基本的に初期装備かボスの確定ドロップという形式。
 一人一つしか装備できず特定の魔法やエッグに極振りするのが正解という形式なので、ぶっちゃけホーリーとカオスだけあれば事足りる感もある。

 「スキルブック」も入手や育成の概要は同様だが、こちらは内包するスキルを個別にキャラクターに装備させる形式となる。
 「冒険の書」であれば最大HPを増加させる「ライフアップ」や物理攻撃力を増加させる「ストレングス」といったスキルが並び、攻撃役にはストレングス、回復役にはライフアップ、といった形で柔軟に割り振ることができるのだ。
 スキルの傾向としては、基礎ステータスをアップさせるものと特定の属性魔法をブーストするもの、敵に狙われやすくなるなどの特殊効果を追加するものの三つほどに大別できるか。
 ・・・そして、序盤は基礎ステータスのアップスキルが異常に強力である。
 マナエッグの方と同じく極振りすれば各スキルを簡単に最大まで強化できるのだが、HP3ケタの段階で+800できるライフアップ(最大Lv)や物理攻撃力2ケタの段階で+50できるストレングス(最大Lv)など、ブーストできる量がとんでもないのだ。
 中盤以降はどうか、というと、同じスキルを持つ別のスキルブックが手に入ったり装備可能なスキルの枠が増えて行ったりしてやっぱり実用水準である

 とはいえ、属性魔法のブーストや特殊効果の方も全く見劣りしない
 属性魔法のブーストは一つダメージ+50%(最大Lv)、同じ本に重複して発揮できるスキルがあるなどしてトータル2倍は堅い
 さらに本作は魔法攻撃力に応じて詠唱速度が上がる仕様があるらしく、先述のような伸びしろのあるステータスアップスキルを付けると詠唱時間ほぼゼロ、倍々攻撃力のとんでもない範囲魔法で即殲滅と相成るわけである。
 しかも、ダンジョン内でスキルとマナエッグを付け替えれば各キャラクターでこの戦法を使いまわせるわけである
 中盤以降はやや伸びしろに劣り属性を意識しないと即殲滅とはいかなくなっていくが、とはいえ本作の戦闘の大半は範囲魔法一発で片付くと思って構わない
 逆に範囲魔法一発で片付かないボス戦では物理アタッカーや回復も駆使して敵の必殺技を防ぎながら粘る必要があるわけだ。

 補足として、本作は状態異常攻撃の成功率が全体的に高め、ステータスアップ・ダウン(バフ・デバフ)が確実に利いて戦闘中永続するという具合に搦め手の重要度も高い。
 特に全体防御力アップの魔法「ディガン」や全体防御力ダウンの魔法「デフロス」は早期から使え、長期戦のボス戦でぜひとも欲しいところだ。

 さて特殊効果の方は個別に効果が異なるので例を挙げづらいが、敵に狙われやすくなる「おとり」はほぼ確実にこのキャラクター以外狙われなくなる程の効果を発揮し、ステータスアップスキルで耐久を増やして防御だけさせていればたまに回復してやるだけで敵の単体攻撃をほぼシャットアウトできるという形になる。
 そして、範囲攻撃はえてして準備時間が長く「クリティカル」でキャンセルしてしまえるわけである。グランディアのバトルシステムとタンカーの概念は非常にマッチしたものであると言えるだろう。

 ・・・とまあ、本作のゲームバランスはなかなか極端だ。
 「段階に応じて必要なポイント量をインフレさせるわけには行かなかったのか?」と思わずにはいられないが、これには序盤でスキルの強力さを印象付け痛快なバランスに熱中させるといった狙いがあったのかもしれない。たぶん。
 なお、スキルの習得に消費するポイントはキャラクター固有の「必殺技」を強化するのにも使用する。
 ただしこちらはレベルに応じて相応に必要量がインフレするうえ、主人公の必殺技3つがいずれも単体攻撃で使い分けがないなどあまり使いでがない。
 一応、待機時間ほぼゼロまで短縮できキャンセル効果もある基本必殺技や、他キャラクターの範囲必殺技には魅力があるのだが・・・。


