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Steamポップ その1


 早速だが、「Staem」の名前ををご存じだろうか。

 これは米「Valve」社によって開発・運営されているゲームのダウンロード配信サービス兼ランチャーで、ダウンロードならではの低コスト・メディア要らずの販売形態を特徴とするものだ。
 企業側にとっては物理的なパッケージや輸送・小売といった中間業者を必要としないために販売コストを抑えられ、またSteamのアカウントとゲームの購入が紐づけられているためユーザー同士での転売が行われることが無い。
 ユーザー側にとってはコスト削減分が還元された低価格でゲームを購入でき、また同一アカウント内ならば異なるPCでも同じゲームやデータで遊べるほかSteamコミュニティのフレンドに対する「ギフト」としてゲームを購入する事も出来る。
 などなど、双方に魅力のある設計であるわけである。

 そして、ユーザー側から見た「Steam」の一番の特徴といえばその強気なセール群。
 毎週始めに開催され、全ゲームの中から数十〜百数十本が割引かれる「ウィークロングセール」、
 週の中ほどに行われ、一定のコンセプトを持ったゲームが割引かれる「ミッドウィークマッドネス」、
 さらには週の終わりに行われ、ピックアップされたゲームが無料で遊べる「フリーウィークエンド」およびそれらのゲームが割引かれる「ウィークエンドディール」、

 といった割引イベントが毎週開催されており、しかもその割引き率は33%OFF、50%OFFは当たり前。物によっては75%OFFや90%OFFなど驚異の価格が設定されることもある。
 毎週行われるこれらのセールに、新たなゲームの発見や欲しいゲームの割引きを期待するのが「Steam」ユーザーにとって心を躍らせる魅力となっているのだ。


 と、前置きはこれくらいにして。

 初夏を迎える現在(2015/06/11〜22)はそういったセールの中でも特に大規模な「モンスターサマーセール」が開催中である。
 モンスターをクリックして討伐する「クリッカー」系のミニゲームが配信されており、この中でゲームへの参加人数やボスの撃破といった実績を達成することでゲームのセールが実施。
 さらに期間中に購入した特典としてミニゲーム中で使えるアビリティの素材がプレゼントされ、素材からアビリティを作成して更なるモンスターとセールに挑んで行く・・・という流れを持つユニークなイベントだ。
 ミニゲームを除いても「フラッシュセール」や「日替わりスペシャル」として多数のゲームのセールが行われており、注目度は抜群である。

 というわけで、今回はセールの開催を記念して「Steam」内で配信されている低価格ゲームをいくつか簡単に紹介してみたい。
 なでる程度として内容は抑えるが、ゲームの公式サイトとSteam内の作品ページへの誘導リンクを配置したので興味を抱いたらぜひそちらにも足を運んでいただきたい。




「Color Symphony (カラーシンフォニー)

開発REMIMORY
Steamページhttp://store.steampowered.com/app/317410/
公式ページhttp://www.remimory.com/
リリース日2014年09月15日
人気タグ「アクション」「パズル」「無料プレイ」ほか
日本語サポートなし

 友に裏切られて正常な視力を失った「男」が行く異世界の旅を舞台とした2Dパズルアクションで、その目に映る世界はスカイブルー、オリーブ色、ベージュ、と黒・白の5色で描かれている。
 単色でデザインされたキャラクターや地形は寓話の挿絵を思わせるほか、またこのグラフィックこそがこのゲームのユニークなシステムを形作っている。
 「男」がこの世界の背景の色をスカイブルー、オリーブ色、ベージュ、のいずれかの色として見ると、その色と同じキャラクターやオブジェクトは背景に溶け込んで「消えて」しまうのである。
 ゲーム内ではこの「背景の色の切り替え」を駆使して襲いかかる獣や罠をすりぬけて行ったり、背景に溶け込んでいる足場を探し出したり、と先に進む術を探って行くこととなるわけだ。
 中には色の切り替えとジャンプを組み合わせるアクション性のある場面や、オブジェを吊る鎖を消して落下させると言ったギミック性のある場面もあり、プレイには多彩な腕前が求められると言えるだろうか。
 とはいえ、このゲームは完全無料の物としてクリアまでのボリュームはそれほど多くはない。
 物足りなさも残るところだが、言い換えれば「Steam」を導入して試しにプレイするゲームとしては新鮮味・金額・プレイ時間のいずれにも適した内容なので「Steam」初心者にオススメの一本である。

 また、公式サイトによれば近日「2」のリリースがあるようだ。




Sanctum (サンクタム)

開発Coffee Stain Studios
Steamページhttp://store.steampowered.com/app/91600/
公式ページhttp://coffeestainstudios.com/games/sanctum
リリース日2011年04月15日
人気タグ「タワーディフェンス」「FPS」「ストラテジー」ほか
日本語サポートあり、インターフェースが対応

