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ページ公開:2016/01/26


GODZILLAゴジラ GENERATIONSジェネレーションズ


プラットフォームドリームキャスト
開発ジェネラル・エンターテイメント
発売セガ
発売年月日1998年 11月
ジャンルアクション
プレイ人数1〜4人(※複数人でプレイできるのは「あつめてコロシアム」のみ
セーブデータ6ブロック


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
単調 ほぼなし 粗いが再現度あり 豪華だが・・・ バリエーションに欠ける 「あつめてゴジラ」と連動





☆今回はキャラクターゲームのレビューです☆
※※※今回のレビューは核心的なネタバレを含みます※※※


・ゲーム概要

 ドリームキャストのロンチタイトルとして発売された、「ゴジラ」を題材とする3Dアクションゲーム。
 「ゴジラ」を扱ったゲームはそれまでにもゲームハードの歩みと共に多数登場していたが、本作はその中で怪獣同士の対決が一切無くゴジラたちの破壊活動のみをフィーチャーしたという異色作である。
 ともすれば怪獣同士の対決による緊迫感や熱中性に代わってゴジラを操作する事の一体感や破壊活動によるストレスの発散を期待するところだが、その内容は果たして・・・?

 また本作にはドリームキャスト本体に先行して発売されたビジュアルメモリの内蔵ゲーム「あつめてゴジラ」との連動要素が有り、データを共有する「あつめてコロシアム」という対戦型RPGが収録されている。
 ただこちらは「あつめてゴジラ」が無ければプレイできず、かつ本作のディスクに「あつめてゴジラ」のダウンロード機能などが付属していないため、本作の一部と言うより「あつめてゴジラ」の拡張ソフトと見た方が正確だろうか。ポ○モンスタジアムのごとく。
 現在においては「あつめてゴジラ」の入手が困難であり「ワゴンゲーム」という枠から外れるため、こちらのモードについては今回のレビューでは割愛することとする。


・ゲームの流れ

 本作の主な内容はプレイヤー自らがゴジラとなって街を破壊する、という少々異色的なものだ。
 「ステージ」と「エリア」で細かく区分けされたマップの中でゴジラを操作し、視界内の建造物をどれだけ壊滅的に、どれだけ素早く、破壊できるかを問うという物である。

 ゴジラから建造物に攻撃する方法としては、
 単純に移動して接触する「体当たり」、
 巨大な尻尾を左右に叩きつける「尻尾右・左振り」、
 口から高熱の熱線を放つ「火炎放射」、
 ゲージ技扱いのバーニング放射熱線、
 そして厳密には攻撃ではないが、体力を回復させる「咆哮」と自衛隊からの攻撃を軽減する「防御」というアクションが用意されている。

 プレイヤーはこれらを駆使して住宅地を踏み荒らしたり巨大なビルを倒壊させたりしてゆくわけだが、回復や防御が有った通りゲーム中ではゴジラに対する妨害や制限も存在する。
 一つは「自衛隊からの攻撃」。平成ゴジラ期に活躍したメーサー砲を筆頭に89式装甲戦闘車やF-15イーグル、一定の成績が有ればさらにスーパーXシリーズがゴジラを行かせまいと攻撃を行ってくる。
 ゴジラの体力が尽きればゲームオーバーとなるので、ゲーム中ではこれらを撃退しつつ適度に「咆哮」を挟んで体力を回復するのがセオリーとなっているというわけだ。
 「あの」咆哮はやはりゴジラの象徴、システム上普通にプレイしていても自然とゴジラらしさが出るよう誘導されるのはなかなか心憎い設計だ。
 もちろん体力に関係なく好きなタイミングで繰り出す事も出来、このアクションは演出を凝らす面白さ、見る楽しさ、を感じさせる魅力となっている。
 また本作の視点は「バイオハザード」シリーズなどに見られるキャラクターの座標ごとに特定のカメラワークが用意された形式であり、ゴジラとの一体感こそ物足りないもののこの点が映画らしいカメラワークを演出し上記の魅力をより高めていると言える。

