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ページ公開:2014/07/15


Legaiaレガイア DuelSagaデュエルサーガ


プラットフォームプレイステーション2
開発プロキオン
発売ソニー・コンピューターエンターテイメント
発売年月日2001年 11月
ジャンルRPG
プレイ人数1人
セーブデータ約280KB、12ファイルまで


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
強化されたが、やや蛇足? 新鮮味に欠ける やや粗い 民族音楽的 粗い コレクション要素多し





・ゲーム概要

 王道的なRPGながら「タクティカル・アーツ・システム」を取り入れることで個性を光らせた「レガイア伝説」の続編。
 プラットフォームをPS2に移したことでグラフィックが大きく向上し、「料理」や「アクセサリー」など多彩なサブシステムを取り入れた内容はじっくりと遊び込めるものに思えるが、果たして・・・?


・基本システム

 前作「レガイア伝説」と同じく、本作のキモとなるのは「タクティカル・アーツ・システム(以下TAS)」だ。
 敵キャラクターへ攻撃する際に「上」・「下」・「左」・「右」から攻撃を組み立てて連続技とし、組み合わせによって必殺技「アーツ」が発動するこのシステム。
 重複したコマンドを省略できる「連携」という概念からコンボを組み立てる楽しみもあり、見た目や技の爽快感以上に格ゲーらしい物として同シリーズを特徴づけていると言える。

 さて本作のTASの変更点は大きく挙げて3つ。「ノーマルアーツによるAP増加」と「当たり判定の導入」、そして「攻撃アクションの変化」だ。
 先ずは「ノーマルアーツによるAP増加」だが、前作で「AP(アーツ・ポイント)」を消費した「ノーマルアーツ」が、本作では逆にAPを回復させる存在となっている。
 つまり戦闘はAPを貯める「気合い」にターンを消費することなく、ノーマルアーツを組み立ててAPを貯め、貯めたAPでより強力な「スーパーアーツ」や「ハイパーアーツ」を繰り出してゆく、という攻撃的な流れになったわけだ。
 これによってアーツの連携はより重要性を増しており、消費したAPを回収できるバランス重視のコンボ、APを使いきる必殺のコンボ、APを素早く回収する立て直し用のコンボ、と複数考案する楽しみが出てきたわけである。
 反面演出が長くなりがちでダメージのインフレも激しく、通常攻撃の重要度が落ちているのは難点だろうか。

 「当たり判定の導入」は、このアーツの使い分けと通常攻撃の存在感を守るために追加されたシステムであると思われる。
 前作にも上下段に防御力の強さが設定されていたのだが、本作はこれをさらに強調し敵によっては一部の攻撃が当たらないという設定を施しているのである。
 例えば空を飛ぶ敵に下段攻撃はヒットせず、小型の敵に上段攻撃はヒットしない、という具合だ。
 普段愛用しているコンボが通用しないこともあり、新たな攻略法を考案する必要が出てくるわけだが・・・。
 ほぼ毎ダンジョンでこれらの設定を持つモンスターが登場してくるあたり、アクセントというよりは攻略法を制限する蛇足要素である気がしてならない。
 一方でどんな敵にもヒットする「全段攻撃」というものも用意されているため、最終的にはこれのみを繰り返す単調なコンボが戦闘の基本となってしまうだろうか。

 さてそれら「攻撃アクションの変化」は、主人公が剣士、ヒロインが魔法使い、など格闘という枠から離れた物となっている。
 主人公ラングは武器の剣を上下左右に振り回し、ヒロイン・マヤは四大元素を組み合わせて魔法というアーツを放つ。
 5人のパーティーキャラクターが登場する本作においては、それぞれで大きく変化するアクションも一つの楽しみとなるだろうか。


 またTAS以外の基本システムとして「アクセサリ」、「オリジン」、「合成」、といったものも存在する。
 さすがに長くなるので流す程度に説明するが、「アクセサリ」は複数のスキルをキャラクターに付与する物、「合成」はアクセサリやアイテム同士を組み合わせて新たなアイテムを生みだす物、「オリジン」は前作の獣に相当する召喚魔法、といったところ。
 アクセサリや装備からなるキャラクターのカスタマイズはかなりのボリュームがあり、特に最強のアクセサリを作るとなるとオンラインゲーム並みの時間が必要となるのでヒマを持て余している方 やる気のある方は挑戦してみるといいかもしれない。


・ストーリー

 大陸の辺境、荒野の中にぽつりと存在する町「ノール」。
 野菜や動物を育て、森で獣を狩る、彼らのささやかながら豊かな暮らしは「水の石」の存在によって与えられていた。
 絶えることなく清らかな水を生みだし、荒野の中に緑豊かな土地を育んだ水の石は、町にとってかけがえのない宝であった。

