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ページ公開:2013/02/19


OVER BLOODオーバーブラッド2


プラットフォームプレイステーション
開発リバーヒルソフト
発売リバーヒルソフト
発売年月日1998年 7月
ジャンル3Dアクティブアドベンチャー
プレイ人数1人
セーブデータ1つ1ブロック


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
自由度高し テンポ良く、
意外性あり
非常に粗い 声優陣が豪華 今回も即死多し 爆破マニア必見?





・ゲーム概要

 プレイステーション初期に発売された「オーバーブラッド(1996年8月)」の続編に当たる3DアクションRPG。
 発売時期が悪いうえ操作性、ゲームバランスに難を抱え「劣化バイオ」などと言われた前作から大きく内容を変え、自由度の高い「WAS(ワールドアクティブスーパーバイザー)」システムを採用した本作は「前作をはるかに越え、ゲームにまつわる要素を最高レベルまで追求」したなどと自負している。
 その他ストーリーの方も前作との繋がりを残しつつ研究所から地球全体の危機を描いたスケールの大きな物となっており、前作プレイヤーも新規プレイヤーも楽しめる一本となっている。


・ストーリー

 2115年12月―原因不明の地球温暖化「地球の突然死」の後、人類が「大気冷却器」にすがりつき延命した70年。
 地球の生態系は大きく変化したものの人類はなおも進歩の足を止めることはなく、特に2090年には「ハヤノインダストリ」社が発明した「反重力装置」によって世界の交通事情が一変した。
 人々の移動手段は宙を浮遊する「フライモービル」が主流となり、第80番大気冷却器を取り囲むように作られた人工島「イーストエッジ」では「ブレードライド」によるレース「ジャンクブレード」が人々を賑わせた。

 アカーノ・ブラーニは、そんなジャンクブレードのチャンピオンを目指してイーストエッジへを訪れたごく普通の青年である。
 ・・・しかし、空港でとある老人に出会ったことからアカーノの運命は大きく変わることとなる。
 アカーノは老人が何者かに襲撃されるビジョンを垣間見、直後に現れた襲撃者から老人をかばったことで謎の「カプセル」を託されたのである。
 命からがら襲撃者から逃げ延びたアカーノはカプセルに録音された音声を頼りにバー「D-NA」を訪れ、店主ラズ・カーシの依頼によってハヤノインダストリの中枢「パゴダ」潜入のための地図を入手することとなる。

 人類の命運を左右するハヤノインダストリの「計画」――。
 アカーノと仲間たちの運命は、政府さえも抱き込んだ「計画」の真実に向かって巻き込まれてゆくのだった。


 ・・・といったところ。

 本作のストーリーは7つの「エピソード」に分けられており、一つのエピソードはイーストエッジでイベントや買い物を行う準備パートと各ステージを攻略する活動パートによって構成されている。
 ステージを攻略するごとに明らかになってゆく真実やストーリーの中で語られる新たな謎はテンポ良く物語へと引き込んでくれることだろう。
 イーストエッジの人々と会話することで見えてくるどこか退廃的な未来観もそんな物語に深みを与えており、本作の一つの魅力を成している。


・キャラクター

 また、個性的なキャラクターたちと豪華な声優陣にも要注目だ。

 ・アカーノ・ブラーニ (CV:矢尾一樹)
 ジャンクブレードのチャンピオンを目指す青年。
 直感的で楽天家な性格からベルターを救い、カプセルを託されたことでハヤノインダストリの「計画」に巻き込まれてゆくことになる。
 本人は気付いていないが、ある「力」が眠っているようだ。

 ・クリス・レーンベッカー (CV:鶴ひろみ)
 ICP(国際警察)捜査官の女性。
 理由も知らぬままベルター・カーチスの監視を任務としていたものの失敗。
 謎の襲撃者によってベルターを誘拐され、現在はカプセルを持ち逃げしたアカーノの行方を追っている。

 ・ベルター・カーチス (CV:佐藤正治)
 アカーノの目の前で襲撃された老人。
 その正体は・・・。

 ・ラズ・カーシ (CV:屋良有作)
 バー「D-NA」のマスター。
 かつては遺伝子研究の権威としてリステラ研究所に勤務していたが、とある事件により片足の自由と過去の記憶を失っている。
 親友のベルターから託された情報を引き出すため、アカーノにパゴダマップの入手を依頼する。

 ・ナバロ・ジーン (CV:西村知道)
 看板島を根城とする情報マフィア「ネオンゴート」の首領。
 パゴダマップを隠し持つなどして政府に指名手配されているが、その本当の理由はマフィアではないもう一つの顔によるもののようだ。

 ・コンドー (CV:堀之紀)
 ハヤノインダストリに仕える屈強な男。
 ベルター襲撃を実行し、異形の姿へと変身する。

 ・リョウイチ・ハヤノ (CV:関俊彦)
 ハヤノインダストリ現社長。
 コンドーのアイカメラを通じて襲撃事件の一部始終を見ており、アカーノに「力」のようなものを感じ取る。


・WASシステム

 では、次に本作の特徴となっている「WAS(ワールドアクティブスーパーバイザー)」システムについて見てみよう。
 「プレイヤーの取った行動に対してステージが変化する」というコンセプトによって設計されたこのシステムは、ステージ中の仕掛けにさまざまな側面を用意しているのだ。
 例えば「水」について。
 ゲーム中には貯水槽や水路など、水をたたえた仕掛けがいくつか存在している。
 プレイヤーはこれに対して

