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ページ公開:2019/04/16


PHANTASYファンタシーSTARスター UNIVERSEユニバース

PHANTASYファンタシーSTARスター UNIVERSEユニバース イルミナスの野望やぼう


プラットフォームプレイステーション2
PC(Windows)
XBOX360
開発セガ、ソニックチーム
発売セガ
発売年月日2006年 8月(無印PS2、PC)
2006年 12月(無印XBOX360)
2007年 9月(イルミナスPS2、PC)
2007年 11月(イルミナスXBOX360)
ジャンルロールプレイングゲーム
プレイ人数1〜6人〜???
セーブデータ236KB〜 (PS2)


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
居住感あり アニメ風 表情豊か 雄大 非常に粗い メインプラットドームはPC





・ゲーム概要

 すべてのRPGを過去にする

 あまりにも強烈なキャッチコピーから入る本作、PSU。
 家庭用ゲーム機向けとして初めてヒットしたオンラインアクションRPG「PSO」シリーズの後継作として、PC・PS2・XBOX360向けにリリースされた新作オンラインアクションRPGである。

 その世界観においては「グラール太陽系」を舞台としたヒューマン、キャスト、ニューマン、ビースト、の4種族の協和と対立を題材とし、物語としては未来的なハイテクに囲まれながらもひどく人間的なドラマを展開する人々の姿を描いている。
 ゲーム内の舞台については既存のMMOに倣って各惑星の様々な街や、自分だけの居住地「マイルーム」、助手「パートナーマシナリー」といったものが用意され、この「世界観」に根付く居住感を演出している点が魅力だろうか。
 一方でゲームシステムはステージを選択・攻略して遊ぶ「MO」としてコンパクトに設計されており、リアルの生活様式によらず誰でも手軽にプレイし、協力することができるものとしている。
 多数の武器アイテム、中でも希少性の高い「レア」を求めて戦闘を繰り返す「ハクスラ」ものとして、先人たちが築き上げてきた様式を洗練した内容があると言えるだろう。

 ・・・いいところだけを見れば大体そんな感じだ
 その他にも小気味よさのある必殺技「フォトンアーツ」を放つアクション、PC・PS2が同じゲームサーバーでプレイ可能なマルチプラットフォーム、いちキャラクター「イーサン・ウェーバー」を主役としたドラマチックなストーリー、と新機軸の魅力を多数盛り込んでいたが全体的に「足りていなかった」、そんな作品である。

 PS2ソフトとしての本作はオフラインでプレイする「ストーリーモード」・「エクストラモード」とオンラインでプレイする「ネットワークモード」の3つのゲームモードを持つが、現在ではオンラインサービスを終了しているので本ページでは前者2つ、そして追加ディスク兼続編の「イルミナスの野望」での変更点について触れて見ることとしたい。
 数々の伝説を打ち立てたネットワークモードに関しては詳細を語るのにWikiひとつ作れるレベルなので割愛し、「ボルワイヤルポーカー」などスピンオフソーシャルゲームについても説明を見送ることとする。
 あくまでもワゴンゲーとして、本作を見てみることとしよう。


・世界観

 それは遥か遠いところのお話
 母なる太陽と3つの惑星を持つグラール太陽系――
 そこに住むヒューマンと彼らから生まれた キャスト ニューマン ビースト
 4つの種族は500年にもわたる戦争後互いに共存する道を選んだ

 平和が訪れて100年――
 誰も知らないところで滅びの足音は近づいていた

 (説明書より抜粋)


・用語
 ヒューマン:他の種族の原型となった種族。ガーディアンズコロニーや温暖な惑星パルムに多く入植しているが、他の惑星やコロニーでも活動しており太陽系内で最多の人口を持つ。
 キャスト:ヒューマンの労働力として、彼らに似せて作られた機械を基とする種族。500年にわたる戦争によって人権を獲得しており、現在は主戦場となった惑星パルムを再興して管理している。
 ニューマン:太陽系内で用いられる「フォトン」というエネルギーとの親和性を高めるよう、感覚系を主にヒューマンから人工的に進化させられた種族。水の豊かな惑星ニューデイズの中心を成している。
 ビースト:第三惑星モトゥブ開発のために獣に似た強靭な肉体を持つよう進化させられた種族。肉体の組成を変化させて巨大な獣の姿になる「ナノブラスト」という特殊能力を持つ。(無印ではシステム上未実装)

 ガーディアンズ:巨大な惑星間警護組織。プレイヤーもこの一員となり、拠点であるガーディアンズコロニーには種族を問わず100万の人々が生活している。
 同盟軍:各惑星政府の共同出資により設立された、独自の指揮系統を持つ平和維持軍。ただし人員はほぼキャストで構成され他の種族を排斥する「キャスト至上主義」も目立つ。
 グラール教:「フォトン」を意思のある「星霊」とみなして信奉する宗教、およびその組織。ニューマンを中心に定着しており惑星ニューデイズの意思決定も担っている。
 ローグス:無法者や犯罪組織の総称。ただし、政府の影響力が小さい惑星モトゥブにおいては主にビーストからなるローグスが実効支配している状態である。


 ・・・と、4つの種族と、それぞれに紐づいた事なる文化・組織の存在が本作の世界観における重要な要素となっているわけだ。
 これらの文化はまたゲームの準備を行う「」の設計や、「武器」をデザインする「メーカー」の存在、「マイルーム」に飾ることのできる様々な調度品「ルームグッズ」、とゲームの至る所に反映されており、根幹として本作を支えている。
 このしっかりした世界観を基にすることでプレイヤーも「ネットワークモード」において実体感のあるキャラクターを作り出すことができ、オンラインゲームとしての面白さのひとつたる「仮想世界での体験」を実現していたのだと言えるだろう。

