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KILLING ZONEキリングゾーン


プラットフォームプレイステーション
開発ナグザットソフト
発売ナグザットソフト
発売年月日1996年 3月
ジャンル格闘アクション+育成シミュレーション
プレイ人数1〜2人 (対戦可能)
セーブデータなし (セーブ機能が無い)


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
シンプル ほぼ無し 没個性的 迫力あり 厳しめ 音楽CDとして再生可能





・ゲーム概要

 プレイステーション初期に発売された格闘ゲーム。
 狼男やフランケンシュタインの怪物といったモンスターを操作して闘いを繰り広げる内容で、育成シミュレーションの要素を取り入れたという「オートモード」を目玉とする一本。
 「格闘変化かくとうへんげ」、「闘えば闘うほどキャラクターの能力がアップする、超進化格闘ゲーム」といったキャッチコピーを目玉をしているが、メモリーカードに未対応である辺りには少々嫌な予感がしなくもない・・・?

 なお操作キャラクターが怪物という点は「ヴァンパイア」シリーズを連想させるが、こちらはより原典に忠実なデザインを特徴としている。
 特徴というか、要はほとんどひねりがないということなのでキャラクターの魅力に関しては比べるべくも無いのだが。


・対戦システム

 本作の対戦部分はいたってシンプルな3D格闘ゲームとなっている。
 弱強パンチ・キックに、ガードボタンと手前・奥への軸移動を加えた7ボタン制。
 超必殺技やガードゲージなどは無く、飛び道具系必殺技も無いという肉体派である。
 登場キャラクターは「7種14体」などと紹介されているが、名前と色の異なる2Pキャラクターを別にカウントしているだけなのでこれは単純に7体と思ってよいだろう。
 1人用モードのラスボスも同キャラ対戦となっているので、ボリュームについては少々物足りないところだろうか。

 さて実際にプレイしてみると軸移動の軽快さが快適なものの、キャラクターの動きが全体的に粗くカメラワークも激しすぎるきらいがある。
 スピード感がある・・・というよりは挙動の不自然さの方が目立っており、操作ミスや判断ミスの原因となりかねない。
 特にリングの端から端まで一瞬で駆け抜けるダッシュ、連続してズームインを行う投げ時のカメラワーク、はなんともプレイヤーに優しくないものである。

 ・・・ところで、「闘えば闘うほどキャラクターの能力がアップする、超進化格闘ゲーム」なる要素はどうだろうか?
 実のところ、通常の対戦モードに育成要素は無かったりする
 パンチボタンを多用すると該当した技の威力が上がったり、的確にガードしていると体力が上がったり、倒した相手の必殺技を習得したり・・・などと様々に想像をかきたてられるコピーであったが、これは「オートモード」限定の物なのである。
 システムにもキャラクターにも特徴らしい特徴が無く、格闘部分の内容については残念と言わざるを得ない。


・オートモード

 さて、その「成長要素」が組み込まれたオートモードとは一体どういう内容だろうか?
 名前からしてあまり良い予感がしないのだが、これはAIに指示を出して闘わせるというモード。
 CPU同士を闘わせる「ウォッチモード」の変形と思えばおおむね合っているだろうか。

 具体的にはモード開始時に7つの種族、8体の個体から1体を選んで名前を付け、各地の大会に挑戦しながら「デス・トーナメント」の優勝を目指す・・・という流れとなる。
 プレイヤーはその中で「追い打ちせよ」、「姿勢を落とせ」、「足を使え」、といった指示を出すセコンドとなり、キャラクターを勝利へと導くのが主な内容である。
 キャラクター自身はプレイヤーから出された指示と闘いを通して「攻撃力」や「防御力」といった能力を成長させ、またそれに応じて外見も段階的に変化してゆく。
 二人三脚での成長が目に見えてわかるようで、この点には感慨深い物が感じられるかもしれない。

 ・・・と、なんとも地味な内容である。
 一応ゲームバランスについてはおおむね良好で、作戦指示は丁寧に反映されるほかキャラクターの成長には「敗北」が重要な要素になっているなどする。
 とはいえ格闘モードの方を一通り遊んだ後だとキャラクターを自力で操作できないことがもどかしく、技が全体的に地味なため観戦する楽しさも少々物足りなく思えてならない。
 「セコンドゲー」という内容は非常に貴重な一本だとは思うのだが・・・。
 肝心の育成する楽しさについてもセーブに未対応であることで大きく損なわれており、データを持ち寄っての対戦が出来ない点については残念と言うほかない。
 育成したキャラクターを使っての対戦や、育成したキャラクターとの対戦と言った要素が有れば・・・など、なんとも消化不良の感が強いモードである。


・キャラクター

 本作のキャラクターは世界の覇権をかけて争う魔物たちであり、一方で人間は彼らの影におびえる脆弱な存在であるという背景がある。
 その割には人間由来の怪物が多い気がするのだが、まあそこは愛嬌か。