 モンスターからリアクターを守るFPSタワーディフェンス。
 「WAVE」単位で出現するモンスターたちを撃退して行く内容であり、その手段としてプレイヤーは身に付けた「武器」と地形に配置する「タワー」を駆使して行くこととなる。
 「武器」にはアサルトライフルやスナイパーライフルといった物があり、モンスターを上手く狙う事が出来れば大ダメージを与えられるものの、大群で訪れるモンスターたちには力不足となる事が多く、これのみではまずリアクターまで一直線に到達されてしまうこととなるだろう。
 「タワー」はそんなモンスターたちの「進路を塞いで迂回させる」役割と、「近づいてきたモンスターに攻撃を仕掛けて撃退する」という2つの役割がある存在だ。
 広い通路をジグザグに区切ればそれだけモンスターたちの移動距離が延び、移動距離が延びればタワーからの攻撃にさらされる時間が伸び、時間が伸びればそれだけプレイヤーが武器で攻撃するチャンスも増える、という設計であるわけだ。
 狙撃するのに自分好みの地形を作って行くクラフト的な面白さ、効率良く殲滅するためにタワーの配置を考えるパズルゲーム的な面白さ、モンスターの群れに弾丸を撃ち込むFPS的な面白さ、がディフェンスという目的の下にまとまった完成度が感じられるだろう。
 リリースから日が過ぎているため価格が控えめで、インターフェースが日本語に対応しているため遊びやすいと言う点からもオススメできる一本である。

 シリーズでは続編である「2」や、ドット絵でデザインされた「Super Sanctum TD」も配信中。
 また、無料のデモ版があるので興味が有れば動作のチェックも兼ねてプレイされたい。




Infinity Wars - Animated Trading Card Game (インフィニティウォーズ ‐ アニメイテッドトレーディングカードゲーム)

開発Lightmare Studios
Steamページhttp://store.steampowered.com/app/257730/
公式ページhttps://www.infinitywarsgame.com/
リリース日2014年09月05日
人気タグ「トレーディングカードゲーム」「無料プレイ」「戦術」ほか
日本語サポートなし

 「アニメイテッド」の名の通り、カード1枚1枚の絵柄がアニメーションするというユニークなデザインを持つトレーディングカードゲーム。
 基本ルールはユニットを「アサルトゾーン」と「ディフェンスゾーン」に振り分けて戦闘を繰り広げ、先に相手プレイヤーの耐久力を削りきった方が勝利となるというもの。
 またゲーム中においては召喚直後のユニットが配置される「サポートゾーン」という控えゾーンがあり、ここにいるユニットから相手がどのような戦法を展開するか、またここにいるユニットの効果をどのようにして活かしてゆくか、が戦術上のポイントとなっている。
 さて登場するユニットは9つの勢力に分かれており、それぞれ能力とデザインに個性を持っている。
 攻撃に長ける兵士たち「フレイムドーン」、基礎能力が高いがバニラの多い獣たち「ワーパス」、スクラップで構成され墓地を利用した戦いを得意とする不死者たち「スリーパーズ」、飛行能力によって相手の防御を飛び越える超文明の天使たち「オーバーシアーズ」、といった面々だ。
 これらカードを集めて眺めると言った楽しみ方は、絵柄がアニメーションするという点から特にゲームならではの物として味わえるだろうか。

 ただ、NPCとの戦闘が少なくPvP中心の設計である点、対戦チャンネルが少なく初心者視点では修羅の国と化している点、無課金ではブースターパック入手のペースが遅くダレやすい点、インターフェース面のバグが目に付く点(※2015/06/16時点)、など少々気になる難点もある。
 特に、日本語に一切対応していないためカードの効果を把握するのが非常に大変という点は日本人にとって一気にハードルを上げる物かもしれない。




X-Blades (Xブレード)

開発Topware Interactive
Steamページhttp://store.steampowered.com/app/7510/
公式ページhttp://www.x-blades.com/、日本語版はこちら
リリース日2009年02月10日
人気タグ「アクション」「女性主人公」「ハックアンドスラッシュ」ほか
日本語サポートなし

 日本国内でもXbox 360とプレイステーション3で発売された3Dアクションゲーム。
 二本のガンブレードを操るトレジャーハンター「アユミ」が古代の秘宝を求めて遺跡を探索し、やがて受けた呪いを解くためにもう一人のトレジャーハンター「ジェイ」と協力して行くと言う内容だ。
 主人公のアユミは金髪褐色でおしり周りの露出が高いセクシーな美少女キャラクター。このデザインが日本人ゲーマーの心をガッチリ掴んだのか釘宮ボイスで日本語版にローカライズされるなどした。
 ゲーム内容としては一定のマップの中で続々湧く敵をザクザク斬りながらたまに魔法や必殺技をぶっぱするといったもので、たまに謎解きがあるものの基本的には大味な物である。
 内容が単調な分、プレイヤーの目がガンブレードによるアクションやアユミのおしりばかりに向くのはたいへんけしからん設計だろうか。

