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ゲームレビュー
/サイレントボマー
ページ公開:2016/02/23
Silent
(
サイレント
)
Bomber
(
ボマー
)
プラットフォーム
:
プレイステーション
開発
:
サイバーコネクト
発売
:
バンダイ
発売年月日
:
1999年 10月
ジャンル
:
3Dアクション
プレイ人数
:
1人 (ミニゲーム「VRアリーナ」は1〜2人)
セーブデータ
:
1ブロック
システム
シナリオ
グラフィック
サウンド
ゲームバランス
その他
新鮮かつ完成度あり
ハードボイルド
インターフェースが良好
ボイスが豪華
スコアアタック性あり
続編の無い単独作
・ゲーム概要
1999年にバンダイから発売された3Dアクションゲーム。
ボマー(爆弾魔)というタイトル通り爆薬を主人公の武器としたアクションゲームで、剣や銃とはガラリと異なる新鮮な操作感が特徴となる一本だ。
そこには敵を爆弾の設置位置へと誘い込む愉悦感、視界内の物ことごとくを破壊して行く爽快感、があり、なおかつ足を止めること無く敵の群れを突っ切って行くようなスピード感をも実現した理想的なアクションゲームとしてまとめられているのだが、さてその具体的な内容は一体・・・?
・爆破
本作の主人公ユタ・フェイト(以下ユタ)の武器は、腕に装着した「Eユニット」から設置される爆薬だ。
□
ボタンで爆薬によるマーキングを描き、
△
ボタンで起爆。
このシンプルな流れに「ロックオン」や「スタック」といったシステムを加え、遠・近・時間差様々な用途に応用して行くのが本作独自の爆破アクションだ。
先ずは基本、「
追尾してくる敵
」への対処。
ユタは
□
ボタンを短く押した場合は足元に爆薬を設置し、敵の接近を待って起爆する事により攻撃を行う事が出来る。
こちらに接近してくるなど行動の読みやすい敵に対しては、その場に爆薬を設置し逃げながら起爆して行く事で安全に対処する事が出来るだろう。
また、この際同じ位置に2回以上爆薬を設置すると爆薬が「
スタック
(重ね)」され、爆破の範囲と威力が向上することとなる。
これを利用して複数の敵を一か所に誘導しまとめて爆破すれば効率が良く、かつ「コンボ」としてスコアの評価が高くなるので慣れてきたら積極的に狙うようにしたい。
ただこれら爆破による攻撃はユタ自身にもダメージ判定があるので、
×
ボタンによるジャンプや
×
ボタン2度押しによる空中ダッシュ「バーストドライブ」を活用してくれぐれも爆風の表示範囲からは離脱するようにしよう。
この爆薬をトラップとして利用する攻撃方法には、「
影牢
」シリーズのような罠へ誘い込む愉悦感が感じられるかもしれない。
次に「
距離を保つ敵
」への対処。
ユタから一定の距離をとり射撃攻撃を繰り出してくるタイプの敵は誘導が難しく、足元への設置のみでは対処しきれないだろう。
そんな相手には
□
ボタンを長く押すことで起動する「
ロックオンサイト
」で位置を捉える手が有効だ。
「ロックオンサイト」によって捕捉した目標に対しては爆薬を射出して直接マーキングを行う事が出来、確実な攻撃を行う事が出来るのである。
初期状態でこそロックオンの有効な距離が短く頼りないものの、これは「一度に設置可能な爆薬数」や「防御力」と吟味しながらポイント(振り直し可能)を振って強化でき、特化すれば射撃攻撃のようにして安定した戦闘を行う事も出来るだろう。
ちなみにこの強化に必要なポイントはステージ中の破壊可能なオブジェに隠されており、これ自体が破壊や探索の楽しみを後押しする魅力となっている事を特記しておきたい。
そして、「
場所固定の敵
」への対処。
砲台や出撃ハッチなど移動能力を持たない相手は一見楽な存在だが、攻撃力や耐久力、周囲のザコ敵といった条件から破壊に手間取って混戦化することが珍しくない。
状況が不利だと感じたら
○
ボタンで設置出来る特殊爆薬「
マテリアルリキッド
」を用いて活路を見出そう。
「マテリアルリキッド」には
爆破と同時に周囲を炎上させて継続ダメージを与え、ザコの集団や高耐久力の敵に有効な「ナパームリキッド」、
爆破と同時に周囲に電撃を放って敵の動きを麻痺させ、バリア能力を持つ敵や機動力の高い敵に有効な「パラライズリキッド」、
