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Steamポップ その3


 唐突だが、「Staem」をご活用されているだろうか。


 これは米「Valve」社によって開発・運営されているゲームのダウンロード配信サービス兼ランチャーで、ダウンロードならではの低コスト・メディア要らずの販売形態を特徴とするものだ。
 企業側にとっては物理的なパッケージや輸送・小売といった中間業者を必要としないために販売コストを抑えられ、またSteamのアカウントとゲームの購入が紐づけられているためユーザー同士での転売が行われることが無い。
 ユーザー側にとってはコスト削減分が還元された低価格でゲームを購入でき、また同一アカウント内ならば異なるPCでも同じゲームやデータで遊べるほかSteamコミュニティのフレンドに対する「ギフト」としてゲームを購入する事も出来る。
 などなど、双方に魅力のある設計であるわけである。

 そして、ユーザー側から見た「Steam」の一番の特徴といえばその強気なセール群。
 毎週始めに開催され、全ゲームの中から数十〜百数十本が割引かれる「ウィークロングセール」、
 週の中ほどに行われ、一定のコンセプトを持ったゲームが割引かれる「ミッドウィークマッドネス」、
 さらには週の終わりに行われ、ピックアップされたゲームが無料で遊べる「フリーウィークエンド」およびそれらのゲームが割引かれる「ウィークエンドディール」、

 といった割引イベントが毎週開催されており、しかもその割引き率は33%OFF、50%OFFは当たり前。物によっては75%OFFや90%OFFなど驚異の価格が設定されることもある。
 毎週行われるこれらのセールに、新たなゲームの発見や欲しいゲームの割引きを期待するのが「Steam」ユーザーにとって心を躍らせる魅力となっているのだ。


 と、前置きはこれくらいにして。

 夏到来を控える現在(2017/06/22〜07/05)はSteamのビッグセールの一つ「Steamサマーセール +シールブック」が開催中である。
 期間中はSteamにて販売されている大半のゲームで大幅な割引が行われており、またSteamの機能を利用する事で配布される「サマーシール」とそれを貼りつける「サマーブック」が用意されている。
 ・・・ただまあ、イマイチ日本人向けじゃない絵面や場面のチョイスにそっとスルーしたいポイントだが。

 さておき、当ページではいつもの調子で「Steam」内で配信されている低価格・無料ゲームに絞っていくつかを簡単に紹介することとしよう。
 なでる程度として内容は抑えるが、ゲームの公式サイトとSteam内の作品ページへの誘導リンクを配置したので興味を抱いたらぜひそちらにも足を運んでいただきたい。




「Princess Remedy in a World of Hurt (風邪ひき世界のレメディ姫)」

開発Ludosity
Steamページhttp://store.steampowered.com/app/407900/
公式ページhttp://ludosity.com/library/(※Ludosity公式サイト内、作品一覧ページ)
リリース日2014年12月01日
人気タグ「女性主人公」「レトロ」「無料プレイ」ほか
日本語サポートなし

 8bitデザインのシューティングRPG。
 プレイヤーはヒーリングスクールを卒業したばかりの治療師見習いレメディ姫を操作して、最後の課題となるハートランド(Hurt、痛みや辛さ)のヒングスト王子に謁見する旅へと出ることとなる。
 その道中でハートランドの人々・・・や物々の病を打ち倒し、感謝のハートを集めることでレメディ姫の道は(物理的に)開けて行くのだ。
 病を打ち倒す、というのは伏せる人たちの中に入ってバンソーコやフラスコを病魔に投げつけて殲滅するというトンデモな方法を取っており、またそもそもの病も「自分が双子のどちらかわからなくなった」とか「ハンサムすぎて辛い」とかブッ飛んでるものばかり。
 隠し通路からアイテムを見つけてキャラクターを強化するRPG面、障害物を利用しながら敵と撃ち合うシューティング面、というオールドライクなゲームの魅力を、こんなハチャメチャな世界観の元で一つに編み上げた本作の魅力は間口が広く誰にも勧められる良作だ。

 全編英語と言う難はあるが無料ゲームで、スムーズにいけば1時間かからずにクリアーでき、全NPCぶんのマルチエンディングが用意されているなど空いた時間で気軽に楽しめる作品なのでSteamの入門編として参考にして見てほしい。