 ・狼男
 普段は人間として闘い、特定の技を決めると狼男に変身してパワーアップするという主人公的キャラクター。
 弱パンチからの連携、下段突進技のスライディング、変身効果のある投げ、近距離で使える中段技、と一通りそろっており扱いやすい。
 ただしガードすると人間に戻ってしまうので、軸移動を活かして機敏に攻め続けるのがセオリーである。
 1Pキャラは「GUSH(ガッシュ)」、2Pキャラは「TOMA(トーマ)」。

 ・ダークフェアリー
 闇の森に住まう暗黒の妖精。舞うように動き回り相手を翻弄する。
 軸をずらしつつ攻撃する技や当て身投げなどを持ち接近戦に強く、素早い突進技によって中距離からの攻防も得意である。
 とはいえ最大の武器は相手を大きく吹き飛ばすサマーソルトキック、相手を押し出すスライディング、によるリングアウト戦法かもしれない。
 1Pキャラは「SHERRY(シェリー)」、2Pキャラは「FELIR(フェリル)」。

 ・ミノタウロス
 半人半牛の怪物。手にした斧によるリーチと破壊力は凄まじく、角を利用した浮かせ技も豊富。
 投げ飛ばした相手には追加で弱パンチからの空中コンボが入るのだが、投げ時の劣悪なカメラワークから実戦では少々厳しいか。
 ともあれ「打ち上げて叩き落とす」を基本に大暴れできるキャラクターである。
 1Pキャラは「BATCH(バッチ)」、2Pキャラは「TAIROS(タイロス)」。

 ・フランケンシュタイン
 科学者の作りだした人造人間。鈍重な動きとそれに見合った怪力が持ち味である。
 その攻撃力は相手を高く打ち上げる「レシーブ」から「トス」につないでしゃがみ強パンチで締める基本コンボでも3割超の威力を誇るほど。
 無論その一撃をどう当ててて行くか、という課題が残るのだが、ともあれ一発逆転の魅力を持つキャラクターである。
 1Pキャラは「DRAKE(ドレイク)」、2Pキャラは「VILKEN(ヴィルケン)」。

 ・マミー
 ピラミッドにて長い眠りに付くかつての王族。巨大化する、腕が伸びる、などトリッキーな挙動を持つ。
 しかし体を伸ばす技は全体的に動作が遅く、リーチの長さが活きることはあまりない。
 むしろ注目すべきは接近戦で、当て身投げや基本コンビネーションを活かした受け身の戦いで強さを発揮するキャラクターである。
 1Pはキャラ「REM(レム)」、2Pキャラは「MAJETE(マジェテ)」。

 ・ゴーゴン
 半人半蛇の妖女。本来その瞳を見た者を石化する妖力を持つが、ゲーム中では割愛。
 素早く拳を叩き込む上・中段技と地を這いずりながら足元を狙う下段技とを併せ持ち、崩しの性能が高いキャラクター。
 反面火力にやや難が有るのだが、吹き飛ばしや追い打ちなど豊富な攻め手はほとんどそれを感じさせないだろう。
 1Pキャラは「RARNER(ラーナー)」、2Pキャラは「KARLA(カルラ)」。

 ・スケルトン
 魔力によって蘇った躯。バラバラに分解して仕掛ける奇襲攻撃が特徴的。
 また手にした剣によって長いリーチを得ており、中距離での牽制合戦では随一の性能を誇る。
 反面崩しをやや苦手とするので、後の先を取るような闘い方でヒット&アウェイを狙いたいところか。
 1Pキャラは「KAL(カル)」、2Pキャラは「HAL(ハル)」。

 キャラクターの名前を掲載したが、特に設定や因縁が有るわけではないのであしからず。
 またオートモードではひらがな4文字で好きな名前を付けることが可能である。


・まとめ

 格闘ゲームに成長シミュレーションの要素を取り入れた「オートモード」を目玉にしたが、その完成度はお世辞にも高いとは言えない一本。
 格闘ゲーム部分に成長要素が無く、育成ゲーム部分に対戦要素が無いのは共に片手落ちであると思えてならない。
 キャラクターの魅力についても没個性的であり、全体としてどうにも物足りなさの残る内容である。

 ただ、それでも「オートモード」が特徴的な内容であることは間違いないだろう。
 「あしたのジョー」などでセコンドとしての活躍に思い入れのある人ならば、オンリーワンの一本となる・・・かもしれない。





・関連作品

バトルマスターガンダムではない。繰り出すごとに技が成長する、という成長要素を持った格ゲーであるが・・・。
・「ヴァンパイア」シリーズカプコンの2D格闘ゲーム。モンスターを題材にしており、非人間ならではのユニークなアクションが特徴的である。
また「ハンター」ではAIがプレイヤーの闘い方を学習して強くなってゆくというシステムが搭載された。
・ディシディアファイナルファンタジー「ファイナルファンタジー」シリーズをモチーフとしたスクウェアエニックスの3Dアクション格闘ゲーム。AIに指示を出してセミオートで闘わせる「コマンドバトル」というシステムが搭載されていた。


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