 なおこの種族の差はキャラクターのステータスにも顕著に表れる。
 ニューマンはテクニック(魔法のようなもの)関連の能力が高いが非力で打たれ弱く、ビーストは最高の攻撃力を持つが命中率(当てた攻撃の効果が出るかどうかの判定)が低く、ヒューマンは比較的テクニックの適性があるが器用貧乏。
 そしてキャストはテクニック関連の能力が壊滅的な代わりそれ以外が高水準でまとまっている、という具合だ。
 これらの特徴はさらに戦闘スタイルを決定する「タイプ」に補正が上乗せされる形でも強調され、無視できない差とされてしまっている。
 加えて後のアップデート、および「イルミナスの野望」ではキャストに「SUVウェポン」、ビーストに「ナノブラスト」という超必殺技が追加され、この2つは強力で評価の高い種族となったわけである。

 ・・・あれ、ヒュマ・ニュマの居場所なくね?
 ゲーム内では実際に効率を重視するあまりキャストのみが厚遇されるような場面もあり、こうした事態はネタ交じりにストーリーモード内の用語「キャスト至上主義」として扱われた。
 一方でニューマン女性はその容姿のかわいらしさから圧倒的な支持者がおり、イマイチメリットがないヒューマンも人口比率上は他の種族に劣らない人気を守っていた。
 世界観がプレイヤーバランスにとてもよく反映されていたと言える。ほとんど皮肉だが。
 さておき、物語においては敵役となる

 SEED:詳細不明の浸食生命体。極めて攻撃的な性質を持ち個の生物として活動するほか、他の生物に寄生して形態や性質を変化させる能力を持ち、果ては機械的なAIさえ制御してしまう。人類の宿敵。
 レリクス:かつてグラール太陽系に繁栄していた先史種族の遺跡群。SEEDと接触・戦闘していた形跡があり、SEED対策として調査が行われている。
 イルミナス:「ヒューマン原理主義」を掲げているという実態不明の組織。数々のSEED事件を引き起こすテロ活動を行っていると言われている。

 も重要なキーワードとなるだろう。


・ストーリーモード

 ただし、オフラインゲームとして見た本作の「ストーリーモード」においては、プレイヤーは「イーサン・ウェーバー」というキャラクターを操作しその物語を追ってゆくこととなる。
 種族はヒューマン、ガーディアンズコロニーで生まれ育った元ガーディアンズ嫌いの17歳。
 コロニーでSEED襲撃事件に巻き込まれたところをベテランのガーディアンズに救われ、人を助けることの素晴らしさに触れて自身もガーディアンズの門を叩いた。
 やがて見習いガーディアンズとしてSEED事件に巻き込まれてゆくが、そこで初めてコロニーの外における種族関係やSEEDを利用しようとする組織の暗躍に触れ、やがて「英雄」と語られるように成長してゆく――と、いうところだ。

 前シリーズ「PSO」がプレイヤーキャラクター、そしてそのパーティを主役としてかつての「英雄」の足跡を追い解放する物語であったこと、「英雄は一人じゃない」というキャッチコピーを掲げていたこと、を考えるとなんとも対照的である。
 これは、このストーリーモードがオンラインモードを始める前に本作の世界観やシステムについて学習するチュートリアルとしての役割を持っていることが大きい。
 主人公であるイーサン・ウェーバーはガーディアンズコロニー育ちのために他の惑星の文化についてほとんど知識が無く、またガーディアンズ嫌いだったためガーディアンズやSEEDに対しての理解も乏しい。
 つまり、イーサン・ウェーバーは主人公であると同時に解説を促す狂言回しとしての役を担っており、また種族や年齢についても中心的なプレイヤー層にとって感情移入しやすいよう描かれている、というわけだ。
 難易度的にもあまりレアの収集やレベル上げを必要とせずサクサク進み、ゲーム中に登場する一通りのコンテンツを体験できるように作られているという易しい設計である。

 ただこのストーリーモードで得たデータはネットワークモードなどに反映できず、その点で言えばモチベを維持しづらい。
 そこで本作は物語を「章」仕立てのアニメとして演出しており、各章の前後にはイントロとオープニングムービー、エンディングと次回予告が挿入されるというユニークな構成としている。
 少年層になじみ深く続きが気になる娯楽と言えば、アニメは確かに適任だ。(「サクラ大戦」でのノウハウや開発者の趣味もあるのかもしれない)
 また章内では武器以外の道具を使用したり乗り物に乗って移動したりといったミニゲームも用意されており、世界観を描きつつ飽きを感じさせないよう工夫を凝らした様子がうかがえるだろう。

 一方で、「ネットワークモード」ではこのストーリーモードの続きを一人のガーディアンズとして、すなわちプレイヤーキャラクターとして追ってゆく「エピソード2」が配信された。
 言ってしまえばこちらからが本番で、PSOから続くプレイヤーの物語に当たると言えるだろう。
 こちらは「イルミナスの野望」にて音声付きの完全版が収録されているため、自分のキャラクターで冒険したいプレイヤーはこちらを探すと良いだろう。

