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ページ公開:2011/11/08


POWER STONE(パワーストーン)


プラットフォームアーケード
ドリームキャスト
開発カプコン
発売カプコン
発売年月日1999年 2月
ジャンル対戦活劇
プレイ人数1〜2人
セーブデータシステム:4ブロック
ミニゲーム:128ブロック


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
自由度満点 キャラクターが個性的 丁寧 冒険譚 奥が深い アニメ化あり!
(全26話)





・ゲーム概要

 1999年にカプコンより発売された3Dアクション格闘ゲーム。
 「カンタン操作で何でもできる!」をキャッチコピーとしており、立体的なステージの中で気軽に自由度とスピード感ある対戦を行えるのが魅力的であった。
 ゲームの最たる特徴は3つ集めることで強力な形態に変身できる「パワーストーン」の存在であり、システムにひとひねりを加えているほかキャラクターの個性作りにも一役買っている。
 また、カプコンはゲーム稼動開始からさほど間を置かずにスタジオぴえろ制作のアニメ「パワーストーン」を発表するなど積極的なメディア展開を見せたが・・・そちらは(も?)あまり人気が出なかった模様。

 余談だが、その簡潔なタイトルからビックリするほど検索でヒットさせづらいゲームでもある。


・基本システム

 本作を始めて目に付くのは、立体のステージを縦横無尽に駆け回る自由度、個性的なキャラクター、そして「パワーストーン」の存在だろう。
 キャラクターについてはページの最後で軽く触れるとして、先ずは本ゲームの基本的なシステムについて見てゆくことにしよう。

 本ゲームのルールは「相手の体力を0にし、規定ラウンドを勝ち取る」というシンプルなもの。キャラクターの操作は1レバーと、パンチ、キック、ジャンプの3ボタン制だ。
 プレイヤーは相手をパンチ、キックからなる「コンビネーション」やフィールド上の「アイテム」によって攻撃し対戦することになるわけだが、本ゲームの場合はやや事情が特殊である。
 というのは、相手への攻撃は「相手の体力を0にする」ことより「相手の持つ『パワーストーン』を奪う」ことを目的としたものが中心であるためだ。
 キャラクターは「パワーストーン」を3つ集めることで一定時間変身し、強力な必殺技「パワードライブ」、超必殺技「パワーフュージョン」を使用可能になるほか、ダメージの軽減、ひるみ無効、ヴァイタルソース(回復可能ダメージ)無効、攻撃力アップ、といった強力な特典を得ることができる。
 当然状況は変身した側に圧倒的に有利となるため、両プレイヤーはいかにパワーストーンを集め、変身するか?に腐心することとなるわけである。

 そんな「パワーストーン」はラウンド開始時にお互いが1つづつ持った状態で始まり、ラウンド開始から一定時間が経過すると3つ目が投入される。
 必然的に、自分の1つ、投入された1つ、のほかに相手の持つ1つを奪う必要があるわけだ。
 具体的な方法としては、キャラクターは「コンビネーション」や「アイテム」などによる吹き飛ばし攻撃を受けることでパワーストーンを落とす(というか、飛ばす)ので、相手にそれらの攻撃を加えて放出されたパワーストーンを回収すれば良い。
 もちろん相手もこちらの持つパワーストーンを狙っているから、お互いに間合いを計ったり、奇襲を狙ったり、あるいは強力なアイテムを取り合ったり、といった、熱いパワーストーン争奪戦が繰り広げられることになるわけである。
 このパワーストーン争奪戦こそがプレイヤーの腕が最も問われる部分であり、本ゲームの対戦の醍醐味たる部分だろう。


・ステージとアクション

 そして、そんな対戦の舞台となるのが立体的な構造の「ステージ」の数々だ。
 本ゲームには「ガード」が存在せず、相手の攻撃は移動やジャンプ、回避行動「エスケープ」で回避することとなる。
 と、なれば、ステージの構造を味方につけて効率よく行動したいところ。
 本作のステージは基本として立方体の中に段差や障害物などを配置した箱庭状となっており、それらを利用して縦横無尽に駆け回ることが可能となっているのだ。

 例を挙げると「ロンド」のオープンカフェでは空が開けており、建物の壁を蹴って高くジャンプしたり、ひさしの上を走り回ったり、街灯によじ登って奇襲を仕掛けたりといったことが出来る。
 逆に「東安」の中華料理店では天井にぶら下がって攻撃を回避できたり、店内の机やイスを投げつけて攻撃したりといったことが可能だ。
 なにやら豊富なアクションが登場しているようだが、「投げ」や「つかみ」など大抵のことはパンチ、キック同時押しの「特殊操作」で行なえる簡単操作なので心配は無用である。
 このように立体的で個性的なステージがキャラクターと同数、全10キャラ分用意されているため、見た目も楽しく、ステージを変えるだけでも新鮮味ある対戦が楽しめるはずである。


・対戦 Lv1 [◇◇]

