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Steamポップ その8


 唐突だが、「Staem」をご活用されているだろうか。


 これは米「Valve」社によって開発・運営されているゲームのダウンロード配信サービス兼ランチャーで、ダウンロードならではの低コスト・メディア要らずの販売形態を特徴とするものだ。
 企業側にとっては物理的なパッケージや輸送・小売といった中間業者を必要としないために販売コストを抑えられ、またSteamのアカウントとゲームの購入が紐づけられているためユーザー同士での転売が行われることが無い。
 ユーザー側にとってはコスト削減分が還元された低価格でゲームを購入でき、また同一アカウント内ならば異なるPCでも同じゲームやデータで遊べるほかSteamコミュニティのフレンドに対する「ギフト」としてゲームを購入する事も出来る。
 などなど、双方に魅力のある設計であるわけである。

 そして、ユーザー側から見た「Steam」の一番の特徴といえばその強気なセール群。
 毎週始めに開催され、全ゲームの中から数十〜百数十本が割引かれる「ウィークロングセール」、
 週の中ほどに行われ、一定のコンセプトを持ったゲームが割引かれる「ミッドウィークマッドネス」、
 さらには週の終わりに行われ、ピックアップされたゲームが無料で遊べる「フリーウィークエンド」およびそれらのゲームが割引かれる「ウィークエンドディール」、

 といった割引イベントが毎週開催されており、しかもその割引き率は33%OFF、50%OFFは当たり前。物によっては75%OFFや90%OFFなど驚異の価格が設定されることもある。
 毎週行われるこれらのセールに、新たなゲームの発見や欲しいゲームの割引きを期待するのが「Steam」ユーザーにとって心を躍らせる魅力となっているのだ。


 と、前置きはこれくらいにして。

 雨音激しい2023年の夏(2023/06/29〜07/13)はSteamのビッグセールの一つ「サマーセール」が開催中である。
 今年はこれといったSurpriseがないようだが、例えば「Deep Rock Galactic」はseason4をStartし、「7 Days to Die」はalpha21安定板をreleaseするなど、Major titleに目を引くUpdateが続くHOTなシーズンとなっているので要Check it outだ。

 ああ、それとこの1年でSteamランチャーのストアページに大きな改修があった。
 一時期使えなくなっていた別のウィンドウで開く機能がタブブラウジングへと変化して帰ってきたのはとても喜ばしいことだったのだが、一方で「個人設定に基づき、???タイトルを除外しました。」というやりすぎフィルタリングが機能するようにもなってしまった。
 1つには、この近くにある歯車のアイコンから「個人設定を編集」し成人向けコンテンツほかのチェックを入れること。
 これは飲酒なども引っかかるので上述のようなゲームもばっちり除外されてしまう代物だ。
 2つには、検索結果右側の「日本語」に入っているチェックを外すこと。
 MODで対応できるとしても公式が対応していなければこのチェックによって結果から除外されてしまい、嗚呼日本語の壁にむせび泣くこの悲惨である。
 おそらくこの2点に気を付ければ大丈夫だと思うので、ひるむことなく情報の海を掻き分けて理想のゲームを探しに行こう。




「Republique (リパブリック)

開発camouflaj
Steamページhttps://store.steampowered.com/app/317100/Republique/
公式ページhttps://www.camouflaj.com/republique/
Android版あり、ただし対応OSが古くサポート外の可能性濃厚
リリース日2015年02月26日
人気タグ「ステルス」「ポイント&クリック」「女性主人公」ほか
日本語サポート字幕あり

 3Dキャラクターを操作して謎を解き施設からの脱出を目指すアドベンチャーゲーム。
 その世界観は至る所に監視カメラが設置され住人に自由を認めない閉鎖施設「リパブリック(=共和国)」であり、独裁者や言論統制、監視社会といったものへの批判を込めた作品である。

 本作の最もユニークな点は、プレイヤーは主役の少女ではなく「主役の少女を監視する監視カメラにアクセスしたハッカー」を演じるということ。
 これによって、一つには「監視カメラの視界内の電子機器にハッキングして謎を解いて行く」、「監視カメラから別の監視カメラにハッキングすることで遠くの状況を観察することができる」という斬新で没入感の高い体験が得られ、また一つには「アローン・イン・ザ・ダーク」や「バイオハザード」が採っていた懐かしい固定カメラ視点のドラマチックな表現が得られている。
 新しい良さも古い良さも取り入れた基本システムは個人的にとても高く評価したい。
 かつ、ゲーム内の「敵」となる警備員に対してはその巡回経路を観察して発見されないよう少女を誘導するのが基本となっている。
 監視する側を逆に監視してゲームを攻略してゆく、というのは痛快だし、監視社会への批判としてもなかなか痛烈さのあるものだろう。

