サイトトップ/ゲームレビュー/リヴァーシオン


REVERTHION(リヴァーシオン) (PS)

HYPER(ハイパー) REVERTHION(リヴァーシオン) (SS)


プラットフォームPS・SS
開発テクノソフト
発売テクノソフト
発売年月日1995年 12月 (PS)
1996年 6月 (SS)
ジャンル3Dアクション
プレイ人数1〜2人
セーブデータなし(セーブ機能が無い) (PS)
5ブロック (SS)


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
機能不足 単純 デザインは良好 深みに欠けるがカッコイイ CPUのムラが激しい 名前が読めない





・ゲーム概要

 1995年にテクノソフトから発売された3D格闘シューティングゲーム。
 セガの「バーチャロン」との類似性がしばしば指摘されるが、あちらの第一作アーケード版デビューがだいたい同時期(詳しくは不明)だったことを考えるとどちらがどちらをパクったというわけではない模様。

 当時の評判がどうだったのかは不明だが、本作をリリースした半年後にはセガサターンで「HYPER REVERTHION」として復活。さらに「鋼鉄霊域 (スティールダム)」という続編をPS、SSでほぼ同時発売するなど暴走 非常に積極的な展開を見せた。
 「HYPER」と名乗るだけあっていろいろとマイナーチェンジが加えられているのだが、本項ではまとめてレビューする。


・ゲームシステム

 本作のシステムは「3Dアクションシューティングで格闘する」といった内容となっている。
 3Dのステージ内で自由に移動して敵を探し、敵を見つけたら弾を撃って倒す、という感覚で格闘するのである。

 先ず、プレイヤーが操作するのは「蔵武(ツァングゥ)」という無機的デザインの「霊獣」であり、これを背後からの視点で移動・旋回させて操作する。
 そして敵キャラクターを正面に捉えたら「ショット」や各種コマンド技によって攻撃し、相手の攻撃はジャンプや「ブースト」によって避ける。相手がリング際なら「ブースト」の速度で体当たりしてリングアウトさせてしまってもいい。
 ガードの概念などは無く、お互いに距離を計りつつ相手の攻撃を避け、スキを突いて反撃する・・・という点がなんともシューティング的である。
 またステージには射撃攻撃を回避可能な障害物が存在しており、身を隠しながら強力なコマンド技を連発したり、背後に壁を背負ってリングアウトを回避したりと戦略的な戦い方が可能となっている。

 ・・・だが、このゲームのシステムにはある大きな欠点が存在している。それは「ロックオン」に当たる物が無く、攻撃する前にいちいち旋回して自力で相手を捕捉しなければならないという点である。
 激しく移動する相手を追ってあっちを向いたりこっちを向いたりするのはなかなか面倒くさく、背後や側方を取られたときは完全に不利となり急いで離脱するほか無くなってしまう。
 そうでなくとも、多少ホーミングするとは言え通常ショットでさえ角度を調整しなければ当たらないわけで、このゲームはとにかく旋回に煩わされてばかりの内容となってしまっているのだ。

 こうしてみるとジャンプキャンセルやダッシュ攻撃で相手を自動的にロックオンする「バーチャロン」は回避から攻撃へ移る際のストレスが無く、こういった細部で名作と駄作が分かれるのか、などこれはちょっと下世話な話。


・キャラクター

 本作のストーリーは、8個揃えるとなんでも願いを叶えるという至宝「神晶(センティーン)」から霊獣「蔵武(ツァングゥ)」を召喚できる「蘇晶師(リヴァーシオン)」たちが、互いの「神晶(センティーン)」を賭け「蔵武(ツァングゥ)」を駆使して戦う・・・というもの。
 もうさっぱりわからないことになっているが、とりあえずキャラクターたちを見ていこう。

 ・灼熱の獅子 灼羅(ジュールォ)
  炎と獣をかたどった蔵武(ツァングゥ)。ホーミング性能の高い技と連続ヒットする技とを併せ持ち遠近両方で戦えるキャラ。
 ・考古学や格闘術に長けた熱血漢 ティーグ・コーリング
  灼羅(ジュールォ)に同調した蘇晶師(リヴァーシオン)。長年の目的を果たすために相棒のミルズと共にクスタル文明の研究を行っており、自身の神晶(センティーン)もその過程で入手したものである。

