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・メイプルストーリー2−OβT雑感


 ネクソンの運営するオンラインゲーム「メイプルストーリー2)」のOβTが2019年05月29日〜06月03日に開催されており、参加してきたので細かな感想などをここに記録。

 現段階で一番言いたいことだけを言うと、「正式サービス開始日時:未定」がつらい限り

 その後06/05(水)の全体メンテ中に突如「本日正式サービス開始」を告知、即日13時半ごろからサーバーをオープン!
 これがネクソンのやり方か・・・!?と思いつつも、まずはうれしい限りだ。
 以下の内容も正式サービス後の内容を一部反映させたので、ページの趣旨がやや変化したことについてはご容赦されたい。





・ゲーム概略

 「メイプルストーリー2」は、韓国ウィジェットスタジオが開発しネクソンコリアが2003〜現在まで運営する長寿2DMMOARPG(※1)「メイプルストーリー」の続編として開発された3DMMOARPGである。
 とはいえ韓国でのサービス開始から少しして「メイプルストーリー」とは別の世界観と言うことに方針転換、職業や敵などの設計も新たにされているため前作のプレイの有無は特に関係ないらしい。
 韓国でのサービス開始は2015年7月7日、つまり我々がプレイする日本語版は正式サービス開始から4年弱経ったボリュームやバランスを、新サーバーで足並みを揃えてプレイし始めるという形になるということだ。
 (ただし二次クラス未実装など、最新バージョンと完全に同一というわけではない)

 その割には、OBT3日目あたりにはもうレベルキャップ(※2)(Lv60)に到達する猛者(経験者?)も現れたというが

 (※1:2D MMO ARPG・・・横スクロールアクションで、一つのゲーム画面に不特定多数のプレイヤーキャラクターが集まって敵と戦ったりチャットしたりポーズを取ったりするゲーム)
 (※2:レベルキャップ・・・その時々でのキャラクターの最大レベルのこと。それ以上キャラクターが成長しないため、ある人はモチベが下がり、ある人はようやくスタートラインと意気込むこととなる)


・戦闘面

 戦闘関連では、はっきりいって内容の薄くバランスの悪いゲームである。
 ザコキャラが強めで固い・痛い・多いの3拍子揃っているうえロクに報酬を得られないこと、
 報酬のある「フィールドボス(一定時刻ごとに出現)」には軍隊アリの群れのごとく複数人が群がってボコボコの袋叩きにする参事となること、
 PTを組んで挑戦する「ダンジョン(※3)」はメインコンテンツ足りうるものの1キャラクターごとに1日10周、さらに1週間合計30周ぶんまでしか報酬を獲得できないこと、
 職業によっては攻撃の回避が難しく、一方で回復薬全般の価格設定が厳しいためちょっと長引くと薬代で赤字となること、
 ボスの攻撃に「プレイヤーを通り過ぎて逃げる長距離突進攻撃」連発など近接不遇の劣悪な挙動が多いこと、
 などなど、基本的な設計からバランスの調整まで不満点を挙げればキリがない。
 オマケにこのバランスの上でPVPコンテンツもあり、強職で待ち伏せして初心者狩りを行うような対立要素もあるのだという。
 エンチャントの付いた装備を集めて好みの物を吟味する、という「成果の見えるハクスラ」には魅力があるが、戦闘系コンテンツ中心のプレイヤーにとっては「向かない」内容となるだろう

 (※3:PTを組んで挑戦するダンジョン・・・慣習的に「インスタンスダンジョン(ID)」と呼ばれる形式。個人個人の責任が重くちょっとだけ気が引ける)


・ハウジング

 では何がこのゲームの魅力足りうるのか。ハウジングを筆頭とした生活系・創作系コンテンツだ。
 本作のゲーム世界は立方体を積み重ねた「ボクセル」状に表現されており、プレイヤーは自由にデザイン可能な「自宅」という空間を持つのである。
 サービス開始から4年分のコンテンツと調整が有るだけあって、ここでは樹木や岩のブロックからフローリングやタイルの床、木箱や樽などのデコレーションに、カラフルなベッドや本棚といった家具まで多彩なブロックがノーコストに使い放題(正式サービス後は事情が違うかもしれない? ポータル含め継続利用可能という大盤振る舞い)となっているのだ。
 自宅の広さも「4×4×4」から「25×25×15」まで自由に変更可能、この拡張は元々ゲーム内通貨を消費したそうだが韓国版・グローバル版で正式にノーコストとなっているので日本版もこれに準じる可能性が高いだろう。

 OBTの段階でもこのハウジングに夢中になり、「渾身の自宅を作ったので遊びに来てほしい」というシャウト(※4)がぽつぽつと見られたあたりこの「ハウジング」だけでも長時間プレイできるメインコンテンツたりうり、また他のプレイヤーと交流する切っ掛けともなりうると言えるはずだ。
 ハウジングでブロックを設置しているだけでも経験値が獲得できる(一日当たりの上限はある)ので、ハウジングに時間を費やした分レベリングが遅れ誘われたコンテンツに参加できない・・・という問題も多少緩和されていると言える。

