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ページ公開:2020/05/05


LENNUSレナス 古代機械こだいきかい記憶きおく


プラットフォームスーパーファミコン
開発コピアシステム
発売アスミック
発売年月日1992年 11月
ジャンルRPG
プレイ人数1人
セーブデータ4スロット


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
特殊 幻想的 淡い 雄大 自由度があるがやや大味 歴史に埋もれた傑作





・ゲーム概要

 1992年にスーパーファミコンで発売されたロールプレイングゲーム。
 同年には「ロマサガ(1月)」や「ドラクエ5(9月)」、「真・女神転生(10月)」、「FF5(12月)」とビッグタイトルが目白押しであり、本作は今も燦々と輝くこれらスターの陰で埋没してしまった一作である。
 時代の巡りが少し違えば・・・と思わずにはいられない。ノーブランドの新作が全盛期のドラクエ5とFF5に前後をがっちり挟まれるとかいう小清水亜美感
 もっとも本作は世界観やゲームシステムに前衛的な部分が多く、それでなくとも当時のプレイヤー層にとって受け入れがたい内容ではあった。
 時代を下り、ゲームが多様化した現代という背景を踏まえてこそ再評価してほしい一本だ。

 ・・・とはいえ確認した限り本作はバーチャルコンソールでの配信はなし。ソフトも若干のプレミアがついており、中古価格は箱・取説なしでワンコインになるかどうかというラインだろう。
 ハードは互換機で何とかなるにしても、プレイ難度が高いゲームなので今回も「番外編」と言うことにしてレビューを行ってみたい。


・世界観

 これは もうひとつの じかん
 もうひとつの うちゅうの ものがたり。


 (ゲーム内デモ冒頭より)

 世界の半分は海に覆われ、もう半分を覆う陸地はさらに大河によって北と南の2つに分断されておりました。
 温暖で豊かな土壌に恵まれた北の大地「ナスクオト」と、冷涼で荒れた岩肌に囲まれた南の大地「サスクオト」です。
 それぞれの大地にはそれぞれの気候や地理に適応した5つずつの種族が暮らし、お互いを快くは思わないながらも、過度に干渉しあうこともなく平和に時を過ごしていました。

 また世界の各地には長き時の向こうよりある「古代機械」が残されてもいましたが、今ではその使い道を知るものもなく、古代人への尊敬と共に祀られるだけの存在となっています。
 それらが完全に沈黙したわけでは無く、ただ目覚めの時を待って眠りについているだけだと知らないまま――

 この世界の名は「レナス」。
 天地に精霊が満ち、大いなる奇跡と秘密が渦巻く世界。


・序章

 今、レナスでは一つの災いが目覚めつつありました。
 南の大地にて「フィオルラ族」の青年「ゼイゴス」がレナス統一の野望を掲げ、サスクオト全土を征服したのです。
 元々サスクオトの5種族には好戦的な者が多いとはいえ、レナスではかつてこのような侵略者が現れたことはありません。
 不自然なほどに圧倒的な魔法の腕によって5種族を瞬く間に下し、独裁者として確固たる地位を築いたゼイゴスは、さらにナスクオトへの侵略を目論んで動き出していました。

 一方のナスクオトではいたって平和な時が流れておりました。
 「ジュレーン」の都で空を見上げれば花を模した空中神殿をのぞむことができ、「ラゴン」の町に寄れば桟橋の下で踊る波の音が旅人を迎え、地底都市「バグド」では鉱夫たちのつるはしが陽気に鳴り響いていたのです。
 物語の主人公「チェズニ」も魔法学校の期待の星と持ち上げられながらいたずら盛りの悪友たちと騒々しく過ごし、物語のヒロイン「ミディア」は女子として故郷に留められながらも校長の手ほどきを受けて着々と実力を高めていた、そんな折でした。

 チェズニの悪友の一人「デューカス」が、魔法学校の空にそびえる「ガブニードスの塔」に肝試しに行こうと持ち掛けてきたのです。
 ガブニードスとは1万年前に存在したとされる伝説の精霊使いですがなぜその名前を冠した塔が魔法学校に存在するのかは不明、内部には動物が住み着いていてそこそこ危険もあり、年頃の少年にとっては何とも好奇心を刺激されるスポットとなっていたのです。
 さて、いざ塔に乗り込んでみると内部はナスクオトの文化とは全く異なる様式で作られていました。
 鮮やかな青色の壁に明滅する赤色の線が引かれて複雑な文様を成し、用途不明の板や球体がまるで無造作に配置されていたのです。
 ――これは一万年前の文明が残した古代機械なのです。
 文様に誘われるまま奥地へ奥地へと進んでいったチェズニはやがて自分の手と同じ形の「くぼみ」を持つ台座を見つけ、おもむろに手を置いてしまいます。
 その瞬間、辺りで未知の光が弾け、眠りについていた古代機械が再び動き出したではありませんか。
 パニックを起こしたデューカスは素早く逃げ出しましたが、あっけにとられ逃げ遅れたチェズニは背後から現れた巨大な影に襲撃され、そこで意識が途切れてしまいました・・・。

