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ページ公開:2011/11/22


SEVENTH CROSSセヴンスクロス


プラットフォームドリームキャスト
開発Atypical Alchemists Associate
発売NECホームエレクトロニクス
発売年月日1998年 12月
ジャンルシミュレーションRPG (※生存競争の仮想体験シミュレーション、という意味)
プレイ人数1人
セーブデータ172ブロック (※一般的なビジュアルメモリの容量は200ブロック。)


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
技術のムダ使い? 皆無・・・!? 主人公以外は本物志向 効果音がうるさい 強烈 カニが怖い





・ゲーム概要

 ドリームキャストとほぼ同時期に発売されたシミュレーション(?)RPG。
 生物の生存競争と進化をテーマにしており、ある惑星に生きる一つの生命が成長・進化ゆく様を描いた内容となっている。
 最大の特徴は当時の新技術である自己組織型ニューラルネットワーク「S.O.M.」を導入したことであり、生物の進化をシミュレートすると同時にドリームキャストの処理能力をアピールするなどした・・・が・・・。


・「T.Kohonen」氏が提唱した自己組織型ニューラルネットワーク「S.O.M.」(Self Organization Map)、あるいはコホネン・マップないしネットワーク


 さっぱりわからない。


 一応概要だけまとめてみると、 「人間の大脳をモデルに作られたネットワークモデルで、入力されたデータを学習してその傾向などを視覚化できる物」 らしい。たぶん。
 これがどう「生物の進化」とつながるのかだが、入力された情報(=環境)に合わせて学習結果(=遺伝子)を変化させるところが進化に対するイメージとかぶったのではないか・・・と思われる。きっと。

 で、これがゲームのどの部分で活躍しているのかというと。
 本ゲームは主人公を強化するために「DNAシート」と呼ばれる物にデータを書き込む必要があるのだが、その書き込み内容と「S.O.M.」の学習結果が近ければ近いほど強化の幅が大きく、強力なパーツが手に入るようになっているのだ。

 出番は以上である。

 そんなシステムをパッケージの裏では「プレイヤーごとに全く異なる法則で、810,000通りにも及ぶ生物に進化可能!」などとのたまっているわけなのだが、これは「S.O.M.の学習が」プレイヤーごとであり、「810,000通り」はメダロット形式での数である。
 「頭」、「腕」、「体」、「脚」、のパーツを組み合わせると最大で810,000通りの組み合わせが考えられる・・・というもので、ちょっと逆算してみると各部で30通りのパーツしかないことがお分かりいただけると思う。

 技術のムダ使いな気がしなくもない
 一応、入力データ総数が大きくなり学習結果のまとまる後半ほどマップが適合しやすい、というゲームバランスの取れた面はあるのだが、内容を見てみるとそれがどうしたと言わざるを得ないだろう。


・ゲームの流れ、ゲームバランス

 ゲームの流れとしては、

 他の生物を攻撃・捕食して「EVP(エヴォリューション・ポイント)」と各種栄養素を入手。
 「EVP」を消費してパラメータを底上げしつつ新たなパーツを手に入れ、栄養素の許す範囲でパーツを換装。
 十分な力を得たらボスを撃破し、新たなエリアへ移動・・・。

 を、「無脊椎エリア(仮)」、「魚類エリア」、「両生類エリア」、「爬虫類エリア」、「鳥類エリア」、「哺乳類エリア」、とシナリオやイベントもなくただひたすら繰り返すレベル上げゲーとなっている。
 (当時の)新世代機とは到底思えないような原始的な内容である
 ・・・一見は。

 さてそんな苦行のゲームバランスであるが、これがかなり悪い。
 先ずは主人公よりも弱い「被捕食者」についてだが、彼らはどんなに勝ち目がなかろうと主人公に果敢に向かってくる。
 敵キャラクターの行動パターンはかなり限られており、基本的にどの敵も「主人公に接近→攻撃」以外のことをしてこないのだ。
 とは言え、その原因の多くは本作の基本システムにある。

 主人公の操作はキーの左右が旋回、上下が移動のラジコン操作で、視点はキャラクターの背後から、というリアルタイムな物なのだが、戦闘はその上でターン制なのである。お互いが交替交替に行動し、相手の攻撃中は一切の行動が不可。回避される心配もないので、ただ単に近づいて攻撃・・・以外のことをする必要がないのである。
 そのためプレイヤーも「敵に接近→攻撃」か、あとは特殊能力で回復するかぐらいで、することがほとんどない。
 本作には「ゲームオーバー」が無く、防御力が上がれば一切のダメージを受けないし、多少のダメージは自然回復可能。成長して遠距離攻撃を覚えたら遠距離から狙撃してノーダメージで撃破することも出来るという、実に退屈な内容となっている。