 ・・・という内容にして、本作は5つの「エピソード」を作りながら段階的に公開してきたという背景がある。
 残念ながら、序盤のエピソードで期待させていたほど「リパブリック」に政治的意味合いはなく、ストーリー面でもシステム面でも後半の迷走が目に付いてしまう。
 また、開発元のcamouflajは本作をVR化したのち米メタ社に合流したといい、その辺の都合かもっと純粋な厚意か知れないが本作は現在ではVR版含め無料ゲームとして公開されることとなっている。
 こうした背景からSteamレビューには反発意見がついて手厳しいこととなっているが、エピソード1に関しては間違いなくオススメできる内容なのでSteamの入門編としてひとつ紹介しておこう。




「SOMA (ソ−マ)

開発Frictional Games
Steamページhttps://store.steampowered.com/app/282140/SOMA/
公式ページhttp://www.somagame.com/
リリース日2015年09月22日
人気タグ「ホラー」「精神的恐怖」「哲学的」ほか
日本語サポートなし

 無人の海底施設からの脱出を目指す主観視点ホラーゲーム。
 プレイヤーが演ずることとなる主人公はこれと言って特別なことの無い普通の青年ながら、突如はるか高度な機械・科学技術を持つ海底施設で目が覚め、混乱しながらも周囲を探索し脱出を目指すという流れとなる。
 本作には持ち歩ける武器の類がなく、プレイヤーを脅かす各種の存在に対しては逃れるか隠れるかするしかない。
 かつ、その多くはあまりのおぞましさに一定時間視界に入れていると発狂しゲームオーバーとなってしまうという性質を持っており、恐ろしいのに存在を確かめることもできないという「未知」を恐怖のテーマのひとつとした作風だ。

 この未知の恐怖はまたプレイヤーが全く見覚えのない場所に置かれ、かつその理由を説明できる人間がどこにもいないという形でも表現される。
 あるいはこれは「孤独」の恐怖でもあるのかもしれない。
 それから海底施設ゆえの「冷たさ」、「暗さ」、「閉塞感」、といった言葉を並べてもいいが・・・。
 (なお「水中人工物恐怖症」なるものがあることを最近知った。)

 しかして本作で最も恐ろしい体験は、その「自分がここにいる理由」そのものを考える怖さだろう。
 正直、自身ではこのゲームで得た体験を怖いとは思わない。いや、思いたくない。
 「未知」や「孤独」、あるいは「死」に結びつく様々な要因よりもさらに恐ろしいもの・・・それに目を向ける好奇心があると思うならば、ぜひ本作に興味を持ってほしい。
 あえて言葉を作れば「哲学的恐怖」とでも言うべきか・・・。




「Broken Reality (ブロークンリアリティ)

開発Dynamic Media Triad
Steamページhttps://store.steampowered.com/app/757480/Broken_Reality/
公式ページhttps://www.dmtriad.com/brokenreality
リリース日2018年11月30日
人気タグ「超現実的」「レトロ」「精神的恐怖」ほか
日本語サポートなし

 南国リゾートを題材としたメタバース「NATEM2045」での滞在を体験するアドベンチャーゲーム。(VRには未対応)
 ・・・なのだが一見してその映像表現はとても古く、粗いドットやローポリゴン、Windows95やIE4.0あたりの色数のないウィンドウなど「レトロ」感を徹底したブラックユーモアのある作風でもある。
 「いいね」数で身分が決まる無慈悲なセキュリティにコンピューターウィルスやバナー広告をぶった切る名刀、何でも買える魔法のカードで買い物しまくるミニゲームにリンクをクリックして高速移動するアスレチック要素、といったものだ。
 NPCとしても柴犬の頭をした青年やら自撮りに夢中のマッチョマンやらソニックみたいでソニックじゃないアイツやらと主張がすごい。
 美麗・・・とはとても言えないグラフィックだが、まあその美麗な世界の中で思い切りバカバカしさを楽しんで肩の力を抜くにはいい作品である。
 なおタイトルやPVに日本語表現を見ることができるが、これはエキゾチックさのガジェットとしてであって正しい日本語は一切サポートされていない(「下手な翻訳(原文ママ)」という反応に困る看板もある)のであしからず。