 上記の通り本来日本語版にローカライズしたバージョンがあるのだが、残念ながら「Steam」での配信版には未収録。
 釘宮ボイス目当の購入を考えている場合は注意されたい。




Freedom Planet (フリーダムプラネット)

開発GalaxyTrail
Steamページhttp://store.steampowered.com/app/248310/
公式ページhttp://freedomplanet.galaxytrail.com/
リリース日2014年07月21日
人気タグ「アクション」「レトロ」「良BGM」ほか
日本語サポートタイトルにフリガナ付き

 「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」の流れを汲む、素早くステージを駆け抜ける爽快感を押し出した2Dアクションゲーム。キャラクターたちも動物がモチーフである。
 惑星アヴァリスに眠る秘宝「キングダムストーン」を賭けて侵略者ブレイボンやその他のキャラクターたちと争奪戦を繰り広げる内容で、ギミックに満ちたステージを駆け抜ける主人公たちのハイスピードアクションや巨大メカとのボス戦が魅力となる一品である。
 さてメインとなる主人公は2人。ツインテールを特徴とするサーシャ・ライラックとバイクの扱いを得意とするキャロル・ティーだ。
 ライラックはツインテールを振り回して緩やかに落下したり力を貯めて高速で突進したりといったアクションが得意の扱いやすいキャラクター。頭には角のようなものが生えているが、モチーフとなった動物は少々不明。
 キャロルは爪を使って敵を攻撃したり壁につかまったりすることが可能で、ステージ内に隠された燃料を見つけることでバイクに乗ってパワーアップすることができる。モチーフとしては恐らくネコ系の動物だろうか。
 プレイヤーは2人から操作したいキャラクターを選択して「アドベンチャー」モードでそれぞれの物語を追って行ったり、「タイムアタック」モードで隠しアイテムの探索やスコアの追及を行って行くわけだ。

 日本語にこそ対応していないとはいえ、そのアクションやキャラクターのデザインは日本人にとって親しみやすい物。ゲーム中所々に書かれた日本語も少しくすぐったい。
 「Steam」内や、公式サイトにおいて無料のデモ版が配布されているので興味があればぜひダウンロードしてみてほしい。




Dungeon Hearts (ダンジョンハーツ)

開発Cube Roots
Steamページhttp://store.steampowered.com/app/229520/
公式ページ消滅?
リリース日2014年07月21日
人気タグ「パズル」「マッチ3」「アクション」ほか
日本語サポートなし

 敵キャラクターとの戦闘や成長の要素を取り入れた横スクロールパズルゲーム。
 画面右から流れてくる4色の「チャージ」のルーンをドラッグ&ドロップで3つ隣接させてクリックし「ストライク」のルーンへと変え、これを用いて攻撃を行って行くのが基本ルール。
 「ストライク」のルーンをクリックするとその縦横に閃光が走って敵モンスターにダメージが入り、またこの閃光に触れた「ストライク」や「チャージ」が連鎖してより高いダメージが発揮されることとなる。
 一方で敵もやられるばかりではなく障害物となる灰色のチャージや敵専用の「ストライク」、「ポイズン」といったお邪魔ルーンを混ぜて反撃してくることとなる。
 敵のお邪魔ルーンは画面左端の主人公に到達することで効果を発揮する一方、それより早くストライクの閃光を当てれば破壊出来るため、ゲーム中においては「ストライク」が攻・防の両面における重要な要素となっているわけだ。

 さて、敵たちに挑んで行く主人公たちについてもそれぞれ個性が存在する。
 赤色のルーンを担当するファイター「ブランド」、黄色のルーンを担当するメイジ「ジン」、青色のルーンを担当するヒーラー「オーガスト」、緑色のルーンを担当するアーチャー「テリーラ」、だ。
 それぞれ「ストライク」の発動でゲージを貯めて使用する必殺技を持ち、直接攻撃、ルーンのスクロール速度ダウン、主人公の回復、敵の弱体化、などの効果を発揮する。
 これらの必殺技やそれぞれの特殊スキルはゲームをプレイすることで貯まる経験値によって強化できるため、例え途中で力尽きたとしても繰り返しプレイすることでいつかはクリアできる・・・という成長要素もあると言える。
 なお、高い連鎖数を組むと参加したキャラクターがカットインを挟む演出もあり、4人同時攻撃は見ごたえのある物として「Steam実績」にも設定されている。

