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ページ公開:2017/03/21


幻影闘技げんえいとうぎ


プラットフォームプレイステーション
開発バンプレスト企画
発売バンプレスト
発売年月日1996年 9月
ジャンル3D対戦格闘
プレイ人数1〜2人
セーブデータ1ブロック


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
軽快 薄い フォントなどがSFC的 音質に難あり 2D格闘的 育成モード有り





・ゲーム概要

 プレイステーション初期に発売された3D対戦格闘ゲーム。
 ゲームシステム自体は2Dながらグラフィックを3Dとして描いた一本で、これによってカメラワークの迫力や「技のカスタマイズ」というゲームシステムを実現している。
 また「SPRIGGAN」などを代表作とする皆川亮二氏によるキャラクターデザインも本作の売りのひとつなのだが、さて・・・?


・ストーリー

 「POS」主催の格闘技大会「パワーオブソリッド」が開催された
 闘士達の拳が交錯する

 或る者は、莫大な「賞金」を求めて
 或る者は、「最強」の名誉を求めて
 或る者は、自身の目的を果たす為に

 闘いの終止符は間もなく打たれようとしている
 それぞれの想いをその胸の内に秘めて・・・

 (説明書より抜粋)

 「パワーオブソリッド」とは「フィリップス財団」主催の優勝賞金1000万ドルの格闘大会。
 そのあまりに莫大な賞金は表キャラ8人のうち5人が賞金目当てでの参加というほどの目玉となったようだ。
 大会の裏では主催者マリー・フィリップスによるある戦闘兵器の実験が進んでいるようだが、登場人物がそんな調子なのでストーリー性はあまりない。


ゲームシステム

 本作はパンチ、キック、スキルボタン、シャドウスキルボタン、の4つからなる1レバー+4ボタン制。
 ガードは相手と反対の方向に入力する事で行われ、軸移動の概念はない。

 キャラクターの技はパンチ・キックボタンと所定の方向へレバーを入れた派生技を「通常技」、ジャンプ攻撃などを「特殊攻撃」、通常投げとコマンド投げを「投げ技」、と分類し、スキルボタンと方向キーの組み合わせによる「必殺技」をやや独立した位置付けとした設計。
 残りのシャドウスキルボタンは「シャドウスキル」というアクションの起動専用ボタンで、これの起動中は我は 無敵なり 対応したゲージ分オリコン状態になるという逆転要素だ。

 さて、本作の「必殺技」はゲームモードの一つである「アリーナモード」にて「→→S」、「↓→S」、といったコマンドごとに他のキャラクターの必殺技を購入して習得できるというシステムに対応している。
 スキルボタンが独立していたのは、この際キャラクターの「通常技」と競合しないようにという配慮もあったのだろう。
 もちろんこうしてカスタムしたキャラクターは他のゲームモードでも使用でき、メモリーカードを持ちよったカスタムキャラ同士での対戦にも対応している。
 「アリーナモード」自体はCPU対戦でスコアを貯めるだけの簡素な物だが、この育成要素が本作の魅力の一つと言うところだろうか。
 なお、このカスタムはアニメーションデータを流用できる3Dならではの物で、2Dでは実現困難な物である事を特記しておきたい。


・キャラクター

 ・岩瀬 圭 (CV:森川 智之)
 主人公。格闘家「一宮 鋼」に師事する格闘青年で、財団に拉致された師匠の救出と自身の腕試しを兼ねて大会に参加した。
 性能面では突進技や対空技が揃ったオーソドックスタイプ。威力と踏み込みに富む「震」は単体で出しても通常からのキャンセルで出しても使える使い勝手の良い技だ。
 ちなみに他の必殺技のネーミングも「零」、「霞」、「朧」、と覚悟完了している。

 ・ボビー・ロギンズ (CV:岩永 哲哉)
 アメリカのスラムでケンカ屋として成長した青年。病気の妹の手術費を稼ぐために大会に参加した。
 性能面ではキックを得意とするシューティングスタイル。空中でも出せる突進必殺技「キラージャイロ」は魅力的だ。

 ・一宮 ちあき (CV:椎名 へきる)
 格闘家「一宮 鋼」の娘として格闘技の英才教育を受けて育った少女。ただし本人はそれを嫌っており、優雅な一人暮らしの資金獲得のために大会に参加した。
 性能面では基本技のコンビネーションが豊富なスピードキャラ。軸をずらしながら裏拳を当て相手をひるませる「転身倒掌」は本作でも数少ない3D要素のある技だ。

 ・漢 緋藍 (CV:野本 礼三)
 拳法家の老人。かつて修業中の事故で弟子を殺めてしまい、新たな弟子として相応しい者を探しに大会に参加した。
 性能面では緩急が極端で予測困難な動きを持つトリッキータイプ。通常技が優秀な反面必殺技は2つしかないうえどちらも使いづらい。アリーナでは育てられる側のキャラだろう。

