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/トア 〜精霊王紀伝〜
ページ公開:2016/09/06
トア 〜
精霊王紀伝
(
せいれいおうきでん
)
〜
プラットフォーム
:
セガサターン
開発
:
エインシャント
発売
:
セガ
発売年月日
:
1996年 4月
ジャンル
:
アクションRPG
プレイ人数
:
1人 (2人プレイにする裏技あり)
セーブデータ
:
1つ12ブロック、3ファイルまで、コンフィグデータ3ブロック
システム
シナリオ
グラフィック
サウンド
ゲームバランス
その他
個性的かつ合理的
シンプル
拡大描写に粗さあり
荘厳だが、シンプル
敵の固さが気にかかる
スコアアタック対応
・ゲーム概要
メガドライブで発売された見下ろし型アクションRPG「ストーリーオブトア 〜光を継ぐ者〜」の続編にして前日譚にあたる一本。
前作は剣や弓などの武器にコマンド式の必殺技を設定した格闘的なアクションや「スピリットボール」によって召喚する「精霊」の存在を特徴とし、本作はそれらの特徴をほぼそのままにストーリーやゲームボリュームに手を加えてセガサターンでリリースされた一本だ。
マシンスペックに応じてグラフィックなどが順当に強化されているとはいえシステム面で大きな変更は無く、旧世代的と侮って見てしまう一本だがその内容は・・・?
・スピリットボール
本シリーズを特徴づけるのは「
武器による必殺技アクション
」、「
スピリットボールと精霊
」の2つだろう。
先ずは「
武器による必殺技アクション
」についてだが、これは剣や弓といった武器に、それぞれ通常攻撃とは異なる「回転切り」や「連射」といった特殊な攻撃が用意されているという物。
これらは例えば「キー一回転・攻撃」、「↑・↓・↑・攻撃」、といった入力で発動し、威力の向上や攻撃範囲の拡大を望む事が出来る。
使用する際にはキー入力以外の手間以外に制約やデメリットが無く積極的に使って行けるのだが、一方で連続技系の必殺技はほぼ通常攻撃の上位互換として活躍しすぎてしまっており、ボスのような固い敵に対してはコマンド入力の手間や精度を意識してしまう難点ともなっている。
アクションにバリエーションがあり状況に応じて使い分け可能・・・というシステムは魅力なのだが、その実現方法は若干粗さ、うがった見方をすれば「格ゲー調」を魅力と捉えた古臭さを感じるところだろうか。
さてもう一つの特徴たる「
スピリットボールと精霊
」について。
シリーズの主人公は、手にした「金の腕輪」の力によって自然の力を表した「精霊」たちを召喚して味方とする事が出来る。
精霊たちは主人公に同行しつつ半自動的に行動するキャラクターで、そのバリエーションとしては
・回復の魔法を得意とし、妖精のような姿と慈愛に満ちた性格を持つ水の精霊「ディト」
・炎による攻撃を得意とし、ランプの魔人のような姿と豪快な性格を持つ火の精霊「イフリート」
・影となって主人公の行動のサポートを行う、影そのものの姿と執事的な性格を持つ影と闇の精霊「シェイド」
・強靭な歯で噛みついての破壊を得意とする、植物の姿と活発な性格を持つ緑と大地の精霊「バウ」
・鋭い羽根や音波による攻撃を得意とする、金属製のドラゴンのような姿を持つ金属と音波の精霊「ブラス」(本作オリジナル)
・空気や雷による攻撃を得意とする、雲の女性のような姿と包容力のある性格を持つ空気と雷の精霊「エアル」(本作オリジナル)
と言ったものが存在している。
火や水と言った自然の力はまたマップ内の仕掛けを解くためにも必要となるため、状況に応じて必要な精霊を見極めて召喚して行く事がゲーム攻略の鍵となると言ってよいだろう。
そして、それら精霊を召喚するためのアクションが「スピリットボール」であるわけだ。
「スピリットボール」は主人公が前方に向かって光の球を放つという動作で、これに触れた物から属する力の精霊を呼び出す事が出来る。
水面に触れれば水の精霊ディトが、火柱に触れればイフリートが、といった具合だ。
そしてこのシステムのユニークなところとして、
精霊を召喚できるオブジェクトに科学的な性質が与えられている
点を推しておきたい。
例えば、「氷の柱」というオブジェクトは光を反射して虚像を映す物として影の精霊シェイドを召喚できる対象となっているが、これをイフリートなどの力によって溶かすと今度は水の柱として水の精霊ディトを召喚できる対象となる。
また枯れた草はそのままでは効果を持たないものの、ディトの癒しの力によって青々とした姿に戻ればバウを召喚できる対象となり、またバネ状のツタそのものを移動に利用することもできる。