 ・・・が。  こちらのストーリーはこちらのストーリーでガーディアンズ総裁の娘「ライア・マルチネス」というキャラクターと同行して展開するものであり、物語を主導する彼女に対して選択肢の類が存在しないためプレイヤーキャラクターはほぼ付いて行って戦闘をこなすだけの使用人といった扱いである。
 ドラマチックな展開もあるが案の定不評であり、この点はさらに続きの物語となる「エピソード3(現在プレイ方法無し)」や外伝「ファンタシースターポータブル」にて「プレイヤーが頼られる」、「選択肢は提示する」という具合に若干改善されてゆくこととなる。
 「おじぎオンライン」とか「安藤優」とかいう形で皮肉られた訳だが、まあ少々脱線が過ぎるとして次に戦闘システムについて見てみることとしたい。

 なお、忘れるところだったが無印の「エクストラモード」とはエディットしたキャラクターで「ストーリーモード」のフリーミッションのみを遊べるというおっそろしく内容の薄いモードなのであまり期待しないのが吉だと思われる。


・戦闘システム

 本作はリアルタイムで移動や攻撃、アイテムの使用といったアクションを行う「アクションRPG」である。
 キャラクターはダンジョンの奥地を目指して歩き回り、ロックされたゲートを発見したら付近のエネミーをせん滅、エネミーの方を向いて「アタック」を実行したり状況に応じて魔法に当たる「テクニック」や「アイテム」を使ったりし、道が開けたらより奥に進んでゆく。
 仕掛けと言えるものもたまにはあるが、基本は小さいエリア内で戦闘を繰り返すだけというごくシンプルな構成だ。

 とまぁ、戦闘システムの基礎に関しては前シリーズの「PSO」からあまり変わらない設計である。
 本作の特徴としては近接武器において3段の通常攻撃のほか、何種類かの「スキル」と呼ばれる必殺技を登録して使用できることが挙げられる。
 通常攻撃はおおむね目の前の敵に対して武器を振るのみだが、「スキル」は敵を打ち上げて追撃したり飛行しながら攻撃したりとキャラクターが大きく動きながら攻撃を繰り出すものが多く、演出に見劣りしない高い威力を期待することができる。
 これらの攻撃には武器ごとに管理された「PP(フォトンポイント)」を消費するので、必要なポイントを使い切った後は時間経過か回復アイテムの使用、回復ポイントの利用によって補給するか、あるいは武器を持ち替えて戦闘を継続するかするのが望ましい。
 本作では一度に6つまでの武器を登録し戦闘の状況に合わせて素早く持ち変えることができるシステムを「アクションパレット」として実装しており、これを活用すれば柔軟でアグレッシブな戦い方が可能となるはずだ。
 いや、はずであった

 ところが「無印」の段階ではスキルが強力すぎる反面通常攻撃にPP回復効果が無く、戦闘は敵の方を向いてスキル連打一辺倒という非常に大味なものとなりがちであった。
 武器ごとのPP容量も、その運用に見合う程度は確保されていたのである。
 一方で敵の攻撃から身を守る方法はあらかじめ移動して避けるか命中・回避率の都合で無効化できるかしかなく、だというのにスキルのモーションは出し切れば数秒という長い硬直を伴って身動きが困難になり、さらに本作の敵の攻撃はスキルの大きな動きを追いかけるようにして高速突進だったり広範囲攻撃だったりと回避させる気のないものばかりが揃えられた。
 あげく、危機感の演出なのか何なのかプレイヤーキャラクターを「転倒」させて操作不能にする攻撃もやたらと目立ち、近接戦でこれに有効な対策というのはスキル中の頑強(スーパーアーマー、ダメージポーズを取らずに攻撃を継続できる)で真っ向から耐えるぐらいしか無い始末。
 総括として本作の戦闘は全力で殴りながら殴られろという脳筋仕様が基本となったのである。

 アクションゲームは敵の攻撃を避けることで攻撃のチャンスを獲得し反撃に転ずる、というのが基本だと言えるが、とすれば本作のアクション要素はとても残念な仕上がりだろう。
 なお、ハンドガンなどの射撃武器は派手な必殺技が存在せず通常攻撃でPPを消費し、通常攻撃と同様のモーションで特殊効果を追加した「フォトンバレット」が使用可能。
 ロッドなどの法撃武器は通常攻撃が無く「テクニック」を登録することで様々なアクションが使用可能というものであった。
 これらは敵に攻撃されると返し手に乏しく脆かったが、反面遠距離を維持することができ位置取りによる回避に適していたと言える。

 さて、さすがに単純作業過ぎたこのシステム周りについて「イルミナスの野望」では「通常攻撃によるPP回復」と「ジャストアタック」という概念を取り入れて対策とした。
 ジャストアタックとは攻撃モーション中の特定のタイミングにおいて追加入力に成功するとダメージが向上するというもので、通常攻撃には攻撃をヒットさせた際にPPを回復できるというボーナスが設定された。
 これによって通常攻撃はPPを回復しつつ間合いとタイミングを取るジャブとしての役割が生まれ、スキルもタイミングを計って入力する必要が出来たなど、とても残念なアクションが残念なアクションくらいには改善することとなったと言える。


戦闘スタイル

 また、キャラクターの戦闘においては「武器」や「タイプ」の選択も重要だ。
 「タイプ」とはキャラクターの大まかな戦闘スタイルを表したもので、この選択によって装備可能な武器やパラメータの伸びの傾向、また一部の特殊能力が決定されることとなる。

 基本タイプとしては近接戦闘に長けた「ハンター」、射撃武器の扱いに長けた「レンジャー」、テクニックの扱いに長けた「フォース」、の3つが選択できる。
 が、これらのタイプは成長や装備可能武器の限界が早く、初期のアップデート及び「イルミナスの野望」では「上位タイプ」への転職が登場することとなる。
 「上位タイプ」はそれぞれを突き詰めた「フォルテファイター」、「フォルテガンナー」、「フォルテクター」の3種とそれぞれの特徴を複合した「ファイガンナー」、「ガンテクター」、「ウォーテクター」の3種、さらに罠の扱いを心得た「プロトランザー」、挙動の早い打撃タイプ「アクロファイター」、挙動の早い法撃タイプ「アクロテクター」、が存在する。
 また参考までに、ネットワークモードではのちにごく限定的な武器しか装備できない代わり特性に長けた「エキスパートタイプ」というものも登場した。