・ストーリー

 『神魔の戦い』の伝説
 遥かなる昔 グラナスは希望の光を人類に与えたもうた
 人は希望の光によって大いなる繁栄を手にした

 しかし 闇の悪魔ヴァルマーは人から光を奪おうとした
 グラナスは人を守ろうとして戦い 戦いは果てしなく続いた

 ついにグラナスの剣がヴァルマーを貫いた

 しかし グラナスの剣はヴァルマーを砕き貫いただけでなく
 この星の地表にもいく筋もの醜い傷痕まで穿ってしまった

 これが現代に残るグラナクリフ 大地の傷痕である
 我らがこの大地を[呪われた大地]と呼ぶ理由である

 (説明書より抜粋)

 ストーリー
 スカイとともにジオハウンドとして仕事をこなすリュード。
 無事に仕事を終え一息ついているところに、新たな依頼が舞い込んできた。
 今度の仕事はカーボの村にあるグラナス教会からのものだった。
 「今度は神様かよ……」と、ひとり愚痴るリュードをたしなめるスカイ。
 ふたりは依頼を受けるためにグラナス教会へと向かった。
 教会から聞こえてきたのは美しい歌声。
 リュードたちはその歌声に誘われるように教会の中へと入っていく。
 そこで歌っていたのはグラナスの歌姫エレナ。
 依頼の内容は、このエレナを護衛し特別な儀式が行われるというガルミアの塔に送り届け、
 さらに儀式が終わった後、村まで無事に連れて帰ってきてほしいというものだった。
 人付き合いの苦手なリュードは仕事と割り切って依頼を引き受けるが、
 これこそが長く険しい旅の始まりだった……。

 (説明書より抜粋)

 また、この世界は大地に残る「グラナクリフ」とともに空にも「ヴァルマーの月」と呼ばれる禍々しい衛星が残っている。
 ヴァルマーの死骸とも言われるこの月は物語開始の時点で昼夜を問わず天高くを陣取っており、遠くないうちにこの月からヴァルマーが復活し世界を滅ぼす「闇の日」が訪れると言われている。

 この終末思想に恐れおののく人々は光の神グラナスを崇める「グラナス教会」に救いを求め、今もこの世界のどこかに実在する神・グラナスに祈ることで奇跡は起こるという教義のもと日々の安寧を得ているという。
 しかし現実には世界の各地でヴァルマーの仕業として信じられる異変が人々を苦しめており、教会は総本山ですらパンク寸前の状態にある。
 こんな中にあって、教会が秘密裏にヴァルマーに対抗する切り札として求めているものが本作のパッケージにも描かれた神の剣「グラナサーベル」なのである。


・キャラクター

 ・リュード(CV:森久保 祥太郎)
 報酬さえあればどんな仕事もこなす「ジオハウンド」の青年。
 「剣士の島」の出身で物心ついたころから優れた剣技が正しい心と平和な世界を作ると信じてきたが、数年前に兄・メルフィスが起こした大虐殺により理想や希望を信じられない現実主義者になってしまった。
 剣の腕を見込まれてジオハウンドになって以降は相棒のスカイとも出会って数々の依頼をこなし、今ではすっかり旅や戦い、何より人々の嫌悪の目に慣れたベテランである。
 能力面では物理攻撃に長けた戦士タイプだが、しばらく必殺技が対単体の物しかなくザコ戦でやや立場がない。

 ・スカイ(CV:堀 之紀)
 リュードの相棒として年配目線でアドバイスするしゃべるワシ。
 影が薄い。

 ・エレナ(CV:小西 寛子、作中歌は川澄 歌織)
 田舎の村カーボにあるグラナス教会で育った少女。
 グラナス教をすべてとして育ったため極めて世間知らずだが、世のため人のためを思って行動する優しさに偽りはない。
 礼拝や儀式の際に奏でる宗教歌に秀でており、その歌声は神官見習いながら「グラナスの歌姫」として特別視されている。
 能力面では神官のイメージ通り魔法に長けているほか、円形範囲に睡眠攻撃を行う必殺技「ナイトメアボール」もザコ戦で重宝する。

 ・ミレーニア(CV:柳原 みわ)
 「ヴァルマーの翼」を自称する神出鬼没の少女。
 直情的で破壊衝動のままに行動することもあるが、決して不必要に他人を傷つけるような悪人では無く他人に好意をもって接することも多い。
 いくつか特殊な点のあるキャラクターで、本作唯一の遠隔攻撃キャラクターであることや戦闘中に制御を受け付けなくなる「怒り」システムを持つこと、なによりストーリー進行に応じて頻繁に加入と離脱を繰り返すことが挙げられる。
 マナエッグやスキルブックが使いまわしのきくシステムだとは言え、装備の付け替えが面倒くさく必殺技の育成もあまり報われない。