 ・・・で終わればよいのだが、実は本作は中盤からシリアスな話が混じり始め、最終的には重苦しい雰囲気の中不可避のバッドエンドを迎える形となってしまう。
 序盤だけ遊べるデモ版ですっかり騙された気分だが、しかしてそのシリアスさがプレイヤーに問いかけることを踏まえたうえで勧めるということにしておこう。




「Prey (プレイ)

開発Arkane Studios
Steamページhttps://store.steampowered.com/app/480490/Prey/
公式ページhttps://bethesda.net/ja/game/prey
リリース日2017年05月04日
人気タグ「未来的」「サバイバルホラー」「没入シミュレーション」ほか
日本語サポート完璧

 物質に擬態する宇宙生物に襲撃されたコロニーからの脱出を目指すSFFPSRPG。
 (同名の「Prey」というゲームが2006年に出ており混同注意。開発者曰くこのタイトルを借りる形で世に出たという背景がある。)
 FPS視点はキャラクターを前後左右に動かせるとともに視点を自由な方向に向けることができ、自分がそこにいて探索しているような没入感を得られることが一つの魅力である。
 そのうえで、本作の世界を探索するとすればある違和感に気づかねばならない。
 それは例えば、仕事机の上にコーヒーカップが2個あるとか、周囲がひどく荒らされているのに直立している椅子とか、ひとりでに階段を転がり落ちてくるゴミ箱とかと言ったものだ――。
 これは非生物に姿を変えられるエイリアン「ミミック」の擬態した姿であり、近づくより先に見破ることが出来なければ自ら喉笛を差し出すことになるだろうから。

 また、本作は攻略上の自由度の高さを魅力としてアピールしてもいる。
 素早く凝固する発泡体を発射する「グルーキャノン」は特に象徴的で、敵に直接撃って動きを止めることもできるし、壁などに撃って足場にすることもできる、あるいはこれを重ねてバリケードを作ることもできる、といった調子である。
 ただし本作に「ショップ」の概念はなく、グルーキャノンで打ち出す弾丸やその他の物資はバナナの皮だとか古い野球ボールだとかと言ったゴミを「分子成形機」に放り込んで有用なものに再構築してやる必要がある形。
 かつゴミでさえリスポーンすることはなく物資は有限であるので、その運用は努めて慎重に選択する必要があるだろう。

 ・・・と、いったところが本作の魅力であるはずなのだが、本作は一方で詰め込み過ぎた感もある。
 個人的に特に惜しいと思うのが、先の「ミミック」は実はゲーム中一番のザコで大した脅威ではなく、いちおう上位種もいるものの、ゲーム中盤以降は人型の「ファントム」などふつーに姿を見せているエイリアンと撃ち合うことが中心へ移行してしまうこと。
 なにより、「スコープチップ」という強化アイテムの引き次第ではミミックかそうでないかを見極める「ミミックディテクター」が最序盤に手に入りうるという始末、「擬態するエイリアンとの攻防」とは本作のテーマとはとても言えない扱いでしかないのだ。

 また「分子成形機」も先の展開を知らないプレイヤー視点では初見殺しに近いところがあり、サイレンサー付きハンドガンやショットガン、スタンガンと豊富な武器があるのに対してその「弾」の素材はと言えば共通して金属素材を要求し、過不足を融通することはできず手元は常にカツカツとなる。
 これに対し「今は研究開発部で金属素材が潤沢にあるがこの先手に入りづらくなったらどうするか」などと考え出すと、心配症には非常につらいものがあった。
 強いて言えば分子成形機に放り込めないコンテナなどのオブジェクトや生身の敵をその場で素材に分解する強力にして有益な武器「リサイクラーチャージ」というものがあるので、周囲のオブジェクトを掴んで一か所に集めてからコイツを放り投げるようにすればどこへ行っても最低限の金属素材は獲得できるはずである。

 それから本作には「ニューロモッド」というアイテムを消費して拡張してゆくスキルシステムもあるのだが、これを一切使用しないことでエンディングの一部が変化したり実績を獲得できたりするためこれについてはいっそ割愛する。
 エイリアン由来の超能力によって敵を攻撃する「PSI」もこれに組まれているのだが、公式がこの辺全部縛ってみろと提示するのは自己否定のようであまり好意的に解釈できないのだ。

 FPSとしての探索の面白さがありホラーとしての雰囲気がありステルスによる戦術性がありRPGとしての育成の概念があり・・・と面白さの間口が広く大勢に勧められる作品ではあるのだが、もう少し引き算をした方が好みに合う内容だったなと個人的には物足りない一本であった。




