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ZERO DIVIDEゼロディバイド


プラットフォームプレイステーション
開発ZOOM
発売ZOOM
発売年月日1995年 8月
ジャンル3D対戦格闘
プレイ人数1〜2人
セーブデータ1ブロック


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
爽快 サイバーパンク的 キャラクターが強烈 テクノ&ロック 触って楽しい見て楽しい 裏技盛りだくさん





※※※今回のレビューは多めのネタバレを含みます※※※


・ゲーム概要

 プレイステーション黎明期にZOOMからリリースされた3D対戦格闘ゲーム。
 「バーチャファイター」に倣った3ボタン性を採りつつも、「攻性プログラム」と名付けられたキャラクター達のデザインや彼らの装甲が「破損」するダメージシステムなどその内容は一癖も二癖もある個性派マイウェイ。
 一度プレイしたら忘れられなくなるような強烈な構成を、一つ一つの要素に逆コンパイルして行ってみよう。


・”XTAL TOWER” とは

 ”XTAL TOWER”とは、正体不明のハッカー集団により組み上げられた大規模なデータ・ライブラリの名称である。
 以下に、その設置と公開に関する経緯をまとめた文章を引用する。

 時は近未来。高度な電子通信技術の発展に伴い、かつての電話回線の普及の如く世界中の家庭レベルまで浸透し、社会的空間や秩序も形成され始めていた「ネットワーク空間」に、突如“XTAL TOWER(イクストル・タワー)”と名乗る謎のデータライブラリの開設告知が大々的に流れた。
 そこには世界中から集められた各国家の重要機密がコレクションされており、近日「一般公開」するという。
 通常ではアクセス不可能な情報を恐るべき技術力によって持ち去っていったという事実、そして優秀なハッカー集団の存在に各国の情報機関は驚愕した。公開されれば世界中の軍事・経済のバランスは崩壊する…。
 やがて、各国宛に“XTAL”の名で招待メールが届けられた。
 「ライブラリ公開前に、我々の作り上げた攻性プログラムユニットを使ってゲームをしよう。一定時間内に他のユニットを倒し、見事我々の元までたどり着けたら公開は中止。我々も消え去ろう。」
 そんな彼らの提案は、“XTAL TOWER”内部を舞台に、プログラム同志のバトルという形で実行されたのだった…。

 (説明書より抜粋)


・攻性プログラム とは

 攻性プログラムとは、電脳空間上でロボットやモンスターのような形態をとり、他の攻性プログラムと格闘技の応酬をすることで「自分の存在を確立し生き延びてゆく」よう組まれたプログラム群である。

 彼らの対戦は特定の「リング」の上で1対1で対面した状態で行われ、移動および「パンチ」・「キック」・「ガード」の入力によって繰り出される技を用いて格闘する形態。
 キャンセルなどの連続技については少々乏しく、あらかじめ用意されたコンビネーション技を除けば一撃一撃を刺し合う設計だろうか。
 勝敗については相手の体力を0にするか相手をリングアウトさせるかによって先に2本先取した方が勝利する3ラウンド制だ。
 ここまでは人間同士の格闘(例:バーチャファイター)とあまり変わらないオーソドックスな物だが、攻性プログラム達の対戦においては3つほど特徴的な点がある。

 一つ目は、リング際で発生する「ハング」の概念。
 対戦においてはリングから転落すると敗北となるが、押し出される勢いが甘いか、あるいは自分から後退するかするとリングのフチにブラ下がり、復帰や反撃の行動をとる事が出来るという概念である。
 ハングしている側は「通常復帰」で無敵時間を得る、「ジャンプ復帰」で距離を稼ぐ、「中段攻撃復帰」で反撃しつつ復帰する、という選択を採る事が出来、またハングさせている側も「ダウン攻撃」での追撃や、ハング復帰に合わせて大技を合わせる事が可能だ。
 さらには、相手の突進を見越してハングを行う事で勢い余った相手のリングアウトを狙うと言った奇策も考えられ、「ZERO DIVIDE」におけるリング際の攻防には他の3D格闘ゲームとは一味異なる戦略があると言えるだろう。