 また、ハウジングのアイディアや参考例が足りないというプレイヤーにおいては一定のテーマに沿って作られたプリセットを獲得し、これをアレンジしてゆくスタイルから始めることもできる。
 NPCの家も再現できるような形で作られており、特に「インテリアストリート」というモデルハウスを並べた町もあるのでハウジングに迷ったらここに遊びに行くのもいいだろう。

 (※4:シャウト・・・チャンネル全体やサーバー全体など広域に向けて発信されるチャットのこと。無制限に使えてしまうと収拾がつかないため一定のコストがかかることが多い)


・採取・生産

 それから、採取・生産系コンテンツもある。
 自宅にリンゴの木や牛を配置して資源を得る「栽培」や「畜産」、様々なマップを渡り歩いて土地の鉱物やハーブに手を伸ばす「採鉱」や「採集」、
 およびそれらからアイテムを製作する「料理(バフアイテムなど)」、「細工(アクセサリー装備など)」、「鍛造(防具など)」、「錬金(バフアイテムなど)」、といったコンテンツがあるのだ。
 これらに精を出せば実用性能のエリート等級装備や経験値が獲得できるので、これもまたハウジングの補助となりうるだろう。

 ・・・もっとも、それぞれ毎日決まった量まで獲得できるといったスタイルで、どれか一つに集中しても効率が上がるわけではないあたり「日課」という作業感が勝るかもしれないが。
 「採掘」と「採取」に関しては、複数のマップを渡り歩かなくても全種類の資源が用意されているという特製マップまであるのでこれも善し悪しだ。

 より土地に密着したものとしては「釣り」もあるが、これはほぼアイテムを獲得できず丁寧に段階を踏む必要もあるのでチャットついでの退屈しのぎくらいの物だろうか。
 パーティーを組んでいると大物が釣れやすくなるので、これを目的にしたパーティー募集があるあたり交流のきっかけとなるポテンシャルはあるのだが。


・演奏・UGC

 さておいて、本作ではまた創作色の強いコンテンツとして「演奏」と「UGC(ユーザー制作コンテンツ)」というものがある。
 「演奏」はゲーム内で様々な楽器を獲得したのち、キーボードを使って自由に演奏したり「楽譜」を作成して一定の楽曲を演奏したりすることができるものだ。
 自由度はとても高く、同じ楽譜を複数プレイヤーで「合奏」することもでき、場所を選ばずどこでも音楽を奏でられることから様々な土地でゲームの賑わいを高めている。
 同じネクソン運営のゲーム「ツリーオブセイヴァー」でこの手の演奏を目玉にしていたクラスが「大人の事情」に配慮し演奏機能をオミットされたエピソードがあるので扱いはデリケートなところだが、どうにか平和に利用されて欲しいところだ。

 「UGC」は、Tシャツや短パンといったモデルに自作のテクスチャー(※5)をアップロードしオリジナルデザインのアバターを作成できるというコンテンツ
 OβT段階では基本モデルがメル購入可能な3種類のみだったが、正式サービスでは武器や家具を含め大幅な追加があったので非常に作りごたえがありそうだ。
 MODを作成して共有できるような感覚だろうか、「デザイナーズショップ」という形で取引もされる(予定)と言うことで多くの可能性を感じるシステムである。
 経験が無い、というユーザーならば、ゲームフォルダの中に入っている作成例画像にラクガキする形で感覚を確かめてみるといいだろう。
 これまた著作権や商標権に配慮しデリケートに扱う必要があるが、中国版のPVでは「お国柄」をやらかしているのでグレーゾーンはあるのかもしれない、たぶん。

 また、画像のアップロードに関してはキャラクターのプロフィール画像や町への広告掲載といった形でも利用されているのでこれまた想像が広がる所だろう。
 ・・・OβTの段階で地面に描かれた謎のりぼんのおっさんを目撃したので、やっぱり相応に荒れるのだろうとは思うが。

 (※5:テクスチャー・・・3Dのモノやキャラクターの表面に張り付けられる模様の画像のこと。ちょうちんやねぶたの紙のようなもの)


・ミニゲーム

 それから、本作のアバターはいくつかの顔パターンと髪型、髪の色に加え肌や目の色を調整することができる。
 体型の調整や顔のパーツごとの調整は出来ない(あとクセのある声の変更が出来ない)が、多くの武器・防具・アバターアイテム(※6)において色合いを変更する「染色工房」というシステムがあるので色彩での個性のアピールは可能だろう。
 また、顔については自由な位置・角度に張れるステッカーの存在や一部の長さをスライダーで調整できる髪型、ころころと変わる表情(顔の設定が反映されないとも言えるが)によってアップに負けないデザインがあると言える。

 そして、そんなキャラクターが集まってお互いに注目する機会ともなるのが定期的に開催される「ミニゲーム」群だ。
 より言えば少人数で好きな時に挑戦できる「メイプルアーケード」というミニゲームもあるので、ここで触れるのは正確には「MCケイのイベント」である。

