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ページ公開:2018/03/27


isイズ internal sectionインターナル・セクション


プラットフォームプレイステーション
開発ポジトロン
発売スクウェア
発売年月日1999年 1月
ジャンルシューティング
プレイ人数1人
セーブデータ1ブロック


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
シンプル なし 高刺激 ハードテクノ 柔軟 画面酔い注意





・ゲーム概要

 世紀末にスクウェアからリリースされた変形奥スクロールシューティングゲーム。
 本作で真っ先に脳に飛び込んでくるのは、サイケデリックに激しく変色するオブジェクトによって満たされた透明なチューブを滑走してゆく視覚刺激の強さだろう。
 音楽もハードテクノを銘打った電子音とドラムの波が打ち付けられ、プレイ中は酩酊しているような感覚に満たされると思われる。

 というわけで、プレイ時は部屋を明るくして画面から離れて遊びましょう!
 同様の刺激を受けて不調を感じたことのある方はプレイを避けるか医師に相談しましょう。
 パッケージの裏にも注意書きが書かれているが、なんとも必然的に人を選ぶゲームである。


・ゲームシステム

 本作はチューブ状のステージを進行する特殊なスクロールを採っている。
 つまり、画面奥に向かいながら自機は左右にぐるりと一周移動できるのだ。
 自機と共に視点も移動するため自機を見失う心配はいらないが、一方でこれはステージ全体が移動しているような特殊な感覚を生み出すもの。
 細かく敵や弾を避けると動いていないはずの敵ですら自機に合わせてゆらゆらと揺れることとなり、空間把握能力が強く試されるほかこれが本作の視覚的な特徴の基礎ともなっているようだ。

 ゲームバランス上では、単純に画面端に追いつめられるということがなく、画面半周分移動すれば敵から最大の距離を取れるということで回避の楽な設計を意味している。
 が、加えて本作の敵キャラクターはらせんを描くようにして自機を無視した特定の軌道を移動することが多く、自機狙い弾はほぼなし。弾幕の密度や軌道も死に覚え必須といういやらしいものはない。
 さらに自機にはホーミング性の高い武装や敵弾を一方的に除去できる武装(使用制限なし)が用意されており、緊急時に使えるボムもあることから全体として易しめの設計だと言える。
 
 反面、自機の武装によってスコア倍率には差が設定されており、通り過ぎてゆく敵編隊にはいずれも全滅ボーナスが設定されているなどスコアアタック要素が強い。
 ランキングで閲覧できるプレイ記録においては各ステージのスコアはもちろん使用した武装の割合まで記録されており、腕に覚えがあり突き詰めたいプレイヤーはとことんまで突き詰めると良いだろう。

 視覚的な刺激を楽しみたい人も、好きな武装で活躍したい人も、高スコアを狙う人も、縛りプレイに挑む人も、それぞれ満足のいくこの設計は間口が広く現代志向のデザインだと言えるだろう。
 (「高難易度コンテンツ」なんぞに挑むより、「勝利以上の勝利」に挑むほうが万人向けで攻略しがいがあるだろうというのが経験則である。

 なおボス戦は円盤状のステージを舞台に、中央のボスの周囲を手前・奥も含めてスクロールできるものへと操作性が変わる。
 視覚面ではだいぶおとなしくなるが、攻撃は激しくいずれも個性的な(というか、フリーダムな)デザインを持つのでこちらはこちらの楽しみがあることだろう。


・武装一覧

 本作の自機は十二支を題材とした12種類の武装を切り替えて戦うことができる。
 それぞれ使いやすいものからクセの強いものまで個性が与えられており、基本的には自分に合ったものを取捨選択して戦うことが重要だ。
 オプション内で使わない武装を選択から外す機能もあるので、慣れてきたら利用すると良いだろう。

 が、一方でこれらの武装には「スコア倍率」の概念があるらしく、使いづらい武装ほど倍率が高いという形で使用が促されてもいる。
 スコアアタックを追求するというのならば、要所要所で武装の使い所を把握しておきたいところである。
 (なお、以下のスコア倍率はWikipediaより抜粋した。)

 ・Rat (子)
 若干バラけて直進する小さな球を連射する。レミングス。得点倍率は100。
 基本ショットとでも言うべき使いやすさが売り。しかし威力が低いため硬めの敵集団は見送ることが多いのが弱点。

 ・Ox (丑)
 カーリングの玉のような重量物を発射する。得点倍率は100。
 敵や弾を一方的に消しながら直進する貫通弾で、スピードは遅いが高威力。素早い敵集団には当然向かないのでRatなどと補い合うと良い。

 ・Tiger (寅)
 高威力の雷球を発射する。得点倍率は30。
 雷球は付近の敵に波及しながら直進し、ザコ編隊から中ボスに至るまで広くカバーできる万能ショット。強力な反面スコア倍率はがくっと低くなるようだ。

 ・Rabit (卯)
 跳びはねるバウンド弾を発射する。得点倍率は125。
 跳びはねるという3次元的な軌道を持つが、本作の敵の大半はステージに沿った2次元的な移動を行うので端的に言ってほとんど敵に当たらない
 一部チューブ中央に浮いていて普通の攻撃が届かない中ボスが出現するので、唯一100を超える得点倍率をこうしたボスキラーとして活用しよう。

