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ページ公開:2019/04/30


PHANTASYファンタシーSTARスター POTABLEポータブル2


プラットフォームプレイステーションポータブル
開発アルファシステム
発売セガ
発売年月日2009年 12月
ジャンルロールプレイングゲーム
プレイ人数1〜4人
セーブデータ1つ640KB、プラスDLC分
インストールデータ約166MB(高速化用、任意)


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
シリーズの最高到達点 お祭り的内容 種族差が大きく 雄大 粗削りで巨大 のちに拡張版あり





・ゲーム概要

 オンラインアクションRPG「ファンタシースターユニバース」を原型とし、プレイステーションポータブルのヒット作の一つに数えられた「ファンタシースターポータブル」の続編にあたるアクションRPG作品。
 とはいえ本作は「ファンタシースターZERO」にて登場したゲームシステムも取り入れたシリーズの集大成的な作品であり、特に任意のタイミングで行える防御動作を取り入れたなどしてアクション性が大幅に向上することとなったタイトルである。
 前作同様大ボリュームの体験版の配布などの広報活動にも注力し、結果として前作に迫る販売売り上げを記録するヒット作となった。

 なお、本作のゲーム内容は拡張版タイトル「ファンタシースターポータブル2 インフィニティ」にて丸々再収録されることとなったため今あえて無印の「2」を購入しては損をする
 ・・・ように思えるのだが、結論から言ってあちらは盛大な蛇足だったと思っているので本ページではあくまで無印の「2」に関してを扱っていきたいと思う。


・新システム

 本作をプレイして真っ先に目を引くのは「PPの仕様変更」、「防御アクションの導入」、「回避アクションの導入」、「チャージ攻撃の導入」、「チェインシステムの導入」、といったアクションまわりの新仕様だ。
 多くは「PSZ」にて登場したシステムを参考に取り入れたものであり、これらを取り入れたことによって「敵の攻撃に対処し、対処に成功することによって反撃の機会を得る」というリスクリターンの構図が、アクション性の基盤たるものが実現された形となった。

 早速詳細を見て行きたいが、念のため本シリーズの基本システムについてを前作のレビューからコピペして持って来よう。
 本作はリアルタイムで移動や攻撃、アイテムの使用といったアクションを行う「アクションRPG」である。
 キャラクターは所定のマップの中でボスキャラクターを撃破するなどの目標達成を目指す「ミッション」に参加し、奥地へ進む中で道を阻む敵がいたらこれを殲滅、エネミーの方を向いて「アタック」や「スキル」を実行したり状況に応じて魔法に当たる「テクニック」や「アイテム」を使ったりし、道が開けたらより奥に進んでゆく。
 本作の「ミッション」の内容は複雑な仕掛けよりも小さいエリア内で戦闘を繰り返すことを主としたごくシンプルな構成であり、戦闘の報酬に期待して同ミッションを繰り返しプレイする「周回」を念頭に置いた設計である。
 と、こういう感じだ。

 前作まではこの戦闘に関して防御アクションが無く、硬直の長いスキルが中心となるバランスだったので全力で殴り合ってどちらが先に倒れるか勝負という脳筋仕様が基本となっていた。
 しかし、そこに本作は「防御アクションの導入」、「回避アクションの導入」、を行って相手の攻撃に対処し有利な間を獲得するという概念を取り入れたわけである。
 防御アクションの「ガード」は両手武器か、片手武器の「シールド」を装備しているときに行える。
 基本としては武器を構えて攻撃を受け止め、いくらかのPP減少と引き換えにダメージを軽減することができる。
 そして、さらに相手の攻撃が命中する瞬間にガードを入力した場合はクァァーン!という小気味いい音と共に攻撃をはじいて完全に無効化、若干の無敵時間も獲得する「ジャストガード」が発動する。
 瞬間・・・といっても判定は結構甘く、格ゲーのブロッキングやジャストガードというよりマリオで飛んできたキラーを踏みつけるくらいのゆるい感覚で構わない。
 動作後はお互いの位置関係を保ったまま相手の硬直に反撃できるため、接近戦を主とする場合は特に扱えるようにしておきたいところだ。
 ただしガードが有効なのは正面からの攻撃に限られ、乱戦時などを乗り切るには少々苦しいだろう。

 「緊急回避」は正面に飛び込んで前転移動するという動作で、短い無敵時間を得つつ素早く移動も行うというもの。
 当然全方位からの攻撃に有効で、装備武器も選ばず、移動を伴うことから敵の包囲を脱したり敵の狙いから逃れたりする効果も期待できる。
 ただしアクションごとに「PP」を消費するというデメリットがあり、無敵時間が終わった後に攻撃判定が残っていることもしばしばで、連続して行いづらく反撃にも転じづらい。
 硬直も結構あるので、この回避を取ることが多い場合はそもそもの位置取りに気を付けるよう心掛けたいところだ。

 「PP(フォトンポイント)」については、前作までとは大きく仕様が異なっているので注意したい。
 前作までは武器ごとにPPを管理し、10〜20程度の消費PPに対して数百、それも複数を持ち替えて戦闘でき容量には結構な余裕があった。
 しかし、本作ではPPをキャラクターごとに管理するようになり160〜280まで容量が低下、また消費PPも射撃で10〜20、スキルやテクニックは30〜80程度と全般的に消費がかさむようになった。
 代わりに「PP回復速度」が大幅に向上し長期的には息切れしづらくなっているものの、瞬間的にスキルやテクニックを連発する戦い方は本作では通用しないと肝に銘じておくべきだろう。

 スキルやテクニックを連発する戦い方が有効でないのにはもう一つ理由がある。「チェイン」の概念だ。
 本作は同じ敵に対して通常攻撃(テクニックも含めボタンによる攻撃)を当てると「チェイン」数が蓄積されてゆき、この状態でスキルやチャージ攻撃などの決め技(テクニックも含めボタンによる攻撃)を当てることで「フィニッシュ」、チェイン数に応じたダメージボーナスを受けることができるというシステムがあるのである。
 ダメージボーナスはチェイン数に正比例するというわけではないが、2・3チェインでも決め技の威力が倍以上に引き上げられるためこれを狙わない手はない。
 本作の戦闘は敵の攻撃をしのぎながら細かなスキに通常攻撃を差し込んでチェイン数を稼ぎ、ここぞというスキに渾身の一撃を叩き込んで逆襲するという流れが主なものとなるわけだ。
 なおもちろん、「フィニッシュ」させた後はチェイン数がリセットされ、また一定時間チェイン数が増えていない(攻撃を当てていない)場合もリセットされるので、チェインを成立させるには敵の行動の先を読んだ動きや仲間との連携が重要になってくる。
 というべきか、一撃一撃の消費が重いテクニックや動作の長いソードは武器の持ち替えか仲間との連携が無いと扱いが難しいのでマルチプレイあってのシステムと言うべきだろうか。
 通常攻撃でPPを消費する射撃武器全般も、チェイン数を稼ぎやすい代わりにペースを意識しないと息切れしてしまうというなかなか痛し痒しの存在である。

