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ページ公開:2015/05/05


SPACE GRFFONスペースグリフォン VF-9


プラットフォームプレイステーション
開発パンサーソフトウェア
発売パンサーソフトウェア
発売年月日1995年 1月
ジャンルアクションRPG
プレイ人数1人
セーブデータ8ブロック、5ファイルまで


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
やや面倒 SFホラー 臨場感あり 暗い シビア 原作あり:「HAMLET(1993、PC-98)」





・ゲーム概要

 1993年にPC-98用ソフトとして発売されたゲーム「HAMLET(ハムレット)」のプレイステーション移植版として製作された3DダンジョンRPG。
 原作は3段階可変メカであるVF(ヴァリアブルフォーミュラー)「グリフォン」を操縦して異変の起きた月面施設「HAMLET」の奥深くに向かって行くというSFホラー調の内容を持ち、本作はそれをベースにグラフィックのポリゴン化、キャラクターへのボイスの追加、といった調整を施した一本だ。

 またさらにドリームキャスト移植版である「蒼鋼の騎兵 -SPACE GRIFFON-」、Windows移植版である「蒼鋼の騎兵 -SPACE GRIFFON- V.O.」という作品もリリースされているのだが、いずれも未プレイなので以下はあくまでPS用ソフト「SPACE GRFFON VF-9」のレビューとして行うこととする。


・グリフォン

 本作は異変の起きた月面施設「HAMLET」を舞台にした3DダンジョンRPGで、プレイヤーは3段階可変メカであるVF「グリフォン」をリアルタイムで操縦してゲームを進めて行く事になる。
 3段階の変形形態とはそれぞれ移動や戦闘に特化した特徴を持つ、

 エネルギー兵器の扱いを得意とする戦闘用2足歩行形態「COMBAT」、
 攻・守・速のバランスが取れた突撃用高速機動形態「ASSAULT」、
 移動速度と防御力に長ける移動用高速走行形態「CRUISE」、

 の3形態だ。
 これらは「+↑or↓」という操作でゲーム中いつでも変形することが出来、システム・世界観の両面でゲーム内容を特徴づけている。
 コクピットから見た主観視点でゲームが進行する本作においては、それぞれの形態で視点の高さが変わるという点もユニークだろうか。
 ・・・高速移動用の乗り物が二つに折れて人型ロボットに変形するという構造や機首を頭部とした「ASSAULT」形態の外見、というかそもそも「VF-9」というネーミングを見るにこの機体はバ○キリー戦闘機を意識してデザインされた物らしく、これがゲーム全体を支えているあたりどうにもパチモン臭がするのはやるせないのだが。


 さて、もう少し「グリフォン」の操作について見ておきたい。
 グリフォンの移動は上下で前進、左右で旋回のラジコン操作タイプで、また左右への平行移動機能付き。
 攻撃については少々面倒で、敵を発見した後に「」ボタンで「バトルモード」を起動し、「」ボタンで使用する武器を選択、「L2・R2」ボタンで発射という流れ。
 武器は一度に右手・左手・マウントの3種類を装備でき、一度使用した武器は一定時間のクールタイム「ウエイト」を必要とするため、実際の戦闘では武器を次々に切り替えて攻撃を途切れさせない事が重要だ。
 特に「CRUISE」形態では両手の武器が使えず火力が落ちるため、戦闘においては「ASSAULT」以上の形態に変形することが基本だろうか。
 ・・・とはいえ、照準が画面中央に固定されている事、L2・R2ボタンだけでは武器を使い分けられない事、を見るに攻撃関連の操作はもう少し簡略化できた気がしないでもない。

 またパラメーターとしては、耐久力「BODY」、エネルギー「ENERGY」、そしてCPUの「Lv」、に気を付けたい。
 「BODY」は体力やHPに当たるパラメーターで、敵の攻撃によって減少し、0になるとゲームオーバー。
 回復には「リペアユニット」が必要だが、ゲーム中ではほぼ個数限定のアイテムなので回避や形態に気を付けて極力被弾を押さえたい。
 「ENERGY」は満腹度や元気度に当たるパラメーターで、移動やエネルギー武器の使用によって減少し、0になると移動速度や防御力低下のペナルティが発生する。
 回復には「パワーユニット」が必要だが、こちらも個数限定なので無駄な移動や攻撃は抑えるよう気を付けたい。
 「Lv」は武器の「ウエイト」に関わるパラメーターで、これが高いほど武器の使用間隔が短くなってゆく。
 一方で強敵と戦闘する場合はCPUが情報処理に追われるという事で余計なウエイトがかかるため、こまめに戦闘をこなしてLvを上げるよう意識しておきたい。

 「HAMLET」内にはショップや無限補給ポイントが無く、ゲームはマップ内に配置されたアイテムや敵のドロップアイテムをやりくりして進めて行くというシビアなバランスに整えられている。
 一方で「ウエイト」の概念によってアクションを制限することで難易度を操作している節が有り、また攻撃の操作性にも難が有るため、難易度がストレスを感じる方向に向きやすいのが残念なところである。