 ・Dragon (辰)
 射程の短い火炎放射を吐く。得点倍率は24。
 火炎放射は敵や弾のほとんどを消し、絶えず正面に吐き続けられる。つまり撃っている限りほぼ無敵
 障害物とスコアの低さ、それから一部消滅効果の効かない相手や特殊な軌道の攻撃だけが弱点だ。

 ・Snake (巳)
 自機正面で蛇行しながら、敵を察知すると襲い掛かる長いレーザーを呼び出す。得点倍率50。
 レーザーの移動速度は速く威力も上々。攻撃中は回避や位置取りに集中できることもあって極めて使いやすい武装である。

 ・Horse (午)
 蹄の跡を残すように3本の火柱が駆け抜ける。得点倍率50。
 攻撃範囲が非常に広く、チューブ中央に浮く中ボスに届く数少ない攻撃の一つ。威力も高いが連射が効かない点が弱点となる。

 ・Sheep (未)
 小さな球を連射する。得点倍率は100。
 Ratと比べてばらつきが少なく、狙った相手に当てやすいが真正面に立つ必要があるため若干リスキー。とはいえ、あまり変わり映えは無いか。

 ・Monkey (申)
 3Wayショット。得点倍率は25。
 左右の弾はらせん状に飛びチューブ全周をカバーできる。当てやすいが連射速度に劣り威力も高くはない。得点倍率まで25と極めて低く、不遇。

 ・Bird (酉)
 自機の周辺を飛行するブーメランを複数呼び出す。得点倍率は30。
 そこそこ威力が高く、Snakeと異なり中ボスや同時に2方向から出現する敵も含むステージ全体をカバーできる驚異的な武装。ただ狙った相手に当てることは難しいだろう。

 ・Dog (戌)
 基本的に直進するが、敵に向かって寄り道もする連射弾を放つ。得点倍率は100。
 当てやすいが威力が低く連射速度も遅い。普段使いには少々厳しいだろう。

 ・Boar (亥)
 しばらくその場で力を溜めたのち、高速で直進するレーザーを放つ。得点倍率は100。
 時間差で攻撃する罠のような武装だが、敵の出現位置を完璧に把握できるほどでなければ使い道はないだろう。


 さて、自分や家族の干支はお気に召すショットだったろうか?
 卯年の人は泣いていいが、そんな縛りプレイも本作にある遊びの一つというところだろう。


・CD入れ替え

 また、本作の珍機能として「音楽CDに入れ替えて遊ぶことができる」というものがある。
 これを利用可能なのは一つのステージを繰り返し遊ぶ「anbient1〜3」モードで、ステージの色彩や自機に付随するビットのサイズが差し替えた音楽に合わせて変化するという視覚と聴覚の連動を楽しむことができる。

 が、出現する敵編成やステージの長さには一切の影響がなく、曲の緩急に合ったプレイが楽しめないあたり片手落ちな内容であることは否めない。
 メタル系ミュージックを流してタイガーで暴れまくる・・・といったプレイングでは消化不良になりかねないので、むしろ演歌や朗読CDなどでバカゲー方向に舵を切るとより楽しめるかもしれない。


・まとめ

 純粋なシューティングとしては特徴的ではあるがシンプルで、大半の敵集団が自機を素通りしてゆくなど緊張感に欠ける本作。
 が、画面全体を視界に入れるとそれらの軌道は視覚的な刺激をまんべんなく配置するためのものであり、むしろこの刺激にこそ重きを置いた内容なのだろうと伺える。
 欲を言えばスクロールが直線でなく、カーブやアップダウンを含んでいればより一層トリップできたかもしれないと思うがまあ本作はここまで。

 本格的なシューターよりも、サイケやテクノの極彩色の刺激に飢えた人に勧めたい一本である。
 ただ、繰り返すがプレイ時は部屋を明るくして画面から離れて遊ぶことを忘れずに!





・関連作品

・ビブリボンSCEからリリースされた、音楽CDに差し替えて遊べるゲームの代表格。
CD内の音楽からステージを生成するという音ゲーだが、音楽と操作との関連性や黒字に白のラインを引いて描かれたビジュアルなどにやや実現度が物足りない感がある。
「モジブリボン」や「ビブリップル」という、音楽以外を題材とした後継作あり。
・Rezドリームキャスト、後にPS2に移植されたシューティングゲーム。
本作同様に視覚刺激と音楽とシューティングによるトリップを突き詰めた内容だがそれぞれの要素が密に噛み合っており、完成度は段違いに高い。
またVR対応のリメイクなど、より高い没入感の実現に取り組んでいる模様。
・LSD幻覚剤・・・ではないが、これを題材にしたプレイステーションのゲーム。
非現実的な世界観を主観視点で徘徊する内容は「電子ドラッグ」とも例えられ、アンダーグラウンド的に後継作を生むこととなった怪作である。
・Boson XSteamなどで販売されているPCゲーム。
シンプルな操作で視覚的な刺激が強いチューブ状のステージをスクロールするデザインは本作と近しいものがある。


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