 二つ目は、攻性プログラム達を構成する「パーツの破壊」の概念。
 攻性プログラム達を構成する「頭」や「上腕」、「胸部」といったパーツには体力とは別に「耐久力」が設定されており、限界を超えたダメージを受けると破損してその部位の防御力が落ちてしまうのだ。
 幸い行動そのものに制限が出る事は無いのだが、この「同じ部位に攻撃を当てることで威力が上昇する」システムは非常に重要だ。
 例えば当てやすく威力の低い小技で有っても積み重ねることで必殺の威力を持つようになり、一方で破損した部位を狙って同じ技を繰り返してしまうとやがて見切られるのは必至、逆に弱った部位をかばうように相手のガードが偏る事を期待して逆の部位に大技を出して奇襲する・・・といった効果が考えられる。
 またこの破損はラウンドをまたいで維持されるため、1ラウンドを先取されてもパーツの破損状況によってはそこから逆転ということも十分ありうるわけだ。
 自分の技が誰のどこにどう当たるのか、キャラクターの性能を把握するほど多くの戦略を編み出せる楽しみがそこにあるだろう。

 というか、小難しい事を抜きにしても自分の得意技を叩き込んで相手のパーツが「バリーン!」と割れる様がなんとも小気味いいのだ。

 そして三つ目は、他でもない攻性プログラム達自身の「デザイン」である。
 この点については、次の項で一体一体の能力と共に詳しく見て行くこととしよう。


・攻性プログラム 紹介

 ・ZERO(ゼロ)
 ファイタータイプとして設計された、人型ロボット状の攻性プログラム。デザイナーは「ALEX」。
 パンチの連打による近距離用コンビネーションとキック系のコマンド技による中距離戦闘を共に得意とするオールラウンダー。
 アッパーカット、かかと落とし、すくい投げ、鉄山靠、と実在の格闘技の技を総合的に取り入れた正統派キャラクターである。 そこ、地味って言うな

 ・TAU(タウ)
 クリーチャータイプとして設計された、サソリロボット状の攻性プログラム。デザイナーは「THOR」。
 四足歩行で大きな尻尾を持つという類を見ないシルエット通り、尻尾を用いたコマンド技のリーチや威力が飛び抜けた中距離戦キャラクター。
 接近戦に持ち込まれてもT・スイングという強力なコマンド技を持ち、豪快にも狡猾にも戦っていける攻撃バリエーションの豊富さが魅力だ。

 ・WILD3(ワイルド3)
 ソルジャータイプとして設計された、銃とナイフを武器にする攻性プログラム。デザイナーは「EXE」。
 ナイフで切り裂く、発砲する、銃でブン殴る、押し飛ばしてガードを崩す、「ワイルド」の名にふさわしくやりたい放題の暴力を体現したキャラクター。
 ただ両手がふさがっている代償としてか至近距離での動作がやや重く、また画面端まで届く飛び道具なんてワイルド3以外はラスボスだって持っていないので意外と立ち回りを考える必要のあるキャラクターである。

 ・IO(イオ)
 ビザールタイプとして設計された、キャットウーマン状の攻性プログラム。デザイナーは「ALEX」。
 しなやかな女性や猫をモチーフにしている通りスピードに長け、返し技や回り込みジャンプといった変則的な技も備えるテクニカルキャラクター。
 その長い脚から繰り出されるキック技のリーチも素晴らしく、ヒット&アウェイやカウンター狙いといった幅広い戦法を可能とする事だろう。

 ・EOS(イオス)
 ジュードータイプとして設計された、ジュードーマスター状の攻性プログラム。デザイナーは「LEONARD」。
 レンゾク・ワザに欠ける反面一発一発の打撃威力が高く、特に中・近距離ではタタミを裂くような上中下の揺さぶりが実際得意。
 しゃがみガードを固めるサンシタを失禁させるゲダン・ナゲや大パンチを振りまわすウカツを爆発四散させるカエシ・ワザもあるスゴイタツジン。