 「チャージ攻撃」はそんな射撃武器に用意された決め技だ。
 操作としては一定時間ボタンを押し込んでチャージを完了させ、強力な弾丸を発射するというものである。
 一定時間の間が開いてしまうためチェインのリセットや仲間のフィニッシュに注意する必要があるが、チャージ開始時では無く発射するタイミングでPPを消費するため息切れには強いのがうれしいところ。
 ライフルでは爆発、ロングボウでは貫通、とそれぞれ普段とは違う特徴を発揮するので少し戸惑うが、弾の軌道が極端に変わると言うことは無いので通常攻撃でチェインを稼ぎながら狙いを定めればオーケーだ。
 武器にもよるが威力はライフルで通常攻撃の4〜6倍ほど、さらにこれが「チェイン」システムによってさらに倍以上に引き上げられ、ディ・ラガンの頭部など弱点部位を狙えばダメージはますます跳ね上がる。
 本作の射撃武器はこの「チャージ攻撃」によって一気に地位を向上させていると言っても過言ではないだろう。

 なお、「射撃武器」を一番うまく扱える種族はキャストである。
 というのは本作では射撃武器の威力に「命中率」によるボーナスがかかるようになり、攻撃力と命中率にともに優れるキャストが最もパラメータの適性が高いため・・・に加え、「PP回復速度」に優れているため射撃武器を使っても息切れしづらいという事情があるためだ。
 本作では種族ごとに「PP回復速度」と「最大PP」が定められており、これによってクラスの立ち回りへの適・不適がより限定されたと言ってしまってもいい。
 次は、これら種族の特徴と本作のタイプシステムについて見て見ることとしよう。


・キャラクタークリエイト

 本作の舞台となる「グラール太陽系」には4つの種族があり、プレイヤーはこのうちから1種と性別を選択してゲームを開始することとなる。
 なお外見の設定に関しては「PSU」からモデルを作り直しているらしく、特にフェイスパターンは種族ごとに別々の物が用意され、同じように項目を選択してもそれぞれの外見に特徴が出るという珍しい特徴がある。
 髪型やコスチュームにも新規項目が大量投入されており気合が入っていると言えるが、一方でヒューマン女性にたれ目のパターンがないなど不足を感じる部分もあるだろうか。
 ともあれ前の項から引き続いて戦闘関連の部分を見て行くと、前作から大きな変更も加わり

 ヒューマン:最も基本的な種族。HPや攻撃面は見劣りするが防御力と精神力が高く、アクションが苦手でも好きなクラスを選んで堅実な戦闘が行える。
 キャスト:機械で構成された種族。最大PPが最も低くテクニック関連のパラメータが壊滅的だが、攻撃力と命中率が高くPP回復速度も速いのでハンターやレンジャーに向く。
 ニューマン:長い耳など感覚系に優れた種族。最大PP・PP回復速度・テクニック関連のパラメータに特化したフォースの専門家。ただし壊滅的に打たれ弱いので回避・防御精度は必須。
 ビースト:獣の特徴を持つ種族。高い攻撃力を持つが命中率が低くPP回復速度も最低なのでハンター以外のクラスは厳しい。ハンターの場合も背後への回り込みを心がけたい。

 といった調子になっている。(「デューマン」はインフィニティでの追加種族。)
 数値以外にアクションの内容にも影響してくる以上、種族とタイプの紐づきは「PSU」よりもキツいと言えるかもしれない。

 「タイプ」システムは旧シリーズからがらりと変わり、「ハンター(近接)」、「レンジャー(射撃)」、「フォース(法撃)」、「ブレイバー(生存力)」の4タイプをベースに「装備可能武器」と「アビリティ」を自由にカスタマイズする形となった。
 任意のタイプで経験を積むと「タイプLv」が上昇してステータス補正が上昇する旧システムに加え、タイプLvに応じて様々な特殊技能をもたらす「アビリティ」を習得するようになり、またアビリティを装備できる容量の「総コスト」と装備可能武器を拡張するための「エクステンドポイント」が獲得できるようになったのだ。

 まずは「アビリティ」についてだが、これはステータスやダメージに補正を加えるものや、一部のアクションを拡張するものが揃えられている。
 例えばハンターの「攻撃力ブースト(攻撃力が上がる)」やレンジャーの「フルチャージショット(チャージ攻撃に2段階目のチャージが追加される)」、フォースの「アシストアドバンス(ステータス強化テクニックの効果時間が延びる)」にブレイバーの「PPリストレイト(PPの回復速度を強化)」、といった具合だ。
 アビリティには各々装備コストの概念があり、習得したうえで「総コスト」の範囲内で付けはずしを行う必要がある。
 また、一度習得したアビリティは他のタイプでも使いまわすことができるというシステムがあるため、複数のクラスを育成しておくことでカスタマイズの選択肢はぐんと増えることだろう。
 と言うべきか、ブレイバーの「PPリストレイト」や「プロフェッショナル(ヒットストップ軽減)」は他タイプでのどから手が出るほど欲しいので、理想を言えばブレイバーだけは経験しておくのが望ましいのだが。
 (タイプ自体削除で共通習得スキルにしようって?まあそう言うなよ

 また全タイプ共通で習得するスキルもあるのだが、このうち「経験値ブースト」や「レアアイテムブースト」の存在がどうしても目を引いてしまう。
 装備コストが重くこの2つを付けたら他には何も装備できないという形になってしまうのだが、目的に近道できるとしたら手が伸びるのが人のサガ。
 ソロで苦労する分には構わないが、マルチでこのアビリティを装備するのは・・・と考えると、やはりこの手の報酬アップスキルは存在自体が問題になると戒めるべきだろう。

 さてもう一方の装備可能武器の拡張、正式名称「タイプエクステンド」にも目を向けてみよう。
 PSUや前作ではタイプごとに装備できる武器の種類とグレードが固定されてしまったが、本作では「エクステンドポイント」を割り振ることで好きな武器の好きなグレードまでを装備可能武器として設定することができるのである。
 端的に言えばハンターでSグレードのウィップを装備して敵を蹴散らすことも、フォースでSグレードのスライサーを振り回してPP回収することも可能というわけだ。
 もちろん、各タイプには得意・不得意な武器が設定してあり、苦手な武器の高グレード品を装備できるようにするには相応の枠を食うこととなるのだが。

 ということはつまり、BグレードやCグレードの武器にも吟味や強化に精を出す必然性が出来ているということでもある。
 また上記通り複数タイプを育成する必要性に迫られた場合も、十分に強化した低グレード武器があればこれに頼って育成を進めることができるという形になる。
 こうした需要を見越して本作の「クバラ品(〜ックのほう)」は新たに装備グレードが低いという特徴を付けられており、長期にわたって活躍する頼れる武器として接することができるだろう。