 「ラング」は、そんな町で自警団の団長に拾われて育ち、新米自警団員として成長した青年である。
 初任務で早速仲間の負傷という窮地に直面し、村を守ることの意味を知ったラングは、嵐の日に更なる襲撃者として「金色の瞳の男」に出会う。
 村や自警団の仲間を痛めつけた男に対しラングは果敢に立ち向かったが、男は意に介さない様子でラングに2つの事を突きつけた。
 1つは男が不思議な力を放つ赤い石と緑の石を持ち、新たに村の「水の石」を狙っていること。
 もう1つは、男が不思議な力「オリジン」と刻印を持つ「ミスティック」であり、ラングもまた自分と同族であると言う事。
 混乱するラングは恐怖のままに男の怒りを買い、無力にもその場に力尽きることとなったのだった・・・。

 次にラングが目覚めた時、すでに村に「水の石」はなく、また自警団も壊滅的なダメージを受けていた。
 水の石の力で与えられていた今の暮らしは、そう遠くないうちに崩壊するだろう。
 村を守るという使命感と、金色の瞳の男への雪辱、そして自身の秘密・・・ラングは様々な思いを胸に、水の石を取り戻す旅に出ることを決意する。

 ・・・しかし、この事件はやがて世界全てを崩壊へと向かわせる「蝕」の、ほんの始まりにしか過ぎないのであった・・・。


 ・・・と、ストーリーは前作と特に関係のないオリジナルストーリーとなっている。
 パッケージ裏には「邪悪な“霧”を“獣”で晴らしてから3年、ここに新たな伝説が紡ぎだされる…。」というあおり文が書かれているのだが、残念ながらこれはメタ的な意味であるようだ。

 ついでに率直な感想を言うと、本作のストーリー本編はあまり面白くは感じられなかった。
 大雑把な原因としては、「進行の強引さ」と「頻繁に感じる既視感」だろうか。

 先ずは進行の強引さについて。
 伏線に乏しい、突如出現したキャラクターが圧倒的に強く描写される、そのくせ敵の黒幕はこちらに対して明らかに手を抜いている、など物語自体も強引なのだが、それに加えて本作では
 ・強制敗北イベントが多い
 ・初めて仲間になるメンバーが攻撃能力を持たない
 ・キャラクターの習得する「オリジン技(魔法)」が2名を除いて攻撃ばかりに偏っており、性能の重複した死に技が多い
 など、ゲーム内容自体に物語上の演出を取り入れている場面が多いのだ。
 それ自体は面白い試みなのだが、大抵がプレイヤーに不利な制限を再現する形となっているため湧いてくるのは主に不満である。

 既視感については、
 ・力の具現たる「オリジン」←「ジョジョの奇妙な冒険」のスタンド?
 ・印を持つ超能力者「ミスティック」←「南総里見八犬伝」の牡丹の形の痣?
 ・世界を変える「蝕」←「ベルセルク」の蝕?
 等々、細かな設定や単語に強烈な存在感を持つ先達が有るような気がしてならないのだ。
 たまたまかぶっただけかもしれないが、そもそも強力な力を持つ石を集めて悪党を倒して世界を救う・・・という流れも王道過ぎ、物語全体としてオリジナリティに欠ける気がしてならないのである。


・キャラクター

 ・ラング (CV:神奈延年)
 主人公。ノールの村の自警団長に拾い育てられた青年。
 自警団員としての初仕事で「金色の瞳の男」の襲撃に会い、仲間たちと壊滅的な被害を受けたことで「ミスティック」としての運命に目覚めて行くこととなる。
 またサブイベントの都合上一皿料理を食べただけでそのレシピを完全にコピーできる才能を持っていたり、イベント中の選択肢によってコロコロ性格が変化したりと少々掴みどころのない人物である。
 戦闘スタイルは自警団式の剣術。また物語の道中でカザンより天牙一刀流(てんがいっとうりゅう)という剣術の奥義を授けられる。
 宿ったオリジンは炎のガレア。熱血的な性格で、攻撃力強化とダメージ攻撃を得意とする。

 ・マヤ (CV:桑島法子)
 ヒロインの一人。北の雪国ユノで育った少女で、「カベルの秘術」という魔法を操る力を持つ。
 しかし現在は過去のトラウマから魔法と共に言葉を失っており、ラングと旅を続けることで徐々に本来の自分を取り戻してゆくこととなる。
 「カベルの秘術」という特殊なアーツを使い、貴重な回復魔法を習得し、ストーリーにおいても最初にパーティーに加わる重要キャラ・・・なのだが、設定上ストーリーがある程度進むまで攻撃に参加できないという厄介な特徴を抱える。
 宿ったオリジンは生命のリヴアス。穏やかな性格で、本作で唯一回復魔法を使えるキャラクターである。

 ・カザン (CV:有本欽隆)
 「天牙一刀流」の使い手として名を馳せた老剣豪。
 ある過去から剣を捨て隠居しているが、マヤの導きによって訪れたラングとの出会いを経て剣の師匠として、また旅の仲間として再び立ち上がることを決心する。
 戦闘スタイルは剣・・・ではなく体術。本作では貴重な格闘家キャラで、技名がなんとも男くさい。
 出身地の関係から激辛料理が大好物で、その手料理はラングたちから「人間の食べるものじゃない」などと評されている。
 宿ったオリジンは地のディーバ。無口な性格で、防御力強化とダメージ攻撃を得意とする。