「Costume Quest (コスチュームクエスト)

開発Double Fine Production
Steamページhttp://store.steampowered.com/app/115100/
公式ページhttp://www.costumequestgame.com/ (※消滅の模様)
リリース日2011年10月15日
人気タグ「RPG」「コメディ」「カジュアル」ほか
日本語サポートなし(有志翻訳による日本語化があり? (※動作未確認))

 ハロウィーンの晩を舞台にしたRPG。
 プレイヤーは双子の少年少女レイノルドとレンのどちらかを選択し、仮装が一体化するハロウィンの魔法と、新しく出会う友達の力で魔女に誘拐された姉弟を助ける冒険に出るという物語。
 「コスチュームクエスト」のタイトルを飾る通り本作は仮装が目玉(目玉の仮装もあるが)で、騎士やロボット、自由の女神といった豊富な仮装が登場し、移動時はこれら仮装のギミックが仕掛けを解くカギに、戦闘時は攻撃や回復などの役割を持つジョブになって活躍するのだ。
 また、この戦闘まわりについては演出とテンポが軽快で、エンカウント時には可愛らしい仮装が勇ましく変身・巨大化する演出が表れ、攻撃時にはボタン連打や目押しのミニゲーム、必殺技使用時にはコスチューム専用のショートムービーが流れるという具合にプレイヤーを楽しませてくれる。
 そして、ハロウィンと言えば忘れてはいけないのが「トリックオアトリート」の掛け声。
 本作は家々を巡りきることで一つのマップを終えて次のマップへ移動するステージ攻略型のような形態を取っており、この掛け声の後にお菓子(トリート)をくれる大人が出るか、戦闘(トリック)を仕掛ける魔物が出るかがハロウィンのサプライズを体験させてくれるのだ。
 ちなみに、もらったキャンディはしたたかな子供と仮装の強化アイテムを交換できる通貨のような役割がある。

 ウィンター期間をモチーフにした外伝「Grubbins on ICE(グラビンズオンアイス)」とセットになっているのだが、発売から結構な時間が経っている事もあってセール期間には「-90%」という驚きの割引率を実現、さらには続編の「2」とのバンドル割引によって「2」も単品で買うより安くお買い求めいただけるという(こんなの絶対おかしいよ!)たいへんリーズナブルな作品となっている。
 現在のセールで慌てて買わなくてもハロウィンセールには確実に割引されるので、子供の頃の冒険心をちょっと思い出したくなったならこのゲームの事を覚えていてみてほしい。




「Sins Of The Demon RPG (デーモンの咎)

開発Chandler Rounsley (※個人)
Steamページhttp://store.steampowered.com/app/461640/
公式ページなし
リリース日2016年05月14日
人気タグ「RPG」「アニメ」「RPG作成」ほか
日本語サポートなし

 RPGツクールで作成された和風RPG。
 デーモン「イシャール」の呪いによって邪な心を抱いた人間が怪物に変わる世界「ラニストア」を舞台に、呪いで猫に変えられた「シント」とその兄弟「ケンシ」の二人がイシャールを打ち倒すまでの物語。
 システム面ではアクティブタイムバトルとシンボルエンカウント制を採用した比較的オーソドックスな内容で、敵キャラクターも「7つの大罪」にちなんだ7種類とボスキャラくらいしか登場しないコンパクトな内容だが、反面ダンジョンの謎解きとシナリオの内容がいい。
 オーソドックスな倉庫番パズルにシンボルエンカウントを避けるスニーキング、地図を手に入れてアイテムの埋蔵地点を推理する隠しアイテムの入手などの変化に富んだ内容が、「クエスト」単位に小分けにされてテンポよく遊べるのだ。
 また本作のシナリオの良さは、登場人物の存在がそれぞれ立体感を持っているところにもある。
 金銭欲や地位欲に固執して怪物に変異する人物たちの醜さや、デーモンの象徴として人々に恐れられながらもしたたかに生きる「シント」とその兄弟「ケンシ」の絆、その旅を支える仲間や協力者たちの真意・・・。
 それぞれの人物が自分の動機や欲求を持って行動している、人物としてのリアリティがあるわけである。
 また、中でもパーティーメンバーそれぞれに異なった形で描かれる「親子愛」はキャラクターを掘り下げながら提起される本作のテーマだと言えるだろう。