 ところで、タイプシステムを優先して忘れるところだったが本作はヒューマン・ニューマンにもブラストゲージが存在している
 ヒューマンとニューマンは「ミラージュブラスト」という超必殺技を持っており、与・被ダメージによってブラストゲージが溜まっていれば6種の属性の力それぞれを模した精霊を召喚して攻撃させることができる。
 この際は大きな力を迎え入れるようにしてスタンスを広くとり、上半身を大きく後ろにそらしてから勢いよく標的を指さし精霊をけしかけるというポーズを取るのだ。
 「てめーは俺を怒らせた」
 ・・・なお闇属性のミラージュブラストはヒューマン限定、光属性のミラージュブラストはニューマン限定となっている。
 他4属性がそれぞれ範囲〜高威力攻撃で、光はPT全体の超必殺技ダメージアップバフ、闇は自身のモーション高速化という効果のようなのであまり限定性にこだわらず選択したいところだ。

 また、ビーストのナノブラストには新形態が追加。
 これまでは筋肉粒々で全裸の巨人といった姿だったが、新形態は狐のような面長でブレードの付いた腕を振るうスマートな姿へと変身する。
 この形態は素早く、広範囲を攻撃する技を持つほか、ブラスト終了時にまれに全身が黒く変色してより強力な攻撃を繰り出せる「暴走」という状態に突入することがある。
 その分効果時間も延長されるため、回復してくれる仲間がいればラッキーと言うところだが・・・。
 「暴走」の名の通り、この形態での攻撃はPTメンバーにもヒットする(何か当たれば即死級ダメージ)という非常にハタ迷惑な特徴がある
 かといってソロだと変身している間の回復手段がほぼ無いわけで、この「暴走」は痛しかゆしと言うところ。
 気心の知れた仲間ならいざ知らず、後述するマルチモードでこれを悪用する、もしくは無遠慮に使用するプレイヤーと当たった時の精神ダメージが懸念されるのでそれこそ開発の暴走だろうとツッコミを入れたいものである。

 なおキャストのSUVウェポンについてはあまり変化なし。
 PSUや前作と比べると威力が大幅に下がった感すらあり、新登場の「エアライドクラスター」系も全画面攻撃としてパラディとあまり使い心地が変わらない。
 やや不遇な感があるが、元が厚遇されすぎていたのでバランスを取ればまあこんなところだろう。


・武器

 さて、ここで本作に登場する武器について詳しく見てみたい。
 本作は「タイプエクステンド」の存在もあり好きな武器を絞って使い込んでいっても問題のないバランスに・・・
 なっているとは言い難いのが辛いところだ。

