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KILEAK,The Bloodキリーク ザ ブラッド


プラットフォームプレイステーション
開発元気
発売ソニーミュージックエンターテイメント
発売年月日1995年 1月
ジャンルリアルタイム・シューティング・アドベンチャー
プレイ人数1人
セーブデータ1ブロック、オートセーブ


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
卑怯上等 謎が謎を呼びっぱなし シンプル 緊張感あり、
1ステージ毎に用意
無理ゲーor作業ゲー 攻略メモ必須





・ゲーム概要

 プレイステーション黎明期、設立後間もない「元気」が開発したロボットFPSゲーム。
 近未来ハードSFをテーマに、謎の存在「キリーク」の秘密を追って無人となった研究基地を探索してゆく・・・という内容。
 パッケージ裏によると、

 クリーチャー&メカデザイン:横山宏 (SFメカ・ピクトリアルデザイナー) (※「カルネージハート」のメカデザイン)
 サウンドデザイン&エフェクト:松前公高 (コズミックテクノ・コンポーザー) (※後の「おしりかじり虫」の作曲家)

 とのこと。クリエイション&ブレーンのコピーとともに主要スタッフの写真も掲載されている。
 ・・・なんというか、まぁ、おなじみのパターンである。


・説明書

 また、やっぱりというかなんというか、この手のゲームは説明書から格が違う
 全52ページの説明書は25ページが設定の解説、5ページが開発者の写真つきコメントに費やされ、その他目次やイメージショットを除くとゲーム本体についての説明は13ページほどとなっている。

 せっかくだから開発者のコメントを要約して紹介してみると、

 「SFファンが泣いて喜ぶ部分とか、シューティング野郎が狂喜する部分とか、それらが全体としてKILEAKの手触り感を作っている」
 (――ドットで曼荼羅を描いたりする、シリコングラフィックスによる解脱への道を説こうとしている人

 「物質そのものを突き詰めると理論の先に神が見え、神が生み出した生命を突き詰めると塩基を組み合わせた物質に落ちてくる。
 そのへんのことを考えているときに「KILEAK」のアイディアがひらめいた
 (――シナリオ担当。元製薬会社の研究員で「仮面ライダー改造白書」などの著者)

 「3Dダンジョンというゲームに味付けするテーマとして、生物学的な要素と生命を超越する存在みたいなものがうまくはまったかんじ。」
 (――通算1000タイトル以上のゲームをプレイしたことがある自他共に認めるゲームキッズ。そのうえ事情通)

 「ポリゴンのギリギリで勝負しているプレッシャーがあったけど、そんな中でも操作や動きにストレスを感じないよう心がけたつもり。」
 (――女性の胸を見て何ポリゴンで描けるかをいいあてる超能力の持ち主

 と、だいたいこういう内容。
 ・・・正直、説明書を読んでいるだけで逃げ出したくなるレベルだ。
 (これらの面々が後に「玉繭物語」を生み出したかと思うといろいろ複雑である)

 さて、ではそろそろ逃げ出してしまう前に肝心の「KILEAK」の内容をシステムから見ていこう。


・システム

 FPS(ファーストパーソンシューティング)である本作は、主人公機である「プロテクトアーマー」に乗り込み、敵と戦闘しながら研究所の最深部を目指してゆくという内容。
 研究所はいくつかのフロアに分かれており、各フロアが独立した構造のステージとして扱われている。
 フロア内には「キーカード」と「エレベーター」が用意されており、キーカードを入手してエレベーターにたどり着けばクリア。
 オートセーブされると同時に次のフロアへ移動し、再度キーカードとエレベーターを捜してゆく・・・という手順だ。

 さて「プロテクトアーマー」には「シールド」と「エネルギー」の概念があり、どちらかが0になるとゲームオーバーとなる。
 シールドは敵の攻撃を受けることで減少し、回復アイテムを取得することで回復する。
 エネルギーは移動や攻撃によって減少し、回復アイテムで補給できるほか、各フロアに一箇所用意された「エネルギーユニット」で無限に補給することも出来る。
 ただし一定量を下回ると移動速度低下などのペナルティが発生するので、フロア内は計画的に探索する必要がある。

 そして作中の攻撃手段については、専用の弾薬を必要とする武器とエネルギーを消費する武器との2タイプが用意されている。
 弾薬を必要とする武器は5種類。
 残弾数に気をつける必要があるものの、主力武器は弾薬が豊富に存在し、切り札的武器はとてつもない威力を誇る。
 エネルギーを必要とする武器は3種類。
 エネルギー切れ(=ゲームオーバー)のリスクがあるものの、「エネルギーユニット」付近で無限に補給しつつ使用することが出来る。
 武器は全て何かしらを消費する射撃武器となっているので、弾切れを起こさないよう計画的に戦って行きたい。

 操作性に関しては、十字キーが前後+回転、LRが平行移動+視点調整、○で攻撃の△で調査・・・となっている。
 ロックオンなどは無いが、攻撃は画面中央を基準にある程度自動照準されるため本体と照準両方を操作する煩わしさも存在しない。


・ゲームバランス

 ・・・と、基本システムに関しては特に問題なく遊べそうなのだ 

 例えば。
 本作には以下のような特徴がある。

 ・移動で消費するエネルギーが切れたらゲームオーバー
 ・シールドやエネルギーの残量は次のフロアに持ち越される
 ・フロアクリアと同時にオートセーブされる
 ・前のフロアには戻れない