「Blasphemous (ブラスフェマス)

開発Team17 (※Youtube公式チャンネル)
Steamページhttps://store.steampowered.com/app/774361/Blasphemous/
公式ページhttps://thegamekitchen.com/blasphemous/
リリース日2019年09月10日
人気タグ「ドット絵」「ソウルライク」「メトロイドヴァニア」ほか
日本語サポート字幕あり

 ダークファンタジーソウルライクメトロイドヴァニア。
 つまり超自然現象によって人々が苦しめられている退廃的な世界観を自由に探索し、特定の拠点を基準に厳しい道中を進行しながら、ギミックを作動させたり鍵を集めたりして少しずつその範囲を広げてゆく、というゲームである。
 ゲームバランスは難しめに採られており少し気を抜くとあっけなく死亡してしまうが、操作性は良好でキャラクターを強化する手段も豊富、上達や育成によってこれを突破する達成感が何よりの褒美となる非常にゲームらしいゲームだ。
 既存のゲームからとても多くの影響を受けているわけだが、ならばこそこれを「正統派」と表現することに差支えはないだろう。

 反面、本作は世界観に宗教色が強く主人公は「異端」そのものとされる。
 この世界は超自然的な現象とそれを引き起こす意志を「奇蹟」と呼び、これに苦しむ人々は自罰的な行いによって自ら贖罪を求めることを「奇蹟」に近づく行いであり何よりの美徳とみなしている。
 それは例えば煮えた油を被り顔の半分を焼けただれさせた修道女や、死後もなおその躯を担ぎ上げられる司教といったおぞましいものたちだ。
 主人公はこのうえで奇蹟に苦しむ万人に死をもたらして回り、その罪を代わりに被ることで奇蹟に近づこうとしている存在、「悔悟者」の一人として描かれている。
 この動機はゲーム開始後まもなく剣の柄頭にはめ込まれる「棘」というアイテムによって視覚化され、適切な条件を満たしてゆけばこれがこれが茨を伸ばし主人公の腕に食い込んでその贖罪を示すという演出ともされている。
 やがて腕と剣が一体となり、剣を振るうたびに自らの腕も引き裂かれ、赤い花が咲き開くとき・・・いよいよ主人公は「奇蹟」を前にする資格を得るのである。

 ・・・のだが、作中では雰囲気を重視して非常に抽象的というか形而上学的というかのわかりづらい表現を多用しており、自身がこの「適切な条件」に気づいたのは隠しボスに挑みながらゲームを3周ほどした頃であった。
 この過程では2周目以降のゲームの基本システムに制約を加える「贖罪」というシステムと、この制約を乗り越えたうえの特別な報酬となる「聖骨箱」というアイテムとがあって食傷感こそはなかったが・・・。
 いちおうヒントとして「真珠は黒くするためにある」、「棘は『7回』成長できる」、を残しておこう。

 この「世界観が難解でわかりづらい」さえ飲むことができれば、完成度が高くやりがいのある骨太な作品として勧められる一本だ。
 デモ版があり、「2」の情報も公開され始めているので要注目である。




「Mind Snares: Alice's Journey (心のわな:アリスの旅)

開発world loom games
Steamページhttps://store.steampowered.com/app/363330/Mind_Snares_Alices_Journey/
公式ページhttps://www.world-loom.com/index.php/2014/10/16/mind-snares-alices-journey/
リリース日2015年04月24日
人気タグ「探し物」「女性主人公」「子ども向け」ほか
日本語サポート字幕あり(だいぶ健闘)

 Hidden Object、探し物パズル系の一作。
 本作は脱サラしてブックカフェを始めた女性アリス・ダールがその決心のきっかけを語るという体で導入される・・・のだがこのショートムービーがゲーム内からもれているので要PV視聴のこと。
 次々と押し付けられる仕事にいよいよ限界を迎えたアリスは運転を誤って川に転落してしまい、病室にて目を覚ます――のだがそれはまるでありえない超常的な現象が続く悪夢の世界であった。
 アリスはこの世界からの脱出を目指すべきなのか、それとも過酷な日常を手放してこのまままどろみの中に消えてしまうべきなのか・・・正しい道を自分自身で見つけなければならない、とこういう背景だ。