爆破と同時に周囲に重力場を発生させて敵の動きを制限し、ナパームとパラライズ両方の用途で使える「グラビティリキッド」、
の3種類があり、ロックオンにこそ対応していないもののそれぞれザコからボスまで幅広く活躍するポテンシャルを秘めている。
反面それぞれ持ち歩ける数に限りがある消耗品なので、こまめな回収を忘れず、ここぞという使い時を見極めたい。
なお、マテリアルリキッドも起爆は同じ
△
ボタンだ。
爆薬は設置した個数や種類、距離に関わらず
△
ボタンによって連鎖的に起爆することとなる。
設置した物を個別に爆破したい場面が無いでもないが、一方でこの点は操作の簡潔さに優れ、一気に爆発させる事による戦略を後押ししている面もある。
例えば爆薬1つで対処できる相手が複数現れた場合、スタックによる範囲の強化よりも走りながら爆薬を並べた列状の範囲の方が有効な場面が考えられる。
またコンボ狙いであれば目標それぞれをロックオンして均等にHPを削って行く手が活躍するし、ナパームリキッドなどはスタックするよりも効果範囲を重ねて置いた方が局地的なダメージが高くなる。
スタックと分散した配置とで操作性が変わらないというのは、言ってみればその2つで戦術的な重要度が等しく想定されているという事なのだろう。
またもちろん、一気に爆発する事自体の爽快感や開放感も魅力となるはずだ。
ちなみに、ここに挙げた敵の分類は勁文社の「プレイステーション必勝法スペシャル」の攻略本のP.19〜にある「
ベノワが教える上級テクニック講座
」から引用したもの。
攻略内容もさることながらベノワとユタの漫才が傑作なので、機会があればぜひ目を通してみてほしい。
・ストーリー
先進国の宇宙開発競争として宇宙入植計画が推し進められて1000年、人類に無数の入植地が得られた一方で母星・地球での枠組みは既に意味を失いつつあった。
半数ほどの入植地は地球の手を離れて独自の自治権を得、一方で地球そのものは国家ではなく企業・宗教財閥オルガネラによって掌握されることとなった。
やがて、オルガネラは地球のみならず宇宙に散らばった入植地全てを統一して管理するべく行動を開始、超ド級戦艦「DANTE」による圧倒的な武力で脅迫しながら「司法惑星同盟」への加盟を迫っていった。
そんな中、入植惑星の一つである「ホーネット」はこの行為に断固として抵抗。
主砲「フェルミオン」による惑星そのものの破壊をちらつかせながら接近するDANTEに対して防衛艦隊を展開し、これを迎え撃つこととした。
しかしDANTEの桁違いの戦力の前に防衛艦隊は成す術もなく突破され、惑星ホーネットがフェルミオンの射程に捉えられるのももはや時間の問題となってしまっていた。
これに対する最後の切り札として、ホーネット軍は惑星内に収監されていた犯罪者達を司法惑星同盟の輸送艦に紛れて乗艦させ、DANTE内部からの破壊工作を行う「トロイ作戦」を発案した。
免罪と引き換えにして捨て駒のように送り出された破壊工作員の中に、懲役300年の戦争犯罪者ユタ・フェイトの姿が有った――。
・キャラクター
・ユタ・フェイト (CV:森川智之)
惑星ホーネットが紛争を繰り広げていた頃に破壊工作員として生を受けた人間兵器。
爆破による破壊行為のノウハウを叩き込まれ国のためにと戦っていたがある作戦で民間人のキャンプを襲撃することとなってしまい、これを機に命令に従うのみの殺人マシーンとして自らの感情を殺してゆく生き方を選んだ。
やがて紛争が終結すると戦争犯罪者として懲役300年の刑を宣告され、今回のトロイ作戦ではその免除と引き換えに破壊工作のスペシャリストとしてアンリ・オハラの率いる小隊に配属された。
しかし戦争以外の生き方を知らないユタは刑の免除に意味を見いだせず、ただ破壊命令の遂行だけを動機にこの作戦へと参加しているようだ。
・アンリ・オハラ (CV:氷上恭子)
ホーネット軍の士官学校を首席で卒業したエリート士官。
若手で正義感あふれる人物だが、それがかえって軍の権力者たちに疎ましがられ犯罪者達の指揮官としてトロイ作戦に送り込まれた。
実戦経験の乏しさゆえに予想外の状況に混乱する事も多いが、ユタの催促もあって指揮官としての立場は見失わずにいる。
・ジョン・ロス (CV:中村大樹)
ホーネット政府に管理される少数民族の出身であり、民族の解放のために多数のゲリラ作戦に身を投じてきた英雄的人物。