 さて、その他にゲーム上の制限として「エリア」と「時間」が限られている。
 破壊活動の舞台となる「エリア」は例えばコンビナート周辺、東京タワー周辺、といった箱庭状の物として用意されており、操作できる範囲を大きく外れると強制的にそのエリアでの活動が終了となってしまう。
 またエリアにはそれぞれ10分弱程度の「制限時間」が設けられており、これを過ぎてもそのエリアは終了となる。
 ただ、これらによるエリアの終了はゲームオーバーを意味するものではない。
 本作のゲームの進行は少々特殊で、これらの条件を満たしてエリアを終了するとそのエリア内での活動内容が評価され、その評価が一定値以上である事によって「クリア」と判定され次のエリアへ進める構成となっているのだ。
 そしてこの評価基準としては「破壊率」と「経過時間」という相反する要素が設定されており、プレイヤーには破壊率を追求する一方で適当に切り上げてエリアを終えることが求められているのである。
 ・・・確かにゴジラがチマチマ往復しながら街を丁寧に破壊して行くか、と言うと否だと思うが、かと言って明確なクリア目標が無く常に中断するような形でゲームを終えるのはすっきりしないところ。
 いざ切り上げるにしてもエリアの外まで走って警告カウントを待つか制限時間の訪れを待つかという「待ち」の時間を挟まねばならず、退屈を感じてしまいやすいのも難点だと言える。
 なお、エリア中の破壊率が100%に達するというのも終了条件の一つなのだが制限時間内に街路樹の一本に至るまでもれなく破壊するのは相当に困難であることを覚悟されたい。

 また、この「評価基準」には他にも首をかしげる部分がある。
 破壊率、時間、残り体力、敵キャラクターの撃退数・・・・はいいとして、「コンボ」と「バランス」の項目だ。
 「コンボ」とは、一つの建造物に対して複数回の攻撃を決めて複雑な破壊方法を採った場合のボーナス点とされるもの。
 ただ本作に登場する建造物はゴジラが接触しただけでその部分が崩れ去ってしまうようなもろいものばかりであり、攻略の観点でこの「コンボ」が必要になる事はまずない。
 正面への体当たり(接触)、側面への尻尾振り、遠距離への放射熱戦、と技それぞれで間合いも異なっているため、この「コンボ」とは評価を複雑にするためだけにあるような概念なのである。
 なお、繰り返しになってしまうが本作の建造物は耐久力が有ってないような物であるため放射熱線の使いどころはめったにない。
 遠距離に攻撃できるというのがメリットではあるのだが、本作の放射熱線は使用後にゴジラの顔の向きをちょいちょい手動で動かして命中地点を調整する必要があり、かつゴジラの普段の目線ではビルの屋上部分にしか当たらないという事がザラにあるため、効果的に使うには結構な慣れが求められるのである。
 さらに言えばこの命中地点の調整が難しいという問題については、先に触れた本作の視点形式が今度は「キャラクターの視線の先が見えない」という形でマイナスに働いてしまいがちである事を特記しておきたい。
 それでも、「バランス」としてエリア内で使用した技の割合が評価されるためこれも使わざるを得ない要素としてプレイヤーの頭を痛めることとなるのだが。
 せっかくの技の種類がプレイヤーへの選択肢ではなく課題として働いているあたり、この辺りの設計はもう少し要・不要を検討してほしかったところである。


・いろんなゴジラ

 さて、ここまでゴジラ、ゴジラと繰り返してきたがゴジラシリーズのファンであればこう思われたかもしれない。「どのゴジラだ」、と。
 本作で操作できるゴジラはイロモノを含めて「5体」。詳しくバリエーションを見てみると、

 黒光りする皮膚と重量感のある肉体を持つ「平成ゴジラ(体長80メートル、体重5万トン)」、
 スペースチタニウム製の装甲をあらわにした「メカゴジラ(初代)」、
 灰色がかってやや丸みのある顔つきの「初代ゴジラ(体長50メートル、体重2万トン)」、
 ハリウッドで製作されややエイリアン色のある「GODZILLA(通称アメリカ版ゴジラ、後のジラ)」、
 放射能を吐けるようになったあたりのゴジラの息子「ミニラ(体長18メートル、体重3千トン)」、

 という内容だ。(なお、ゲーム中では体長設定があまり生きていないので注意。)
 それぞれのゴジラにはステージ中のBGMとして映画でのテーマ曲が設定されており、ゲーム中ではいずれも主役として大暴れする気分に浸れるだろう。
 ・・・ゲーム中通してその曲なので、だんだんと耐久勝負のような気分になるかもしれないが。

 さておき、この中では本作が発売された1998年の5月に公開(日本では7月)されたばかりのアメゴジが登場している点が驚きだろうか。
 ミサイルでやられる程度に体力が低いのが難点だが動きが軽快で、ゲージ技として長距離を走り回る技が使えるなど攻撃的な調整が施されている。
 大阪城に突進するアメゴジなどは本作ならではの組み合わせであり、一見の価値ありと言えるだろうか。 え?マグロ食ってるようなのはダメって?