 ・ロアン(CV:鶴野 恭子)
 ヴァルマーとグラナスの関係に興味を抱き探索の旅を行っている少年。
 母の形見を大事に持ち歩くなど育ちが良く、人懐っこいところもあって誰とも打ち解けられる才能の持ち主。
 この形見をきっかけにリュードと知り合い、以降長い旅路を共にする仲間となる。
 能力面ではあまり得手不得手のないオールラウンダー。とはいえ他のパーティーメンバーとの兼ね合いでしばらくは魔法要員にするのが無難か。

 ・マレッグ (CV:郷里 大輔)
 故郷の村を滅ぼした魔人・メルフィスに復讐するため遥か遠くの地から旅してきた壮年の獣人。
 誤解からメルフィスと血縁関係にあるリュードを襲撃してしまうが、これがメルフィスにまみえる縁になると考え仲間として同行するようになる。
 実年齢以上に達観したものの考え方を持ち、また男女の仲を察して席を外すなど空気も読めるナイスガイ。(これがスカイの役回りを大幅に食っている感)
 能力面では物理攻撃に長けた戦士タイプで、防御力を補正する武器も手に入るあたりはタンカー向きである。

 ・ティオ (CV:岩男 潤子)
 「神魔の戦い」期に兵隊として使われていた自動人形(オートマタ)。
 命令によってリュードたちを襲撃し敗北したまま打ち捨てられるところであったが、人間と同じく行動できる「心」を感じたマレッグによって救助される。
 再起動後はマレッグをマスターとして認識するようになるが、マレッグはそれを良しとせず「人として心の思うままに生きよ」と諭すのに苦労している。
 能力面ではあまり得手不得手のないオールラウンダー。とはいえやはり魔法要員にするのが無難ではある。

 ・シレーネ (CV:渡辺 美佐)
 グラナス教の美しき祭司長にして、ヴァルマーの存在を決して許さない冷酷な異端審問官。
 ヴァルマーのものと思しき異変があれば駆けつけ、原因が特定できない場合は関係者を皆殺しにすることすら「浄化」の名のもとに正当化できる狂人である。
 作中での活躍はあまりないが、現存するヴァルマーの残滓はリュードたちが相対するものですべてだとされているのでその「浄化」は多くが冤罪だったのではないだろうか。

 ・ゼラ (CV:阪 脩)
 グラナス教の現法王。
 グラナスの教えを固く守り、信者に対しては堂々としていかなる困難にも祈りをもって立ち向かうべしと説いている。
 一方でヴァルマーに対する武器となる「グラナサーベル」の所在を探し求めてもおり、エレナに秘密の「使命」を託すなど、闇の日に対してはある計画図を描いているようだ。

 ・メルフィス (CV:千葉 一伸)
 リュードの実の兄にして「剣士の島」史上最強の剣士、そして行く先々に破壊と殺戮をもたらす破滅の魔人。
 破壊衝動に任せて暴れるのみならず権力者を篭絡するなどの暗躍も行い、「グラナサーベル」を入手するべく行動している。
 作中あまり名前が挙がらないが、それだけ目撃者も残らず徹底した破壊を行っていると思えばまあ・・・。


・ストーリーの展開

 といった世界背景があり、「過去の傷痕」との対決や「人の心の救済」をテーマにした物語が紡がれているわけだが、率直に言うと本作の物語はあまり出来が良くない。
 例として序盤の交易都市リリグでの導入部を見ると、前作でもおなじみの食事イベントなどを通して
 「工業技術や経済は豊かだが人々が次々に逃げ出している」、「絶望的にまずいコンニャイモ(コンニャクにあらず)しか食べられなくなった呪われた街」、「原因不明だが町の責任者の仕業」、といった情報から物語が始まる。

 食糧事情から来ると生活のリアリティもあって感情移入しやすく、工業汚染や悪徳権力者の弾圧など様々な原因に想像を働かせるところだが・・・
 実際は「なぜか町中の人の味覚が失われたが、元から不味いコンニャイモだけは違和感がないのでこれだけを食べるようになった」、「街の責任者はこの事態に一切心当たりがないが、たまたま健康で健啖家だったため猜疑心を向けられている」、という展開に続く。