セイバー 片手剣。リーチや威力は平均的だが、片手近接武器の中ではやや通常攻撃の挙動が重くチェインを稼ぎづらいのがネック。
新スキル「インフィニットストーム」は出が早く攻撃範囲も広い、チェインフィニッシュにはもってこいの技だ。
ダガー 片手小剣。通常攻撃はリーチこそ短いが2ヒットする一段目でチェインを稼ぎやすく、対単体で強力な武器。
移動で攻撃をキャンセルしながら一段目を連発してゆくのがチェイン溜めのセオリーだ。
新スキル「シソクテンカイザン」はソニックのように回転突進して敵を撃ち上げる突進技。ハンドガンでチェインを溜めてから突進攻撃する使い方がないでもないが、実用性は微妙な部類か。
クロー 片手爪。片手武器としては攻撃力が高いが一段目のJAタイミングが遅いなど攻撃モーションにクセがある。一・二段目はJAせずに素早く繰り出すのがコツか。
新スキル「シュウソウレツザンガ」は相手に突進してから反転し、再度勢いをつけて突進するという技。反転の向きを調整すればクリーンヒットするが、そもそもの威力や範囲がそれほどでもない。
ウィップ 片手鞭。リーチや範囲のメリットはそのまま、本作では攻撃力に長けるハンターが扱えるため片手武器とは思えないような範囲殲滅武器、およびボスキラーとして運用できる。
新スキル「ヴィヴィ・デッザ」は小範囲高威力と単体向きの性能だが動作が遅すぎるため使い所は限定的か。
スライサー 片手ブーメラン。近くの敵を追尾するノーコストの遠距離攻撃で、安全にチェインを溜めたりPPを回収したりすることが可能。
ただし1体に1ヒットしかしない制約があり、ボス戦でのスキル威力はガタ落ちしてしまう。
新スキルは正面に強力な刃を連射する「レツザンソウヒジン」と周辺の敵めがけて乱射する「レックウチョウヒジン」の二本立て。レツザンソウヒジンはチッキと似ているが命中率補正が高いのでビーストはこちらを使おう。
シールド 片手盾。これを装備するとガードが使用可能になるほか、ジャストガード時には多少の威力がある衝撃波を放って反撃(チェイン維持)することもできる。
またこの武器種に限ったことではないが、装備中のパラメータ補正としていくらかの防御力が上昇する。
ソード 両手剣。動作が遅く自力でチェインを稼ぐのは不得手。他の武器と持ち替えながらか、連携を取れる仲間と協力して戦いたいところだ。
新スキル「グランドクラッシャー」は大きく振りかぶって遠距離まで届く衝撃波を放つ技。ソードの攻撃範囲やチェインシステムと噛み合っておらず使い勝手はイマイチ。
ナックル 両手ガントレット。通常一段目が2ヒットし動作も素早く、スキルの性能にも富むため近接武器の中でも対単体の強さが目立つ。
新スキル「ボッガ・ランバ」は高速のアッパーで打ち上げてから追撃を叩き込むという完成度の高い連続技である。
スピア 両手槍。横の攻撃範囲は狭いがリーチがあり、動作も素早いのでチェインやガードシステムと相性が良い。
新スキル「ドゥース・スカッド」も素早い連続突きを繰り出すコンパクトさが扱いやすい。
ダブルセイバー 両手ダース・モールのアレ。通常攻撃が広角度に複数ヒットするため敵集団をまとめてチェインで葬ることが可能。攻撃対象の多さからボス戦でも強力だ。
新スキル「サイクロンダンス」は素早く周囲の敵を打ち上げて追撃を行うという攻防一体の技だが、打ち上げが効かない相手には要注意。
アックス 両手斧。挙動こそ遅いが通常攻撃に中型までの相手を転倒させる効果が付き一部の相手を一方的にハメ可能。チェインさえ稼げればボス戦での性能も悪くない。
新スキル「アンガ・グルッダ」は素早く周囲を攻撃し威力もなかなかという優秀な技だ。
ツインセイバー 双手剣。通常攻撃の段数に応じてヒット数が増えるためそこそこチェインを稼ぎやすく、PAも強力なものが揃っている。
新スキル「ブレードデストラクション」は素早く相手に接近しながら連続攻撃を叩き込む強力な技。複数を巻き込む使い方もしやすいのでどんな場面でも重宝する万能性がある。
ツインダガー 双手小剣。リーチこそ壊滅的だが各段とも複数ヒットする通常攻撃によってチェインを稼ぎやすく、対単体でダメージを伸ばしやすい。
新スキル「ソウジンランブショウ」は武器を投げて広範囲を攻撃する技。とはいえ基本的にロック数(同時攻撃可能対象数)が2しかなく使い道はほぼ無い。
ツインクロー 双手爪。通常攻撃の段数に応じてヒット数が増えるがやや出が遅くリーチも短め、男性モーションでは通常攻撃二段目が1ヒットしかしないと扱いづらさだけが目立つ。
新スキル「ソウガチョウセッカ」は左右斜め前方へ交互に突進する技で、左右に動く分攻撃範囲が広いが大きく動きすぎて狙いをつけづらいというジャジャ馬だ。
ハンドガン 片手銃。シンプルな遠距離攻撃としてチェインを稼いだり維持したりしやすく、いざという時はチャージショットでフィニッシュしてもそれなりに威力が出る。
ただ、本作ではこうした左手武器と「ガード」が競合するのでどちらを使うかよく考えよう。
クロスボウ 片手弩弓。Vの字に攻撃を放つため接近して撃つと2〜3ヒットするが、残念ながらチェイン数の増加は1ずつ。
また主観視点射撃が出来ず高所の弱点を狙えないが、5方向に攻撃を放つフルチャージショットが強力なので道中の中型に対して有効となる武器だ。
カード 片手符。一度に2〜3発を発射し、それぞれがチェイン数に加算されるためチェイン稼ぎにはもってこいの性能がある。
Foではこれとウォンドの組み合わせが活躍することだろう。
マシンガン 片手機銃。前作のトリガーハッピー感はどこへやら、PP周りの仕様変更によってアッという間に息切れして右手武器のスキルまで使えなくなる困った武器に。
指切り撃ちでPPを節約でき、チャージショットでは相手を打ち上げる効果があるので、チェイン稼ぎと合わせてフォロー目的で使おう。
シャドゥーグ 片手ドローン。PPを消費せず自動的に攻撃しチェイン数を稼いだりチェインを維持してくれたりする優れもの
・・・だが、全体的に命中率が低いのでタイプや種族によっては使い物にならないと言うことも。射撃攻撃の内容も武器ごとに異なるので要注意だ。
ライフル 両手長銃。主観視点で弱点を狙撃しやすいのが最大の利点だが、さらに本作はこの状態での射撃に命中率と威力のボーナスがかかる嬉しい仕様がある。
チャージショットは着弾地点で爆発するというものでボスに対して複数ヒットし、主観視点を解除すれば「ガード」もできるなど、どこでも安定感のある強力な武器だ。
ショットガン 両手散弾銃。扇状に複数の弾を放つため接近して撃つと効果が高いが、硬直が長いうえチェイン数も1ずつしか増えないためどうしても使い勝手が悪い。
チャージショットは弾丸を集中させた巨大な弾を放つもので中距離まで最大効果の攻撃を行えるが、それってなんかコレジャナイ。
ロングボウ 両手弓。おおむねライフルに似るが、攻撃が遅く法撃力を参照した射撃攻撃を行うという特徴がある。
チャージショットでは敵を貫通するが、1ヒットずつしかしないのでフォースで遠距離を狙撃する必要がある時以外で出番はないだろう。
グレネード 両手榴弾砲。ゆっくりと直進する榴弾を放ち、爆発地点の周囲をまとめて攻撃する。本作では密着していても当たるようになったのがミソ。
チャージショットはシンプルな高威力攻撃・・・だがやっぱり弾速が遅いのでフィニッシュを決めづらく、威力倍率もそれほどではない。比較対象が近接武器となるとどうしても力不足だろう。
レーザーカノン 両手光線砲。敵を貫通しながら進む高威力のレーザーを発射する武器で、主観視点での射撃にも対応している。
チャージショットは砲口を固定して短時間レーザーを照射し続けるというもので、ボスには向かないものの総合威力は上々だ。
ツインハンドガン 双手銃。2ヒットするためダメージとチェインを稼ぎやすく、撃ちながら移動できるので回避しやすい。
チャージショットはバックジャンプしながらの4連射。ガードや主観視点射撃もできるので射撃武器では最も扱いやすく、ハンターなどのサブウェポンにもおすすめだ。
ロッド 両手杖。威力の高さが魅力だが本作は法撃武器にも固定の属性値が付くようになり、前作のような属性値の優位は無くなってしまった。
また補助テクニック類は「シフタ」・「デバンド」にほぼ統合され、光テクを除いて攻撃テクの追加が無かったためテクニックを4枠設定できる優位も物足りない。
加えて裏パレットのある両手武器と言うことでガードやチェイン稼ぎが行えなえず、使い勝手に劣る感が否めないだろう。
ウォンド 片手杖。威力にこそ劣るがテクニックの発動が早く片手武器であることにも利点がある。
射撃武器でチェインを稼いだりシールドでガードしたりと柔軟に運用でき、本作の法撃武器では最も扱いやすい。
マドゥーグ 片手ビット。右手武器でPPを回収しながらテクニックを使えるが、フォースの耐久力でガード不可の近接戦闘を行うことが半ば自殺行為。
旧作同様テクニック中心というより近接武器のサポートとして運用するのが吉だろう。
※トラップ 武器ではないが装備して使用するアイテム。設置後一定時間してから状態異常付きの爆発を行う「トラップ」類と、設置後任意のタイミングで起爆でき状態異常付きの爆発を複数回繰り出す「EXトラップ」類がある。
本作では特に「EXトラップ」類がブラスト技並みの威力でチェイン稼ぎにもなるという超強化を受けており、バーントラップEX1種を装備できるレンジャー、バーントラップEXとスタントラップEXの2種を装備できるブレイバー、の強力な攻撃手段となっている。

 ・・・というわけで、本作は「チェイン」システムやPP容量の仕様変更による影響が大きいため「通常攻撃が扱いやすいか否か?」、「通常攻撃から連携しやすいスキルはあるか否か?」が近接武器の使い勝手に大いに影響している感がある。
 また「PSU」や前作で主力だったダブセの「トルネードダンス」やツインクローの「チュウエイジトツシン」あたりは連発できずチェインも絡めづらいとあってシステムに取り残された感が否めない。
 ナックルの「イック・ヒック」やアックスの「アンガ・ジャブロッガ」あたりに至っては・・・ソロでは死に技、マルチでも良くてロマン技と言ってもらえるかどうかだろう。
 幸い、本作のPA(スキル・フォトンバレット・テクニックの総称)は使い込むことでLvが上がるのではなく高Lvディスクを掘るPSO形式となり「使い込まなければ真価が分からない」、「全部育成して必要に備えなければならない」ということは無くなったのだが・・・。
 そもそもの使いどころもないスキルが出来てしまってはいないか、システムの変更に対するスキル性能の調整は不十分だったのではないか、いぶかしむところではある。