 ・シャロン (CV:神宮司弥生)
 ヒロインの一人(?)物語の途中で仲間に加わる(自称)謎の女剣士。
 自身の目的からラングたちの旅に便乗するが、やがて自らの正体を明かし正式に仲間となる。
 戦闘スタイルは体術を絡めた剣術。素早さが高く最大アーツブロック数に長けるが、反面基本アーツが全体的に長め。
 宿ったオリジンは雷のレニアロード。本人と正反対の礼儀正しい性格で、ダメージ攻撃のみを習得する。

 ・アイン (CV:石塚運昇)
 物語終盤で仲間になる巨人族の青年。モヒカンマッチョ。
 ラングたちの旅の目的を知った族長の命により仲間に加わるが、本人はあまり乗り気でない様子。
 ミスティックではないためオリジン攻撃に当たる物が特殊で、仲間になるのが終盤であることから習得するアーツの総数も極端に少ない。
 また大半の料理に対して批判的な感想を残すエアブレイカーな一面もある。
 ・・・と、どう考えても不遇なキャラなのだが、実は子持ちの25歳
 オリジン攻撃の代わりは一族の英霊で、自身を一定ターン強化することが出来る。

 ・金色の瞳の男 (CV:大塚明夫)
 物語序盤でラングの村から「水の石」を奪った人物。
 その超人的な能力と無限のイゴールなるオリジンによってある野望を推し進めているようだが・・・?

 ・ドプリン (CV:長島雄一)
 金色の瞳の男と協力関係に有る聖バンデラス教の法王。
 権力者かつ徹底的に身内びいきした性格から人物評が真っ二つに分かれている。

 ・エリオット (CV:石田彰)&マリエンヌ (CV:こおろぎさとみ)
 ミスティックとして迫害された過去を持つ自己美意識の強い兄妹。
 自分たちをどん底から救ってくれたドプリンに心酔しその力を捧げている。
 宿ったオリジンはエリオットが黒のネグレスケア、マリエンヌが白のアルバティス


・サブイベント

 さて、物語の道筋とは関係ない「サブイベント」の数々は、息抜きになると共に世界観やキャラクターを掘り下げる役目を担っている。
 前作に次いで本作も豊富なサブイベントが用意されており、特に「料理」、「依頼」、「称号」、の3つはシステムとして組み込まれているほどだ。

 先ずは「料理」。
 これは冒険中に集めたレシピや食材を使って料理を作り、パーティー全員で食事をとることによって各ステータスを一定期間強化するシステム。
 食材は店で購入したりモンスターからドロップさせたりして入手し、レシピは各地の宿屋のメニューを食べたりレシピブックを読んだりして習得してゆく。
 この「レシピを埋めて行く」という段階でコレクションの面白みが有るわけだが、このシステムの魅力はまた「実際に作る」段階、「みんなで食べる」段階にもある。
 キャラクターはそれぞれで習得できるレシピに差が有り、ラングは肉料理(物理関係アップ)、マヤはお菓子(オリジン関係アップ)、カザンは激辛料理(攻撃特化)、といった個性づけがなされているのだ。
 そして、これら料理を食べる時にはパーティーメンバーそれぞれが料理の感想を返してくれる。
 仲間たちでたき火を囲んでおいしい料理を分けあったり、また激辛料理に悲鳴を上げたりする様は過酷な旅の憩いのひとときとなっているだろうか。

 次に「依頼」。
 これはストーリー本編に影響なく、ある都市の「ギルド」で始めることが出来るサブイベント。
 アイテムの収集やモンスターの討伐といった課題を達成してお金やアイテムを得られるというもので、それぞれの依頼がショートストーリーの形式で進行する。
 「バルザック&ファンタ」や「スティード」など、メインストーリーに関わらないもののサブストーリーで活躍するキャラクターもいるのでぜひ一度は目を通しておきたい。

 そして「称号」。
 これはゲーム中に一定の条件やイベントをこなすことによって入手していく達成要素で、直接的なメリットこそないもののコレクションの側面を持っている。
 時期限定イベントやミニゲームのハイスコア、大量の必要回数などなど、そのコンプリートは本作中最難関と思える難易度を誇るのでゲームクリア後の目標として捉えておくのが吉だろうか。

 ともすれば本編そっちのけで遊び込みそうな要素が揃っているが、仮にストーリー中の目標を忘れたとしても現在の目的などは仲間たちとの会話でいつでも確認可能、という配慮もある。
 ・・・この配慮やボリュームをもう少し本編に回せなかったのかと思う部分もあるが、ともあれこの道草の豊かさは本作の魅力と言えるだろうか。


・まとめ

 前作の魅力であったTASやサブイベントをさらに突き詰めて高いボリュームを得ている反面、RPGとしての物語本編に難点が散見される本作。
 その内容は前作と比べてストーリー内容より戦闘やコレクション要素に魅力を感じる人向け、といったところか。
 一筋縄では行かない遊びごたえがあるので、もし手に取る機会が有ればじっくりと腰を据えて楽しんで欲しい。





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レガイア伝説前作。グラフィックの粗さが難点だが、アーツシステムや豊富なサブイベントなど内容に富む一作。


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