 例によって日本語未対応で英和辞書が手放せないことと、商品バナーに描かれたサキュバス風のお姉さんがゲーム中では立ち絵一枚無いボスキャラクターでしかないというガッカリポイントを除けばプレイ後の充足感があるミニRPGである。
 お釣りで買えるくらいの低価格や、ちょっとむずがゆい和風風の世界観に興味を持ったなら要チェックだ。




「Aquaria (アクアリア)

開発Bit Blot
Steamページhttp://store.steampowered.com/app/24420/
公式ページhttp://bit-blot.com/aquaria/
リリース日2007年12月07日
人気タグ「Underwater」「メトロイドヴァニア」「雰囲気」ほか
日本語サポートなし

 海中を舞台にした2D探索アクションアドベンチャー。
 プレイヤーは不思議な水中世界「アクアリア」の民で記憶を失った女性「ナイジャ」の目と記憶を通してその不思議な冒険を追体験するという物語。
 水中が舞台・・・ということで主人公は重力の影響をほとんど受けず自由な方向に移動する事が出来、敵キャラクターとの戦闘においても相手の攻撃を回避しながら任意の方向に攻撃を放つフリースクロールシューティングのような内容が繰り広げられる。
 そして、スクロール方向が自由と言う事で本作は探索のボリュームが豊富。
 ボスキャラクターや仕掛けの解除ギミックを探すのはもちろん、アクアリアにはさらにマイルームに展示したり着替えたりできる収集物「アーティファクト」や回復アイテムを調理する「レシピ」がちりばめられており、これらを探して文字通りの縦横無尽にたっぷりと探索することができるのだ。
 また、探索の範囲を広げるカギはボスを倒すなどして獲得する「音楽」と、それによって変身する「形態」のアクション。
 例えば緑・黄緑・青の音色で発動し物体を引きつける「バインド」の魔法、赤・紅・橙の音色で変身し力強く泳げる「ビーストフォーム」、といった具合に、状況に合わせた音楽を奏でてギミックを解いたり戦闘をこなしてゆく流れがあるのだ。
 言ってみれば、本作は「シャンティ」とよく似たゲームデザインを持っているわけだ。
 また、この音楽を使う謎解きは本作の世界観そのものの秘密を秘めている。
 本作のいくつかのBGMには共通して「ある12連の音色」が使われており、このフレーズが本作において非常な重要な意味を持っているのだ。
 BGMとして聞きなれた音色の真実を知る瞬間は、本作の忘れえない体験として記憶に残る事だろう。

 例によって日本語に未対応なのが辛いところだが、幸い文字を読む謎解きはほとんど無く物語も視覚で伝わってくるのでそれほど苦もなく楽しめるはずだ。
 なぜかSteamワークショップに未対応だがステージエディット機能などもあるので、水中アクションに飢えている人は要チェックだ。




「Beatbuddy: Tales of the Guardians (ビート・バディ ビートの精霊たちの物語)

開発Threaks
Steamページhttp://store.steampowered.com/app/231040/
公式ページhttp://beatbuddy.com/
リリース日2013年08月07日
人気タグ「リズム」「パズル」「アクション」ほか
日本語サポートあり、字幕

 ビート(リズム)の海を舞台にした2Dパズルアクション。
 豊かな音によって成り立つ海中世界「シンフォニア」の精霊ビート・バディが、彼らの神殿を荒らすマエストロ王子のよからぬ企みを阻止するために冒険に出るという物語。
 アクションの舞台となる海中世界は豊かな色彩と共に豊かな音にも満ち溢れており、触れることで大きく弾き飛ばされる海綿生物「バスドラム」、泡を吐き出して行列を作る「スネアストリーム」、足で合図を送って付近の仲間を攻撃状態にする「ハイトットガニ」、といったキャラクターが、それぞれ独自のビートを伴ってまるで音楽を奏でるようにステージのギミックを形作るのだ。
 また、一つのステージはいくつかのチャプターに分かれており、その中では特定のリズムを取りながら駆動する「バブルバギー」に乗って進むビート感マシマシのチャプターも用意されている。
 ステージ中のBGMは主に2曲、特にこのバブルバギーのパートはノリノリだ。