 ・水中を泳いで移動する
 ・アイテム「ヒートパック」を投げ込んで水を蒸発させる
 ・アイテム「フリーズパック」を投げ込んで水を凍結させる

 といったアクションを起こすことができる。
 泳いで移動する場合は息切れによる窒息死のリスクが有るほか、手が届く範囲の岸にしか上がることができない。
 しかし「ヒートパック」で水を蒸発させてしまえば息切れの心配なく床面を探索することができ、「フリーズパック」で水を凍らせてしまえば水面の高さからジャンプで移動することができる。
 ただし水には高所からの落下ダメージを無効化するという特性も有るため、水上の足場を渡るような場面ではそのままにしておくのが望ましい。
 ・・・など、同じ「水」でも状況によってまるで性質の異なる仕掛けとして登場するわけだ。

 そして、複数の側面を持つ点はアイテムにも当てはまる。
 本作には「爆弾」系のアイテムが登場するのだが、これには

 ・敵に直接投げつけて攻撃する
 ・敵の進路上に仕掛けて罠にする
 ・オブジェクトに仕掛けて破壊する
 ・爆風を利用して大きくジャンプする

 といった利用法が考えられる。
 大抵はオブジェをどかす発破役として活躍することになるだろうが、耐久力のあるボス戦では一撃必殺の武器として、また非常に特殊なケースでは高高度を一気に移動する手段としても活躍するのである。

 さて、本作には破壊可能なオブジェクトが多数登場する。
 と、同時に、破壊行為によって強引に解決する仕掛けも存在している。
 極端な例としては、最初のステージに登場する「電力制御室」に侵入する場合。
 スマートな解答としては「カードキーで扉のロックを解除する」となるのだが、実は扉の横には窓ガラスが見えている。
 そう。「ガラスを撃ち抜いて窓から侵入する」という珍解答もアリなのである。

 こういった謎の解き方には「CP(クリアポイント)」という評価点が設定されており、これが全ステージで一定以上になるとゲームクリア後に隠しゲームが解放される。
 アイテムを使用すると減点、オブジェを破壊すると加点、仕掛けを作動させるとボーナス、などするので、手数の少ないスマートな方法ほど高評価につながりやすいという設計だ。
 初プレイ時に無理に意識する必要は薄いが、再プレイ時はよりスマートな方法、よりおバカな方法、など新たな解き方を模索する楽しみがあることだろう。


・ゲームバランス

 と、謎解きに関して自由度の高い本作だが、謎解きに失敗するとあっけなく即死するという困ったバランスは前作から変わっていない。
 高所から落下して転落死、電流に接触して感電死、自爆に巻き込まれて爆死、ドリルに巻き込まれて轢死、溶岩に落ちて焼死、底なし沼に呑まれて溺死、ミニゲームに失敗して別室行き、等々キリがない。
 その死にっぷりは某H○Fかと思うほど非常に心臓に悪いので、その辺は良く覚悟しておいた方がいいだろう。

 しかし、本作最大の難点はそこではない。
 というのも、本作はこのように即死が多く、エピソード毎の評価システムを採用しているというのに一切イベントをスキップできないのである。
 ほぼどこでもセーブ可能、死亡時はエリア侵入時からコンテニュー可能(ただし減点有り)、詰まり防止にステージ開始前まで復帰可能、という親切設計がなされているためまだ救いはあるのだが、事情が有って始めからやり直さざるを得なくなった場合などはイベント消化からステージ開始まで10分、20分、とイベントを眺め続けることとなってしまう。

 フルボイスで表現されたイベントシーンは初めこそ見ごたえがある物の、本作は人物グラフィックが非常に粗いため何度も見ていると次第に苦痛となってくる。
 どれくらい粗いかと言うと、前作と比較してポリゴン数が半分以下に減らされ顔の凹凸がほとんど省略されているくらい、と言ったところ。
 例えとしては少々不適切だが、前作をG.I.ジョーとすると本作はキューブリックあたりだろうか。
 特に一部のモブキャラクターに関しては顔のテクスチャ自体用意されていないのっぺらぼう状態であり、粗いを通り越してなんとも不気味な有様となっている。


・まとめ

 前作の世界観を継承しつつスケールを広げ、ゲーム内容において欠点とされた部分を一から作り直した本作。
 操作性・自由度共に前作よりはるかに高く、プレイヤーが直感的に思いついた攻略法がそのまま通用する「WAS」システムが大きな魅力となっている。
 その分前作のホラー映画の様な雰囲気は薄れてしまったが、ストーリー自体はアクション映画風でメリハリがある。
 キャラクターグラフィックや即死トラップ、イベントスキップ不可などで減点しても十分遊べる内容だろう。

 前作のファン、自由度の高さが好きな人、爆破に快感を覚える人、アクション映画の好きな人、などにオススメの一本である。


・ワンポイント攻略

 ・ステージ中のアイテムはなるべく回収しておくこと。ほとんどの武器やブーツはタダで手に入るぞ。
 ・ラズの店から左に2画面移動した十字路には「サイバーオタッキー」なるクイズ野郎がいる。エピソード毎にアイテムをもらえるので要チェック。
 ・アイテムはボムなどの爆発で消滅してしまうことも。破壊活動は繊細に。
 ・ラズの店で重力コントローラのスイッチを入れておけば若干CPの節約になる。こまめにチェック。





・関連作品

オーバーブラッド前作。ラズが主人公の3Dアクションアドベンチャー。
ゲーム性こそ大きく異なるが、プレイしておくと本作に仕込まれたオマージュにニヤリと来る。
・「FallOut」シリーズ米Interplay Entertainment社、後にBethesda Softworks社からリリースされている、核戦争後のアメリカ世界を舞台にしたアクションアドベンチャーシリーズ。
本作と直接の関係はないが、「ポストアポカリプス」物としての退廃的な世界観や、多彩なスキルLvによって行動の選択肢を増やすというシステムの自由度など、ゲームとしての魅力に共通した部分が多い。


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