 かくして、プレイヤーはこれらタイプから自分の好みに沿ったタイプを戦闘しキャラクターを鍛えてゆくこととなるわけである。
 ・・・ただタイプによる性能の良し悪しのバランスは結構キツく、ネットワークモードにおいてこの数は選択の自由というより育成の手間として働いてしまった感があるが
 本作においては近接武器も射撃武器も同じ「攻撃力」を参照し、一方で法撃武器は「法撃力」というパラメータを参照したため、射・法混成のガンテクや打・法混成のウォーテクは端的に言ってどっちつかずにならざるを得なかったのである。
 また、繰り返しになるが本作においては種族ごとのパラメータにさらに「種族ボーナス」として補正をかけたため、有効な選択肢がいっそう限られる原因となってしまった。
 キャストのフォルテクター、ニューマンのフォルテファイターやフォルテガンナー、は素のステータスも補正も適性が低いネタ構成と言うところになるだろう。
 このタイプシステムは「PSPo2」や「PSO2」で改められているので、やはり受けが良くなかった部分だと言える。(PSO2は後にもっとすごい事をやらかしたが。)

 さておき、タイプを決定したら次は「武器」の話だ。
 本作に登場する武器種37通りを一挙に紹介すると

セイバー ほとんどのタイプで装備できる片手剣。タイプ専用の武器と比べると主にリーチや範囲で見劣りするが、コンパクトな浮かせPA「ライジングストライク」が扱いやすくハンドガンなどと同時に装備出来るメリットも強い。
ダガー ほとんどのタイプで装備できる片手小剣。逆手に持つため通常攻撃のリーチや範囲が壊滅的だが、移動しながら攻撃できる「ブテンシュンレンザン」では集団殲滅から単体集中まで柔軟にこなすことができる。
クロー 打撃系タイプが装備できる片手爪。状態異常効果の付いた武器が目立ち、ヒット数が多く浮かせ効果もある「ショウセントツザンガ」による無力化効果が高い。
ウィップ(※) 法撃系タイプが装備できる片手鞭。リーチや範囲に長け「ヴィッシ・グルッダ」による広範囲多段ヒット攻撃は強力無比。RP的な魅力もある武器だ。
スライサー(※) 打撃系タイプが装備できる片手・・・ブーメラン?PPによらず遠距離攻撃ができるほか、遠距離まで届く高威力広範囲攻撃「チッキキョレンジン」は壊れとして名高い。
ソード 打撃系タイプが装備できる両手剣。引きずるようにして扱う見た目通り挙動は遅いが、「トルネードブレイク」に代表されるように威力と攻撃範囲は高水準。
ナックル 打撃系タイプが装備できる両手ガントレット。リーチや範囲に乏しく単体戦向きだが、力を込めた一撃で敵の群れを殴りぬける「ボッガ・ズッバ」はロマン性も範囲攻撃力も良好だ。
スピア 打撃系タイプが装備できる両手槍。通常攻撃はリーチは長いが範囲は狭め。一方スキルでの攻撃範囲は広く、武器に乗って突進攻撃を行う「ドゥース・マジャーラ」は非常に使い勝手が良い。
ダブルセイバー 特殊なタイプが装備できる両手ダース・モールのアレ。攻撃ごとに2ヒットする通常攻撃が特徴的だが、主力は回転突進攻撃「トルネードダンス」、通称サイコクラッシャーにある。
アックス(※) 打撃系タイプが装備できる両手斧。全武器の中で最も動作が遅いが威力はある。ロマンを追求するならただただ力を溜めて振り下ろす「アンガ・ジャブロッガ」で。
ツインセイバー 打撃系タイプが装備できる双手剣。両手にセイバーを握る武器だがセイバーとは別に入手する必要あり。白眉は移動や範囲攻撃の特徴が詰まった「クロスハリケーン」か。
ツインダガー 打撃系タイプが装備できる双手小剣。通常攻撃のリーチが極端に短く接近が辛いが、シンプルな回転斬り「レンカイブヨウザン」は出の早さと速度から重宝された。
ツインクロー 打撃系タイプが装備できる双手爪。リーチや範囲に目立ったところはないが移動しながら攻撃するPAが多く、「チュウエイジトツシン」は見た目はともかく範囲殲滅力に優れる。
ハンドガン ほとんどのタイプが装備できる片手銃。ボタンを押し込むごとに弾丸を発射する扱いやすい遠距離武器で、無軌道に走り回るエネミーや一部の飛行エネミー対策に用意しておくと心強い。
クロスボウ 射撃系タイプが装備できる片手弩弓。バレットの性能が上がると扇状に複数の矢を放つようになるので接近して撃つほど威力に期待が持てる。
カード(※) 法撃系タイプが装備できる片手符。ロックした敵めがけてホーミングして命中するユニークな特徴があり、テクニックを当てづらい動き回る敵へのフォローに最適。
マシンガン 射撃系タイプが装備できる片手機銃。ボタンを押している間弾丸を放ち続ける小気味いい武器だがPPの消費が激しく使い所を選ぶ。
シャドゥーグ(※) 射撃系・法撃系タイプが装備できる片手ドローン。操作せずとも自動的に敵を攻撃するユニークな特徴があり、セイバーなどで攻撃しながら射撃支援によるダメージを稼ぐことができる。
ライフル 射撃系タイプが装備できる両手長銃。敵モデルの表示が消える長距離からでも攻撃をヒットさせることができる。FPS視点に切り替えれば地形をバリケードとして利用しつつ一方的な狙撃も可能だ。
ショットガン 射撃系タイプが装備できる両手散弾銃。扇状に複数の弾丸を発射するので接近して打つほど強力。相手や状況によってはライフルより使えるか。
ロングボウ 法撃系タイプが装備できる両手弓。使い勝手はほぼライフルと同様、本作では攻撃力を参照する武器なのであまり使い所はない。
グレネード(※) 射撃系タイプが装備できる両手榴弾砲。前方一定距離地点目掛け、放物線を描いて飛ぶ爆弾を発射する。タイムラグがあり適切な距離も選ぶが大型の敵や複数の敵には非常に強烈。
レーザーカノン 射撃系タイプが装備できる両手光線砲。弾速が遅く当てづらいが、敵を貫通しながら複数を攻撃可能。状況によってはまあまあ有効か。
ツインハンドガン 射撃系タイプが装備できる双手銃。両手銃系の武器と違って撃ちながら歩き回れる特徴があり、ボス戦など回避に気を払いたい状況で有効な武器。
ロッド 法撃系タイプが装備できる両手杖。テクニックを登録できる法撃武器では威力・PPともに最も優れる基本武器である。
ウォンド 法撃系タイプが装備できる片手杖。セイバーなどと同じ手に持つので同時にハンドガンやカードなどを装備できるメリットがある。
マドゥーグ(※) 法撃系タイプが装備できる片手ビット。こちらはハンドガンなどと同じ手に持つのでセイバーなどで切り込みつつ補助や回復テクニックを使う運用に向く。
※トラップ 武器ではないが装備して使用するアイテム。設置後一定時間してから状態異常付きの爆発を行う「トラップ」類と、設置後任意のタイミングで起爆できる「トラップG」類、加えて爆発を複数回繰り出す「EXトラップ」類がある。
クラスによって装備できる種類が異なるが、おおむねレンジャー系統の特権という形になっている。
 ※・・・「イルミナスの野望」にて追加