 その他においても本作のゲームバランスは依然粗削りな点が多いのだが、どうしても不愉快な話になるので一旦清涼剤を挟もう。「エクステンドコード」だ。
 本作の強化では「グラインダー」が廃止され、必要なメセタだけ払えば一部を除いて確実に「成功」し10/10まで強化できる。(ただし強化時の伸びしろはランダム)
 除いた一部というのも生肉の「ビフテイバー」系武器で、これらはたまに「ドゴォォン」して「ミディア」まで焼けるか「ウェルダ」に焦げるかが決まるというもの。
 (それもまあ、そもそもゲーム機側にデータを保存する本作ではリセット&ロードでなんとでもなるのだが)
 上手く「ミディア」に焼けると愛着がわくが、実際のところ必要Lv30のBグレード武器(※本作での設定)がそんなに強いわけもなくネタ武器として倉庫に放り投げるのがオチだろう。
 そこで、「エクステンドコード」だ。
 もう予想がつくと思うが、これは10/10まで強化した武器に使用することで限界を突破し、必要Lv80〜のSグレード武器、かつ一定の特殊能力付きに作り替えるという強化システムである。
 強化後の水準は、元来のSグレード武器と同等以上までになる。
 もっとも元来のSグレード武器もエクステンド可能で、伸びしろはあまりないもののそちらの方がより強力という形にはなるのだが。

 気になる入手方法は、ステージの構造と共にキャラクターのパラメータや所持品が固定された「チャレンジミッション」を目標タイム以内に完全踏破した時の報酬というもの。
 つまり、「PSO」における「S武器」と似た扱いであるわけだ。
 愛着のある武器を長く使い込んでトレードマークにする、そんな「個性」の発揮を許容可能な範囲で叶えてくれるこのシステムは本作の嬉しい追加要素の一つである。

 ・・・ソロだとどうするかって?DLCのコラボミッション記念で3個×2回もらえるのでそれでなんとか・・・。


・ゲームバランス

 さて、そんなわけで不愉快な話を・・・本作のゲームバランスに関するいくつかの不満点を挙げてみよう。
 最も分かりやすいのは、「防御・回避アクションを取り入れた結果これ前提の攻撃力に設定された」という点だろう。
 グランツといいメギド花といい本作に限ったことじゃないとも思うがこれは本作のフォローにならないのでぐっと飲み込むとして、実際本作の高難易度はワンミスで致命傷を受けるという「アクションの高難易度」化となっているところが散見されるのだ。
 ゴ・ヴァーラが2体同時にとびかかってくれば瀕死、ナノノドラゴのなぎはらいブレスがかすれば瀕死、キャリガインの突進に巻き込まれれば瀕死、オンマゴウグの投げたオルアカが直撃したら瀕死、とまぁ具体例を挙げればキリがないのだがザコからボスまで総じて攻撃力が高い。
 あげく本作は回復アイテム全般のスタック数が減少しており、メイト系は10個ずつ、本来複数持ち込んで「残機」として機能してきたスケープドールに至っては「1個」のみしか持ち込めないと容赦がない。
 前作にあったダメージ無効化(軽減?)テクニックの「レンティス」や「ディーザス」も削除されてしまっているので、防御力・回避力アップの「デバンド」以外の事前対策が無いのも厳しい限りだ。
 ブレイバーのアビリティに「ハーフディフェンス(HPが50%以上残っている状態で致死ダメージを受けた時にHPを1残して耐える)」という発動条件の厳しい耐久スキルがあるのだが、ネット上ではこれが「ハフデ」・「ハフディ」の略称で重宝がられていたあたりからもその環境のすさまじさを察してほしい

 また、逆説的に言えば序盤のアクション的な難易度は低めと言える。
 受けるダメージは低く、敵は少ないダメージで倒せるようになっており、敵に攻撃した時には「ひるみ」が発生して一方的に攻め続けられることもある。
 さらに言えば、序盤はプレイヤーキャラクターのLvの上がり方や装備の更新ペースが速いので、攻略に苦戦した場合はRPG的な「育成」や「準備」を整えることで突破できるという余地もあるのだ。
 難易度が上がるとこうはいかない。
 先ずは敵のLvがプレイヤーキャラクターを大きく上回り、レベルアップに必要な時間が増え、強力な装備は強敵や希少性によって入手が難しくなってゆく。
 そしてようやくLvや装備が整ってきても、敵から受けるダメージや敵を倒すのに必要なダメージはそれを前提にして増加しているのだ。
 経験を積んだ分上達しているであろう、プレイヤーの腕前で攻略するしかなくなってゆくわけである。

 ダメージバランスはともあれ難易度ごとの目標Lvの上昇は「フリーミッション」がわかりやすいため具体的な数値を見てみよう。
 本作はLvキャップが「200」まで引き上げられた一方で難易度は「4つ」までしか用意されていないため・・・。

 ・「草原の支配者」Cランク・・・Lv1〜受注可能、敵Lv6以上
 ・「草原の支配者」Bランク・・・Lv20〜受注可能、敵Lv40以上
 ・「草原の支配者」Aランク・・・Lv60〜受注可能、敵Lv85以上
 ・「草原の支配者」Sランク・・・Lv100〜受注可能、敵Lv135以上

 ・「暗黒の衛星」Cランク・・・Lv1〜受注可能、敵Lv21以上
 ・「暗黒の衛星」Bランク・・・Lv20〜受注可能、敵Lv65以上
 ・「暗黒の衛星」Aランク・・・Lv60〜受注可能、敵Lv115以上
 ・「暗黒の衛星」Sランク・・・Lv100〜受注可能、敵Lv165以上

 ・・・とまぁ受注可能Lvから言えば本作のコンテンツはC〜Aランクの環境にSランクをブチ込んで2倍に引き伸ばしたもので、手順を踏まず急に強敵が解放されるためサイヤ人並みの死闘に挑んで強くなれるバランスとなっている。
 何しろ多少のLv差はアクションの腕前で埋められるとあれば、ハチャメチャが押し寄せてこようが泣いてる場合じゃなかろうが夢中になれるレアにワクワクが100倍になるというものである。
 まあそれで厳しいと叫ぶのは自己責任なので置いておいてもいいのだが、難易度ごとの受注可能Lvが一律なおかげでどこまでLvを上げるかの裁量が難しいのもまた事実。
 さらに言えば本作の装備は「必要Lv150」のものが最高ランクであり、その希少性もゲームの最終目標とされるような厳しい物。
 その手前についても事情はさほど変わらず、難易度SランクではキャラクターのLvが上がる以外の育成・準備要素に乏しくどうしてもアクションの腕前が求められると言えるだろう。

 もっとも、本当にアクションの腕前で何とかするしかないのかと言うとそういうわけでもない。「回避率至上主義」という言葉がある。
 本作は攻撃側の命中率と被弾側の回避率によってランダムにダメージが無効化されるシステムがあり、これを狙って回避率に特化したビルドを組めば半ば無敵と言えるほどに攻撃を回避することができるのである。
 (なお、前作は回避の際に強制的にガードポーズを取り攻撃が中断されたが本作はそういうこともない。)
 ただし、テクニックによる攻撃や背後からの攻撃は確率以前に回避不能なので注意がいる。
 ハンターで敵の群れに突っ込んでいくと背後への警戒にも限界があるので、レンジャーかフォース、より言えばそれらに寄せたブレイバーで行うべき小技と言うところだろう。
 ・・・回避率では無く防御力のビルドが生きていればこう極端になることもなかったと思うのだが、残念ながらそちらは本作では焼け石に水の一言だ。