 そういうわけで世界観としては超現実的なのだが、謎解き自体はのみとハンマーで穴を広げたりカードを使って留め具を外したりといった物理法則を原則とした予測のつくものが基本。
 探し物パズルの絵も比較的すっきりとしていてわかりやすく、探し物の部分が隠れているとか背景に同化しているとかと言った意地悪な設定が少ない(ないわけではない)のがありがたい。
 また物語は悪夢の中でさらに4種類の異世界に移動して探索するという概要を持ち、この点変化が効いていてゲームの進捗状況もわかりやすいと、探し物パズル初心者に特に勧めやすい作品だと言える。

 ただ一応、これらのゲームは英語圏で作られたものであるがゆえに「誤訳」の問題があることは要注意。
 本作は特にすべての探し物パズルで探し物が「名前」で提示されるのだが、「刷毛(はけ)」を探していたら実は「ヘアブラシ」(英語では同じ「Brush」)だったり「体温計」を探していたら実はごっつい「温度計(室温用)」(英語では同じ「thermometer」)だったり、逆に「笛」を探して「ホイッスル」を見つけたら正解は「フルート」に近いものだったりといった齟齬がたまにある。
 それでも同ジャンルの他のゲームと比較するとかなりマシな部類なのだが、これぐらいの理不尽は念頭に置いてからプレイするように。




「Ego In A Coma (自我、状態、昏睡。)」

開発KoS Studios (※公式Twitter)
Steamページhttps://store.steampowered.com/app/1348970/Ego_In_A_Coma/
公式ページなし
リリース日2020年06月30日
人気タグ「インディー」「ゴア」「ミーム」ほか
日本語サポート字幕あり

 これは夢なのか、現実なのか・・・。
 スムーズにいけば1時間もかからないショート2Dアクション。
 サイバーパンク的な世界観を背景に、強力な睡眠導入剤を服用した主人公が暴力、性欲、宗教といった様々なタブーを題材とした悪夢にさいなまれるストーリー。
 敵キャラクターやステージギミックもこれをなぞらえたものとなっており、不気味なアートギャラリーに感性を揺さぶられながら、ゴリゴリのデスメタルを背景に敵を切り刻み血しぶきを上げてゆくという痛快な体験がある。
 ゲーム内のグラフィックは粗いドットや枚数の少ないアニメーションなどお世辞にもクオリティが高いとは言えないが、それがかえって個々人の想像力での補完を促すようで個人的にはアリだと思う。

 また、作中には変な日本語のネオンがゴテゴテと並べられた箇所があるが、作者はふつーに日本語話者なのでガジェットとして狙ってやっているようである。
 現在新作の「Moksha (モクシャ)」を開発中とのことだが、ゲームバランスはともかくアート性に関してはツボを押さえた内容を期待しよう。

 しかしまあ、このゲームをプレイしていて一番衝撃を受けたのは・・・。
 先輩!?何してんすか、まずいですよ!
 (PVですでに映りこんでいるが、たまげたなぁ。)




「GRIS (グリス)」

開発Nomada Studio
Steamページhttps://store.steampowered.com/app/683320/GRIS/
公式ページhttps://nomada.studio/ (※開発サイトのトップページ)
リリース日2018年12月13日
人気タグ「美しい」「良質サントラ」「超現実的」ほか
日本語サポート必要なし

 2Dパズルアクションゲーム。
 ・・・などと、このゲームに関しては自分の言葉で紹介することに限界を感じる一作である。

 というのは・・・このゲームから受けた感動を表すのに、どんな言葉を用いようともそれが不自由なものに感じてしまうためだ。
 水彩画の淡くも豊かな色彩と、意味が知れないが透明感のあるスキャットの声で彩られた本作の世界には「文字」や「言葉」の一切がなく、しかして主人公の孤独や悲しみ、慈愛、解放といった心の動きこそは自分のものかのように染み入ってくる。
 内面的な情緒というものは――元々我々誰しもが持っていて、言い表すことができないか、あるいは言い表す必要などないほど自由なものだということを改めて思い知る心持ちだった。

 この感動を覚える限り、我々はいつまでも孤独ではいないのではないだろうか。

 というわけで非常に美術性・芸術性が高く雰囲気重視の作品なのだが、かといってパズルゲームとして内容がないかというとそういうわけでもなくコレクタブルやシークレットを探してマップを歩き回ったり頭をひねったりする楽しさもしっかりある。
 ボリューム自体は2〜3時間もあれば十分な内容だが、一方で本作で体験したことは忘れがたいものとなることだろう傑作である。




 毎週新たなゲームとの出会いがある「Steam」。
 まだまだ紹介し足り無い気もするが、今回はひとまずここまでとしたい。




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