サイトトップ/ゲームレビュー/ドラゴンシーズ 〜最終進化形態〜
ページ公開:2012/01/01


DRAGON SEEDSドラゴンシーズ 〜最終進化形態さいしゅうしんかけいたい


プラットフォームプレイステーション
開発ジャレコ
発売ジャレコ
発売年月日1998年 8月
ジャンルRPG
プレイ人数1〜2人
セーブデータ1ブロック


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
不完全 (ほぼ)なし リアル気味 民族音楽風 イマイチ 「メモリーカードバトラー」あり





・ゲーム概要

 1998年にジャレコから発売された、対戦型育成RPG。
 「ドラゴン」と呼ばれる生物をトレーニングなどで育成し戦わせるという内容で、パッケージを見ると

 「最強のドラゴンバトラーとは・・・。
 「超進化!「メモリーカードバトラー」モード搭載!!
 「究極の「DRAGON最終進化形態」とは・・・。
 「バトル操作は「ツインコマンド」新システム!

 ・・・と、最強やら究極やらのバーゲンセールとなっており大変不安な気持ちになるのだが、果たして実際の内容は・・・?


・ゲーム内容

 本作の目的は、「太古の氷河に眠っていた超生物の細胞から自身のパートナーを再生させてバトルトーナメントを勝ち抜き、WDC(ワールドドラゴンチャンプ)を目指す」ことである。
 物語は幼いパートナーを連れた主人公が「WDC」への挑戦を夢見て「シティ」に訪れる・・・という流れで始まるのだが、このパートナーはゲーム開始早々チュートリアルの名目でチャンピオンに爆殺されるため、その敵討ちを含めた目標となっている。
 その上でゲーム本編の流れとしては、

 ・「言霊」を選んで新たな「ドラゴン」を再生する
 ↓
 ・「保育センター」で成長の基本方針を決定し、戦えるようになるまで(1日〜)育ててもらう
 ↓

 ・「トレーニングセンター」で能力を鍛える(有料)
 ・「公営ショップ」や「ジャンクショップ」で装備を整える(当然有料)
 ↓
 ・「バトルアリーナ」でトーナメントに参加し、勝ち抜く・ファイトマネーを得る
 ・「パブロの店」の賭け試合に参加してファイトマネーを得る
 ↓
 ・トレーニングセンターで能力を鍛える、公営ショップやジャンクショップで装備を整える
 ↓
 ・「バトルアリーナ」で上位のトーナメントに参加する
 ↓
 ・
 ・
 ・

 を繰り返し、「ベビー」、「ジュニア」、「ファイター」の3階級の後に待ち構える「WDC」を目指す・・・という流れになっている。
 何をするにもまずは新しい「ドラゴン」を入手しなければ始まらないので、先ずは気になる「ドラゴン」から詳しく見てゆくことにしよう。


・「ドラゴン」

 先ず、本作における「ドラゴン」とは「太古の氷河に眠っていた超生物とそのクローン」の総称であり、我々が一般的に想像する「竜」や「龍」とは別種のものを指している。
 そう認識しておけば、ドラゴンと言いつつ「カニ土偶」や「ハチカブトムシ」といった試合が繰り広げられても涼しい顔でスルーできるはずである。

 さてパートナーとなるドラゴンの「再生」であるが、これは6種類+2ある「種族」から一つを選び、「言霊」を組み合わせることによって行なわれる。
 言霊は「古」「で」「輝く」といった具合に「前半部」、「接続部」、「後半部」からなり、この組み合わせによって生まれてくるドラゴンのパラメータが決定されるのである。

 言霊には戦いをイメージさせるものや時間をイメージさせるものなどがさまざまに用意されているほか、中には「売り切れ」や「30分」、「ジャレコ」といった珍妙な物もあり、
 「今」「は」「30分」
 「ジャレコ」「が」「売り切れ」
 「ジャレコ」「は」「永遠」
 といった組み合わせが可能となっている。(本作の売り上げやジャレコの今を考えると自虐ギャグの一種である。

 また、これは「炎」「の」「凍る」といった文脈的におかしいものは却下されるなど妙に作りこんであるのだが、言霊による変化はパラメータの上下のみで、生まれてくるドラゴンの種類が変化するといったことはない。
 ドラゴンの「進化」に関してはむしろこの後幼年期(1日)を過ごす「保育センター」の方が重要であるなど、いまいちシステムとして活かされていないのが残念である。
 (なお、パッケージ裏の「メモリーカードバトラー」はドラゴンの再生とは無関係。詳しくは後述。)