 次にチェズニを迎えたのはどこか見慣れたガレキの山と絶望した校長の姿でした。
 校長によればチェズニが目覚めさせてしまったのは邪悪な古代機械「ダル・グレン」であり、これによって魔法学校は崩壊、レナス各地でも異変が起きており、やがてはレナス全てを崩壊させてしまうだろうということです。
 さらに、ダル・グレンを止められるのは目覚めさせた張本人チェズニだけであると告げました。

 そして、物語が始まるのです

 チェズニはたった一人で、手がかりもなく、自分が引き起こした世界の崩壊を止める旅に出ることとなりました。
 途方もなく巨大で得体の知れない脅威に、罪悪感を背負いながら孤独に立ち向かう旅です。
 しかし、チェズニの旅路には「ミディア」をはじめとする多くの仲間との巡り合わせがあるでしょう。
 そしてまた、「ゼイゴス」の手による更なる脅威とも・・・。
 レナスの各地を巡り、1万年前の因果とも対峙する冒険に、少年の一歩が今踏み出されました。


・グラフィック

 ・・・と文章に起こせばこういう感じだろうか。
 とはいえ本作はスーパーファミコンとしても初期に当たるタイトル、黒字に白一色のメッセージウィンドウや色数が少なく平坦なキャラクターアイコンなどはなんとも古臭い。
 フォントも漢字を使用できず全編ひらがなやカタカナで進行し、少なからず対象年齢の低さや気の抜けた印象を与えかねない状態である。
 (「うちゅうの ほうそくが みだれる!」なんて書かれることもあるが、この当時ドラクエでもFFでも漢字を導入出来ていたので当時でさえこれは前時代的だったと言える)

 また「そんな危険なモノ立ち入り自由にしておくなよ」とか「旅に出す前にもうちょっと手がかりとか装備とか用意してくれよ」なんてツッコミも、ゲームが複雑化した現代では禁じ得ない感想だろうか。
 この後のストーリーも「○○に行って△△を何とかしてほしい」という、いわゆる「お使い」中心で進んでゆくため場当たり的かつ自由度やストーリー分岐に乏しく、難点として指摘されかねないものである。

 とはいえ、本作を目にして真っ先に気になるのはそうした粗さよりも世界観、デザインであろう。
 冒頭の「ガブニードスの塔」でひとつ驚きを覚えることになるが、それ以前の魔法学校の建築や登場人物の容姿についても我々の生活とはまるで異なる様式でまとめられているのだ。

 魔法学校の建築は木材や石材をあまり加工せずに使用しているようだが内壁や床では組木細工のような複雑で幾何学的な様式を持ち、色彩においても薄いピンクや青、緑など混沌とした配色を持つ。
 チェズニが属する「ラフルヤ族」はおおむね人間と同じ容姿を持つが耳が長くとがっていてチェズニ以外は眉毛が頭のてっぺんに届くくらい長い
 デューカスが属する「セイノール族」は水辺を主な生活域としていて身体の各所にヒレを持ち、ドット絵で見る分には背中に特に翼のようなヒレを持つ。
 また服装には体を余裕をもって包む袋状の構造が多く、貫頭衣のような上着もあるが、各部には幾何学的な意匠が取り入れられている。

 ・・・文章での説明に限界を感じるが、あらゆる構造が我々の知るどんな構造とも異なる異世界感を醸し出しているのだ。
 幾何学模様と言えばアイヌや中東などいくつかの例が思いつくが、本作の様式は不規則な部分が多く色彩も白・黒を極端に使わないためこれに似ているという例は挙げられない。
 まさに「ここではないどこか、いまではないいつか」である。
 どれをとっても混沌としているようではあるが、一方で色彩は彩度を抑えた淡い色使いが中心となっているためさほど目に刺激の強い物ではない。
 むしろ、このパステルで描かれた異世界的な世界観は本作を代表する魅力になると言っていいだろう。

