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ページ公開:2016/04/26


DINO CRISISディノクライシス2


プラットフォームプレイステーション
開発カプコン
発売カプコン
発売年月日2000年 9月
ジャンルアクションアドベンチャー
プレイ人数1人 (ミニゲーム「ディノ・デュエル」は2人対戦可能)
セーブデータ1つ1ブロック


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
ハンティングアクション アクション映画調 多彩なシチュエーションが登場 迫力あり 狩り中心 ミニゲームで恐竜が操作可能





※※今回のレビューはやや多めのネタバレを含みます※※


・ゲーム概要

 カプコンの代表作の一つで、「バイオハザード」シリーズとサバイバルホラーの対を成すゲームとして開発された「ディノクライシス」の続編にあたるアクションアドベンチャー。
 とはいえ限られた物資をやりくりしていかに怪物や恐竜から生き延びるか、というゲームバランスであったバイオや前作とは異なり、本作は恐竜を倒すことで積極的に資金を獲得しガンガン武器を強化して行くというハンティングアクション的な内容に改められている。
 ストーリー面もボートやジープでの移動シーンを含んだ開放的・流動的な内容となっており、相乗効果的にホラー映画よりもアクション映画に寄った一本だと言えるだろうか。


・ハンティングアクション

 本作は敵キャラクターとして登場する「恐竜」を撃退する事で「バイタルクレジット」という資金を得る事が出来、各地に存在するセーブ端末からショップを呼びだして武器や弾薬、回復アイテムなどを購入できるというシステムがある。
 バイタルクレジットは恐竜一体につきいくら、と定められているほか、短時間に連続して敵を倒す「コンボ」や敵の攻撃モーションに先んじて攻撃を当てる「カウンター」、一つのマップ内で被弾無く一定の敵を狩る「ノーダメージ」という評価の概念があり、これらに応じてさらにボーナスのスコアが加算されることとなる。
 また本作の「恐竜」は一部を除いてマップを切り替えるごとに無限に復活するため稼ぎの効率が良い「狩り場」が存在するなど、本作は敵を倒せば倒すほど有利になる設計となっているわけである。
 使用回数に制限の無い補助武器「マチェット」、ダッシュしながら武器を撃てる「走り撃ち」、敵から素早く距離を取る「ステップ」、と爽快感を高めるアクションも充実しており、本作のプレイ感は前作やバイオとは根本的に異なる物だと言えるだろう。

 もちろん、戦闘の楽しみを構成する武器と敵キャラクターは前作からグンと数が増えている。
 新要素をいくつか紹介すると、

 武器では
 その場に光のエネルギー球を設置し触れた相手に大ダメージを与える「ソリッドキャノン」、
 二丁一組で使用し複数の敵に対応できる「サブマシンガン」、
 足元に火炎ビンを投げて接近する相手への防御壁を作る「ファイアーウォール」、
 構えている間に移動できないが非常に高い攻撃力を持ち一部の敵の防御力を無視する「対戦車ライフル」、

 といったものがあり、また敵キャラクターも
 小型で素早く毒液を飛ばす個体も居る「オビラプトル」、
 T-レックスほどの体力は無いものの機動力が高く攻撃を受け続けると激昂する事がある「アロサウルス」、
 水辺のマップで出現する首長竜「プレシオサウルス」、
 恐竜たちより古代に存在していた哺乳類型爬虫類の一種「イノストランケビア」、

 など個性に富む。
 また、本作はこうした多彩な恐竜が登場する通り広い範囲を舞台にした内容であり、恐竜たちとの戦闘はジャングルの中、洞窟の中、人工の建造物の中、と場所を選ばず繰り広げられることとなる。
 武器・敵・地形、のバリエーションはそれぞれの組み合わせによってさらに強い新鮮味をかきたて、またその状況に対してどう対処するか、どれほど効率の良い「狩り」が行えるか、という判断を行って行くうちに、本作の「戦闘」は回避するよりむしろ積極的にこなしたい楽しみとして映ってゆく事だろう。

 なお、離れた土地を移動する場面で挟まれるボートやジープによる移動シーンは、備えつけの機銃を利用して恐竜を撃退するミニゲームとして描かれる。
 セガのゲーム版ジュラシックパーク(1993年)を彷彿とさせるところだろうか、こういったミニゲームもまた「バイタルクレジット」を報酬として変形的な「戦闘」という楽しみに位置付けられていると言える。


