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ページ公開:2013/01/15


GUNGHOガンホー BRIGADEブリゲイド


プラットフォームプレイステーション
開発サインプロジェクツ
発売トミー
発売年月日2000年 10月
ジャンルロボットバトルシミュレーションゲーム
プレイ人数1人
セーブデータ1つ1ブロック、中断データ2ブロック


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
ダイナミック ドラマチック アニメシーン付き 迫力あり やや大雑把 キャラクターデザイン:伊藤明弘





・ゲーム概要

 2000年にトミーから発売されたシミュレーションゲーム。
 「ベル☆スタア強盗団」などを著作とする伊藤明弘氏のキャラクターデザインにて、火星の荒野で未知の機械生命体「ジャンキー」と戦い続ける人々を描いた内容。
 最大の特徴はユニットへの命令から戦闘シーンを生成する「動画自動生成システム」にあり、これをして「全く新しいロボットバトルシミュレーションゲーム!!」などとアピールしている。
 その他アニメシーンなどを用いてロボットアニメ調にまとめ上げられた内容は、果たして・・・?


・ストーリー

 ゲーム中ではステージの合間に会話やデモシーンを挟み、各回にサブタイトルを付けることで強く「アニメらしさ」を押しだしている。

 西暦2220年の地球化計画完了から168年の時が流れた星、火星。
 外惑星連合の食糧生産地として開発が行われ、起動エレベータ「アーツタノフ」を建設された火星はやがて「水戦争」なる大規模な内乱を経験した。
 火星を南北に分け火星暦163年から166年まで続いたこの戦争は2脚歩行機械「マシンレッグ」を大きく発展させながら多くの人命を奪い、しかしながら最後は正体不明の機械兵器「ジャンキー」による無差別被害によって終結することとなった。

 時は流れ火星暦、168年。
 ひとときの平和を謳歌する人々の間では、かつて戦争の道具であったマシンレッグを用いた競技「ラグバトル」が娯楽として広まっていた。
 電気ショックを与えるコンデンサー銃を武器にボールを奪い合い、相手のゴールへとトライすることを目的とした過激な競技である。
 そんなラグバトルをこよなく愛し、ひたすら突撃の攻撃的なスタイルを特徴とするビズリィ・レナード、通称「ガンホー・キッド」と仲間たちは、起動エレベータアーツタノフ直下の都市ニュー・ブラウンで開催されるラグバトル大会へと向かう途中で奇妙な少年と出会った。
 ジョン・スミスと名乗った少年は自分をニュー・ブラウンまで送り届けるよう願い出、目的地を同じくした一行は共にニュー・ブラウンへと向かうこととなった。

 さて目的地へと着いた一行であったが、ビズリィらは第一試合で乱闘騒ぎを起こし即刻退場、ジョンは話を取り次いでもらえず門前払い、とお互いに何も出来ぬまま街を後にすることとなったのだった。
 と、街を離れる一行の前に、不気味な機械兵器の群れが現れた。
 「ジャンキー」である。
 アーツタノフへと一直線に向かい地球軍の最新鋭兵器を次々と沈黙させたジャンキーらは、次にアーツタノフ本体へと取り付いてその軌道を操作し、衛星「フォボス」と激突させるという恐ろしくも大胆な破壊活動を行ったのだった。
 ジョンはこのことを地球軍へと伝えようとし、むなしくも門前払いを食らったのである。
 アーツタノフ崩壊によって壊滅的な被害を受けるであろうニュー・ブラウンの人々は決死の覚悟で脱出を行ったが、その眼前には最新鋭兵器をいともたやすく討ち破ったジャンキーの姿があった・・・。

 これを救出しようと意気込むビズリィは正に無謀なガンホー・キッドであっただろう。
 しかし。ジャンキーの戦闘を冷静に見ていたチームの作戦参謀「ブレインズ」はそこにある可能性を見出していた。
 地球軍の強力なレーザー兵器を無効化するセラミック装甲、ミサイルの誘導を狂わせるジャミング能力、精密回路を焼き尽くす電撃攻撃・・・その戦力は対地球軍用に特化されたものであることを。
 そして、実弾兵器を装備でき電撃に耐えうるよう設計されたラグバトル用マシンレッグこそが、奴らの天敵であることを。
 そこに一筋の光明を見出したビズリィ達は、銃を手にジャンキーの群れへと突撃を開始したのだった。


 ・・・というのが大まかな導入部である。
 ビズリィ達は本当にジャンキーの襲撃を退けることができるのか?
 ジャンキーから逃れた火星人類は果たして火星を脱出できるのか?
 奴らジャンキー達が人類を襲う目的とは何か?
 そして、彼らの物語を思い出の様に語る「語り部の女性」の正体とは?
 そんな謎をちらつかせながら1話、また1話と引き込んで行くストーリーは実に魅惑的であり、本作の大きな魅力となっている。


・キャラクター

 また、有名声優陣演ずる個性豊かなキャラクターたちも本作の魅力の一つである。

 ・ビズリィ・レナード (CV:関智一)
 その直情的な性格から「ガンホー・キッド」として知られるラグバトラー。
 後先を考えない行動でチームを牽引する切り込み役。
 愛機は機動力と信頼性に長けた「マスタングD」。

 ・マイコ・ヒノワ (CV:長沢美樹)
 イカサマ賭博に目が無いという女性ラグバトラー。
 チームでは突進しがちなビズリィに憎まれ口を叩き頭を冷やす女房役。
 愛機はマスタングDより機動力に長けた「マスタングH」。

 ・シャベス・シェルビー (CV:戸谷公次)
 元101騎兵旅団所属の軍隊上がりラグバトラー。
 長い年季からくる経験と判断力でチームをまとめる御意見番。
 愛機は複座式重量機体の「スーパーコブラ」。主に機体の操縦を担当する。