 ・・・が、ゲーム中ではリズムに乗って敵を倒すというよりじっくりと考えてギミックを解いてゆくパートが中心となっており、ゲームの攻略自体にはリズムがあんまり関係しない。
 また集めることで開発者のスナップ写真や開発ノートをアンロックする収集アイテムもあるのだが、これを探してステージを右往左往するとゲームテンポはさらに滞ることとなる。
 一応、特定のリズムで叩かなければ動作しない「リズムリーチャー」なんてギミックもあるのだが、よりによってこのリズムは小気味いいBGMと無関係な独自の間隔で刻まれているらしく視覚でタイミングを取るような動きになりがちだ。
 多彩な音を出す海中生物たちのハーモニーもそれでBGMを作っているわけでは無く、本来のBGMと競合してやかましくなるだけと言う恐れもある。
 色彩豊かな海中世界、キャラクターの特性を利用して障害を突破して行くパズルアクション、アイテムをちりばめて探索の面白みを持たせたステージ、リズム感たっぷりのキャラクターデザイン、ノリノリのBGMたち、ゲームの魅力となる部分はたくさんあるものの、ひとまとめにしたところ不協和音が出たという調子のちょっと残念な一本である。

 ただ、繰り返す通りBGMの出来は良いのでサウンドトラック目当てに手を出すのは一考出来る。(BGMというより、洋楽サントラと言う方が適切なのかもしれない)
 日本語化もほぼ完ぺきなレベルで行われており、ついでについてくる無難なパズルアクションとして、過度な期待を抱かなければ楽しめるかもしれない。
 実際の手触りを確かめたい場合は第1ステージの途中まで遊べるデモ版があるので、先ずはこちらをプレイしよう。




「Far Cry®3 Blood Dragon (ファークライ3 怒りのドラゴン)

開発Ubisoft (※日本語版サイト)
Steamページhttp://store.steampowered.com/app/233270/
公式ページhttp://straycatcrossing.tumblr.com/
リリース日2013年05月02日
人気タグ「1980年代」「FPS」「オープンワールド」ほか
日本語サポートなし(有志翻訳による日本語化があり? (※動作未確認))

 遠い未来の2007年、危険すぎるヤツ「レックス・パワー・コルト」が帰ってくる!
 オープンワールドFPS「Far Cry3」のソースを再利用して作られたスピンオフ作品で、ネオンまぶしいレトロフューチャー感全開の本格派バカゲー。
 島内に点々とある敵拠点を攻略するうえで、その拠点の弱点はどこか、最適な武器は何か、どのような手順で攻略するか・・・。
 オープンワールドならではの自由な攻略を組み立てられるFar CryシリーズのDNAを受け継ぎつつ、ダサカッコいい未来兵器やサイボーグ主人公の超人的身体能力によって爽快感も取り入れたのが本作のテイストだ。
 サイボーグアイで物影の敵も透視でき、スナイパーライフルは炸裂弾を連射する大量破壊兵器に改造、メレーでのスニークキルに成功すればさらにコンボで付近の敵を殲滅できる、それはもうやりたい放題。
 ただ、そんな無敵にも思える主人公でも一つそう簡単には敵わない要素がある。タイトルにもある「Blood Dragon(ブラッドドラゴン)」の存在だ。
 これは核爆弾の影響で誕生した熱線を出すヤバいヤツで、圧倒的な耐久力と攻撃力を兼ね揃えたゲーム中最強のモンスターなのだ。
 敵軍もこれに洗脳装置を付けて兵器として運用しているほどだが・・・実はこの洗脳装置は狙って破壊する事が出来、その場合はブラッドドラゴンと敵軍とで壮絶な相打ちが始まる可能性もある。
 主人公と敵軍にこのブラッドドラゴンを加えた三つ巴の勢力図が、身を潜めて狙撃するとも火力で押しきるとも異なる新たな戦略をもたらしてくれていると言える。

 公式の日本語サポートがないほかに薄暗い背景で原色のネオンがビカビカ光るたいへん目に優しくないデザイン、おまけに妙に動作が不安定なランチャーUplayを導入する必要があるといった欠点が目に付くが、バカゲー好きにレトロフューチャー好き、オープンワールドFPS好きといった人の心をガッチリ掴むだろう怪作である。




「Lamia Must Die (ラミア死すべし)