 で、実際に対戦を始めるとどういう内容になるだろうか?
 初心者は先ずこう思うことだろう。ジャンプキック強すぎ、と。
 というのは、ジャンプキックの性能が

・コマンドが簡単(ジャンプ中にキック)
・自由にタイミング調整が可能(空中ならいつでもOK)
・範囲が広い(斜め前方へ滑るように突進)
・当たりやすい(自動的に相手を向く、速い)
・パワーストーンを奪える(吹き飛ばし効果あり)

 と、異常に扱いやすいためである。
 ダメージは毛ほどしかないのだが、とにかくジャンプキックを連発してパワーストーンを入手、変身してしまえばこちらのもの。
 強力なパワードライブ(以下PD)を連発して相手を追い詰め、変身が切れそうな頃合に超必殺技パワーフュージョン(以下PF)の広範囲攻撃を当ててゆけばいい。
 繰り返しになるが本作に「ガード」は無いため、回避方法のわからない初心者は喰らうに任せるのみとなってしまうだろう。
 CPU戦もほぼこれ一本で勝ち進めるため、初心者同士の対戦はとにかくジャンプ、ジャンプ、ジャンプキック、変身、逃げ、PD、逃げ、PF・・・の実にしょっぱい試合展開になりがちだ。
 ここで本ゲームに見切りをつけてやめてしまうプレイヤーもいるようだが、いやいや。本ゲームの対戦はそんな底の浅い物ではないのである。


・対戦 Lv2 [◇]

 ジャンプキック合戦に嫌気が差したプレイヤーは、どうにかしてジャンプキックの弱点を探すことだろう。
 実は、一見無敵に思えるジャンプキック連発にもいくつかの弱点があり、中でも致命的な弱点として「垂直落下攻撃」というものが用意されているのだ。
 これはジャンプキックに対するカウンターのようなもので、

・発動条件はジャンプキックと同等(ジャンプ中に特殊操作。回避がそのまま攻撃につながる)
・当てやすい(ジャンプキックに合わせれば相手から技の軌道上に入ってくれる、自動的に位置を調整)
・ダメージが高い(弱めのPD並み、ヴァイタルソース無効)
・パワーストーンを奪える(吹き飛ばしorダウン)

 と、まさにジャンプキック戦法の天敵とさえ呼べる存在なのである。
 ・・・これだと「単にジャンプキックが垂直落下攻撃にすり変わっただけではないのか?」と思われるかもしれない。しかし、こちらはあくまで垂直に落下する技であるため、地上を走る相手の動きに付いてゆくのは不得手という欠点がある。
 なおジャンプキックのほかの弱点として、一直線に飛んでくる相手はアイテム攻撃の良い的であるし、タイミングをあわせて回避方向を入力する「エスケープ」で回避し、着地のスキを攻撃することも出来る。
 ジャンプキックが決して万能ではなく、攻防の1手段に過ぎないのだと知れば、対戦は読み合いの加わったグッと面白い物となって映るはずである。


・対戦 Lv3 []

 ・・・が、今度は「特殊操作」の万能性に気付いてしまうことだろう。
 例えば壁に向かって「特殊操作」を行なうと相手に向かって突進する攻撃が発動する。
 地上だと一直線、空中だと放物線を描いて突進するのだが、当然のようにこの攻撃は相手に向かって角度を調整してくれ、高威力、パワーストーン奪取効果あり、と高性能。
 また相手に接近しての「特殊操作」、「投げ」は空中の相手や変身後の相手にも有効で、ダメージを与えることで相手の変身可能時間を減らす効果もある。相手に変身されたときの行動は逃げ一択ではないわけだ。

 さらに、一部のステージに存在する「柱」や「街灯」に地上の「特殊操作」を行なった場合。
 軽〜中量級のキャラクターは柱を軸に回転した後突進攻撃を行うのだが、重量級のキャラクターはなんと柱を引っこ抜いて振り回し攻撃を行なうのだ。これがまた見た目も豪快でダメージが高く、攻撃範囲も広いと積極的に狙いたくなる技となっている。またこの引っこ抜き攻撃に関しては、変身後はどのキャラクターでも行なうことが可能である。

 ・・・と、攻撃の選択肢は驚くほど豊富だということがお分かりいただけたと思う。
 と、なれば、変身後にPD、PF、一色の攻防を行なうのは芸がない。
 変身した側は、変身後のひるみ無効や攻撃力アップなどに期待して強力な壁攻撃を連発するのもアリだし、接近してプレッシャーをかけ、空中に逃げた相手へ投げを狙うのもアリだ。
 変身された側は、逃げ回ると見せかけて相手の大技を投げに行ったり、距離を取ってアイテムで応戦したり、といった戦法も考えられる。
 当然ほかにも、「あえて変身しない」という作戦もアリである。変身してしまうと相手は攻撃を恐れて距離を取るだろうが、変身せずにパワーストーンをキープし続ければ相手は攻撃しに接近してこざるを得ないのだ。

 ・・・などなど。
 本作「パワーストーン」の対戦はシステムこそ単純であるものの、遊べば遊ぶほど、上達すれば上達するほど、さまざまな闘い方や作戦が見えてくるという、意外にも奥の深い、工夫しがいのあるものとなっているのである。