 ・蒼き海の死神 蒼汀(サーシング)
  イルカをかたどった蔵武(ツァングゥ)。移動とブーストの性能が良く、体当たりでリングアウト勝ちを狙うのに適している。
 ・腕前を誇る孤独感漂わす褐色の戦士 ジルド・バクラム
  難病の妹を助けるために傭兵という生き方を選んだ男。ある戦いで神晶(センティーン)を入手してからは蔵武(ツァングゥ)を駆る凄腕の傭兵として資金を集め、傍らに他の神晶(センティーン)の情報を探している。

 ・碧の重騎士 甲蓮(ジャーリェン)
  亀をかたどった蔵武(ツァングゥ)。強力な特殊技と押し出し能力の高いショットで相手を圧倒する。
 ・忠誠心に厚く実直な帝国軍騎兵団長 エイハム・アークロゥディア
  帝国より神晶(センティーン)探索の命を受けたとき、偶然にも帝国が所有していた一つと同調して蔵武(ツァングゥ)を出現させたことから探索を全面的に任された。だが、本来平和主義者である彼はこれらの力に漠然とした脅威を感じている。

 ・妖艶の舞 紫苑(スィーアン)
  蝶をかたどった蔵武(ツァングゥ)。ショットの射程が長く、強力な特殊攻撃と併せた遠距離戦の強力なキャラ。
 ・由緒正しい王国の放蕩王女 ティアミラ・ユークレウス
  刺激を求めて遊び歩く道楽ぶりが周辺諸国まで聞こえた放蕩王女。神晶(センティーン)入手のきっかけも闇のオークションで偶然見かけたという物で、神晶(センティーン)集めの旅さえ彼女にとっては退屈しのぎでしかない。

 ・漆黒の牙 玄喪(エクサン)
  蜘蛛をかたどった蔵武(ツァングゥ)。単発ながら高威力のショットを有し、特殊攻撃で相手の足を止めるなどして一方的に攻撃を加えていくキャラ。
 ・召喚術と死法を得意とする高位の黒魔術師 クーマ・A・ヴェノマイト
  魔王となるべく超人的な能力を獲得している怪人物。さらなる力を身につけるために神晶(センティーン)を狙う。

 ・神聖なる翼 揮天(ヒューシャン)
  鳥をかたどった蔵武(ツァングゥ)。広範囲を攻撃する特殊攻撃で相手を圧倒し、押し出し能力のあるショットでトドメを刺すキャラ。
 ・司教庁の明るく清楚(?)な神官 ミサラ・ファトエル
  司教庁の神晶(センティーン)に同調できたことから神晶(センティーン)の探査役を仰せつかった少女。だがそれが戦いの道を意味していることにはまるで気付いていない模様。

 ・怨念の刃 枯流(クリュウ)
  蟹をかたどった蔵武(ツァングゥ)。ショットのリーチが短い代わりに威力が高い接近戦専用キャラ。
 ・遥か東方の大陸より訪れた異形の戦士 坤完(クヌァン)
  東方の大陸より神晶(センティーン)を携えて現れた「死神」。何のために神晶(センティーン)を集めるのか明らかでない不気味な存在である。

 ・黄昏色の疾風 捷玉(ジェクス)
  蜂をかたどった蔵武(ツァングゥ)。ショットの性能が最低な代わりに遠近それぞれの高性能な特殊攻撃を備えたキャラ。
 ・復讐に燃えるアサシン ”Kiss”・バーネア
  幼い頃に父を殺され、復讐のために暗殺者の道を選んだ少女。仇の所在を突き止めるために神晶(センティーン)を集めている。

 ・・・以上である。
 先ず、フリガナなしで蔵武(ツァングゥ)の名前を読める人がいたらお目にかかりたい
 それから、蔵武(ツァングゥ)と人物とどっちがメインなのかさっぱりわからない。ストーリーモードでは人物視点での物語が展開されるが、対戦中プレイヤー側には蔵武(ツァングゥ)の姿しかない。身長体重まで設定されているのに全く生かされていないのが残念である。
 対してCPU側には人物キャラクターの顔とセリフが表示されており(コックピット画面?)、これがなかなかに雰囲気を盛り上げてくれる。これがプレイヤー側、ひいては対人戦にもあればもっと違う評価があったのではないかと悔やまれてならない。

 性能面の話をすれば各キャラクターの個性がはっきりしており、使い比べてみるとなかなかに楽しい。
 キャラクターによってとっつきやすさや相性の差は有るものの、攻撃や移動速度のほかに耐久力や重量(体当たりされたときの移動距離)まで調整されており、突き詰めればどのキャラクターも個性を生かしたままそれなりに戦えるバランスに仕上がっている。
 と、思う。