 ・ハリー・ホプキンス (CV:まるた まり)
 フリーのルポライターとして活動する女性。典型的なトラブルメーカーで、金と特ダネ目当てに大会に参加した。
 性能面ではボビーと同様にキックを得意としているが、こちらはより過激でダイナミック。高速で蹴りを繰り出す「ルナティックヒール」は出が早く驚異的だ。

 ・マーク・スタンフォード (CV:戸部 公爾)
 スタンフォード財閥の御曹司。車と女性と生け花とをこよなく愛する道楽野郎で、大会主催者のマリー・フィリップスへの個人的な恨みから大会に参加した。
 性能面ではキックを得意としているが、その動きはどうかと言えばバレリーナ気味。蹴りあげつつ大きく跳躍する「ゲイルエッジ」は出こそ早いが着地の度にダウンするというネタモーション付きだ。

 ・レイモンド・ノーマン (CV:宮田 浩徳)
 某国軍部の教官にして秘密工作員。衰退気味な軍部とやる気の無い兵達へ刺激を与えるため、そして基地に自分の銅像を建てるための資金稼ぎとして大会に参加した。
 性能面では力任せの打撃と空中投げまであるコマンド投げで暴れ回るパワーファイター。個性的なコマンド投げは残念ながら他のキャラクターに覚えさせる事が出来ないが、地面を叩いて地響きで攻撃する「アースブレイカー」は必見。

 ・ニール・マクダネル (CV:長嶝 高士)
 流浪の空手家。自分の道場を開きたいが生粋の浪費家なのでまるで資金を貯められず、手っ取り早い解決手段として大会に参加した。
 性能面では3種類も備えた頭突き系の必殺技に目が行くが、相手を空中に投げる「バーチカルスロー」にダメージボーナス効果が有り投げからどの必殺技を狙うかに頭を使いたいキャラクターだ。
 ちなみに容姿は肥えた体格にスキンヘッド、龍の刺青にロングタイツと、性能面と合わせてどう見ても空手じゃない


 ・・・と、本作のキャラクターはバックボーンが薄くステレオ的、キャラクター同士の人間関係と言うのもほとんど無く、固有のエンディングも用意されていないようだ。
 目玉となる皆川亮二氏のデザインも、極端な特徴を付けず動きやすい私服・制服といったリアリティに則って行われたようで全体的に没個性的だ。
 さらに言うと「スプリガン」を既読だと漢 緋藍がドクター(パーカップ・ラムディ)に瓜二つ、軍人のレイモンドもモブキャラとして見た気がするなど既視感を覚えてしまうのも難点だろうか。
 本来同じ師匠を持つ岩瀬 圭と一宮 ちあきのスタイルが似ても似つかないと言う点もあり、キャラクターの魅力については物足りないと言わざるを得ないところである。


・まとめ

 システム面では2D格闘ゲームの基本を押さえ、操作性も特に問題なく、他のキャラクターの技を使えるという珍しいシステムを取り入れた作品・・・
 ・・・なのだがそれ以外にこれと言った特徴も無く、率直なところ記憶に残らない一本。
 ストーリーやキャラクター面の弱さから、「他のキャラクターの技を使える」という目玉に友情や宿敵といった人間関係での感情移入を行えないのも本作の味気なさに一役買っているのだろう。
 皆川亮二氏のファンやコンボ研究の好きな人にはオススメできるが、プレイ後にはやはりちょっとした不足感が残るかもしれない。





・関連作品

・クリティカルブロウ続編。飛び道具や一撃必殺フェイタリティ! の超必殺技「クリティカルブロウ」を取り入れてより派手でアグレッシブな内容に改められている。
が、最大の変更点はアニメムービーまで取り入れたストーリーやキャラクターデザインの変更などといったメディア面の強化だろうか。
なお育成要素もトレーディングカード要素を取り入れてボリュームアップしている。
・超人学園ゴウカイザーテクノジャパンの2D対戦格闘ゲーム。「倒した相手の必殺技を『トレース(模倣)』できる」というシステムを備えていた。
・「鉄拳」シリーズナムコ(現:バンダイナムコ)の3D対戦格闘シリーズ。他のキャラクターの技を模倣する「木人」や「アンノウン」、「コンボット」というキャラクターが登場した。
また、「吉光」も「4」から相手の技にカウンターしてその技を模倣する「吉光ブレード」という技を習得している。
・ストリートファイターEX3カプコンの3D対戦格闘ゲーム。他のキャラクターの技を組み合わせて戦う「エース」というキャラクターが登場した。
・サイキックフォース2タイトーの3D対戦シューティング。「サイキックフォース2012」のPS移植において様々な追加要素を加えた作品。
キャラクターを育成し他のキャラクターの超能力を習得させる追加モードが実装されていた。
スプリガン ルナヴァースキャラクターデザインを担当した皆川亮二氏の代表作のゲーム化作品。
プロジェクト アームズキャラクターデザインを担当した皆川亮二氏の代表作のゲーム化作品。


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