 一方で、そんな高難易度こそ「マルチプレイ」を利用して協力して攻略する甲斐があるという見方もできる。
 が、マルチモードでは敵のHPと攻撃力が上昇し、2・3人を確保できないとかえって苦戦しかねない
 とくに攻撃力の上昇が痛く、ワンミスで致命傷どころかワンミス即死のオワタ式(死語?)展開が基本となるほど。
 蘇生アイテムの「ムーンアトマイザー」が一人5個ずつ使用できるのでソロと違って挽回の余地はあるのだが、こうなってくるとHPの意味があるのか、残機制にした方がいいのではないかなんて責めたくもなるところ。
 ちなみに本作にはまれにステータスが向上している代わりにドロップアイテムの内容が良くなる「ブーストモンスター」が登場するというシステムがある。
 敵のステータスとしてはHPが特に数倍に増加するので、マルチモードでは倍々ゲームで目も当てられないことになるのは言うまでもない

 また敵のHPが爆上がりしてくるとプレイヤー側の戦法にも変化が生まれ、マルチによっては戦闘不能効果付きのレア武器で即死を狙うという戦法が流行したらしい。
 真面目にチェインを積んで倒すよりも、その過程であっさり即死が発動することの方が早くなるという具合だろう。
 特に代表的なのはSグレードライフルの「スカルソーサラー」。称号報酬で一本確実に入手可能で、遠距離から即死効果付きの弾丸を浴びせる凶悪な武器である。
 他にも死神の鎌を思わせるデザインのSグレードアックス「イルギル・テスタメント」やラスボスの使っていた肉厚のSグレードダガー「サイカ・オモテ(エクステンド品)」およびツインダガー「サイカ・ヒョウリ(エクステンド品)」、CV若本の「マガナ・スレイヤー」、と魅力的な武器が揃っているのだが、まあそれはともかくとして。
 DLC「マキシマムアタック」や「マキシマムアタッククロス」でもSグレードスピア「レプ・ナスル」やSグレードダブセ「クロノスケィス」という即死効果付きの交換品が最終目標として提示され、こうした即死を狙うバランスは運営側としてもある程度奨励してしまっていたのかもしれない。
 一方テクニックではこうした即死戦法には参加不可能であり、かつ動作はまんべんなく硬直が長く何かカスれば即死上等、敵のHPが上がれば上がるほど息切れが厳しくなってゆく、と根本的なところでゲームバランスに取り残されてしまうと言える。

 ワンミス即死のダメージバランスに、敵HPの肥大化と即死武器の流行、防御力やLv上げによる恩恵の薄さに、本来解決手段となるはずの「マルチプレイ」でのゲームバランスの悪化、タイプ三本柱の一つフォースの冷遇・・・。
 RPGとしては難易度が破綻しているというほかないが、それでも「アクション性」によってやりようはあるのが本作の功罪である。
 緊張感がある方がアクションとして面白く、オワタ式(死語?)プレイ動画が一時期盛り上がったようにゲームバランスが悪い事でゲームとして面白くなってしまっているという皮肉な構図があるわけだ。
 ただ、それは「マルチプレイヤーアクションRPG」としては肯定しがたい難易度である。

 あえて声を大にして言うが、キャラクターの多様なビルドを提示しておきながらゲームを進めることでそのいくつかが実用足りえなくなってゆくのは単に調整が不十分なだけであり、マルチプレイヤーゲームにおいて多様性や自己表現をないがしろにするものであり、そのビルドの育成を続けてきたプレイヤーを切り捨てる闇討ちにも等しい行為である
 あげくキャラクターに多様性が無くアクションの腕前で攻略するしかなくなるとしたら、それはLvや装備がプレイヤーを分断しゲームへの参加を制限するだけの足切りとしてしか機能していないと言うことにもなるではないか。
 最適解を基準にして腕前の巧拙のみを問う専門的な「競技」ではなく、キャラクターというフィルターの存在によって参加者や条件設定の余地を幅広くとった「レクリエーション」であることが同ジャンルの意義ではないのか
 ある意味ではここに「育成」の解決策を提示したのが拡張版である「インフィニティ」での転生システムだったと言えるのだが・・・。
 これはこれでフリーミッションのLv設定にもうかがえる「コンテンツは増やさずにプレイ時間を引き延ばそう」という歪な魂胆が透けて見えるもので、この辺りのゲームバランスにはやはり不快感を隠せないところだ。


・マルチプレイ

 さて気を取り直して、本作のマルチプレイモードの特徴を見てみよう。
 真っ先に目を引くのは「インターネットマルチモード」、通称「インフラ(PSPの無線LAN接続形態より)」の存在。本作はPSスポットや無線LAN環境があればインターネットに接続して見知らぬ相手とプレイできるオンラインゲームとしても機能するのだ
 もとい、「した」のだ。2015年9月29日をもってサービス終了済みである。

 エネミーの動きや命中判定ををサーバー上で同期させていたらしく「ラグ」が操作精度に影響するアクションRPGらしからぬ設計だったようだが、PSPおよび携帯ゲーム機としては珍しい試みであり刮目に値する特徴である。
 当時まだ「基本無料」などの料金形態が普及しておらず最低限の経済力が必要だった「オンラインゲーム」を手軽(無線LANは必須だが)にプレイできたことで若年層には驚きを、社会人層にはリアルを問わないマルチプレイの相手を提供できたわけである。
 反面オンラインゲーム慣れしていない若年層を中心にネットマナーの悪さ(チートに抵抗が無く平然と利用、アイテムトレードでチートアイテムを拡散、暴言、切断、リアル情報の暴露etc)が問題ともなったが、まあ・・・。
 ・・・まあ「ブラックリスト機能」だけは用意されていたが、あとは外部のインターネット掲示板でメンバーを募集するなどして自衛が必要な環境であったと言うべきか。
 最近(2019年4月末)の「ニコニコ動画」を見ても思うがユーザーの質の低下は類友で負のスパイラルが止まらないものなのだろう。

 さておき、そんなマルチプレイを盛り上げるものとして「チャット」が復活、忙しい操作中にもキャラクターが自動で発言してくれる「オートワード」機能も登場して賑やかなプレイが可能となった。
 これは「被ダメージ時」や「スキル使用時」、「ガード成功時」といった条件に発言を設定しておくことで、条件を満たしたタイミングに一定確率で発言を行うというもの。
 ゲーム内のNPCたちと近しい発言システムであり、世界観に参加しているという没入感を高めマルチプレイを賑わせる魅力的な機能だろう。
 なにしろこの手のチャット機能の一切が無かった前作はゲーム内で美少女4人が集まってもリアルはむさい男4人、雰囲気を壊したくなくてゲーム内外共に無言で黙々と周回するという異様な光景もあり得たのだ。あり得たのである。
 こうしたチャットによってキャラクターが活きていなければ、攻略する意味はあっても遊ぶ意欲は湧きづらいというのが人情でもあるだろう。
 (ただ、一人用のストーリーモードではオートワードが発動しない。残念。)