 が、食われる者がいれば食う者もいるわけで。主人公よりも強い「捕食者」について見てみると状況は一変する。
 こちらも行動は変わらず、「主人公に接近→攻撃」以外のことをしてこないわけだが、その無駄のなさがかえって恐ろしい
 先の「することがほとんどない」は「できることがほとんどない」に変わり、回避は不可、反撃は無意味。一度でも接近を許せばそのまま昇天必至である。

 特にゲーム開始後最初に訪れるエリア「無脊椎エリア」に存在する最強の生物「カニ」の恐ろしさは尋常ではない。
 序盤ということもあって主人公のパラメータは低く、接近されると即死という状況がしばらく続き、
 死角から接近してくるため操作に不慣れなうちは逃げることはおろか発見することさえままならず
 よしんば逃げられたとしても最短距離でどこまでもしつこく追い続け
 カニが登場したときの「ザッザッザッ」という足音は処刑人の行軍の如く響き渡る。
 赤い死神、カニ。

 だがこのエリアのボスキャラクターはさらに凶悪な相手である。

 苦労してカニから逃げ回りつつ獲物を捕らえ、S.O.M.の学習結果を予測して強化を繰り返し、どうにかカニさえも倒せる強さになると、大きな達成感が味わえるだろう。
 そのうちそのカニからたいしたダメージを受けない程の強さになれば、もうボス戦を行なっても平気だ、と思うはずだ。

 それ、死亡フラグ

 ボスキャラクターは遠距離攻撃が可能なうえカニの数倍の近接攻撃力を持っているため、カニからダメージを受ける程度の防御力では瞬殺されると思っていい。
 そしてそんな凶悪なボスを倒して次のエリアに行くと、ザコの中にさらに強い「捕食者」が待ったいたりして・・・。
 ・・・という、びっくりするほど厳しい食物連鎖ピラミッドバランスとなっているのだ。

 S.O.M.のおかげで後半ほど強化しやすいという救いもあるが、こんなのがゲーム最終盤まで続くため、人によっては強い苦痛を感じる内容だと言えるだろう。


・主人公の進化

 そんな本作の面白さを支えているのは主人公の成長と「進化」に尽きる。
 「DNAシート」に入力した内容によって各部30通り手に入るパーツだが、これが数が少ない分どれもユニークなものとなっているのだ。

 例えば基本形態「ORIGIN」は直立するスッポンのような情けない姿をしており、浅瀬以外を移動することが出来ない。
 そこで新たなパーツとして「LOW FISH」や「BRADE CRAB」の脚部を入手すると海中や陸地へと行動範囲を広げることが出来る。
 また「SEA WORM」の腕部を入手すると電撃で遠距離攻撃が可能になり、戦闘がグッと楽になる。
 そんな生物っぽいパーツが揃っているのかと思うと、説明書にはごっついメタルヒーローが載っていたり、パッケージ裏には半透明の女性像が載っていたり、と、見ていても面白い。
 「進化」はこのように、能力、外見両面で未知の可能性を持つ魅力的なシステムとして本ゲームを支えているのである。

 また、この「進化」こそが本ゲームの最終目標であったりする。
 というのは、ゲームバランス的な意味でも、コレクション的な意味でもない。シナリオ的な意味で、だ。
 一見物語など何も無く、ただひたすらに生存競争を続ける本作には「ある物語」が隠されているのである。
 「無脊椎」、「魚類」、「両生類」、「爬虫類」、「鳥類」、「哺乳類」、に続く7番目のエリア。
 そこで明らかになる意外な真実、タイトル「セブンスクロス」の意味は、今まで無心ににペチペチやってきた道中があるからこその、大きな衝撃と感動を味あわせてくれるだろう。


・まとめ

 本ゲームのほとんどは、劣悪なシステム、バランスでただひたすら生存競争という名のレベル上げを繰り返すだけの苦行ゲーだ。
 グラフィックは現代では見劣りするものだし、「S.O.M.」は何がしたかったのかわからない状態、音楽も微妙、と、魅力となる部分はほとんどない。
 が、だからこそ最後の「秘密」が持つ衝撃が際立っており、「進化」や「生存競争」というテーマに関心がある人にはオススメしたい一品。
 実際にゲームをプレイするとカニが怖いなどひたすら苦行なのは確実なので、その点も合わせて楽しんで欲しい。


・ワンポイント攻略

 ・本ゲームは何気にマルチエンディング制。選択肢で2つ、進化形態で別の1つにたどり着ける。分岐点はエンディングのちょっと手前であるため、その気になれば1つのセーブデータで全てのエンディングを見ることが出来るぞ。





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