 概要としては戦闘やハウジングの最中に「MCケイのイベント」という形でポップアップが出現して2種目のミニゲーム(+1つのPVP)が提示され、これをクリックすることでその種目に参加できるというもの。
 ○×クイズや障害物走、落とし穴避けといったアミューズメント的な内容が展開され、上手く勝ち残ることが出来れば大量の経験値とゲームコイン、経験値バフを得ることができる。
 中でも特に、ゲームの合間合間にダンスタイムをはさみ数十名で表情豊かにダンスする「ダンス・ダンス・ストップ」は時間や操作の余裕に富み、ゲームの内容も「近場の数人でグループを作る」というものなので他のキャラクターに目をやる機会が多い事だろう。

 ・・・ただまあ、「あぶれた人が1人用の足場に乗り込んで道連れ自滅」とかいう妨害行為が出来るあたり日本ウケは賛否両論ありそうだが。
 比較的簡単にクリアできて他プレイヤーと報酬に差がつかない「クレイジーランナーズ」においても、ただただ他人の足を引っ張ることにしかならないギミックがある(毎回作動させる手合いもいる)あたりも非国産ゲーというところを意識する点である。

 (※6:アバターアイテム・・・キャラクターの装備をそのままに見た目(アバター)だけを変更するアイテム。ただし、本作はアバターアイテムにも性能の概念がある。)


・コミュニティ

 ほかに気になった点を上げるとすれば「コミュニティ」機能関連だろうか。
 フレンドやギルド機能はまあいいとしても、「最近パーティーを組んだプレイヤー」や「気になったプレイヤーのフォロー」機能が無く、新たな交流を開拓することに関してシステムの不足が目立つのだ。
 特に、低レベルプレイヤーがダンジョンの攻略に「救援を出す」というシステムがあるものの本作はパーティーの合流機能がごく貧弱、パーティーメンバーの召喚が有料(要課金ポイント)なうえ救援として参加しても先行されていると合流困難(むしろ不能?)という点はひたすら首をかしげたところだ。
 というか、救援に参加する条件が同じダンジョンを10周する(か、低レベルダンジョンの場合は50レベルに到達する)ことと妙に厳しいあたりこの辺りは根本的に見直してほしいところである。

 なお、ダンジョンの仕様や6キャラまで無料で作成できることからサブキャラ作成が推奨される本作だが、キャラ名が全角6文字までで重複不可、空白や「・」、「†」などの特殊文字が使えないというところも結構今後に響きそうである。
 回避するには最後に数字を付ける手が基本だが、「くん」・「ちゃん」を付けたり称号のように「○○の」を付けたりする手も思いつくので工夫してみよう。


・50レベル

 また、本作は最大60レベルのうち50レベルまではチュートリアルである。
 というのは、「ペット」、「Lv50ダンジョン」、「冒険レベル」、「デイリークエスト」、といった複数のコンテンツが50レベル到達によってようやく解放されるものとなっており、装備も50レベルで更新がストップするためだ。
 特に、キャンディを投げて罠におびき寄せるだけで獲得可能な「ペット」が50レベルまで解放されないのは理不尽を覚えるところ。
 過密チャンネルに切り替えながら複数回フィールドボスと戦闘するなどすればまあそれほどかからない(MMO基準)のだが、先のコミュニケーションの開拓しづらさと併せて初心者に厳しい設計となっていることは難点として挙げられるだろう。


まとめとして

 韓国版ではすでに過疎化が進行しWikipediaの記事も概略だけで投げられている末期状態、日本版はOβTののち「正式サービス未定」として2日間気をもませ、さらに以上に挙げた不安点が多数あるのだが、上手く仲間を作ってハウジングや合奏などを楽しめるとしたらコミュニケーションツールとして賑やかに楽しめうる作品である。
 ボクセルに合わせたSD体型のキャラクターがペットを連れて歩いたり乗り物に乗って走り回ったりする、まるでおもちゃ箱をひっくり返したようなキュートで賑やかな世界観というビジュアルも魅力的だろう。
 前途多難だとは思うが、興味があれば「楽しんだもの勝ち」の精神で実際に触ってみることを勧めたい。

 ねんがんの正式サービスにおける課金要素はほぼアバターやハウジングの充実という形になったので、「課金額が少ないのでコンテンツに参加できない」ということはそうそうないはずだ。
 アバターに装着するジェムストーン各種が課金ガチャ前提のような形となっていて、どうにも不安を感じる部分はあるが・・・。
 新しい髪型や服装、エモーションを追加していってアバターを磨くことやコミュニケーションの選択肢を増やすことが、よりこのゲームに適した楽しみ方と映ると思われる。


・おまけ

 覚え書きやUGCの作成素材をまとめた「メイプルストーリー2 スクラップボックス」というページを用意したので、必要に応じて利用していただければ幸いだ。






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