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ページ公開:2021/10/19


DEADALUSダイダロス


プラットフォームセガサターン
開発セガ
発売セガ
発売年月日1995年 3月
ジャンルシューティング
プレイ人数1人
セーブデータなし(セーブ機能がない


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
無難 ほぼなし 全体的に暗い 無機的 疲れる・・・ 非常にあっさりとしていて、
非常にあっさりとしている





・ゲーム概要

 セガサターン初期にリリースされたダンジョン攻略型FPS。
 ランダムに構造が変化する敵基地において、敵兵器の存在を警戒しつつパワードスーツによる射撃戦によってこれを下し、各フロアを走破しながら最深部を目指してゆくという内容。
 時代的にローグライク系「DOOM」と総括してみても良いが、まあ結論を焦ることなく内容を見ていってみよう。


・操作まわり

 本作は一機のパワードスーツを操り宇宙基地「ダイダロス」の内部に潜入して破壊工作を行う、という背景設定を持つ。
 ただし登場人物と呼べるようなものは一切おらず、ゲームはただひたすら探索と戦闘を繰り返してゆくという調子だ。

 ゲーム中の視点はパワードスーツのヘッドアップディスプレイを模した主観視点で、上下が前進・後退、左右が旋回のラジコン操作。
 また左右への平行移動があり、照準については特に操作がなく画面中央に向かって発射されるのみのシンプルな形式となっている。
 「横移動しつつ旋回することで、回避しながら反撃する」操作が快適なあたり操作まわりには不満はないだろう。

 武器は4種類。
 弾数に余裕があるが威力の低い「バルカン」、
 やや威力が高いがあまり弾を拾えない「レーザー」、
 高威力で若干の追尾性能もあるが持ち歩ける弾数が少ない「ミサイル」、
 使用制限がないが低威力で射程もない「パンチ」、
 が最初から装備されており、このうち一種類を状況に応じて切り替えながら使用してゆくこととなる。

 また機体には「ジェネレーター」のエネルギーを消費して使える特殊装備として
 高速移動できる「ホバージェット」、
 攻撃力が上がる「パワーブースター」、
 フロア内の全ての敵に大ダメージを与えるが消耗の激しい「ブレイズレーザー」、
 相手からの攻撃を防御できる「プラズマバリアー」、
 耐久力を回復できるがエネルギー効率が悪い「リフレッシュ」、
 の5種類がこれまた最初から備わっていてこのうち一種類を状況に応じて(ry

 こうした機体を操作して敵兵器の潜む閉鎖空間を探索してゆくわけなのだが・・・。


・ダンジョンまわり

 一言で言うと、ダンジョンの構造はかなり淡白だ。
 通路と部屋から構成され、部屋の中には敵や回復アイテムがある可能性があり、フロア内のどこかにあるカギを拾ってまたどこかにある出口に到達すればそのフロアはクリア。
 通路で敵と出会うことは(基本的に)なく、部屋内に視認できないトラップのたぐいもないので部屋に突入するときに用心すれば不意打ちを抑えつつ攻略してゆけるだろう。

 敵のデザインは移動砲台や浮遊タレットといった調子で、左右に軽快なステップを繰り出しつつ的確に射撃してくるやつや広範囲に弾をばらまきながら接近してくるやつなどが厄介だが、見た瞬間に心臓が跳ね上がるような危険な相手というものはいない。
 同フロアで狩り続けているとお仕置きエネミーが湧くがまあそれくらいだ。

 ・・・それから、アイテムについては耐久力と弾薬の補給アイテムのほか装備のパワーアップアイテムもある。
 ただしほとんどは持ち歩ける弾数と威力がちょっと上がる程度、バルカンは3点バーストになるなどするが弾の消費がかさむので特別ありがたくもない。
 長時間炎が残るフレイムスロアーや最寄りの敵に確実に命中するスパークカノン、広範囲をまとめて攻撃できるナパームミサイルなんて特殊パーツがあるわけでもない。
 またすべてのアイテムはその場で消費するので運用に戦術を考える要素はなく、「ジェネレーター」もほぼバリアに消費するものと考えて差し支えない。
 それからなぜか「パワーダウン」というバッドアイテムもあるが、利用価値はなく見たら避けるだけで構わない。