 と、言った感じだ。
 近接武器ではそれぞれ代表的なスキル一つとセットで紹介したが、そういうゲームバランスだと思ってほしい
 性能に偏りがあるのはもちろん、本作には「スキルを使い込むことで性能が向上する」というシステムがあるので一つを集中して使い込んで育成しなければならないのだ。
 タイプ選択もそうだが「育成」システムがどうにも足かせになっている状態である。

 なお、本作ではソードのような範囲攻撃には同時に攻撃できる敵の上限が「ロック数」として定められている。
 ただし、これはドラゴン系のように巨大で複数の当たり判定を持つ相手に対して複数部位に命中してダメージが数倍に跳ね上がるという形でも発揮され、動作の遅い重量武器に強力なメリットを与えている。
 「もっさり感」などと嫌う口もあるとは思うが、本作に関しては大型キラーとして活躍できる魅力が感じられることだろう。
 本作ではまたジャンプアクションが無く、高高度を飛行する一部の敵を除いて高さの概念に乏しい(浮かせても地上に食らい判定が残る)ので「近接攻撃が届かない」ということがないのもこうした武器に適した環境だったと言える。

 さておき、これら武器の中でも強力な物、レアリティの高い物を収集するのが本作の面白みであり目標だ。
 本作では武器の性能のブレ幅が「属性値」という形で現れる。
 炎←→氷、雷←→土、闇←→光、の6属性がそれぞれ1〜50%(0%は無属性という形になる)で付与され、相反する属性と同属性に対するダメージが増減するのだ。
 ・・・同属性には軽減されるのだ
 これら属性値は後からの変更が不可能であるため、可能な限り数値の高い物を各属性分揃えることが理想であると言える。

 ・・・当然同じ武器は同じ敵から入手するため、同じミッションを延々と繰り返すこと、通称「ハムる」ことを属性分続けるわけだ。
 改めて苦行だと思うが、逆に後から属性の変更や強化が可能となると一本ドロップさせるだけでも大変だったり属性強化しないと実戦投入がためらわれたりアッという間にコンテンツが過疎ったりという形になる(なった)のでこれはこれで正解だったのだろう、うん。

 それから、武器にはそれぞれ「メーカー」というものが設定されている。
 惑星パルムに本社を置く「GRM」社は全体のバランスが良く、
 惑星ニューデイズの「ヨウメイ」社はPP容量重視で長時間使え、
 惑星モトゥブの工房群「テノラ・ワークス」は攻撃力が突出している、
 という感じだ。

 また上記以外の制作者、例えばならず者のローグスによる模造品や古代遺跡レリクスの遺物は「クバラ」と総称され、いずれもクセの強い性能を誇る。
 並べて書けばクバラ製がすなわちレア、ということになりそうだし実際そんな感じだが、初めのうちはメーカーを意識して武器を選択するのがいいはずだ。
 一部に関しては防具の「シールドライン」と揃えることでさらに高い性能を発揮する「セット効果」があるので、合わせてそろえた装備や武器メーカーには愛着がわきやすい事だろう。

