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ページ公開:2012/03/27


P.N.03ピーエヌ スリー


プラットフォームゲームキューブ
開発カプコン
発売カプコン
発売年月日2003年 3月
ジャンルシューティングACT.
プレイ人数1人
セーブデータ5ブロック、5ファイルまで


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
シューティング寄り 淡白 無機質・美麗 単調 死にゲー 尻ゲー





・ゲーム概要

 当時ヒットしていた「デビル・メイ・クライ」シリーズの流れを汲む、「スタイリッシュさ」を押し出したカプコンのシューティングアクションゲーム。
 「クールにかわして、ハードに撃て。」という宣伝文句に表されるように、敵の攻撃を軽やかに避け、スキを付いて反撃する・・・というシューティング的な面白さを持つ一本だ。

 が、同時に、ストーリーといい、グラフィックといい、全体的に内容が希薄であり、オマケとして「ビューティフルジョー」のPVが収録されているなど、実験的なニュアンスを受けるのが残念な一本である。


・説明書

 先ず、このゲームを手にとって真っ先に驚くのが説明書の薄さである。
 全14ページ、うち取り扱い上の注意と目次を除けばゲームについて説明しているのはわずか7ページしかない。
 そのうえ「コントローラーの使い方」が見開きだったり、ストーリー&人物紹介で1ページ使っていたりするので、そのページ数でさえ内容が薄めなのである。
 (まぁ、上には上がいるのだが。

 それでゲーム内容を説明出来ているならばまだいいものを、ゲームの目的については「ミッション」や「敵キャラ」程度の単語しか与えられず、後は「ロックオン」、「エナジードライブ」、「コンボシステム」といった操作系システムの紹介に終始してしまっている。
 いや、切り札である「エナジードライブ」をプッシュしたいのはわかるが、せめて「通常攻撃は何か」とか「ステージ中で何をすればいいのか」とか、そもそも「エナジードライブって何なのか」くらいは説明して欲しいものである。

 さて次は、その説明書から「プロローグ」と「人物紹介」を抜粋してみよう。


・プロローグ

 コンピュータ兵器管理システム(Computer Arms Mnagement System)
 「CAMS(カムス)」の暴走によって惑星植民地は戦場となる。
 クライアントからの依頼を受けたのは、
 VANESSA Z. SCHNEIDER(ヴァネッサ・ズィー・シュナイダー)。


・人物紹介

 VANESSA Z. SCHNEIDERヴァネッサ・ズィー・シュナイダー

 今回の依頼を受けた、特殊部隊出身の女傭兵。
 家族をCAMSに殺された過去を持ち、
 CAMSに憎しみを抱いている。


 ・・・以上が全文である。
 なんともプレイヤーを置いてけぼりにする気マンマンだ。

 なお人物としてはこのほかに細かい作戦目標などを指示する「クライアント」なる人物がおり、彼女とのシニカルなやり取りが作中ほぼ唯一の会話であると同時に見所の一つとなっている。


・システム

 さて本作のシステムについてだが、概要としては「敵味方共に射撃を中心として戦う3Dアクションゲーム」といったものであり、一見した印象は「3Dにしたロックマン(≠DASH)」あたりに近い。
 が、「シューティングACT.」を名乗るだけあって実際の内容は「アクション」より「シューティング」と呼ぶに相応しい物となっている。
 というのも、主人公がすっごい紙装甲であるためだ。
 どれぐらい紙かといえば、物にもよるが1ステージ目・初期状態でザコの通常弾1発で体力の1/3が持っていかれるぐらい、と言えば伝わるだろうか。
 そのためゲーム中では1回のイージーミスさえ命取りになりかねず、常に回避へと全神経を集中させ、位置取りや反撃のタイミングをうかがう必要がある・・・という、シューティングらしい攻略が求められているのである。

 具体的な内容を見てみると、ゲームを構成する各ミッション(ステージ)はいくつかの「ROOM(部屋)」に区切られており、「ROOM」は敵を捌きつつ出口に到達することでクリアとなる。次から次へと「ROOM」を移動し、最後に待つボスキャラクターを撃破すればミッションクリア、と言うわけだ。
 (「ROOM」をノーダメージで切り抜けるとボーナス点が入るなど、「ディノクライシス2」がシステム的に近い。)

 ヴァネッサの操作は背後視点からの「バイオハザード」系ラジコン操作をもとに、左右へのステップ、ジャンプ、しゃがみを加えたもの。
 左右にレバーを倒してもその場で旋回するのみであるため、敵の攻撃はタイミングを合わせて「L」、「R」のステップによって回避してゆくのが基本となるわけだ。
 ギリギリまで攻撃をひきつけ、当たるかどうかの瞬間にステップでさらりと回避する。この繰り返しがなかなか病み付きになる。
 (逆に、走り回ったり跳び回ったりといったアクション色の薄さにもつながっているが。)

 また攻撃面は通常攻撃(ショット)である「パームショット」と特殊攻撃(ボム)に当たる「エナジードライブ」からなる。
 「パームショット」は選択した「イージススーツ」(機体)によって2つに大別できるが、まぁ特筆すべきことも無い通常弾である。
 視界内に侵入した敵は自動的に「ロックオン」される仕様のため、とりあえず撃っときゃ当たるぐらいの認識で構わない。
 「エナジードライブ」は使用回数に制限のある特殊攻撃で、強力な攻撃を放つのと同時に短時間無敵となるといういわゆる「ボム」だ。
 具体的にいくつかピックアップすると、