 ともあれ、そうして再生したドラゴンは1日保育センターに預けられた後、先ずは「子竜」として戦いの場に出ることとなる。
 後は戦闘経験を積んだり「トレーニング」を行ったりなどして各種パラメータを伸ばしてゆくわけだが、ドラゴンはそれとは別に「年齢」という概念を持っている。
 ドラゴンは1日につき1才歳をとり、一定の年齢に達すると繭を経て「成竜」、そして「完竜」となる。
 その後はタイトルにもある「最終進化形態」、つまり「超竜」になって無限の寿命を得ることもあれば、年老いて「老竜」となり、いつしかその姿を消してしまうこともある。

 手塩にかけて育てたドラゴンとの別れはやはり辛い物であり、可能な限り「超竜」へと進化させてあげたいものだが、その条件となる「賢さ」は非常に上げづらく、また進化には確率の要素もからんでいるなど最終進化への道のりは非常に厳しい。
 だからこそ「超竜」を目指して育てることに意義があるのだろうが・・・セーブ&リセットである程度やり直せたり、条件次第ではポンポン野生でお目にかかれたり、あるいはある愛もへったくれもない方法で簡単に超竜を作ることが出来たりするあたり、やや納得のいかない部分も多いシステムである。
 ただ、超竜になれなくとも「バイオバンク」に仮死状態で預けておけば歳をとらずにすむので、対戦専用のドラゴンとしてはいつまでも現役でいさせることが出来る・・・という救いも一応は用意されている。


・バトル

 本作の戦闘システムは「ツインコマンド」なるシステムを採用している。
 戦闘はドラゴン対ドラゴンの1対1で、「武器攻撃」、「特殊攻撃」、「リフレクター」による攻撃と「前進」、「後退」、「挑発」による間合いの調整から2回分の行動を選択していくことで行なわれる。

 先ずは「武器攻撃」だが、これは「近」「中」「遠」という距離関係のうち「近」距離の時にのみヒットする攻撃で、「特殊攻撃」、「リフレクター」に勝ち、使用回数に制限がない基本的な攻撃となっている。
 しかし相手が「後退」した場合は当たらず、「特殊攻撃」の良い的となってしまう。
 「特殊攻撃」はエネルギー弾などを飛ばして攻撃する物で、回数に制限があり、近距離では「武器攻撃」に負けるものの「近」、「中」、「遠」のいずれでもヒットするという利点を持つ。
 しかし特殊攻撃へのカウンターである「リフレクター」中の相手にヒットさせると反射され、自身がダメージを受けてしまう。
 ただ「リフレクター」自体は盾を構えるだけで攻撃能力がないため、「武器攻撃」狙いで「前進」する相手には無力である。

 と、それぞれの行動はジャンケンの三つ巴に距離の概念を追加したような物となっており、「2回分の行動を選択する」という要素も相まって非常に読み合いの強い、熱い対戦が楽しめるシステムとなっている。
 具体例を見てみよう。対戦開始時の「中」の間合いである。
 ]□□[

 この状況から「武器攻撃」を行なう場合、先ずは「前進」して距離をつめる必要があるため「前進」→「武器攻撃」という手順で行動を選択する。
 ]□□[ →「前進」→ ]□□□[ →「武器攻撃」→ ]□□>敵□[

 しかし、これを読んで相手が「後退」→「特殊攻撃」と選択していた場合、こちらの攻撃は空振り相手の攻撃がヒットするうえ、間合いが変わっていないという困った状況に陥ってしまう。
 ]□□[ →「前進」「後退」→ ]□□[ →「武器」「特殊」→ ]□□自<<敵[

 そこで「2回前進する」や「特殊攻撃で応戦する」といった手が考えられるのだが、ここは「リフレクター」を2度使用したケースを見てみよう。
 ]□□[ →「リフレクター」「後退」→ ]□□□[ →「リフレクター」「特殊」→ ]□)<□□>敵[

 このように攻撃を反射しつつ間合いをあけられ、次のターンも「リフレクター」を連発すれば攻撃を受けることがない。しかし、この戦略に対し相手が「前進」→「武器攻撃」をしていた場合・・・。
 ・・・など、開幕の間合いだけでもこのように多彩な戦略が存在し、その後の「近」、「遠」距離にも相応の駆け引きがある、など、実に戦略性の高いシステムとなっているのである。