 また、本作のグラフィックで目を引く点はもう一つある。戦闘画面だ。
 本作の戦闘画面はプレイヤーキャラクターが画面外におり、敵キャラクターと正面から向き合った形式。まあドラクエ形式だ。
 げっ歯類のエネミー「チムニー」、穴だらけの甲羅に隠れた甲殻類?「ツノセンボン」、クチビルや乳房を持つ植物「ヒトクイバナ」、といった個性的なエネミーが大きく描かれることになる。
 そして、大きく描かれるだけではない。動くのだ
 チムニーでは攻撃のたびに頭を振り、ツノセンボンは甲羅の穴からトゲを発射、ヒトクイバナは舌を伸ばしてこちら一人を飲み込もうとしてくる
 ヒトクイバナの丸のみ攻撃を受けると一時的に行動不能になるのだが、この時ヒトクイバナの口から半ケツ状態で足をジタバタさせてもがくキャラクターはなかなかコミカルな光景だ。
 (といっても、グラフィックは汎用なので誰が喰らっても同じ絵面である)

 こうした攻撃アニメーションを取り入れたのは当時として先進的な試みである。(同年4月の「摩訶摩訶」もあるので少なくとも初ではないが・・・)
 なぜかあまり評価されていないが、こうした躍動感は戦闘を盛り上げ、敵キャラクターの存在を強く印象付ける本作の魅力の一つとして数えておきたい。


・バトルシステム

 本作の戦闘はシンプルなコマンド式バトルだ。
 最大4人のパーティーメンバーそれぞれに「こうげき」、「ぼうぎょ」、「じゅもん」、「にげる」から指示を出しターンを開始、敵キャラクター含め素早いキャラクターから行動して相手を全滅させるなり逃げ出すなりすれば終了する。

 そう、概要はシンプルなはずなのだ。
 だが本作の「こうげき」と「じゅもん」にはいくつも前衛的なところがあり、人によってはこれをとっつきづらい、わけがわからないとも表現するらしい。
 それによれば、先ずは「コマンドの選択」でつまづくらしい。
 本作はコマンドの選択において「決定ボタン」を必要とせず十字キーだけで行動を選択することができる。
 先の4つのコマンドなら画面上部に「ぼうぎょ」、右部に「こうげき」、左部に「じゅもん」、下部に「逃げる」があり、対応した方向を入力するだけで行動を決定できるのだ。
 間違った選択は「Bボタン」でやり直せるしパーティー全員の選択を終えた後は確認も出る。スピーディーで良いシステムだと思うのだが・・・。
 世の多くのRPGではカーソルを合わせた後「決定」する必要があるのは言うまでもなく、そこで混乱する人は混乱してしまうのかもしれない。

 次に「じゅもん」について。
 真っ先に目に付くのは本作にはMPも回数もないという点だ。
 本作の「じゅもん」はMPではなくHPを消費して放つ形式なのである
 「じゃあ回復はどうする?」というのが自然な疑問だが、これは「ボトル」というアイテムによって行う。
 「ボトル」は道具袋の中に入れて持ち歩けるほか一人一つ装備でき、最大で「9」の容量を持つ回復アイテムだ。
 容量を使い切ると役に立たないが「宿屋」で中身は安価に補充することができ、ボトル自体は決して無くならない。
 (いわば「ロックマンX」シリーズのサブタンクのように回復を行うのである。)
 また「ボトル」には回復量の違う上位版や、回復の代わりに攻撃を行う攻撃アイテムも存在し、これをだれに持たせてどのように役割を割り振るか、どう消費していつ補充するか、がリソース面での攻略ポイントとなるわけである。

 ・・・脱線が長くなったので呪文に話を戻そう。
 呪文の威力については、目立って高い。
 チェズニの初期HPが120、対して火の弾をぶつける基本呪文「ズザン」の消費HPが12というのは決して小さく思えないが、ゲーム序盤においてはこれ一発で倒せる敵も多く、貧弱な物理攻撃で戦闘を長引かせるより呪文で短期決戦を狙った方が被害を抑えられるという場面が往々にしてあるのだ。
 そしてゲーム終盤になればHPの伸びによって消費は気にならなくなり、また「精霊の習熟度」に応じて威力も高められている。
 本作の呪文は全8種類ある精霊の組み合わせによって成立しており、ある呪文を使い込んでいると対応した精霊の習熟度が伸びて威力が高められてゆくという要素があるのだ。
 このため本作では特に使い渋らず魔法をガンガン使って進み、ボトルの容量を見て補給に戻る、というスタイルが快適に進められることと思われる。
 回復アイテムこそないが、本作ではダンジョンから脱出する「ひかりのとびら」、以前寄った町に戻る「いえじのとびら」、というアイテムが序盤から購入できるのであまり復路の心配をする必要もないだろう。