 ・ラルフ・ライアル (CV:堀川亮)
 その観察力と発想力から“ブレインズ”と呼ばれるチームの参謀役。
 ジャンキーたちの弱点を即座に見抜き、チームが戦いに身を投じるきっかけを作った。
 戦闘時は「スーパーコブラ」の後部座席にて火器やシステムを管理している。

 ・レジィ・シモンズ (CV:郷里大輔)
 “ダイブツ”と呼ばれるおっとりした性格からは想像できないほど優秀な腕を持つチームのメカニック。
 戦闘時はチームの家代わりである大型トレーラー「ハーキュリーズ」を操り負傷した機体を素早く修理する。

 ・ベティ・デービス (CV:井上喜久子)
 かつての「水戦争」にて伝説となった凄腕の女スナイパー。
 現在は銃を捨て、チームの医者兼炊事担当として過ごしている。

 ・ジョン・スミス (CV:吉田古奈美)
 ラグバトル会場へ向かうチームの前に現れ、ジャンキーの襲撃を訴えた謎の少年。
 その後もチームに同行し、一員として様々な戦いを経験する。

 ・デズモンド・オールドマン (CV:若本規夫)
 元101騎兵旅団長、シャベスの元上官。通称「おやっさん」。
 「水戦争」末期にてジャンキーの襲撃に会い部下を全滅させてしまった過去から軍を退いていた。
 愛機は当時の最強機体「ドラグーン」。重装甲と大口径銃を持つ大型機体である。

 ・エスメラルダ大尉 (CV:吉田古奈美)
 外惑星連合宇宙軍に所属する現役軍人。火星民間人脱出計画「ダンケルク」伝達の為に自ら火星へと降下した。
 降下の際ビズリィらに助けられて以来、しばしば協力し合う間柄となる。
 戦闘では軍用マシンレッグ「アパッチB」に搭乗する。


・システム

 さて、シミュレーションゲームである本作は各ステージに設定された勝利条件を目指してユニットに指示を出し、移動や戦闘を行うことで進行する。
 本作ではこれらユニットへの指示を「プロット」と呼び、一通り指示を終え「プロット終了」を選択することで全ユニットが一斉に行動を開始する設計となっている。
 例えば、作戦指示の段階で有効射程内に捉えていた敵がいざ攻撃という時に遠くへと移動していたり、逆に敵の前進を見据えて撃った攻撃が見事に命中したり、と、敵の行動を予想して作戦を立てることが重要となる。
 また包囲された状況下で、銃弾の切れた仲間へ新たなマガジンを放り投げ、これを装填した仲間が撃破する(であろう)敵の位置から包囲を突破・・・など時間差を利用した作戦も可能である。
 これがなかなか戦略的であり面白いことは面白いのだが、画面上に表示されない「行動ポイント」の概念や行動順の不明瞭さなどとっつきにくい点が見られるのが少々残念である。

 そして、この全機一斉の「行動」を3Dモデルで視覚化したものが本作の「動画自動生成システム」である。
 一般的なシミュレーションでも攻撃時に戦闘アニメーションが入りゲームを盛り上げるというものがあるが、本作はその戦闘アニメーションが連続で流れるものだと思えば良い。
 移動を指示した数ユニットが並走したり、同一目標への射撃シーンが連続して流れ一斉に着弾したり、破損した敵ユニットを尻目に進軍したり、と、同時行動ならではのアニメーションがドラマチックさを演出している。
 例えるならば役者(ユニット)へ台本(プロット)を出し、そこから起こされる動画(戦闘シーン)を楽しむというのが本作の戦闘の流れであり魅力の一つだと言える。

 が。
 この戦闘アニメーションは全ユニットの全行動を視覚化するため非常に長ったらしく、ザコの移動シーンが個別に流れるなど退屈を感じさせる部分も多い。
 一応コンフィングとして同系ユニットの行動をランダムにスキップする機能もあることはあるが、軽減される程度は知れており、やはり丸ごと省略したくなる場面はある。
 本作は直接指示を出せるユニット3〜5機のほかに自律行動をとる友軍機が頻繁に登場し、さらに多数存在する敵機を撃退せよというステージが多いためプレイヤー機以外のシーンがやたらと長いのだ。
 それでなくとも戦闘アニメーションと作戦画面を切り替えるたびにロードを挟むことになるため、ゲーム中は操作するより画面を眺める時間の方が多くなりがちなのである。

 ついでに言うと自軍ユニットにはそれぞれ「Skill」という特殊行動が用意されているのだが、ほとんどにこれと言った特殊エフェクトが用意されていない点が少々もったいない。
 攻撃や被弾の度にカットインを挟むのもうっとおしいが、やはりここ一番と言うときには気合いの入った演出が見たいものであった。


・まとめ

 テンポ良く引き込まれるストーリー、個性豊かなキャラクター、同時行動による戦略性、ダイナミックな戦闘シーン、と様々な魅力を持つものの、繰り返し見る戦闘シーンをスキップできないという点でどうにも退屈を感じがちな本作。
 もっともその点さえ平気ならば、全体的に平均点以上の出来を持つ良作としてオススメ出来る一本だ。
 ロボットアニメが好きな人やシミュレーションゲームが好きな人、特に西部劇的な雰囲気にあこがれる人は要チェックの内容である。


・ワンポイント攻略

 ・移動してから射撃を行うより、射撃してから移動した方が実行が速い。
 ・両手に銃を持っているとリロードできない。要注意。
 ・インターミッションでは消費した武器や弾薬を忘れずに装備し直そう。





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