 またここで忘れてはならないのが各メーカーの名前付けだ。
 各メーカーは拠点を置く惑星ごとの言語文化によって名前を付けており、類似の武器でもここに文化の違いを見ることができるのだ。
 例えばGRM社の「ファルシオン」と同様の武器はヨウメイ社では「ハルシオラ」、テノラ社では「セバ・ファルサン」になる。
 もう一つ例を挙げればGRM社の「ハンドガン」と同様の武器はヨウメイ社では「ピスタトル」、テノラ社では「ブドゥキ・ハド」になる。
 これでハンバーガーショップのメニューをもじったコピペが傑作だったので興味が湧いたならば探してみてほしい。

 なお、スキルに触れたからにはもう一つ語らねばならないこととして「男女間のモーションの変化」がある。
 本作は男女間で近接武器の攻撃モーションに変化があり、特にスキルに関しては見た目がガラリと変わるものも存在するのだ。
 ナックルの「ボッガ・ダンガ」は男性ではナックルハンマーで締めだが、女性ではこれがヒップアタックになる。
 スピアの「ドゥース・マジャーラ」は女性ではホウキに乗る魔女のように武器に腰掛けるが、男性ではこれが腕組み仁王立ちになり桃白白を連想させる、といった具合だ。
 また、逆に見た目がほとんど変わらないためかえってシュールなものもある。
 ポーズを変えながら空中を泳ぎまくったのちに空中平泳ぎからガニ股のまま地面に突き刺さる、すなわちルパンダイブをするツインクローの「チュウエイジトツシン」はフレーバーテキストの「極めると何か大切な物を失うと言われている。」がなんとも女性キャラに堪えるのではなかろうか。


・ミッション

 さて、本作においてこれらの戦闘は「ミッション」の中で発生することとなる。
 「ミッション」とは前身となるPSOの「クエスト」にあたるシステムで、アクションゲームのステージのような形態を持つ物だ。
 様々な環境を題材とした「マップ」の中で、道を阻む敵を倒しながら奥へ奥へ進んでゆき、ボスキャラクターを撃破するなどの目標達成を目指すというものである。
 本作はこれをさらにシンプルに整えており、進行の手順はおおむね一本道に定められ、複雑な手順を必要とする隠し宝箱や途中で分岐する隠しルートといったものはめったにない。(全く無いわけではない)
 一般的なRPGの「ダンジョン」とは趣が異なるわけだ。

 これは本作が「レアアイテムを求めて戦闘を繰り返す」、いわゆるハクスラものとしてデザインされており、同じミッションを何度も繰り返す「周回」が念頭に置かれているためだと言える。
 時間や手間のかかる仕掛けや、戦闘以外での強力な武器の入手方法、一度見つければ順路化する隠しルートなどは不必要なわけだ。(結局目新しさ欲しさか後に全部やらかすこととなるが

 とはいえ、舞台となるマップが多種多様なため「冒険している」という感覚は決して見劣りしない。
 それぞれ気候の異なる3種の惑星や、各組織の建造物、物語の佳境で突入する異形の空間など、地形や視覚的なバリエーションにはなかなかのボリュームが感じられる。
 もちろん、登場するエネミーもそれぞれでガラリと変わることとなる。
 特にならず者集団の「ローグス」や暗躍する「同盟軍」に所属する人間との戦いは、本作のテーマが表れた特徴的なシチュエーションだと言えるだろう。

 なお、「ミッション」または「クエスト」が一般的なRPGと大きく異なる点としては「道中の移動」が必要なく、選択した時点でスパッと現地へと移動できる点も挙げられる。
 ないことに加点するのは難しいが、「クエスト」の仕様とは本来移動の手間を感じさることなく様々な世界観のハイライトを楽しめる設計であるというわけだ。
 オープンワールドばかりが注目される昨今(2019年4月)だが、それが最善ではないことを覚えておきたい。

 ・・・
 本作はこれらミッションを受注する場所、「ロビー」に関してとんでもない設計を導入したため「移動の手間」に関しては大きな減点を喰らう様相となってしまっている。
 この設計とはネットワークモード固有の問題であり今回の題材からは脱線する話となるのだが、次はその「ロビー」について詳しく見てみることとしよう。


・ロビー

 「ロビー」とは様々なミッション(クエスト)を開始する玄関口であり、またアイテムの売買や装備の強化などの準備を整える総合施設だ。
 端的に言えば、RPGの「町」である。
 本作では実際に物語中の「街」をキャラクターが歩き回ることのできるロビーとしてデザインしており、各種の機能を利用できることはもちろん、ゲームの世界観を自らの目と足で探る楽しみの場ともしている。

 ロビーの機能とは関係ないが、本作の街で驚くのは「モブ」の表現だ。
 オンラインゲームではロビーに多くの人が集まり自然と賑わいを演出するものだが、本作の「ストーリーモード」ではこれを模してロビーの中を行き交う無数の人物を描写し、しかしながら無関係の人物は近づくと消えるという形で「賑わいを感じさせるが混雑は感じさせない」という理想的な表現を行っているのである。
 一方で中には主人公イーサン・ウェーバーの知り合いとして近づいても消滅せず会話できるNPCもおり、彼らは都会の孤独感や寂しさを感じさせずイーサン・ウェーバーの人間関係も広げてゆく役割を担っている。
 RPGの街におけるモブの表現としては、傑作と評しても過言ではないものだろう。

 さておき、そんな「街」は惑星ごとに1つ用意されている。
 勘の良い方は分かるかもしれないが、それぞれの街によって受注できるミッションが限定されており、加えてショップを巡ったりミッションを受注出来る場所(複数に分かれている)を探したりするために街の中を歩き回る必要もある。
 このあたりは、世界観の補強のために利便性を犠牲にした采配と言えるだろうか。