 ・SYGNUS(シグナス)
 ニンジャタイプとして設計された、ロボ・ニンジャ状の攻性プログラム。デザイナーは「LEONARD」。
 片手に持ったニンジャソードによるリーチやフミコミに優れ、バックステップを織り交ぜて相手のウカツをバッサリと切り捨てて行くのがスタイル。
 直立回転して体当たりするニンポー・トケイマワリや相手の背後に回り込むニンポー・ヤシチというジツも持つが、大体は見切られて終わりなのでしめやかに封印すべし。

 ・DRACO(ドラコ)
 ドラゴンタイプとして設計された、ドラゴンロボット状の攻性プログラム。デザイナーは「THOR」。
 タウと同様に尻尾を使った攻撃や、また長い首を用いた攻撃が得意でリーチや出の速さに優れるキャラクター。
 パーツ破壊力の高いブレスや空中コンボにつながる通常投げ、連続で繰り出されるダウン攻撃など、追撃性能が特に高く容赦の無さが持ち味。

 ・NEREID(ネレイド)
 モンスタータイプとして設計された、エイリアンロボット状の攻性プログラム。デザイナーは「THOR」。
 背中から生えた2本の腕と胸のドリルを除けば人型に近いシルエットを持つが、「相手に背を向けながら連続技を繰り出す」、「相手に背中を向けたまま投げ飛ばす」などその行動パターンは極めて異常。
 ガード崩しから繋がるコンビネーションなどその凶暴性には唸る物があるが、下段攻撃に乏しく崩しに難を持つのが弱点だ。


 ・・・と、いずれ劣らぬ個性派ぞろい。
 正統派キャラクターのデザインを手がける「ALEX」、悪役のデザインを得意とする「EXE」、クリーチャーデザインを得意とする「THOR」、間違ったジャパン感全開の「LEONARD」、の4人のデザイナーによるキャラクター達は、実際にそれぞれ別のデザイナーが手掛けたのだろうかと思うような異なる色を発揮してくれている。
 総合格闘家とサソリの怪物、ニンジャと兵士、キャットウーマンとエイリアン、といった組み合わせは、それ自体が上記のようなゲームシステムを抜きにしても本作をオンリーワンたらしめるような特徴となるわけである。


・裏技 ゼロディバイド

 ここまでゲーム内容を見た所で、次はより掘り下げる内容を見て見たい。本作に収録された裏技の数々だ。
 ネタバラシが過ぎるかもしれないが、本作を語る上でその盛りだくさんの内容は決して見逃せないだろう。

 ・カラーセレクト
 本作のキャラクター達は1Pと2Pで形状やテクスチャの内容が若干変化するのだが、それぞれにはさらに8色ずつのカラーバリエーションが用意されているのだ。
 2P側のモデルを選択するにはキャラクターの選択時に「↑」を押しながら決定、カラーバリエーションは一度ゲームをクリアした後に「セレクト」と「□・○・×・△・R1・R2・L1・L2」のいずれかの同時押し。
 黒・赤・ピンク、選択しなければ分からないその豊富なバリエーションを見逃さないようにしよう。

 ・ウォッチモード
 CPU対CPUをじっくりと見学するモード。
 LRの4ボタンと「↓」を押しながら対戦モードを決定すると突入する。
 使った事の無いキャラクター同士を戦わせてコツをつかむといった具合に利用しよう。

 ・ステージセレクト
 対戦モードで選ばれるステージを、キャラクターに関わらず自由に選択する機能。
 これを利用するには2通りの方法があり、一つは「ラスボス・隠しボスが使用可能な状態で『5秒』の勝利記録を出す」事、もう一つは「30時間対戦する」事。
 どちらが楽かは判断にゆだねるが、どちらにせよ長い道のりである。

 ・ZULU(ズール)
 本作の表向きのラスボス、XTALタワーの頂上に待ち構える攻性プログラム「ZULU」が使用可能になるという物。
 条件は難易度やコンテニューに関係なく表8キャラでクリア。ZULU自体の性能も人間型の4キャラクターのコンパチなのでちょうどいい条件だろう。
 派手な外見に似合わず大技やコンビネーションはあまり無く、キック系のコマンド技で中距離くらいからチクチク刺してゆくのに適したシグナスやイオに近いキャラクター性と言ったところだろうか。