 →←A:SWAN(スワン)。くるりと一回転した後両腕を広げ、4本のホーミングレーザーを射出する。
 →↓A:FALCON(ファルコン)。前後左右にレーザーを照射しながら回転し、周囲の敵を一掃する。
 ↓↑A:PEGASUS(ペガサス)。回転した後上半身を大きく後ろにそらし、両手から強力なレーザーを照射する。

 といった物があり、「イージススーツ」によって2〜3種類が用意されている。
 エナジードライブ発動の際の大胆なアクションが本作の見所の一つであり、PVなどもこれを連発してばっかなのだが、なにぶん回数制限が厳しいので使いどころは良く見極めたいところだ。
 その分、敵に囲まれた危機的状況を一気にひっくり返す爽快感もかなりの物である。

 ・・・と、攻撃面では「イージススーツ」なる存在が重要になってくる。
 戦闘用の強化服であり、耐久力や攻撃力を決定する「イージススーツ」はシューティングゲームで言うところの「機体」に当たる重要な要素だ。
 次はその「イージススーツ」について見てみるとしよう。


・イージススーツ

 イージススーツには、
 平均力重視の「FUSION(フュージョン)」、
 攻撃力重視の「BLAZER(ブレイザー)」、
 防御力重視の「GUARDIAN(ガーディアン)」、
 の3タイプと、
 「PRIMA(プリマ)」、「INTERA(インテラ)」、「ULTRA(ウルトラ)」、の3つのグレードからなる9種類+2が存在している。

 それぞれのスーツは、
 防御力を決定する「BARRIER(バリアー)」、
 通常弾の威力を決定する「PALM SHOT(パームショット)」、
 オート連射の能力を付加する「AUTOMATIC(オートマチック)」、
 エナジードライブの使用量を決定する「ENERGY(エナジー)」、
 そして使用可能な「ENERGY DRIVE(エナジードライブ)」、
 といった点で性能が異なり、ミッション中に得られる「ポイント」を消費して強化することでその真価を発揮してゆく。

 こういった性能から自分に合ったスーツを選択するのが重要なわけだが、選択の際にはそのデザインにも注目したい。
 それぞれ基本デザインは共通の物であるのだが、配色によってその印象をがらりと変えてあるのである。
 例えばパッケージにも描かれる基本スーツ「プリマ フュージョン」は白と黒を基調にしたクールで無機質なカラーリングで、その強化版である「インテラ フュージョン」は白黒の配色を反転させて強化版であることを表現している。
 攻撃型の「インテラ ブレイザー」は鮮やかな赤と黒の攻撃的なカラーリングで、防御型「インテラ ガーディアン」の青と白に対比させている・・・など。

 またスーツごとのグラフィックについては、オート連射機能の有無によって通常攻撃時のポーズが変化する、という点もユニークだ。
 通常のスーツが片手を突き出してリズムを取るようなポーズであるのに対して、オート連射機能付きのスーツは悩ましげに腰を振るセクシーなポーズに変化する。
 これをことさらに強調するかのごとく、イージススーツの臀部はスーツを構成する3色のパーツがフルに使用された贅沢なつくりとなっており、その配色パターンは実に多彩。
 さらに「しゃがみ」のポーズも四つんばいになってお尻を突き出すという任天堂ハードギリギリ アウト! なものを用意してあるなど、なんともアレなこだわりを感じるデザインがまた本作の見所の一つとなっているのである。


・まとめ

 せめて「エナジードライブ」が回数制でなくチャージ攻撃か何かであれば・・・。とか、もっとストーリーを語る場を用意していれば・・・。とか、さまざまな部分に追求の余地がある、なんとももったいない内容の本作。
 そのスタイリッシュさやハードな内容はコアなアクションゲーマーにオススメしたいものだが、アクション自体は避けてばかりと単調なのでやや厳しいだろうか。
 それを踏まえれば、ヴァネッサのキャラクターに魅力を感じる人、近未来機械兵器との射撃戦に燃える人、あとXXXな人で、アクションもいけるシューターに興味を持って欲しい一本だ。


・ワンポイント攻略

 ・エナジードライブのコマンドは左右が固定されている。「→←A」は「←→A」では発動しないので注意。
 ・最初に購入できる2つのスーツ、「プリマ ブレイザー」と「プリマ ガーディアン」。耐久力に優れ、オート連射機能のある「ガーディアン」の方が扱いやすいが、ミッション4から上位の「インテラ〜」が購入できるのでここはガマンしよう。
 ・どうしても攻略できないときはエナジードライブ「TENGU」を使うとだいぶ楽になる・・・ハズ。

 ・隠しスーツは2種類。1つ目はほぼ無敵の強さを誇るので、とりあえずこれの入手を目的に1周クリアしてみよう。





・関連作品

・ビューティフルジョー本作にPVを収録。カプコンのスタイリッシュシリーズの一つ。
ゼルダの伝説 風のタクトおまけディスクに本作の開発中PVが収録されている。らしい。(未確認)


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