 が、本作のネットワークモードにおいてはさらに「街」に加えてミッションの終了後に到達する「中継ロビー」というものが登場する。
 問題はなぜこんなものが存在しているかであり、この中継ロビーからしか受注できないミッションが多数あるということである。
 見方によっては一つの長いミッションの途中に休憩地点を置いて区切り、ここからミッションの内容を分岐させることができる設計に等しい・・・のだが・・・。
 周回を前提としたオンラインゲームとして実態を見れば、受注したいミッションによってロビーを移動しまくる必要はあるわロビーごとにプレイヤーが分散して閑散とするわと利便性を犠牲どころかそもそもの概念自体が欠落していたとしか思えない有様となった。
 後に街から中継ロビーへ移動出来る「ワープ」機能が用意され、さらに街から該当する惑星すべてのミッションへ出発できるようにも改善されたが、それでもミッション後に到達するのは依然中継ロビーとされたなど移動の手間が完全に解決することは無かったという。
 疑似的にMMOを再現しようというこだわりがあったとも取れるが、本来MOには不必要な手間ばかりが目に付いてしまう結果となったと言うところだろうか。

 また、これに関連して言えることだが本作の「ストーリーモード」・「エクストラモード」でプレイできるクエストと「ネットワークモード」でプレイできるクエストは異なるものである。
 現在「イルミナスの野望」でプレイできる内容にもネットワークモードの内容は含まれないため、オンラインゲームとしてプレイされた「PSU」の内容は現在では触れるべくの無い物と言えるだろうか。
 「中継ロビー」はただ不便なだけではなく、前線基地や温泉、雪山など特徴的な景色を持つミニサイズの拠点として見る物を楽しませたのでひとつ惜しいと感じる点ではある。


・ネットワークモード

 脱線ついでに、もう一つ現在プレイ方法のないシステムについて語ってみたい。「チャット」システムだ。
 現在プレイ可能な一人用モードではチャットする相手がいないのでチャット機能そのものがオミットされているのである。
 正論ではあるのだが、余計寂しいとゆーかなんとゆーか・・・。

 ドリームキャストやゲームキューブ専用規格のキーボードを要求したPSOと異なり、プレイステーション2やXBOX360はUSB規格の物を使いまわせた(PS2は対応を確認する必要あり?)ためスムーズなチャットについてはいくらかハードルが低かった。
 その点を考慮したのかは不明だがコントローラーでの入力では「ワードセレクト」機能がオミットされてソフトウェアキーボードでの入力が必須となり、素早い会話や外国語話者への対応は一気に難しくなったと言える。
 また、「シンボルチャット」機能もオミットされている。
 逆に本作で追加されたシステムは「吹き出しの変形」と「カットイン」であり、また「ロビーアクション」も拡充された。

 「カットイン」とはキャラクターの顔をアップで表示しながら発言できるシステムで、「吹き出しの変形」というのは通常の吹き出しに加えてマンガ的表現でよく使われるトゲ吹き出し(大声や急な発言を表現するもの)と雲形吹き出し(心の中の考えを表現するもの)の2つを使用できるというもの。
 この2つは同時に適用することもでき、感情豊かなコミュニケーションを推奨していたと言える。

 使用例はさておき、この「カットイン」はキャラクターの顔を強調するため細かな「キャラクタークリエイト」や「表情の変化」あってのものであることは間違いない。
 本作の「キャラクタークリエイト」はPSOからさらに進歩したもので、顔全体のバリエーションに加え目・まゆ・まつげ・耳のバリエーションを選択することができた
 また肌や身長、体系は引き続きスライダーで選択することができ、コスチュームに関してはアイテムとして自由に着替えることができるものとして設計された。
 そして、そうして整えたキャラクターが「カットイン」で表情豊かに叫び、吠え、絶句し、時には「ロビーアクション」で全身を使い感情を表現するのである。
 キャラクターの個性や存在感を意識する機会は格段に増え、感情表現の手段も豊富なことからチャットツールとしての魅力を確たるものにしていると評せるだろう。

 そして、チャットツールとしてみればチャットを行う場が豊富に用意されていることも歓迎すべき点だろう。
 まあ、本来そうなるべき中継ロビーがゲームシステムとしては足を引っ張ってしまったわけではあるが・・・。
 もう一つ、プレイヤー個人個人に用意され自由に飾り付けることが可能な区画、「マイルーム」についても見てみたいと思う。
 こちらは一人用モードにも用意されており、一応は現在でもプレイ可能だ。


・マイルーム

 本作のプレイヤーには1人1人に「マイルーム」という区画が用意された。
 これは設定上はガーディアンズの宿舎という形であり、「倉庫」や「ビジフォン(情報端末)」という個人のデータを管理する場となったほかに様々な家具を置いて自由にコーディネイトすることもできた。
 もちろんここに他人を招いてチャットを交わすこともでき、各人のセンスからコミュニケーションを展開する舞台となったと言える。
 そして、本作でそれらの機能を管理したのは「パートナーマシナリー」と呼ばれるお手伝いロボットである。
 ストーリーモードではイーサン・ウェーバーが「ピート」と名付ける相棒で、本作では彼らが倉庫や情報端末へのアクセス、またアイテムの「合成」を一手に担うのである。

 「合成」とは特定の「基盤」に複数の「素材」を加えたうえで一定の時間と確率によってアイテムを作成する機能で、本作では装備を現物で拾うほかにここでレア素材を集めて作成するという手段もあったのだ。
 この際好きな属性を選択して作成できる、材料の一部を代用して作成できる、というシステムが有りある程度アイテム収集の厳しさを緩和していたと言えるが・・・。
 一方で基盤ごとに完成品が固定されていたため不要なアイテムは競売システムの「マイショップ」にかけるなどして処分せねばならず、また時間や素材をかけた合成が「失敗」するリスクがあった点は酷な要素であったと言える。

