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DEEP SEA ADVENTUREディープシーアドベンチャー 海底宮パンタラッサの謎


プラットフォームプレイステーション
開発タカラ
発売タカラ
発売年月日1997年 3月
ジャンル潜水艇シミュレーター
海底大冒険ゲーム
プレイ人数1人
セーブデータ1つ1ブロック


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
リアリティあり 粗い ステージ豊富 やや単調 戦闘に難あり 魚類は敵キャラ?





・ゲーム概要

 1997年にタカラから発売された潜水艇RPG。
 超古代の海底都市「パンタラッサ」の謎を解くために様々な海を潜水艇で冒険してゆく、という内容であり、冒険の準備を行うRPGパートと実際に冒険を行う潜水艇パートとのメリハリが楽しい一本。
 パッケージのでは「全く新しいタイプの潜水艇シミュレーター。」などと銘打たれており、パッケージ裏では潜航艇シミュレーターとして

 「魚雷などを駆使した潜航艇バトル」、
 「切り替え可能なコクピットビュー/ラジコンビュー」、
 「海底に眠る財宝を引き上げるトレジャーハンティング」、
 「総天然色のCGムービー」、

 といった点がアピールされている。


・ゲームの流れ

 本作は「海底都市パンタラッサに到達する」ことを最終目標に、各地の海に眠るパンタラッサの遺産を探し出してゆく流れとなっている。
 そのうえで主な内容は情報を収集し準備を整える「RPGパ−ト」と海に潜行し財宝を引き上げる「潜水艇パート」とで構成されており、ゲームは軽快に進行してゆく。

 2Dの「RPGパート」では新たな財宝が眠る海の情報を集めること、潜水艇に搭載する装備を整えること、などが主な目的となる。
 うち潜水艇の装備について見てみると本作の潜水艇には「積載量」というものが設定されており、魚雷やバッテリーパック、替えの投光器といった装備品はその重量を見ながら積んで行く必要がある。
 しかし海中で発見した金貨や絵画と言った財宝もまたこの積載量に含まれるため、実際は装備を充実させるか財宝を積む余裕を持たせるかという選択に悩まされる。
 万全の用意を整えて回数をこなせば良い気もするが、本作では探索の度に海までの移動費用がかかるためこのあたりは適切な計画を考えてゆきたい。

 一方3Dの「潜水艇パート」では潜水艇を操作して海中の遺跡や洞窟を探索、財宝を回収して資金源としつつパンタラッサの遺産を探し出すことが目的となる。
 潜水艇の移動は機首を傾けた方向に前進・後退することで行い、上昇・下降は独立して行うことが出来るという、いわゆるラジコン操作だ。
 本作ではそんな潜水艇の操作を楽しませるように、主観視点である「コクピット視点」と第三者視点である「カメラ視点」、カメラ視点のバリエーションである「ラジコン視点」の3種類の視点が用意されている。
 「コクピット視点」は潜水艇のコクピットからの視界をイメージした視点で、海中を進む臨場感が味わえるほか位置の微調整と言った細やかな操作に適している。
 「カメラ視点」は潜水艇を離れた箇所から見た視点で、前後左右、上中下からなる12種類ものアングルが楽しめる。
 周囲の状況を観察でき、安全に移動できるほか海と潜水艇のコントラストなどの視る楽しみを味わうことが出来る。
 「ラジコン視点」はこのカメラ視点のうちカメラの追随をオフにした視点で、水槽の中で潜水艇を操縦するような気分を味わうことが出来る。
 これに関しては実用性がほとんど探せないのだが、雰囲気を楽しむという意味ではまぁ貴重なシステムと言える。
 本作は状況に応じてこう言った視点を自由に切り替えられることで、操作性と臨場感のバランスを取ろうとしていたのかも知れない。

 が、本作の操作性には大きな難点として「静止状態だと方向転換が効かない」というものが存在する。
 方向転換するには舵をきりつつ前進、あるいは後退にスクリューを回す必要があり、どうしても潜水艇は大きく旋回することとなってしまうのである。
 壁に衝突するとダメージを受けてしまう本作ではこれが相当にめんどくさく、急な事態や入り組んだ地形で思うように向き直れないことが強くストレスを感じさせる設計となってしまっている。
 ラジコン操作への臨場感や構造のリアリティという観点では妥当なのかもしれないが、ゲームとしては少々残念である。