 スピード感があってなかなかの難易度を誇り、キャラクター性もあるパズルゲームとして遊びごたえのある一本。
 ただ一周当たりのゲームがノンストップで1時間前後と長いことやマウスでのせわしない操作を必要とする事から「Steam」ユーザーからの評価は賛否両論というところなので、その辺りに不安が有ればよく検討しておきたい。




BloodRayne: Betrayal (ブラッドレイン:ベトレイヤル)

開発Abstraction Games
Steamページhttp://store.steampowered.com/app/281220/
公式ページhttp://www.bloodraynebetrayal.com/
リリース日2014年04月30日
人気タグ「アクション」「女性主人公」「吸血鬼」ほか
日本語サポートなし

 ダンピールの女性「エージェント・ブラッドレイン」の活躍を描いた3Dアクションシリーズ「ブラッドレイン」の外伝作品。
 グラフィックとゲームシステムを2Dに移し、ダッシュや空中コンボを繰り出す軽快なコンボアクションとしてまとめられている。
 また、そのデザインには「シャンティ」シリーズのWayForwardも関わっているとか。
 レインは両手に付けたブレードで敵を切り裂くほかにひるませた敵にかぶりついて「吸血」を行う事が出来、これがコンボと同様本作の特徴を形作っている。また、足癖が結構悪い。
 「吸血」した場合はそのまま血を吸い続けることで相手を即死させつつ体力を回復させる事が出来、また一度かぶりついた相手は遠隔操作でその体を「炸裂」させる事が出来る。
 「炸裂」した敵の体液で死亡した敵は連鎖反応的に「炸裂」することとなり、時には画面いっぱいの敵を巻き込むコンボが成立する事もある。
 安全性を取るのもよし、殲滅速度やスコアを重視するのもよし、この「吸血」アクションがブラッドレインに一味違う個性を与えていると言えるだろうか。

 また、女性の吸血というアクションにはどこか耽美な誘惑があるだろうか。
 キャラクターの陰影のコントラストを強調してゴシック風に描かれたグラフィック面もそんな作中の雰囲気を強調しており、端正な男性吸血鬼や異形の怪物の中で血をすするレインにはどこか背徳的な魅力を感じるかもしれない。
 ・・・まあ、ゲーム内では血しぶきやら斬首やらといった残酷表現があふれかえっているので、どの道そっちの方向で年齢制限がかかると思われるが。
 スコアを突き詰めるコンボアクションという側面といい全く遠慮しないグラフィック面の表現といい、大人向けの一本だと言えるだろうか。

 ちなみに、原作「BloodRayne」の1・2も「Steam」内での配信がある。
 ただそちらは3D洋ゲーとして日本人にとって全く嬉しくないキャラクターデザインが施されているので要注意。




You Have to Win the Game (ユーハフトゥーウィンザゲーム)

開発Minor Key Games
Steamページhttp://store.steampowered.com/app/286100/
公式ページhttp://www.piratehearts.com/blog/games/you-have-to-win-the-game/
リリース日2012年05月06日
人気タグ「レトロ」「メトロイドヴァニア」「難しい」ほか
日本語サポートなし

 1980年代、8ビット時代のゲームを意識して作られたメトロイドヴァニア型2Dアクションゲーム。
 プレイヤーはゲームの舞台となるダンジョンの中でアイテムを見つけ出しながら探索範囲を広げて行き、最終的にダンジョンの最奥地にて「魔法の呪文」を完成させるのが目的となるゲーム。
 アクション面ではひたすら死んでパターンを掴む「覚えゲー」である一方、ダンジョン内のアイテムの探索や最後の「呪文」にはちょっとした謎解き要素もあるだろうか。

 また、このゲームはグラフィック面での特徴もユニークだ。
 というのは、8ビット時代を再現したゲームとしてブラウン管に映し出された状態を再現してゲーム画面の端が歪んでいるのである
 グラフィックは2Dのはずなのだが、正確に言えば3Dのモニタの中に映し出された2D画面を見てプレイする内容なのである。
 豊富なオプションではこの画面の歪みっぷりを微調整出来たり、ゲーム画面の色数を「4色」・「16色」から選択できたりすると言うマニアっぷり。
 一方で、見づらいと感じたら歪みをオフにする機能もある至れり尽くせりの設計だ。

 つくづく彼らの8ビット時代への愛の熱さに驚かされるところだが、こちらも無料で配信されているので「Steam」の入門用としてプレイして見るといいかもしれない。




 毎週新たなゲームとの出会いがある「Steam」。
 まだまだ紹介し足り無い気もするが、今回はひとまずここまでとしたい。




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