 また、この合成に失敗して獲得できるアイテムの一つが有名な「オキク・ドール」である。
 これはマイルームに展示できるルームグッズの一つで、端的に言えば知らないうちに髪が伸びる日本人形というホラーの定番グッズを模した物
 その見た目のインパクトや入手手段から、これを家主のいないうちに配置して行く行為、通称「オキクテロ」が一定の人気を誇ったのだった。
 本気で嫌う人もいたのであまり良しとは言えないが、先のマイショップを含めアイテムのやり取りもコミュニケーションの一つを成していたと言えるだろうか。


・まとめ

 作品全体においてMMOの要素を取り入れ「世界観」を演出するというテーマがうかがえる本作、PSU。
 中継ロビーの仕様においてそれがマイナスに作用した側面があり、またアクションRPGとして見た場合あまりにゲームシステムが単純であるという難点があるものの、ゲーム世界に参加して役割を演じる「ロールプレイング」の楽しみは高い水準で実現されている。
 また、こうして作りこまれた世界観があってこそ「PSPo」シリーズやいくつかのソーシャルゲームという形で外伝作品を描くことが出来たと言える。

 しかし現在ソロでプレイ可能な無印の「ストーリーモード」や「エクストラモード」、イルミナスの野望の「ストーリーモード」はそうしたロールプレイングの楽しみがやや欠けており、ゲームシステムの単純なアクションRPGとしての本作しか知ることはできないだろう。
 アニメ風の演出や「カットイン」を可能とするような豊かな表情に期待するならば悪くはないが、内容はさほど濃くなく「PSU」の作品世界の一部に触れるのみとなることは念頭に置いておくべきである。
 同様のシステムの作品をプレイしたいというのであれば、もともと少人数でプレイするよう開発された「PSPo」・「PSPo2」にも興味を持たれたい。


 それにしても、今にしてみれば「イチローオンライン」や「お金をいただくことにある種の後ろめたさがあって」など語り継がれるレベルの珍事を連発した運営チームもある種本作の一大コンテンツであったと言えるだろうか。
 当事者になったとすればたまったものでは無いが、オンラインゲームは良い事も悪い事もひっくるめて一瞬の旬の時期においてのみ他人と体験を共有できる「なまもの」であり、時代を超えてその感動が保存されることは無い・・・と改めて思うところだ。





・関連作品

・「ファンタシースター」シリーズセガの看板RPG・オンラインRPGシリーズ。「極端に科学技術が発達したファンタジー世界」という独特の世界観を持ち、根強い固定ファン層を獲得していた。
・「ファンタシースター四部作」セガ・マークIII、メガドライブでリリースされていたRPG作品4つの総称。
世界観のほか、3Dダンジョンや女性主人公、どこでもセーブ可能など当時目新しい試みが多数取り入れられていた。
リメイク・移植においては「コレクション」という形でセットで移植されることが多い。
本作以降のオンライン作品との接点は、「ダークファルス」の存在やいくつかの単語の名称にとどまりプレイしていなくとも大きな問題はない。
・「PSO」シリーズオンラインRPGシリーズ第一作とそのボリュームアップ版、および続編にあたり「Episode」として追加されていったシリーズの総称。
国内外にサービスを展開し、昨今のハクスラMOアクションRPGの礎となった作品。
・「PSU」シリーズ「PSO」シリーズから世界観を一新し、WindowsとPS2向けにサービスを展開したシリーズ。
が、サービス開始から多数の問題を発生させ自虐ネタに事欠かないシリーズともなった。
・「PSPo」シリーズ「PSU」シリーズをPSP向けに調整したシリーズ。「1」・「2」の開発はアルファシステム。
当時大ブレイクしていた「モンハン」に続く形とはなったが、大きなヒットを記録しPSPの看板タイトルの一つに数えられるほどとなった。
個人的には「2」がシリーズの理想形に最も近い作品であった。
・「PSZ」「PSO」の世界観をベースにDS向け作品として作られたシリーズ。
とはいえ世界観は年少プレイヤーでも楽しめるライトでハートフルなデザインであり、システムも「フォトンアーツ」を導入したアクション色の強い物となっている。
現在(2019年3月末)のところ正式な続編はないが、これを最高傑作と推す声もある。
・「PSO2」当サイトでも大きく扱っていたタイトルなのでここでは割愛。どうしてこうなった。
・「PSO2es」「PSO2」のスピンオフタイトル。こちらも内容は割愛する。
・「PSNova」「PSO2」のスピンオフタイトル。開発はトライエース。
最初期はPSO2の要素を再構築したゲームバランス、「ギガンテス」という巨大エネミー、といったわかりやすい強みがあったのだが、そもそも料金面で基本無料のPSO2が同ハードで遊べたため話題は乏しかった。
ストーリー内容や、その後のアップデートによる改悪、DLCの料金体系が劣悪だとして評価は芳しくない。
・「PSイドラ」実質的な「PSO2」のスピンオフタイトル。
PSシリーズ30周年記念作品として制作されたソーシャルゲームだが、シリーズとの接点があまりに少ないほか「イドラ化」やガチャの内容などに批判意見が多く、やはり評価は芳しくない。
・「Borderlands」シリーズ2kゲームスのFPSアクションRPGシリーズ。
シリーズと直接的な接点はないが、個性豊富な武器メーカーや巨大モンスターの登場するSFといった世界観が本作と近く、レアを狙うハクスラMORPGとしてプレイスタイルも似る。


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