今回のトロイ作戦にも民族の解放を条件として自ら参加しており、猛勇果敢に戦っている。
ゲーム中ではあるステージで共闘することとなり、またミニゲームでは操作キャラクターとしても登場する。
・ティム・パーマー (CV:山口勝平)
乗り物の操縦にかけて天才的な才能を持ち、それを悪用して脱走犯の逃亡を手助けしていた元「逃がし屋」の少年。
このチームにはパイロット兼メカニックとして配属されたが、戦闘は不得意で少々メンバーの無茶に振り回されている感がある。
・ミチーノ・ディフォーネ (CV:柚木涼香)
色香を武器に高官をたらしこみ様々な機密情報を盗んできたプロのスパイ。
ハッキングの腕を見込まれてかこのチームに配属されたが、リスクの大きさに見切りを付け一人逃げ出す機会をうかがっているようだ。
ちなみに、初期稿では現在とは正反対に電脳オタク系の青年だったとか。
・ベノワ・マンデルブロー (CV:塩沢兼人)
過去7度にわたってそれぞれ全く異なる組織に所属し革命活動を指揮した国際的政治犯罪者。
彼にとってそれらの革命は人間を駒として政府を討ち負かす知略ゲームでしかなかったらしく、今回のトロイ作戦もまた新しいゲームのようにして進んで参加したという。
ただ、ユタと同様のEユニットを装着している通りチーム内では破壊工作を担当としているようだ。
・マーキュリー (CV:千葉繁)
有人機動兵器「ハードシェル」部隊の指揮官。
近接型の「サムライ」や射撃型の「ガンナー」を率い、自らは長射程のバスターライフルで武装し度々ユタの前に立ちはだかることとなる。
・VRアリーナ
また、本作には本編のキャラクター達を用いて対戦ゲームを行う「VRアリーナ」というモードがある。
ここでは主人公ユタの他にチームメイトのジョンや、機動兵器ハードシェルの面々、さらにはなんとボスとして登場する多脚型対空兵器にホバー戦車といったバリエーション溢れる面々が使用可能だ。
これらは本編中で「データチップ」を発見したり高評価を得たりするたびに使用可能となるので、やり込んで全キャラクターの解放を目指したい。
さて実際の対戦バランスについては、各キャラクターが明確に個性付けされており、それぞれの使い分けによる操作感の変化が楽しい内容に仕上がっている。
例えばユタは一度に設置可能な爆薬数が最高である代わりに防御力が最低として設定され、スタック数を欲張るとあっさりと回避されたり接近する相手に対する反撃手段を失ったりするテクニカルなキャラクターにまとめられている。
反面本編では大した脅威とならなかった近接型ハードシェル「サムライ」はジャンプ中に剣攻撃で繰り出せる突進攻撃がリーチ・誘導性共に尋常で無く接近できれば強力無比なキャラクターとなっており、また移動砲台「ソリッドハンター」はホバー移動による体当たり攻撃の間合いが広く弾幕を貼って逃げ回りつつ不意に突進する攻防一体の戦法が凶悪なキャラクターとなっている。
と、キャラクターの相性次第の部分があり少々バランスが悪いものの、このモードではそれぞれのキャラクターにゲージを消費する「バリア」という防御行動が用意されており、これを上手く活用して致命打を避ければ十分逆転の可能性がある内容だ。
CPU戦のほかに対人戦が可能で、ワンボタンで攻撃・防御が可能という簡単操作からとっつきやすいのも嬉しいところ。
ハンディキャップは無いが同キャラ戦などはなかなか白熱するので、機会があれば対戦ゲームとして楽しむのも悪くないかもしれない。
・まとめ
爆薬を設置し、爆破する。
このごくシンプルな流れに徹底してアクションを形作り、結果多彩な戦略や魅力を実現している本作。
システム上に蛇足や矛盾を感じる要素がなく、ステージの設計に関しても探索や防衛など多彩なシチュエーションが用意された飽きを感じさせない傑作だ。
現在に至るまで続編やリメイクの無い単独作であるが、幸いにしてゲームアーカイブスでの配信があるため現物のソフトを探せない人はそちらでチェックして見ると良いかもしれない。
・関連作品
・
テイルコンチェルト
:
バンダイの3Dアクションゲーム。
開発繋がりで本作のVRアリーナモードになぜかネコタンクがゲスト出演した。
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