 ・XTAL(イクストル)
 XTALタワーの管理用プログラムにして本作の真のラスボス。
 使用条件と乱入条件はほぼ同様で、難易度ノーマル以上でノーコンテニュークリアすればその姿を目にする事が出来る。
 ZULUがALEXとLEONARDの手によるデザインだったとすればこちらはEXEとTHORによるデザインなのだろうか、そのあまりに異質な姿と強さには手こずると思われるが意地でも勝利し使用可能として見せたい。

 ・NECO(ネコ)
 ZOOMのマスコットキャラクター、NECO。
 ・・・が、本作では使用可能キャラクターとして大暴れ!
 丸々とした外見に短い手足、どう見ても格闘には不向きなのだがその戦闘力はXTALに勝るとも劣らない恐ろしさだ。
 乱入条件は「24時間対戦した状態で、1/256の確率でランダムに出現」と「XTALを使用可能にした状態で、XTALのステージをLRの4ボタンを同時押ししながら選択する」の2つ。
 使用条件は、上記の隠しキャラ2体でのクリアだ。

 ・D.デジタルN.ネコM.マンガ
 上記NECOを主人公としたオマケマンガ。
 難易度イージーでノーミス(ダメージを受けてもいいが、1ラウンドも取られない)でクリアしたデータで、「2PコントローラーでLRの4ボタンとスタート・セレクトを同時しながらオプションを選択」で見る事が出来る。
 こうした全力の悪ふざけがZOOMの持ち味なのだろう、たぶん。

 ・タイニーファランクス
 X68000でリリースされたシューティングゲーム、「ファランクス」。
 本作はその縮小版を「タイニーファランクス」として収録しているのである。
 そのプレイ条件は「2P側コントローラーのスタート、セレクトを電源を入れてから押しっぱなしにする」。
 全3ステージだがオリジナルのファランクスに無い「オートスローダウンシステム」という機能を導入しており、画面内の弾の数が多くなると処理落ちのようにゲームスピードをダウンさせる事が出来る。
 もちろんこの機能はオフにすることもできるので、処理落ちそのものでは全く無いようだ。

 またこのタイニーファランクス内にも一周クリアする事で無敵やステージセレクトの裏コマンドが有効になるという、裏技の裏技が仕込まれている一面がある。
 「ZERO DIVIDE」本編が一切からまない内容ながらこのボリューム、こうした全力の悪ふざけがZOOMの持ち味なのだろう、たぶん。

 ・そして最後の・・・
 対戦時間が200時間を超えてからオプションに入ると何かが起こる・・・らしい。
 恥ずかしながら実際に何が起きるかは未確認で、ただ「一度限りのイベント」ということだけが明かされている。
 バックアップを取ってから目にしてみたいものである。


・まとめ

 システムそのものは比較的オーソドックスだが、「パーツ破壊」の概念と、個性豊かなキャラクター達によって明快で独特な魅力が得られている本作。
 隠しキャラクターの強さや1PモードのAIの強さが厳しい感はあるが、触って楽しい見て楽しい、多人数でプレイする格闘ゲームの模範解答となるような良作である。





・関連作品

・ゼロディバイド2続編。壁のあるリングや「ABモード」という新システムを導入した。
が、最大の変更点はグラフィックと各キャラクターの個性に磨きがかかった事であろう。
・ゼロディバイド ファイナルコンフリクト続編。セガサターンにプラットフォームを移した最終作だが、システムはともかくキャラデザが全体的に原形を留めていない
・「ファイティングバイパーズ」シリーズアーマーを付けた若者たちが格闘する「ナッツクラック」という競技大会を描いた、セガのもう一つの3D格闘ゲームシリーズ。
アーマーの破損の概念や操作系において共通点を持つ。
・アームド・ファイターアーマーを付けた近未来の格闘家たちの戦いを描いた、バンプレストの3D格闘ゲーム。
飛び道具などの必殺技も取り入れているが、意欲的というよりは迷走した感があるか。
・餓狼伝 Breakblow Fist or Twist夢枕獏の原作小説を板垣恵介が漫画化した「餓狼伝」のゲーム化第2段。
色々とシステムの独特な内容で、その一つに体の各部位に蓄積し被ダメージに影響する「肉体ダメージ」の概念がある。


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