・ストーリー

 「サードエナジー」。それは化石燃料、核燃料、に続く第三のエネルギー源として開発された夢のクリーンエネルギーである。
 空気中の分子に刺激を加えて連鎖的な反応を促し、理論上半永久的にエネルギーを得られるこの技術はコントロールさえできれば正に理想のエネルギーとなるものであった。
 ・・・そう、コントロールさえできれば。
 現代の技術では一度反応を始めたサードエナジーを抑えることが出来ず、容量を越えて生みだされたエネルギーはたやすく暴走してしまうのである。

 1年前、某国によってサードエナジー研究の第一人者「カーク博士」を奪還する作戦が展開された折にも、作戦の舞台となった研究所の周辺ではサードエナジーの暴走によって時空間が歪曲し白亜紀の恐竜たちが現れるという異常事態が繰り広げられていた。
 件の作戦は「レジーナ」らエージェントの活躍によって遂行され、研究データと共に暴走の報告が持ち帰られたものの、サードエナジー研究は凍結されるどころかより一層活発化することとなり、やがて開発都市「エドワード・シティ」が建設されることとなったのだった。

 しかし、結局サードエナジーの暴走は再び起こることとなる。
 それも「エドワード・シティ」全体が時空間の歪曲に飲み込まれ、かつてシティがあった空間に白亜紀の恐竜たちが闊歩するジャングルが現れるという極めて大規模な暴走である。
 これに対して政府はエドワード・シティの研究成果の一つである時空転移装置(タイムゲート)を用いて転移したシティを追跡し、シティの生存者の救出とサードエナジーの研究データの回収を行うという大規模な作戦を展開した。
 作戦のメンバーは「ディラン・モートン」ら陸軍の特殊部隊「TRAT」で構成されることとなったが、その中には一人、情報機関のエージェントである「レジーナ」の姿があった・・・。


・キャラクター

 ・ディラン・モートン
 本作の主人公の一人。陸軍の特殊部隊「TRAT」の一員として今回の作戦に参加した。
 肉体的にも精神的にもタフネスに長ける人物であり、時空転移後のT-レックスの奇襲を切り抜けた後には素早く作戦の続行を開始した。
 ただ、そのタフネスさの裏にはかつて自分の行いのツケとして愛する家族を失ってしまったという過去があり、現在もその事で自分を苛んでいるという。
 戦闘面では、ショットガンや対戦車ライフルなど一撃のダメージが高い武器を得意とする重火器タイプ。
 作中に登場するT-レックスに執念深く狙われており、ストーリー中では大型の恐竜と交戦する機会が多い。

 ・レジーナ
 本作の主人公の一人。TRATから分離した情報機関「S.O.R.T.」のエージェント。
 前作の「カーク博士奪還作戦」にて恐竜に襲撃される極限状況から生還した経験と能力を買われて今回の作戦に特別に抜擢された。
 戦闘面では、ハンドガンやサブマシンガンなど連射力の高い武器を運用する高機動タイプ。
 また「ラージスタンガン」というサブ武器を持ち、ストーリー中ではこれを利用した謎解きや特殊な状況下での戦闘の機会が多い。

 ・デビッド・フォーク
 ディランと同じく「TRAT」のメンバー。
 カウボーイハットを愛用する陽気なムードメーカーながら、時空転移後のT-レックスの奇襲に対してロケットランチャーで反撃を行い離脱の機会を作るなど確かな戦闘力も備える人物。
 特にマシンの操縦とサバイバルの知識に関しては、趣味が入っている部分もあるのか部隊内でも特に長けているようだ。

 ・ティラノサウルス・レックス
 時空転移して間もないディラン達を襲撃し部隊を半壊させた個体。
 この際にデビッドの反撃によって片目を失い、以降ディラン達を執念深く追跡し各地で交戦を繰り返す宿敵の関係となる。

 ・謎の生存者たち
 作戦を進めるディランたちの前に現れる生存者の集団。
 しかしフルフェイスのヘルメットで顔を隠し救助に訪れたディランたちに逆に攻撃を加えるなど不可解な行動を取っており、その正体はディランたちでもシティの人間でもない第三者であると推察されることとなる。