 すっごい地味

 いちおうダンジョンの構造はプレイごとに変化するのだが、あまりにやることに変化がなさ過ぎて「ローグライク」とは表現しがたい一本だ。
 (物足りないという感想は、世のローグライクゲーのえげつなさに慣れすぎた弊害かもしれないが・・・。)


・ゲームボリューム

 とはいえまあ、操作まわりが快適で部屋への突入時には適度な緊張感があるあたり、淡白さは致命的な難点というわけではない。
 本作の難点と言えばむしろ「セーブ機能がない」ため一度にクリアしきらねばならないことと、「そのうえで一周1時間以上を要するフロア数があるということ」。
 回避の重要度が高いシューティング要素に不測の事態に備え続けなければいけないローグライク要素、この2種類の緊張感を共に保ち続けるには「1時間」は決して短くない。
 物資に困窮した場合は同フロアに居座って敵を狩り続けることで補給を図ることもできるが、これをやるとプレイ時間はますますかさんでゆくことだろう。

 ・・・とはいえ幸いにしてコンテニュー機能があり、装備のパワーアップを失う代わりに万全の状態で同フロアに挑みなおすことができるためクリア自体は難しくない。
 ないのだが、それはそれで別の意味で緊張感が続かなくなるようでもある。


・まとめ

 ダンジョン攻略を題材にしたFPSと言えば現代でも同様のスタイルのPCゲームが多数あり、その点ではあまり古臭さを気にすることなく遊べるのだが、「ローグライクFPS」とみて比較してしまうと内容が淡白すぎるうえセーブ不能で1時間以上ぶっ通しで集中していなければいけないという点がなんともかんとも厳しい一本。

 世のローグライクゲーは凶悪な敵や状況がしばしば現れ得る反面プレイヤーキャラクターも巡り合わせ次第で破壊的な戦力を発揮することができ、そのメリハリが繰り返しのゲームプレイを促すものである。
 そこへゆくとプレイごとの体験があまり変わり映えせず、一周のプレイ時間がやたらかかるうえ、セーブ機能がないということでハイスコアなどを振り返る要素もない本作は繰り返しプレイしたいという意欲に結びつかない内容だ。
 とはいえランダムマップということでフロアごとの謎解き要素が凝っているわけでもなく、興味深い物語があるわけでもなく、繰り返さない一周目に特別魅力となる目玉があるわけもない。

 しつこいようだが悪いゲームではない・・・ないのだが、現代にしてみればパワードスーツで無人基地を探索するという「雰囲気」以外にこれとオススメできる点のない厳しい作品である。





・関連作品

KILEAK,The Bloodプレイステーションのダンジョン攻略型FPS。
ゲームバランスはともあれ、敵兵器の支配下にある無人基地をパワードスーツによって攻略してゆくという雰囲気が共通する。
・DOOMPC向けFPSアドベンチャー。
黎明期のFPSのひとつでゴア表現と探索・謎解き要素を特徴とする作品。
FPSというジャンルへの印象にも影響を与え、3D空間に2Dのキャラクターを配置した映像表現などは特にDOOMを連想する方が多いのではないだろうか。
RoboquestPC向けローグライクFPS。
軽快な移動や豊富な銃器でガンガン突貫してゆく痛快なプレイ感に評価が高い一本。
ZigguratPC向けローグライクFPS。
魔法使いを主人公とし、レベルアップ時の能力の選択を吟味するビルド要素に頭をひねる一本。
Heavy BulletsPC向けローグライクFPS。
「撃った弾を回収して再利用する必要がある」というシステムによって一発一発を慎重に狙う必要があるデザインとした、緊張感のある一本。
WASTEDPC向けローグライクFPSRPG。
フォールアウトシリーズをオマージュしたポストアポカリプス世界を特徴とし、アイテムの持ち込みに制限がないことや3頭身のキャラクターによってヘッドショットがたやすいなどによってカジュアルな難易度にまとめた一本。
Deep Rock Galacticロック・アンド・ストーン!!
PC向けCOOP対応SFFPSRPG。
真っ暗な地底世界で鉱石を掘るドワーフとなり、目的の鉱石までのルートを設計してゆく創意工夫と、多数のエイリアンを銃器で薙ぎ払う爽快感とを、ランダム生成されるマップとフレアで照らす必要のある「暗闇」のとばりによって常に手探りで楽しめるようにした一本。
キャラクターの能力は事前にビルドしたものを使用するためローグライクそのものではないが、比較できる内容として挙げておこう。


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