 肩透かしもいいところだが、というべきか「どのようにして誰が食べてもまずいと言うようなイモを町中に供給する用意があったのか」、「交易都市と言いながら町の外から訪れる人間にもコンニャイモしか出さないのはいかがなものか」、「いいから栄養バランス考えてほかの物も食え」、などコンニャイモの存在に無理がありすぎるだろうと。

 この町は「食の幸福か金の充足か」というジレンマを題材としたストーリーだったようなのだが、コンニャイモの違和感が強すぎてアプローチの仕方は失敗だったと断じたい。
 本作はほかにもテーマや見せ場を先行させて必然性や段階に欠けた展開、簡単に言えば超展開やご都合主義がやたら目に付くように感じたのだ。
 そのうえで、前作とは正反対に誰も救われない陰鬱な結末ばかりが続くので「こうなるべきではなかった」という思いが湧くのもこの印象に拍車をかけているかもしれない。

 ある意味では、この陰鬱さがあってこそ終盤の大逆転に感動できるとフォローできる面もあるが・・・。

 なお、物語の展開として「次の目的地は誰々の故郷」という展開が非常に多い。
 リュード、エレナ、ロアン、マレッグ、が毎度毎度このパターンをやるので食傷感を感じるほか「未知の世界を冒険する」という感覚がほとんどない。
 ここも未知の土地を旅して異文化の仲間たちが団結する・・・という王道的なストーリーの真逆であるわけだ。
 とはいえそれで驚きや意外性を表現しているわけでもなくただ淡々と進んでゆくので、やはり本作の物語は魅力に欠け不出来なだけのものという印象になるところである。


・まとめ

 傑作の続編として、前作から引き継いだバトルシステムはより発展したもののストーリー面では正反対の方向性や水準の落差が目に付く一作。
 かつバトルシステムは続編「エクストリーム」においてより完成されることとなったので、後からプレイするには魅力に欠ける感があるのが辛いところだ。

 とはいえこうした内容でも「エクストリーム」や「III」よりは第一作に近く、どうしても「グランディア」の続編をプレイしたいとなれば消去法的に勧められるのは本作である。
 また粗くもあるが痛快なゲームバランスは楽しみとなりうるものであり、キャラクターがぐんぐん強くなるさまが好きだという人には本作も好みに合うことだろう。
 「本作こそは」と勧めることはできないが、「本作も」としてなら選べる内容なのでシリーズ経験者であれば一考してもいいかもしれない。





・関連作品

グランディア第一作。
冒険活劇アニメを題材としたような元気の出る物語やデザインの魅力もさることながら、「IPゲージ」による戦略性のあるバトルシステムも見逃せない傑作RPG。
・グランディア デジタルミュージアム第一作の外伝作品。
サウンドトラックや設定資料集、モンスター図鑑といったデータベース・・・を、集めることのできるダンジョンに挑むRPG作品。
制作に関してはプロデューサーの強い意向があったようだが・・・。
・グランディア パラレルトリッパーズ第一作の続編?のGBCソフト。
第一作の世界観を舞台にしつつ、本編では出番のなかったNPCたちをパーティーメンバーとして活躍させることができるとか。
グランディア エクストリーム続編。
「IPゲージ」を円盤状に表す、コンボヒット数に応じてダメージボーナスを適用する、などのさらなるバトルシステムの洗練に加え、「スキルブック」や「マナエッグ」にレアリティを取り入れたことでオンラインゲームのようなアイテム収集の面白みも実現した作品。
ストーリーは・・・まあ、うん。
・グランディアIII続編。
「空」を題材とした豊かな世界観や「空中コンボ」の爽快感をウリとしたが、あらゆる面で期待未満と揶揄された問題作。
・グランディア オンライン2009年08月26日〜2012年09月28日の間運営されていたPC向け基本無料MMORPG。
なんでも「光翼人」など第一作の世界観を一部引用しているがストーリーは新規の物で、システム面でも「マウスでマップ上のモブをターゲットして狩るMMORPG」にジャストコマンド・IPゲージの利点を落とし込めておらず、早期から音楽以外でのグランディアらしさの無さが指摘された、らしい。
その後は簡易的なブラウザゲーとのデータ連携構想や「ソロオンラインRPG化宣言」などをブチ上げて迷走したのち、コンテンツの追加・サービスの向上が困難であるとの見識を示してサービスを終了したようだ。


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