 が。
 「特殊攻撃」に回数の制限があるため、これを使い果たしたときに体力で負けていると「後退」→「後退」を繰り返されての判定負けを避けられない。
 また「回避」という概念もあり、一定の確率で攻撃を避けつつ反撃を行うことが出来てしまう。読み合いに勝ち、接近して武器攻撃に成功・・・と思ったら、相手に回避されたうえ特殊攻撃で反撃された、などとは目も当てられない。
 さらに武器攻撃にはクリティカルヒットの概念があるため、競り勝てると思っていたら負けていた、などとも。

 こういった制限やランダム性が良い方向に働くこともあるが、本編(一人用モード)の場合「敗北=死」という無慈悲なルールがあるため、余裕を持ってギブアップするか、全てを水の泡にするリスクを背負うか・・・という決断に悩まされる。
 そのくせ相手は絶対にギブアップしないなど、本編ではあまり良くない方向に働いてしまっているのがやや残念である。


・メモリーカードバトラー

 さて、そんな戦略性の高い戦闘は対人戦でこそ盛り上がると言うもの。しかし、ドラゴンの育成に手間のかかる本ゲームで同レベルのドラゴンをそろえて対戦するというのは現実的にはかなり難しいものである。
 そこで活躍するのが自称「超進化」の「メモリーカードバトラー」である。
 バーコードバトラーのメモリーカード版・・・。
 ええと、これは「メモリーカード内に存在するデータ」を元に3体のドラゴンを出現させ、そのドラゴンを用いて対戦を行う、というモードである。
 「メモリーカードバトラー」対「本編で育成したドラゴン」を直接対決させることは出来ないため、初心者用の対戦体験モード、といった内容なのだが・・・。

 出現するドラゴンがかなり強力で、このモードを遊んだ後に本編をやる気が起きない。
 「負けたら即死」というプレッシャーと闘いながら育て上げ、トーナメントでコツコツファイトマネーを貯めて買い揃えた、「完竜+上級装備一式」がメモリーカード1枚につき3体も出てくるのである。
 データによっては「最終進化形態」である「超竜」まであっさりと登場するためトコトンやるせない気持ちになる。

 さらには、この「メモリーカードバトラー」で出現するドラゴンは本編でも「記憶の森」を経由して使用できる(ただしトーナメント参加不可)ため、装備を交換するなり賭け試合で活躍させるなりとやりたい放題できてしまうのだ。
 トドメに、本編に移動させたドラゴンは対戦でも使用できる。一応本編のデータを間に挟めば「メモリーカードバトラー」対「本編で育成したドラゴン」も実現してしまうわけである。
 苦労して育てたドラゴンがあっさりと追いつかれてしまうあたり、だったら最初から対戦可能にしてくれと言わざるを得ない。

 一見某牧場を意識したかのような再生システムだが、あちらの再生が「出発点」であるのに対して、こちらはまるで「終着点」のような有様である。
 このシステムを知った後育成に精を出す気になるかどうか・・・。
 対戦専用のツールとして見ればそこそこ優秀なのだが、あらゆる点で本編の面白さをそいでいるあたり、もう少し出来る事があったのではないかと思えてならない。


・まとめ

 「ドラゴン」の再生、進化、戦闘システム、メモリーカードバトラー、などなどさまざまな点で「あと一歩」な感のある本作。
 もっとも、「トレーニングセンター」のお姉さんから「総合力」トレーニングの説明を聞くと「開発期間が足りなかった」という旨のグチを聞かされるあたり、これでも「がんばった」方なのかも知れない。

 「ドラゴン図鑑」といったコレクション要素もなく、RPGとしてのボリュームに期待すると残念なことになるので、「メモリーカードバトラー」を利用した対戦ゲームと割り切ってプレイするのが吉か。
 その対戦システム自体はなかなか白熱する物なので、初代プレイステーションのメモリーカードとデータをたっぷりと用意して楽しもう。


・ワンポイント攻略

 ・マップ画面でL2、R2を押すと自分のドラゴンを回転させて見ることができるぞ。
 ・近未来?トレーニングの「ロウソク斬り」は効果音のグォングォンでタイミングを測ることが出来る。が、時計やストップウォッチを使ったほうが楽だろう。

 ・「クラッシュバンディクー」や「パラサイト・イヴ」のデータがあるメモリーカードをスロット2に挿しておくと・・・?(ほんの一例)





・関連作品

・モンスターファーム1997年7月にPSで発売されたモンスター牧場経営シミュレーション。
プレステの周辺機器から再生したモンスターを育てて戦わせる・・・と言うと、普通はコレ。


サイトトップ/ゲームレビュー/ドラゴンシーズ 〜最終進化形態〜