・エクストラ・クライシス

 また、本作はクリアした後に開放される「エクストラ・クライシス」というゲームモードがある。
 ここでプレイできる内容は二つ。一つはバーチャルな空間で次々に出現する恐竜を倒してゆく「ディノ・コロシアム」だ。
 出現する敵のラインナップは固定で少々バリエーションに乏しいが、「残り体力」、「残り時間」、「攻撃の命中率」、「獲得クレジット」、からなる評価の概念があり、これを突き詰めるという攻略性が用意されている。
 そしてまた、このモードでは使用できるキャラクターが攻略を繰り返す面白みを支えている。

 このモードで使用出来るキャラクターは総勢「12」名。上記のキャラクター紹介を見て分かる通り、本作にはさして人間の登場人物は多くないのだが・・・。
 先ずは、前作からリック、ゲイルがゲスト参戦。ディランやレジーナと所持している武器を分けてそれぞれのキャラクターを成している。
 また本編のミニゲームで操作した「あるもの」がここでも操作できるほか・・・。
 なんと、このモードでは本編で敵キャラクターであった「恐竜」たちを操作して戦う事が出来るのである
 ラプトルやT-レックスはもちろん、イロモノのイノストランケピアやミニゲーム専用のトリケラトプス、果てはコンピーまでもが使用可能キャラクターとして並んでいる。
 それぞれの恐竜には通常の攻撃のほかにボタンの組み合わせによって発動する「コマンド技」、HPが危険域に到達したときのみ使える「特殊技」、が用意されており、また異なる攻撃を連続して繰り出すことで前の攻撃の硬直をキャンセルできる「チェーンコンボ」という概念も存在する。
 依然バイオ系のラジコン操作であるためややとっつきづらい面もあるのだが、カプコンの格闘ゲーム分野を彷彿とさせニヤリと来る設計だろう。

 そして、この格闘ゲーム調の設計を活かしたもう一つのモードが「ディノ・デュエル」である。
 こちらは恐竜キャラクター専用のモードで、2人のプレイヤーがそれぞれ任意の恐竜を選択して対戦を行う、というもの。
 「ガード」の概念が無くキャラクターバランスはお世辞にもいいとは言えないが、恐竜を操作して戦うという楽しみを大勢で味わうのはなかなか盛り上がる事だろう。
 これらキャラクターは本編クリア時にそれまでで獲得したバイタルクレジットに応じて購入しアンロックして行く設計であるため、このモードがまた本編で周回を繰り返し「狩り」を行う事の目標に据えられると言える。


・まとめ

 と、こと「戦闘」関連におけるバリエーションが豊富で、食傷感無く繰り返し爽快感を楽しんで行ける本作。
 土地の移動シーンがある通りストーリー展開のテンポも軽快で、恐竜が好きな人、アクション映画が好きな人、トリガーハッピーな人、にはぜひチェックしてほしい良作だ。

 ただ、一点、ネタばらしになるのだが本作のラストボスは因縁のある隻眼のT-レックスではなく、その後にぽっと登場した新恐竜となってしまっているという点はどうにも解せない
 映画「ジュラシックパーク3(2001年)」でもT-レックスを噛ませ役として描いた事が批判点となったが、本作の場合はさらに特別な個体として存在感を出したT-レックスがむげに扱われる事、件の新恐竜のフォルムがT-レックスとさほど変わらず攻撃アクションに大きな変化が無い事、とより多くの問題点が感じられる
 この点はストーリーと戦闘の両面で本作のクライマックスを削いでしまった感があり、なんとも口惜しい。

 また繰り返す通り前作やバイオと異なりホラーゲームとしての雰囲気はほとんど無いので、この点もよく留意されたい。





・関連作品

ディノクライシス前作。だが本作とは大きく内容が異なり、限られた物資で恐竜から逃げ惑うサバイバルホラーであった。
・ガンサバイバー3 ディノクライシス「バイオハザード ガンサバイバー」の第3作。外伝的にディノクライシスが舞台となった。
・ディノクライシス3続へ・・・ん?レジーナはおろか実在の恐竜(というのも変だが)も登場しない異色作。
・ナムコクロスカプコンナムコとカプコンのクロスオーバー作。登場ユニットの一人として、レジーナが「ガンサバイバー4」に登場する鳳鈴とタッグを組んでいる。


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