 また、範囲攻撃としては「ズザン」ではなく精霊を組み合わせた「ズゾムン」や「ズゾボン」、「ズゼロゴーン」といった呪文を使ってゆくことになる。
 ただしこれらは相応のHPを消費するうえ、2つの精霊に習熟しなければならず威力が伸びづらいので要注意である。

 ・・・じゅもんのネーミングもまた本作のとっつきづらさの一因だろうか。
 先に挙げたように十字キーのみで行動を選択する本作、こうした訳の分からない名前がずらっと並んだ中から必要なものを選択するのはちょっとした手間だ。
 その増え方というのも8種の精霊から習得したものの組み合わせ分増えてゆくため、二重三重に混乱する要素があると言える。
 例えば最初「火」の精霊だけでは「ズザン」しか使えないが、
 「火」と「玉」の精霊を覚えると「ズザン」、「ズゾムン」、「モムロック」が一覧に並び、
 「火」、「玉」、「光」になると「ズザン」、「ズゾムン」、「モムロック」、「ケカン」、「ケケルン」、「ガスズゼゴン」、と増えることになる。
 あとは「ダイボバドン」、「モミソゴーン」、「バイモモボー」、あたりは声に出して読みたい呪文だが、ネーミングから効果が全く想像できない

 「水」や「心」の精霊は特に呪文ごとに全く効果が異なる補助系の精霊となるので、習得したらメニューで効果を確認しておく必要があるだろう。
 呪文名の由来が分からない・分かりづらいというのは本作に限ったことではないが、全65種類と数が多い事や音の響きが独特という事はやはり本作を異質足らしめているかもしれない。
 なお、メニューから効果を確認できるとともに「呪文の並べ替え」にも対応しているのでうまく活用しよう。


・装備と仲間

 さて、次に「こうげき」について。
 「ボトル」の話が出たので予想されたかもしれないが、本作は「こうげき」を選択した後「どの装備を使って攻撃するか」を選択する必要がある。
 ユニークなのは頭防具や胴防具を使った攻撃もできる、という点だ。
 「いかりのかぶと」なら敵1グループに落雷を落とし、「しずくのころも」なら初期のボトル相当の回復を何度でも行うことができる。
 他のRPGにもあるが、装備品をアイテムとして使うシステムが目に付きやすい形で取り入れられているわけだ。

 ・・・ちなみになんの特殊効果もない装備でも打撃攻撃を繰り出すことはできる
 箱入り娘のミディアであっても指示すれば「あたま」で敵を殴打したり「みこのふく」をひるがえして肉弾特攻したりできるのだ。
 頭を使えィ!(せがた三四郎)

 また、ちゃんとした武器にはグループ攻撃を行えるものがそこそこある。
 片手に殲滅用広範囲、片手に単体用高威力、と両手持ちして使い分けてゆくのもいいだろう。

 そうしてユニークな装備が多種多彩に登場する本作だが、実のところプレイヤーがアイテムとして入手できないものも少なくない。
 冒頭のデューカスが持っていた「こんぼう」や先の「しずくのころも」、グループ攻撃可能な「たいぼく」などがそうなのだが・・・
 これらは装備変更不可のゲストメンバーの装備として見ることになる。
 いや、むしろ本作はパーティーメンバー4人のうち2人をゲストメンバーで構成する「ようへい」システムが冒険を支えているのだ

 「ようへい」とは街の酒場などで出会うことができるキャラクターで、装備を変更できず新たに精霊を習得することもできないが任意に「わかれる」までパーティーの一員として同行してくれるもの。
 ストーリー上ではダンジョン1つ2つの間だけ参加してくれるという一般的な意味での「ゲストメンバー」も頻繁に登場するが、本作ではそうした期間の制限なく旅の仲間を多数の選択肢から自由に編成可能という自由度もある。
 そして、こうした「ようへい」たちの個性を演出するのが特殊性の強い装備群である、とこういう設計であるわけだ。
 その数は期間限定のキャラを除いても20人!うち6人ほど紹介してみると・・・。

 ・ゴーフ
 物語上最初に仲間に出来る傭兵。地下生活に適したゴドム族の男性で、仕事道具である「つるはし」や「ボムボトル」で戦いに参加する。
 装備が貧弱なうえ精霊を一つも覚えておらずボトルによる回復も不能。仲間にしたての頃は頼りになるが、彼と旅を続けるのは少々厳しい話になるだろう。

