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(かぜ)のノータム


プラットフォームプレイステーション
開発アートディンク
発売アートディンク
発売年月日1997年 9月
ジャンル気球シミュレータ
プレイ人数1人(2人で操作することも可能)
セーブデータ1ブロック


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
風まかせ なし 美麗(当時) 和み・癒し 無意味に高難度









・ゲーム概要

 「アクアノートの休日」のアートディンクが「空中散歩」をテーマに放った一品。
 「いままでにないシンプルな操作で、自由気ままに空中散歩を楽しもう。」など、その内容は気球版アクアノートの休日か?と思うところだが・・・。


・シンプルすぎる操作

 このゲームは熱気球を操作するゲームである。どのようにして操作するのかというと、気球に備え付けられたバーナーを点けたり気球内の空気を開放したりして空気の温度をコントロールし、上昇・下降することで進みたい方向に向かって吹く風に乗るのである。
 つまり、

 気球の操作は上昇と下降の2つだけという前代未聞のシンプルさ。

 向かいたい方向に風が吹いていないと移動すらままならないというシンプルっぷりである。
 ついでに言うと気球に備え付けられた燃料が尽きると墜落する。
 進みたい方向に吹かない風へのフラストレーション、あと少しで燃料が切れるという緊張感、こんな散歩っていやだ。

 ・・・だが、気球を中心に視点を変更して景色を楽しむことが可能だし、後述する競技内で使用する「マーカー」の操作も有る。本当に何もやることが無いかというと、そういうわけでもないのだ。


・タスク/ラウンド

 「タスク」とは気球を用いた競技のことであり、「ラウンド」とは競技を順番にクリアしていく本作の攻略目標だ。
 空中散歩を行いたい場合は「タスクモード」で適当な環境を設定して飛行開始となる。
 つまり「自由な空中散歩」と言っても常に攻略目標が設定されてしまっているわけだが、まぁそんなものはどこ吹く風で好きに楽しむといい。

 空中散歩の舞台は、
 過去をモチーフにし、中世ヨーロッパ風の建物やスフィンクスなどの遺跡が見える「DRAFTY VALLEY」、
 現代をモチーフにし、高層ビル群などが見える「WINDY CITY」、
 未来をモチーフにし、奇怪な建造物が建ち並ぶ「BREEZY EARTH」、
 の3ステージで、それぞれ朝、夕、夜、の時間帯と晴れ、雨、くもり、雪、の天候を選択することが出来る。
 時間帯と天候の選択しだいで高層ビルの夜景やオーロラなどさまざまな風景を見ることが出来るだろう。

 で、競技「タスク」は、
 地上に描かれた的の中心にマーカーを発射し、その命中精度を競う「FLY IN」、
 ステージ上の自由な3箇所にマーカーを発射し、完成する3角形の面積を競う「TRY DELTA」、
 逃げ惑う狼気球にマーカーを着弾させるまでの時間を競う「WOLF HUNT」、  の3つが有る。

 攻略する気になると「FLY IN」と「TRY DELTA」はなかなか難しい。
 「FLY IN」は風向きを読んでマーカーを発射する必要があり、「TRY DELTA」は気球の残り燃料と風の向きに悩まされる。
 普段注目しないポイントに誘導される「FLY IN」、長い距離を楽しめる「TRY DELTA」はなかなか散歩向きの競技と言えなくもない。

 だが、スタート直後に狼気球が見えている「WOLF HUNT」だけは話が別である
 逃げられる前に着弾させれば競技は終了。開始と同時にマーカーを乱射すれば良いだけの話だ。
 しかも、初期ハイスコアはどう考えてもそれを前提にしたタイムなのでタチが悪い。
 まぁ、攻略する気になると風向きばかり気になって景色なんて見ていられないので、どの競技であっても散歩との両立は不可能だろう。

 そして、それらタスクを連続してクリアしてゆく「ラウンドモード」の難易度は・・・。
 ・・・エンディングを見るにはかなりの根気を要することになるだろう・・・。


・気球のペイント

 ほかに、気球を自由にペイントできる、という要素もある。初期状態で5つ、LRを全て押しながらゲームを始めた場合はそれとは別の5つがお手本として用意されている。
 絵を描くほどではないがなかなか細かく設定でき、自分のデザインした気球で空を飛ぶのは普段とは違った楽しさがあるはずだ。


・まとめ

 「自由な空中散歩」をうたっておきながら、景色を楽しんで自由に飛びまわるには競技目標を無視する必要があるという、流れにまかせるんだか流れに逆らうんだかよくわからない一品。
 攻略目標の無い「アクアノートの休日」はちょっと・・・。という人は本作をプレイしてみるといい。きっとアクアノートの休日をプレイしたくなるから。

 もちろん、「気球に乗って流される感じがたまらない」というコアな人にもオススメできる、ある意味でオンリーワン的な一品かもしれない。





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