 とはいえ、本作で使用できるキャラクターと言うともう1体のオリジナルキャラクターの存在感がぶっちぎっている気がしないでもない。
 その名もジャイアント芹沢博士。誰であろう「ゴジラ殺しの物質」オキシジェン・デストロイヤーの開発者その人・・・のような何かである。
 潜水服を着てオキシジェン・デストロイヤーのカプセルを両手でしっかりと抱え、それで殴りつけたり眼帯の下からレーザー砲を出したりして攻撃するのだ。
 なぜ芹沢博士が巨大化しているのか?なぜ彼が日本の町を破壊するのか?なぜ一回限りとしつつオキシジェン・デストロイヤーをゲージが貯まるたびに使ってしまうのか?
 博士とオキシジェン・デストロイヤーを取り巻く謎は眼帯の下にはレーザー砲が隠されていたという衝撃の事実と引き換えにますます深まるばかりである。


・特典映像

 なお、本作にはまた昭和期からゴジラVSデストロイアまでの予告映像から16本が特選して収録されている。
 ゴジラ対メカゴジラ(1974)、ゴジラ(1984)、などよりによって操作キャラクターの登場作に限って未収録であるなど惜しい感もあるが、通して見れば当時までのゴジラの歴史が感じられるだろう。
 本編の進行度に関わらず最初から解放されているなど、この辺りは資料のほかに新世代ハードであるドリームキャスト(およびGD-R)のスペックを示すという意図もあったのかもしれない。


・まとめ

 プレイヤー自らがゴジラとなって街を破壊する、という異色的な内容を持つ本作。
 新世代ハードで表現されたゴジラたちを自らの手で動かし、街を一歩一歩踏み進みつつ障害をなぎ払って咆哮を上げる、といったゴジラらしさを凝らしてゆく演出の面白さや見る楽しさについて魅力を持つ反面、ゲーム内容についてはプレイ目標やアクションの役割などに歪さを抱えており、攻略が単調で進行が間延びしやすいという難点を抱えてしまっている。
 敵怪獣が登場しないという試み自体は破壊というコンセプトの一貫性においてプラスに作用しているだけに、それら歪さをもっと破壊を後押しする形で取り込めなかったのかという口惜しさが感じられるだろうか。
 また、欲を言えばスペーズゴジラやビオランテなどもう少し操作キャラクターが欲しかった感もある。
 そういった不足感を踏まえ、なお独自性のある内容や視覚的な魅力(ジャイアント芹沢博士を含む)に興味を抱く人であれば、プレイ動画を探すと言った形からオススメしたい一品だ。

 なお後継作としては「ゴシラ・ジェネレーションズ・マキシマムインパクト」が一応の続編となるが内容はほぼ一新されており、コンセプトとしては長く時を開けた「ゴジラ-GODZILLA-(PS3、2014)」がより近いか。
 本作そのものでなくとも、本作のコンセプトに興味をもたれたらそれらについても探してみると良いかもしれない。





・関連作品

破壊王 KING of CLUSHER奇しくも同じ時期に発売された、怪獣となって破壊活動を体感するゲーム。
ただこちらもゲームシステムに歪さがあり、ハードがプレイステーションということでグラフィックの質が悲しいくらい違うことに・・・。
・ゴジラ・ジェネレーションズ・マキシマムインパクト続編。とはいえシステム周りは一新され、自衛隊機や他の怪獣を敵とするややシンプルなシューティングゲームに。
・ゴジラ-GODZILLA-「人類文明を破壊しつくす」をキーワードに、怪獣による破壊の体験をコンセプトとした3Dアクションゲーム。
敵怪獣との対決も追加されたが、街の破壊がゴジラの成長に繋がる設計や破壊に比例して激しくなる人類の抵抗など徹底して「破壊」を中心とした内容となっている模様。
また、移植バージョンアップ版の「VS」では使用可能キャラクターのバリエーションもパワーアップしているという。


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