・HYPER

 さて、ここで自称「HYPER」なセガサターン移植版を見ていこう。移植するに当たって新たに追加や変更された点はだいたい以下のようなものだ。

 ・OPの変更
 ・キャラクター性能や演出の調整
 ・ステージの障害物を移動
 ・オプションの充実
 ・セーブ機能の追加
 ・スタッフロールの追加
 ・難易度によるボーナスの追加
 ・通信対戦への対応

 先ず「キャラクター性能や演出の調整」についてだが、これについてはっきりと確認できるのは”KISS”・バーネアの「捷玉(ジェクス)」である。
 このキャラクターは空中でも自在に行動できるようになり、相手をかく乱するほどの高い機動力と一方的に空中から攻撃できる攻撃力を手に入れている。
 恐らく「ショットが弱すぎる」ことから最弱キャラとの声が高くなり、そこで強力な特徴を与えようとこのような調整を加えたのではないかと思われる。
 結果として頭一つ抜けた強さを獲得してしまった気がするが

 また、エフェクトのせいかハードスペックのせいかわからないがキャラによっては頻繁に処理落ちするようになったのはどうにもいただけない。

 「セーブ機能の追加」はあるものの、これは充実した各種設定とキャラクターのクリア状況を保存するための物でしかない。そのため、前作では1キャラクリアすれば使えたラスボスが全キャラでクリアするまで使えなくなっている。

 また、難易度「MANIA」でゲームをクリアすると使用していたキャラクターのイラストが表示される・・・というボーナスが追加された。
 ・・・ネタばらしすると、ゲーム開始時のキャラクタープロフィールにくっついてる立ち絵とキャラクター勝利後の顔グラフィックがスライドしながら表示されるだけである。苦労の割にあんまりうれしくない。

 そして「通信対戦」だが、これはインターネット経由で見知らぬ相手と対戦する・・・という物ではなく、テレビを2台、本体を2機、ソフトを2枚に通信用ケーブルを1本用意してアーケードの対戦台のような形で対戦を行えるという物だ。
 ゲームの性質上、対戦時は1P側の視点と2P側の視点で画面が2分割されてしまう。が、通信対戦ならそれが無く画面をひろびろと使えるのだ。
 「ここまで用意させてそれだけかよ」なんて言わないように

 ・・・といったところが「HYPER」である。
 これを「お得」と見るかどうかは個人の自由であるが、「両方買わなきゃ」と思うのは止めておいた方がいいだろう。


・まとめ

 シューティングで格闘するという珍しい形態をとったゲームであったものの、システムの完成度不足や強力なライバルの登場で歴史の陰に埋もれてしまった一本。
 まぁそれも納得の内容なのだが、めんどくさい旋回が逆に死角を取る・取られるの緊張感を味わいたい格闘シューターへオススメできなくもない一品だ。


・ワンポイント攻略

 ・側転(左右ロール)の重要度は非常に高い。回避に、接近に、いろいろと試してみよう。
 ・どうしてもラスボスが倒せないときはリングアウトを狙おう。リングの際に沿ってステージを一周してみると意外なチャンスがあるかも?

 ・「HYPER」では対戦時にXYZを押すことでランダムセレクトが出来るぞ。





・関連作品

鋼鉄霊域 (スティールダム)システムを受け継いだ続編。世界観を和風ファンタジーに改め、キャラクターのボイスを増やすなどした・・・が・・・。
・「電脳戦記バーチャロン」シリーズセガのロボット対戦ゲームシリーズ。
第一作はダッシュやジャンプからなる爽快なスピード感を持ち味とし、これを自動ロックオンの概念や「ツインスティック」という独特な筐体で余すとこなく実現した快作。
続編「オラトリオ・タングラム」はその正当進化系としてより高いスピード感とターボボタン同時押しによる攻撃のバリエーション増加を実現し、
「フォース」はネットワークを利用したタッグ対戦プレイや機体バリエーションというコンテンツの増加を実現した。
「マーズ」に見られるように世界観も練られており、いくつかのメディアミックスや「スーパーロボット大戦」へのゲスト参戦も果たした、オリジナルロボットを用いたロボゲーの代表作といった存在である。


サイトトップ/ゲームレビュー/リヴァーシオン