・エクストラオプション

 また、家庭用の場合はゲームのメインモードである「アーケード」クリア後にさまざまな特典が待っている。
 そのなかでも注目したいのがゲーム内のさまざまな設定を変更できる「エクストラオプション」である。
 これはゲーム中に登場するパワーストーンの個数や変身中のパラメータといった基本システムに変更を加える物で、これを調整するとまるで異なった「パワーストーン」を楽しむことが出来る。
 例えばクリア後に登場する「エクストラアイテム」を「あり」にすれば回復アイテムや盾などが登場してアイテムの応用範囲がグッと上がり、「回復ダメージ」を「なし」にすれば通常攻撃でも致命傷となりかねなくなる。
 通常オプションとの組み合わせも面白く、通常オプションの「ダメージ」を最大、エクストラオプションの「変身中攻撃力」を200%に設定したときのド派手な戦闘は一見の価値有りだ。
 たまには嗜好を変えたローカルルールでの対戦というのもいい物である。こういった「遊び」のあるシステムはなかなかに心憎い。

 あ、エクストラアイテムについてだが、回転式機関銃(ガトリングガン)だけは自粛の方向で。
 絶対だぞ、絶対だからな!


・まとめ

 3D空間を自在に駆け回るアクション格闘ゲーム・・・というのは、ありそうで意外と無い。特に、本作ほど闘いの自由度と駆け引きのスピード感があるものは滅多に。
 ハードこそ「ドリームキャスト」であり、発売された年も「1999年」であるが、現代でも古臭さを感じさせず、新鮮味のある内容は一見の価値ありだ。
 簡単な操作、シンプルなルール、それでいて多彩なアクションや戦略性。
 本作はゲーム初心者から上級者まで広くオススメできる、とっつきやすく、それでいて末永く遊べる一品なのである。


・キャラクター

 最後に、本作に登場するキャラクターを軽く紹介しよう。

 ・フォッカー
 赤を基調とする主人公キャラ。冒険家で、飛行機を模したロボットのような姿に変身する。
 性能はスタンダートだが、全キャラ中2キャラしか使えない「2段ジャンプ」が大きな武器となっている。

 ・あやめ
 旅芸人に扮するくノ一。変身すると巨大な手裏剣を背負ったピンクの忍者姿に。
 最高のスピードと2段ジャンプで相手を翻弄するスピードキャラ。パワー不足は変身でカバーだ。

 ・ワンタン
 「オッス!オイラ、ワンタン!」 スーパーでサイヤ な姿に変身する拳法家。
 フォッカーと対を成すような性能のスタンダートキャラで、こちらはスピードに優れている。2つあるパワーフュージョンはどちらも一見の価値ありだ。

 ・ガンロック
 パワーが持ち味の鉱夫。筋肉質すぎてシルエットがちょっと丸い。岩で出来た巨人に変身する。
 スピードが最低、パワーが最高という典型的パワータイプだが、脅威の腕力は接近戦よりも机やイスを投げつける遠距離戦で大活躍する。

 ・ジャック
 謎に包まれた連続殺人鬼。奇妙な動きが目立つ不気味なキャラだがなぜか萌えキャラとの声が高い?
 性能はいわゆるイロモノ。だが壁や空中を自在に飛びまわる立体的な性能はある意味このゲームの魅力を最も体現している・・・と言えなくもない。
 余談だが、ジャックのステージ「マンチェス」のみが立方体を正面から見た形で作られている(他は角から見た形)。

 ・ガルーダ
 マッスルでパワフルなインディアン。変身すると木彫りのロボットのような姿になる。
 変身後のパワーフュージョン「天空の雄叫び」は一撃必殺の超威力!そのほかの性能もおおむね高い優秀なキャラだ。

 ・ルージュ
 占い的中率200%の妖艶な女占い師。炎を操り、変身後は炎をまとったランプの魔人のような姿に。
 変身後の豊富で強力な技の数々が魅力的なキャラ。変身前もスタンダートな性能で扱いやすいぞ。

 ・リョーマ
 強者との戦いを求めて放浪の旅を続ける武士。銀の鎧武者姿に変身する。
 刀による広い攻撃範囲・リーチは変身後も活躍し、逃げ場のない広範囲攻撃が大きな魅力となっている。


 ・クラーケン
 ガルーダが探す「片腕の男」で、本作のボスキャラその1。海賊船「キングオクトパス」の船長。
 ボスキャラという割にはいまひとつパッとしない性能の持ち主。が、CPUのクラーケンは接近戦が鬼の様に強いので要注意だ。

 ・ヴァルガス
 クラーケンの後に立ちふさがる本作のボスキャラその2。秘密部隊の隊長だそうだが、なぜかアニメでは格闘技のチャンピオンに。
 スピードは平均程度、それ以外は最高クラスというまさに「ボスキャラ」。相手のパワーストーンを一度に2個(実質全部)落とさせるパワーは脅威の一言である。





・関連作品

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