 さて、気になる財宝の回収については「マニピュレーター」を使用することとなる。
 手順としては対象に対して一定距離まで接近し、高度を合わせて決定ボタンを押す、と言うもの。アームの伸縮やらツメの開閉やらといった複雑な手順は必要無いので安心だ。
 ただし位置については遠すぎても近すぎてもダメなので、ここではコクピット視点に切り替えて微調整に活用したい。
 また、このコクピット視点での微調整は魚雷を使用しての戦闘にも利用できる。
 本作ではパンタラッサの遺産を狙う海賊や凶暴化した海中生物と戦う場面があり、動く目標へと魚雷を当てるために正確な狙いとある程度の先読みが必要となるのだ。
 ・・・まぁ通常の魚雷とは別にちょっと高価な「ホーミング魚雷」があるので、そちらを使用してもかまわないのだが。

 とはいえ、実際の戦闘については少々難が残る。
 と言うのも先述の通り旋回関係の操作性が悪いうえ本作の潜水艇は正面にしか魚雷を発射できないため、いざ攻撃となると相手を補足するだけでも一苦労となるのである。
 そのくせ敵は2体3体と出て来て一斉攻撃してきたり向きに関係なくこちらに魚雷を飛ばしてきたりとやりたい放題であり、説明書の戦闘アドバイスも「後退して正面から打ち合え」となっているあたりには少々雑なバランスを感じなくもない。
 もっとも、撃沈された時にそのエリアに入った時点から再開する「やりなおし」という機能もあるため準備不足以外は大抵どうとでもなるのだが。


・グラフィック

 海中ゲーとして本作を見た場合、「海」のバリエーションが豊富に用意されていると言える。
 チュートリアルとして訪れる「練習の海」は海面が見える程の浅い海域であり景色が明るく、次に訪れる「夢の海」はスクラップが積み上げられて出来た赤サビの壁が印象深い。
 その他にも海底洞窟や沈没船と言った舞台を冒険する機会も有り、ゲーム進行に影響しないサブダンジョンまで用意されているなど盛りだくさんの内容となっているのである。
 カメラ視点での視点変更はこういった景色を楽しむためにも有効であるので、気に入った景色があればのんびりとした海底散歩を楽しむのもいいかもしれない。
 ただ本作に登場する魚は地味なものが中心で、後半に登場する大型魚は接触するとダメージを受けるという厄介な特徴を持っているのでこの点には気をつけたい。

 そのほかに本作のグラフィック面での特徴を挙げると、搭乗している潜水艇の形態に合わせてCGムービーが切り替わる、という点だろうか。
 黄色の「バレンツ型」に搭乗していればムービー中の潜水艇もバレンツ型に、青色の「ノルデンシルド型」に搭乗していれば同様にこれになるのである。
 現在ではピンとこないかもしれないが、当時はキャラクターを着替えさせてもムービー中は基本コスチュームに戻るというのが普通であったためなかなか印象深い。
 ・・・とはいえ潜水艇によって航行可能な「深度」というものが定められており、ゲーム中では乗り換えが必須になることから気に入った潜水艇を使い続けるといったことが出来ないのが残念であるが。

 またこれは少々余談になるのだが、本作のゲーム画面は潜水艇の計器類を兼ねたフレームの中心に3D画面が映る窓がはまっているという構成。
 コクピット画面で臨場感を味わえるのは良いのだが、ラジコン視点にしても表示されているあたりは少々邪魔に感じなくもない。


・まとめ

 海中ゲーとして「豊富な舞台」と「自由な視点」という大きな魅力を併せ持つ本作。
 財宝を集めて潜水艇や装備を強化するという楽しみや、様々な海を経て目的地パンタラッサを目指すという物語も「多彩な海を隅々まで楽しませる」という基本理念に基づいたものであると言える。
 ただ戦闘バランスや魚類のグラフィックなどには少々粗さが感じられ、全体的な完成度はほどほどと言ったところだろうか。
 海中ゲーというくくりのなかでも、海底散歩で多彩な景色を楽しみたい人、また財宝のサルベージや潜水艇同士の魚雷戦闘にロマンを感じる人へオススメの一本である。





・関連作品

ベルデセルバ戦記SCEから発売された飛空船RPG。構成や発売日など類似点が多く、広大さや浮遊感が魅力的な一本。


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