 ・イレーヌ
 水棲生活に適したセイノール族の少女。人の役に立つことを好み、「しずくのころも」による回復や「バイシス」のじゅもんによる防御力アップなど補助の能力に長ける。
 一方で武器である「ひかりのゆみや」ではグループ攻撃が可能であり、攻守にわたって頼もしい。

 ・メリーヌ
 ラフルヤ族の女性。愛があればお金は要らないと無償で仲間になってくれるが、打撃も呪文もそこそこいけてこの時期では貴重な「ハイボトル」による回復力も持つ。
 ただし「わかれる」を選択しても応じてくれない。戦闘不能になると離脱するが・・・それも含めてちょっとめんどくさい。

 ・カーネル
 サスクオト人だがゼイゴスに抵抗を続けるレジスタンス組織の一人。フェネックのような大きな耳を持つドール族のおっさん
 ゼイゴス憎しで作り上げた専用武器「ゼイゴスキラー」をはじめすべての装備が高性能な強力キャラクター。

 ・ガイスン
 レジスタンス組織に属するルボッツ(複数の種族の混血)の巨漢。「たいぼく」でグループ攻撃を繰り出したり「いわ」で単体に大ダメージを与えたりできる。
 じゅもんを一切使えずボトルも装備していない、すがすがしいほどの脳筋の一人である。

 ・メカニードス
 一万年前に作られた古代機械の一つであるロボット。「ミサイル」や「かえんほうしゃき」による圧倒的な殲滅力もさることながらHPも他のキャラクターの倍ほどを誇る。
 が、宿屋でもボトルでもHPを回復できないという厳しい制約がある。(「エナジードレイン」で敵から補給する)
 本作は宿屋に泊まるとベッドまで歩いて行く仕様なのだが、一人ぽつんとたたずむ姿はちょっと気の毒だ。

 ・・・と、なんとも個性的だ。
 これらの傭兵はあまりストーリーに絡んでこないがセリフはいくつかあり、「わかれる」を選択した時の不満の声や、再度迎えに行った時の懐かしむ声、また物語の最後の・・・など感情に訴えるものは多い。
 ストーリー上どうしても離脱させなければならない場面もいくつかあるが、彼らに愛着を持って接した旅はきっと感動的な思い出になることだろう。


・まとめ

 複雑で繊細な細工や混沌としながらも淡くまとめた色使いによって例えようのない異世界観を描いた本作。
 特殊な地質を持つ惑星に異なる進化を遂げた10の種族、古代機械によるオーバーテクノロジーの数々などともすればSFらしいガジェットを詰め込まれてはいるが、本作が語りかける感動は徹頭徹尾ファンタジーのそれだろう。

 ゲームシステムもそれに負けじと前衛的な特徴を多数盛り込んではいるが、決して意味もなく複雑化させたものではなく、HPにだけ気を払っていれば制約なく大技を使えるHP消費制も、十字キーのみで操作できるコマンド操作も、装備によってキャラクターを個性づけるボトルなどの設定も、遊び方を掴めば快適で自由度のある面白さを提供してくれるはずだ。
 また「ようへい」システムに関しては、他のRPG作品をおして本作こそはと勧める魅力足りうるものである。

 しかしながら、本作のこれらの要素は「II」によってさらに洗練され、充実した内容へと昇華されることになる。
 本作を勧める最大の理由は、この「II」をプレイする前置きとして重要な意味を持つ、という点にこそあるだろうか。

 異質であることに拒否感を覚える人もいるとは思うが、本作はRPGが好きという人・・・あるいはあまりRPGをプレイしないが想像もつかないような異世界に惹かれるという人には続編と合わせて是非にと勧めたい傑作である。
 ・・・その場合の出費はかなり勇気がいるのだが。いつかVC配信されるくらいに知名度が上がる日を待ちわびたい。





・関連作品

・レナスII ―封印の使徒―続編。本作とはまた別の世界観を描いた作品・・・でありながら物語は密接な接点を持ち、ゲームシステムでも快適さを中心に様々な点がブラッシュアップされた作品。
個人的にRPG全体でも屈指の傑作に数えているのだが、どマイナーなうえプレミア付きでVC配信無し。
レガイア伝説PSのRPG。開発上の接点は不明だが、翼を持つ特殊な一族として「レクタス」や「ソーンのキャンプ」の単語が登場した。


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