 加えて、ごく限定的なサイズだが「クラッド6」というロビーが登場、「マイルーム」も改めて支給された。
 マクロな競売システム「マイショップ」はなく機能としては飾り付けて雰囲気を楽しむ程度の物ではあるが、マルチプレイ中は他人のルームにお邪魔することもできこれまたチャットを盛り上げる要素となる。
 本作のルームグッズは「クライアントオーダー」での入手が中心となり、いくつかは武器交換の素材に使用することともなるのでとりあえずは収集しデザインを確認してみるのがいいだろう。

 また、マイルームを管理する「パートナーマシナリー」は種類が大幅に増加し色と性格違いのバリエーションも登場した。
 それで何ができるかと言えば、まあルームグッズの設置モードとBGMの切り替えくらいしか管理しておらず、戦闘でもNPCに期待すること自体が間違いという程度ではあるのだが。

 それから、本作は「個別ドロップ制」を採用した。
 自分のプレイ画面に映っているアイテムは自分のものであり、取得しても他人のプレイには影響がないというシステムだ。
 アイテムの取得や分配に関して軋轢が生まれうるオンラインゲームにおいてこのシステムは快適であり、ドロップ率はともあれ「参加人数分ドロップ抽選がある」という形で分かりやすくゲームへの参加にメリットを感じさせてくれる。
 もちろん、他人に欲しいアイテムがドロップしたら「トレード」を交渉する面白みもあってのものだ。

 ゲームバランスが悪いのは先述の通りだが、それでもともにプレイする仲間がいて得られる面白みはほかに代えがたいものがあると言えるだろう。


 なお、マルチプレイでは協力プレイ以外に
 ・レベルや装備が固定された設定下で攻略に挑む「チャレンジモード」
 ・プレイヤー同士で対戦する「バトルモード」
 というモードも存在する。

 チャレンジモードは攻略タイムを突き詰める競技性がキモのようではあるが、ステージ中で「ブーストエネミー」が登場したりランダムなドロップアイテムが有ったりと運要素が強いのでイマイチ公平感に欠ける感がある。
 先述の「エクステンドコード」や、各ステージに踏破報酬が用意されているのでこれを目的に消化するくらいの遊び方になるだろう。

 バトルモードは息抜きのミニゲームといった内容で1ゲーム5分ちょっと、単純に武器で斬り合う以外に「拠点制圧」や「メセタ拾い」のルールがあるアミューズメント的な内容だ。
 参加費用や順位報酬があるわけではないので気楽にプレイできる・・・はずなのだが、勝利数などの称号と報酬が用意されているのがネック。
 ゲーム中の全称号を獲得することで達成できる称号とその報酬のレア武器があるのだが、この入手に必須となるわけだ。
 のちに救済措置が用意されることともなったが、あまり評判は良くなかったらしい。

 なお、この2つは「PSO Ver.2」で登場したモードを本作向けに取り入れたものである。
 この辺りも、本作がシリーズの集大成として開発されたと感じる点だ。


・ストーリー

 本作のストーリーは「PSU」の「EP.3」終了後、物語の舞台を「ガーディアンズ」から同様の民間警護会社「リトルウィング」に移して展開される。
 「レリクス」を作ったグラール太陽系の「旧文明人」の意思を宿す少女「エミリア」との出会いを基に、太陽系の資源枯渇に対策するべく開発された「亜空間研究」技術を知り、それを悪用せんとする「黒衣の少年」の思惑を打ち砕くというあらましだ。
 ストーリーの中では「英雄の妹」として凛々しく成長した「ルミア」や、傭兵夫婦として活動を新たにした「トニオ」と「リィナ」など旧作の面々の姿もあり、シリーズファンにとってはそれぞれとの「再会」に嬉しさがこみ上げる内容だろう。

 本作の多彩なキャラクターはまた「人間関係」に着目した描写が多く、親子、夫婦、姉弟、元恋人、同性の友人、といった接点を基に話題を広げ様々な形の衝突や和解を描いている。
 そして、少々ネタバレになるが最終的に打ち倒すべきラストボスが他人全てを利用する道具とみなし孤独に支配しようとする者であったことから本作は「愛の強さ」テーマにした物語であるとまとめられるだろうか。
 SFの世界観がある割には王道的過ぎるくらいのファンタジーだが、後読感は決して悪くないものだ。

 逆に、物語の舞台やメインキャラクターが一新されているにもかかわらず「PSU」や前作とのかかわりが強く、物語中の「常識」や旧作の人間関係に対する説明が乏しいため新規プレイヤーにはとっつきづらい内容だ。
 物語中の敵キャラクターも人々の記憶を具現化する「亜空間」や特定の環境を疑似的に再現した「VR(仮想現実空間)」を理由として前作のラスボスや「PSO」からのゲストエネミーをバンバン登場させるという調子で、よく言えば「ファンサービス中心」や「お祭りゲー」、悪く言えば「使いまわし」や「新規置いてけぼり」といった構成である。
 一方で、シリーズファンにとっては想像に任せ「暗黙のタブー」となっていた「種族の混血児」を登場させたことで少々物議をかもし、どの層にとっても不満を作る内容となっている。

 不満の最たるものとしては、物語がほぼ「若年のヒューマン男性目線」で進行するという点だ。
 先述した通り本作のテーマが「愛の強さ」にあるとしたらメインヒロインであるエミリアと主人公との間にある関係は「異性間の愛」に相当し、意地を張って衝突しあいながらも、最終決戦を前にしたときは抱擁を交わして決意を新たにする、物語の結末を迎えたのちは「パートナー」という信頼関係を新たにして二人で長い旅に出発する、といった描写が存在する。
 またエミリアの主人公に対する呼び名が「あんた」であり、これひとつとっても主人公が年齢的な目線の近い存在と限られる描写である。
 ニューマン男やビースト男あたりまでならまあ許容範囲だが、キャスト男となると少々違和感が出、女性キャラは「あんた」呼びなり抱擁シーンなりに抵抗感を覚えるほどだろう。
 また、おっさんやロリキャラといった人気のモチーフは総じて主人公像にはまらないだろう。
 「EP.2」のように主人公の存在感がほとんどないというのも問題だが、逆に主人公の存在感がありすぎて独り歩きしてしまっているというのも問題があるわけだ。

 総じて、本作のストーリーは読み手が物語の参加者になるということを意識せず狭い視野で書き上げてしまったものだと言える。
 物語自体はそう悪くないが、本作のストーリーとしては不適当、と言うところだ。


・まとめ

 携帯ゲーム機向けソフトながら、PC向けオンラインゲームである「PSU」に先んじた大ボリュームのコスチューム群や新規モデルの採用による魅力的なキャラクタークリエイトを持ち、能力面も「アビリティカスタマイズ」や「タイプエクステンド」によって柔軟に設定可能、これらを「ガード」や「緊急回避」によってぐっと増したアクション性のもと活き活きと動かすことができ、インターネットにも対応したマルチプレイで「チャット」や「オートワード」を交えながら賑やかにプレイ可能・・・。
 個人的には本作を「理想のキャラクターを形にして臨場感高い冒険を体験する」という「ロールプレイング」の魅力を、当時の最高峰として実現できていた作品だと思っている。