 つまり、フロア開始時のエネルギー残量が次の「エネルギーユニット」まで持たなければ、エネルギー切れ確実で詰みである。
 マップの構造や敵キャラクターの配置、ドロップアイテムが固定である本作においては運任せの攻略も通用せず、何度やっても待っているのは絶望だけだ。


 そして、同様に持ち越されるシールドについてはアイテムでしか回復できないわけだが・・・。
 先ず、本作の舞台である研究施設は長い通路の端や脇に小部屋が点在する、といった設計となっている。
 「不思議なダンジョン」系を3D主観視点でやっているようなもので、部屋の広さが3x4キャラ分くらい、部屋間の通路が20キャラ分くらい、と思えばだいたい正解だ。
 通路の幅は主人公1.2キャラ分くらいと非常に狭く、こんなところで撃ち合いになったらまず被弾は避けられない。
 被弾は避けられないというのに、本作の敵キャラクターはそのほとんどが通路に配置されている
 繰り返すが、本作のステージはランダム生成ではない。ゲームバランスを調整しつつきちんと設計されたステージで、これである。
 その上で本作の敵キャラクターはプレイヤーより目視可能距離が長いらしく、ゲーム中では敵の姿が見えるより先に弾が飛んでくる始末
 当然、まともにやってたらアイテムでの回復なんておっつくはずがない

 ではこれをどうやってやり過ごすか、というと、
 「常に通路の端ギリギリを歩いて敵の射撃に可能な限りの角度を付け、弾が飛んできたら超人的反応速度で後退・回避しつつ見えない敵に狙いを合わせて撃破に十分な数の弾丸を撃ち返し速やかに撃破する」か、
 「敵がいると思う位置に無駄弾を撃ち込んで殺られる前に殺る」か、の2択となる。

 どちらが現実的かは言わずもがな。

 それでも弾薬なりシールドなりが底を突きかねないので、最終的に本作の攻略方法としては「敵の位置をメモしつつ適当にプレイし、メモが完成したらリセットして先手必勝を繰り返す」となる。
 もちろん無限に補給できるエネルギー消費武器を中心に使用し、敵の位置とエネルギーユニットをチマチマ往復するのがベストだ。

 なお、この戦法はボスにも通用するので安心である。
 ・・・まともに戦おうとすれば、敵の攻撃を回避しつつ距離を取って大量の弾丸を撃ち込んでゆくという緊張感ある戦いが楽しめる。
 それが どうしてこうなった

 もっとも、中にはちゃんと部屋の中に配置された敵キャラクターもいる。
 これらはドアを開けると同時に全力で撃ち込んで来るので、覚えプレイでもこれらには要注意だ。


・キリーク

 そして、本作のキーワードとなる「キリーク」について。

 主人公らがこの基地を訪れたのは「この基地で行方不明になった人物の捜索と、この研究所を汚染する未知のウィルス・研究内容の調査」のためであり、仲間との通信やフロア内に存在する「コンピューター」からその真相を少しずつ引き出してゆくこととなる。
 その過程で、研究所内のさまざまな部位で見聞きするのが「KILEAK」なる謎の言葉だ。
 ある時は壁に殴り書きされた文字として、またあるときは研究所所長であるキム博士の記録として、物語に関わってくる。

 その正体についてはかなり初期のうちにキム博士の記録の中に言及されており、研究基地の地下に広がるレアメタル採掘場のさらに奥に眠っていたもの・・・とされている。
 ネタバレしてしまえば、「神は宇宙人だった」である。
 だがキム博士はこの次の記録からフルスロットルの暴走を見せており、
 「私が神になる日も近い」発言を始め、「機械と生物の融合に成功」、「怪物を作りだすウィルスの開発」、「ウィルスを搭載したICBM(大陸間ミサイル)を発射用意」、といろいろやらかし、ことあるごとに「キリーク」「キリーク」と発言するため「キリーク」がわけのわからない新興宗教みたいな状態になっている。
 反面、主人公は「KILEAK」については完全スルーしており、設定の濃い説明書も「KILEAK」についてはほとんど触れていないため、事の真相はともあれキム博士の妄想のような扱い方になっているのがなんともかんともである。


・まとめ

 ゲームの基礎は割としっかりしているのに、ステージの設計とオートセーブ機能で全てブチ壊した、といった内容の一本。
 説明書の設定についても「携帯情報端末のスクリーン部分の構造」など内容に関係の無い部分ばかりが詳しかったりして脱力感を禁じえない。

 それでも強いて言えば、フロアごとに用意されたグラフィックや音楽、無機質なダンジョンを孤独に探索する緊張感、といった雰囲気を味わうゲームとしてならば楽しめないことも無いか。
 「エイリアン」などのSFホラーが好きで、上記の様なプレイングに抵抗を感じない人であればオススメできなくもない。





・関連作品

・KILEAK,The Blood 2続編。本作の難点であるマップやセーブシステムに改善が見られるが・・・。
・ベルトロガー9本シリーズを元に作られたらしい一本。だが広く立体的なステージ、ジャンプによるアクション性、ポイントによる装備の強化、起伏のある展開など、似て非なる完成度を持つ。


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