開発Tuomo Laine (※個人)
Steamページhttp://store.steampowered.com/app/385260/
公式ページなし
リリース日2014年02月17日
人気タグ「RPG」「短い」「RPG作成」ほか
日本語サポートなし

 RPGツクールで作成されたRPG。なんとフルボイスだ。
 多数の人々に災禍をまき散らした魔物・ラミア。彼女を討伐するべく集った4人の勇者たちは長い旅路を終え、ついにラミアとの直接対決を迎えようとしていた・・・。
 ・・・という、物語のクライマックスだけを描いた超・ベリーショートRPG。最初で最後の戦闘がラミア戦だ。
 その短さ相応に戦闘バランスはなかなか練られた物となっており、適度に苦戦して適度に切り札のアイテムが活躍し適度に勝利の達成感を味わえるバランス。
 一方で戦闘に入るまでの王道的なプロローグ(フルボイス)や戦闘中のラミアに対する決めゼリフ(フルボイス)が雰囲気を盛り上げ、ラミア撃破後まで仲間のその後を描くエピローグ(フルボイス)を用意してその雰囲気を維持し続けている。
 ちょっとした体験版より早く終わる線香花火のようなゲームだが、この前後にどんな旅路があるのだろうと想像力を刺激する、こんな変わり種もおひとついかがだろうか?





「The Talos Principle (タロスの原理)

開発Croteam
Steamページhttp://store.steampowered.com/app/257510/
公式ページhttp://www.croteam.com/talosprinciple/ (※Croteam公式サイト内紹介ページ)
リリース日2014年12月12日
人気タグ「パズル」「SF」「雰囲気」ほか
日本語サポート字幕あり (※DLC「Road of Gehenna」は現時点で未対応)

 主観視点の3Dパズルゲーム。このページでレビューするには少々値の張る部類なのだが、それでもリリースから日が経って「-75%」、1000円以内の価格となることもあるのでそろそろ名を挙げておきたい。
 プレイヤーは全知全能の神「エロヒム」によって生み出された一体のアンドロイドとなり、エロヒムが与える様々な試練に挑んで行く内容。
 試練の内容は人類が生み出した様々な史跡へ設置された障害に対して機器を接続し道筋を作って行くという物で、特に中心を成す青と赤の光線を「コネクタ」によって史跡の中に編み込み古代と未来を同居させて行く様は、洋ゲーながらわびさびの美しさを感じる光景である。
 グラフィックの質も高く、それでいて動作は軽め、音楽も粒ぞろいで視覚・聴覚はうっとりするような喜びがあるだろう。
 そして、パズルやグラフィックに並ぶ本作のもう一つの柱が「タロスの原理」、すなわち「人間を定義する物は何か?」という哲学的な問いである。
 プレイヤーはパズルを解いて行く傍ら各所にある端末で「自分が人間だと思うか否か」、「人間とはどうあることが正しいのか」、そして「エロヒムを信じるか否か」を問われ続けて行くこととなる。
 この問いはエロヒムの意思ではなくパズルを解くことと直接の関係は無いのだが、実のところはこの問いにどう向き合うかがエロヒムが本当に問うべき問題である。
 答えのあるパズルに答えのない哲学、波の中をもがくように悩む知覚的な楽しみも本作でたっぷりと味わえる事だろう。

 パズルの難易度的には、普通にクリアするだけならばそう難しくは無くアクション要素も大して必要とはされない。
 ただ、さらに複雑なスターやグレーのピースに挑もうとすると一筋縄ではいかず、かなりひねくれた解法や発想を求められることとなる。
 スターを探しているはずが、その道中で不意に見つけるイースターエッグなんてものもあるかもしれない。
 DLCの「Road of Gehenna」などはそんなひねくれた謎ばかりを詰め込んだようなまさに地獄らしい難易度が味わえるので乞うご期待だ。
 日々の生活の中で思考する楽しみに飢えた人、美しい景色の中でリラックスしたくなった人、などに勧めたい一作である。
 専用のパズルが収録されたデモ版も配信されているので、興味があれば雰囲気と動作のチェックとして先ずはプレイして見よう。




 毎週新たなゲームとの出会いがある「Steam」。
 まだまだ紹介し足り無い気もするが、今回はひとまずここまでとしたい。




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