・HAMLET

 西暦2148年10月17日、月面最大の人口建造物『HAMLET』は、突如連絡不能に陥った―――。

 HAMLET―――”小さな村”と名付けられたそれは、軍需産業を根幹とした総合企業『A−MAX FACTORIES』の所有物であり、月の資源開発をはじめ、食品、衣料品、軍事兵器などの研究開発や、その製造を目的とする施設である。
 機密保持と安全確保のため、常に最新のセキュリティシステムを導入し、外界から完全に隔離された『HAMLET』は、生活空間から各種工場、農園や資源発掘機構までを備えた永住可能な施設として設計された。
 稼働から百年余りが経過した現在、数度の入植が行われた結果、ここでは水や食料、各種生活用品の85%が自給され、軍人、工員、研究員、資源採掘員や、それらの家族にいたるまで、千人近い人々が暮らす、巨大な月面都市となっている。

 近年では、純粋に『HAMLET』で生まれ育った世代も現れ、月の鉱物資源や、地球では生産困難な薬品、兵器などが、頻繁に地球に送り込まれていた。
 また、ここで採掘された『LUNAR TEARS』と呼ばれる『幸福を呼ぶ石』が、地球で大ブームとなるなど、『HAMLET』という名前が徐々に一般に知られるようになってきていた。

 ・・・その矢先に、『HAMLET』は突然、地球との連絡を断ってしまったのである。

 『HAMLET』連絡不能!!―――。

 この事態を重く見た『A−MAX FACTORIES』首脳部は、彼ら直結の私設軍隊、『A−MAX CLEANER』の出動を要請した。

 そして、西暦2148年10月31日―――。

 (OPより抜粋)

 ―その後暴走した警備メカの攻撃を受けながら「HAMLET」内の探索を進めるキッドらA-MAX CLEANERは、やがて有機物で出来た怪物を目の当たりにする。
 住人の反乱やテロリストの侵入ではない何か、よりおぞましい異変の正体は、「HAMLET」を1フロア探索するごとに徐々に明らかになって行くことだろう。


・A-MAX CLEANER、登場人物

 本作は原作「HAMLET」のキャラクター達に豪華声優陣によるボイスが追加されており、物語の臨場感を彩っている。

 ・キッド(ジム・ビリントン) (CV:森川智之)
 主人公。これが初任務となるチームの新人で、状況に対する物とは別の緊張を抱きながら任務に臨んでいる。
 愛機は新型試作機のVF-9「GRIFFON」。

 ・ボス(コンラード・フォン・エイブル) (CV:玄田哲章)
 決断力のあるチームのリーダーで、普段とは勝手の異なる「HAMLET」での任務も冷静さを失わずに指揮している。
 愛機は重火力機のHVF-8B「AVANGER Commander Version」。

 ・マーダー(オレッグ・アンダーソン) (CV:屋良有作)
 戦闘経験の豊富なチームの斬り込み役。それゆえに「HAMLET」の探索における最初の犠牲となってしまう。
 愛機は重火力機のHVF-8BS「AVANGER Strike Version」。

 ・マリア(マリア・ハンスフィールド) (CV:折笠愛)
 チームの紅一点で姉後肌の人物。常にムチを携帯しており、スマイリーとは憎まれ口をたたき合うコンビである。
 愛機はバイク状のクルーズ形態を持つLVF-5C「MILAN」。

 ・スマイリー(マーク・スマイリー) (CV:関俊彦)
 いつも調子の良いチームのムードメイカー。最近恋人からプレゼントされた「ルナティアーズ」のペンダントをいたく気に入っている。
 愛機はバギー状?のクルーズ形態を持つLVF-4D「VIPER」。

 ・ビッグホーン(ラウツェン・シシュッチヴィノフ) (CV:銀河万丈)
 機械の操作や修理を得意とするチームのメカニック。口数は少ないが穏やかで優しい人物である。
 愛機は重火力機のA-B8A「AVANGER Artillery Version」。

 ・メアリー・レイクウッド (CV:三石琴乃)
 「HAMLET」の住人の一人で、「HAMLET」に起きた異変について知る少女。ある形でキッドと出会うこととなる。

 ・フランシス・レイクウッド (CV:玉川紗己子)
 「HAMLET」で活動する研究者で、メアリーの姉。キッドらに対しては強い警戒心を抱いていたが、メアリーを接点に次第に協力する関係となる。


・まとめ

 変形メカ「グリフォン」と異変の潜む月面施設「HAMLET」を柱とし、SFホラーとしてまとめた本作。
 シビアな難易度や難のある操作性、8ブロックも必要なセーブデータなどでやや遊びづらいものの、変形メカを操縦する楽しみや豪華声優陣によるフルボイスのストーリーという魅力は実現されている。
 変形メカやSFホラーが好きで、3Dダンジョンに強い人にならばオススメ出来る一本だ。





・関連作品

・HAMLET原作。グラフィックこそ2Dであるが、ゲーム内容はおおむね同様。
・蒼鋼の騎兵 -SPACE GRIFFON-DC移植版。グラフィックが向上した一方でキャラクターのデザインが大きく変わっており、旧作のプレイヤーには違和感が強い。
KILEAK,The BloodPSのロボットFPS。浸食された施設をロボットに乗って探索してゆくという、若干似たストーリーを持つ。
ガンホーブリゲイドPSのシミュレーションゲーム。ゲーム後半で登場する主人公の新機体が乗り物への変形機能を備えている。


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