 反面ゲーム後半のバランス調整は失敗と見るほかなく、いくらかのプレイヤーが付いて行けず切り捨てられる構成になっていることや「200」というレベルキャップがゲーム内容の引き延ばしや足切りといった悪影響ばかりを実現していることに関して憤りすら覚えるところである。
 複数キャラクターを育成しようにもプレイ時間がかさみすぎ、この辺りは「JRPG」として不満点ばかりが感じられるところだ。
 このゲームバランスの悪さを「アクション」の難易度と転化してプレイできなくもないが・・・仮にこの難易度が意図的な物だったとしても、参加者を必要とする「マルチプレイヤー」ゲームとしてはそうした専門性の高い難易度はプレイヤー間の断絶とゲームの短命化を進めるのみだろう。

 本作の後半で望まれていたゲームバランスと言うのは、それまで育成したキャラクターをさらに強化しながらゲームを続ける目標の提示であり、退屈を感じさせない変化に富んだゲーム体験の提示であったように思う。

 例えばプレイヤーがマップやエネミーを調整できるミッションや、それにリスクリターンを付与するランダムオプションの存在、これらを他人と共有する手段というのは魅力的だ。
 ミッションの最中に普段登場しないエネミーが登場したり、NPCが登場して共闘するなんてイベントがあってもいい。
 またエネミーLvの変化はもう少し小刻みに段階を踏むべきだし、キャラクターのLvは単に上がりづらいよりも上がり切った後に獲得する経験値を何かに変換する方が建設的だろう。
 何を隠そう、シリーズの後継作である「インフィニティ」のインフィニティミッションや「PSO2」のエマージェンシートライアル、エクスキューブがこれらに相当するシステムである。
 シリーズとしてはこれらの問題の解決に取り組んでいたのだと言えるが、残念ながら本作ではまだそこまでの段階に至っていなかったと言うところだろう。
 ・・・まあ、インフィニティミッションやEトラ、キューブがきちんと機能していたかと言うとそれはそれで怪しいわけなのだが。

 脱線になるが、「マルチプレイヤー」ゲームは参加の難易度を抑えつつも、練度の高いプレイによって周回数や効率を高めることができるというバランス、いわば「成功以上の大成功」を狙うバランスが理想であると思う。
 ネタバレになるが本作のラスボスはそうしたバランスを体現したような趣である。
 攻撃が激しく、一見相手の攻撃中は防御に専念し行動の合間を縫って攻撃のターンを獲得してゆくという構成に思えるが、実は本体が棒立ちに近いため「シールド」の衝撃波でチェインを獲得するなど細かな反撃のチャンスが多く、プレイの精度が高まるほど強力な攻撃を叩き込め素早く撃破できるという設計なのだ。
 これはまた、課題に対してより適切な解決方法を探ってゆくという手順がゲームの面白さの肝であると再確認する点でもある。
 一方で効率性を突き詰めると最適以外を排他するプレイスタイルになるのが必然だが、ことMOとしては「レアが欲しい」と「好きなビルドで遊びたい」の住み分けは部屋建てで自然になされるだろう。

 さておきゲームバランスによって足を引っ張られてはいるが、自分だけのキャラクターを作りアクションRPGでの冒険を楽しみたい人、「ロールプレイング」を求めている人にとって本作はうってつけの一本と推したい。
 キャラクタービルドを魅力とするゲームが氾濫し多様な選択肢が生まれている現在ではあるが、それでもなお、日本人好みのアニメ調で本作ほどのコスチュームのボリュームを実現し、好みに応じてビルドを組んだキャラクターをリアルタイムに動かせ、仲間同士で協力して続ける目標が存在するゲームというのは・・・なかなか実現困難な水準であるのだから。





・関連作品

・「ファンタシースター」シリーズセガの看板RPG・オンラインRPGシリーズ。「極端に科学技術が発達したファンタジー世界」という独特の世界観を持ち、根強い固定ファン層を獲得していた。
・「ファンタシースター四部作」セガ・マークIII、メガドライブでリリースされていたRPG作品4つの総称。
世界観のほか、3Dダンジョンや女性主人公、どこでもセーブ可能など当時目新しい試みが多数取り入れられていた。
リメイク・移植においては「コレクション」という形でセットで移植されることが多い。
本作以降のオンライン作品との接点は、「ダークファルス」の存在やいくつかの単語の名称にとどまりプレイしていなくとも大きな問題はない。
・「PSO」シリーズオンラインRPGシリーズ第一作とそのボリュームアップ版、および続編にあたり「Episode」として追加されていったシリーズの総称。
国内外にサービスを展開し、昨今のハクスラMOアクションRPGの礎となった作品。
・「PSU」シリーズ「PSO」シリーズから世界観を一新し、WindowsとPS2向けにサービスを展開したシリーズ。
が、サービス開始から多数の問題を発生させ自虐ネタに事欠かないシリーズともなった。
・「PSPo」シリーズ「PSU」シリーズをPSP向けに調整したシリーズ。「1」・「2」の開発はアルファシステム。
当時大ブレイクしていた「モンハン」に続く形とはなったが、大きなヒットを記録しPSPの看板タイトルの一つに数えられるほどとなった。
個人的には「2」がシリーズの理想形に最も近い作品であった。
・「PSZ」「PSO」の世界観をベースにDS向け作品として作られたシリーズ。
とはいえ世界観は年少プレイヤーでも楽しめるライトでハートフルなデザインであり、システムも「フォトンアーツ」を導入したアクション色の強い物となっている。
現在(2019年3月末)のところ正式な続編はないが、これを最高傑作と推す声もある。
・「PSO2」当サイトでも大きく扱っていたタイトルなのでここでは割愛。どうしてこうなった。
・「PSO2es」「PSO2」のスピンオフタイトル。こちらも内容は割愛する。
・「PSNova」「PSO2」のスピンオフタイトル。開発はトライエース。
最初期はPSO2の要素を再構築したゲームバランス、「ギガンテス」という巨大エネミー、といったわかりやすい強みがあったのだが、そもそも料金面で基本無料のPSO2が同ハードで遊べたため話題は乏しかった。
ストーリー内容や、その後のアップデートによる改悪、DLCの料金体系が劣悪だとして評価は芳しくない。
・「PSイドラ」実質的な「PSO2」のスピンオフタイトル。
PSシリーズ30周年記念作品として制作されたソーシャルゲームだが、シリーズとの接点があまりに少ないほか「イドラ化」やガチャの内容などに批判意見が多く、やはり評価は芳しくない。
・「Borderlands」シリーズ2kゲームスのFPSアクションRPGシリーズ。
シリーズと直接的な接点はないが、個性豊富な武器メーカーや巨大モンスターの登場するSFといった世界観が本作と近く、レアを狙うハクスラMORPGとしてプレイスタイルも似る。


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