さらに「炎」というオブジェクトは主人公の行く手を阻むものとしてディトの力で消火してしまう事が多いが、周囲に強敵がいる状態ではここからイフリートを召喚して加勢させる事ができ、もっと言えば敵が放った炎をイフリート召喚のきっかけとして逆用する事も出来るのだ。
ゲーム中に登場するオブジェクトは障害物に留まらず精霊を召喚するきっかけとしての側面も持ち、その性質を理解していかに攻略に応用して行くか?に頭をひねる要素となっているわけだ。
判断力や発想力を問うものとして、こちらの特徴は現在でも映える魅力となるだろう。
・成長要素
また、本作はアクションRPGとしてキャラクターに成長の概念がある。
例えば剣や弓と言った「武器」はダンジョンなどで高ランクの物を手に入れると装備する物が更新され、また精霊の能力は「宝石」というアイテムを入手するごとに強化されて行く。
これらは「ゼルダの伝説」に代表されるような宝探し、探索の面白みを感じさせる要素となっていると言える。
一方で主人公の「最大HP」についてはかなり特殊な設計が採られており、「ダメージを受けて回復した量」に応じて経験が貯まり最大値が成長するというシステムとなっている。
ともすれば無限回復ポイントの近くで被弾・回復を繰り返すことで主人公を育成しゲームバランスを緩和できるというわけだが、反面この最大HPに応じてクリア時に評価が下され、記録として残るという面もある。
初心者はトライ&エラーを繰り返すことで自然とキャラクターも成長し、上級者は被弾を抑えて高ランクを目指す、という設計であるわけだ。
やり込みの分野でノーダメージクリアや低レベルクリアといった概念は有ったわけだが、それを成長要素と組み合わせてシステムに組み込んだこの設計はなかなか革新的であったと言えるだろう。
・ストーリー
かつて、精霊界「トア」に戦いがあった。
万物を司る力の象徴「金の腕輪」を持つ、世界の守護者たる「精霊王レハール」と、万物を創造する力の象徴「銀の腕輪」を持つ、絶対の破壊者「魔人アギトー」が、正義と邪悪に分かれ、「トア」全域を幾度も震撼させるほどの激しい戦いが起こったのだ。
この相反する2つの力の衝突は、両者の相討ちと言う形で終わりを告げた。
そして、互いの「力」の象徴である「金の腕輪」と「銀の腕輪」もまた、それぞれの主を失った戦いの中で、「トア」の何処かへと姿を消した。
…時は流れた。
かつての戦いの記憶も薄れ、人々に「伝説」として語られるようになった頃、精霊界「トア」は平和で穏やかな日々を取り戻して久しい時代となっていた。
しかしその中に、「トア」の世界に再び闇が忍び寄り、密かにそれを感知したかのように、再び2つの腕輪は目覚めようとしていた…。
「金の腕輪」は、精霊王再臨を願う老剣士「オーダン」に見いだされ、偉大なる「精霊王レハール」の血を継ぐ次代の精霊王「レオン」という新たな主を得ることとなる。
そして、「銀の腕輪」もまた…。
(説明書より抜粋)
先述の通りこのゲーム自体が「ストーリーオブトア 〜光を継ぐ者〜」の前日譚であるわけだが、これもまた前日譚を持つ中間の物語というのはやや繰り返しを感じるところ。
・キャラクター
・レオン
主人公。初代精霊王「レハール」の血を引き、次期精霊王となる素質を秘めた青年。
育ての親にして剣の師匠でもある老剣士「オーダン」から「トア式格闘術」を伝授されているが平和な今の世の中では実戦経験を積む機会が無く、6種の精霊を従える試練の旅を通して成長して行くこととなる。
・オーダン
主人公の育ての親にして剣の師匠である老剣士。
高齢の上に隻眼・隻腕だが剣の腕はいまだ衰えず、背負った大剣もいつでも振るえるようよく手入れされている。
・ミュラ
ヒロイン。レオンたちの村に現れた占い師の少女で、トアの世界で不吉の象徴とされる「黒い髪」を始めとした様々な謎を秘めている。
・精霊王レハール
かつての大戦で魔人アギトーと壮絶な戦いを繰り広げた英雄。
アギト―との戦いで肉体が滅びたものの魂は未だにトアの世界に留まっており、その雄姿を彫った像を通してレオンに助言を与えることとなる。
・魔人アギトー
かつての大戦で精霊王レハールと戦いを繰り広げた邪悪。
レハールとの戦いで肉体が滅びたものの、新たな器を見つけ出した事で復活を目論んで活動を再開した。
・まとめ
前作からシステム面に大きな変更が無くボリュームを追加した移植版と言った背景を持つが、自然現象をベースにしたシステムが普遍的な魅力を持つ一本。
成長システムに現れている通りアクションRPGとしての探索や戦闘の土台もしっかりと存在し、その内容は現在でも色あせず楽しむ事が出来るはずだ。
操作感などやや気になる粗さも多いが、アクションRPGが好きな人、特に謎解きに魅力を感じる人にはチェックして欲しい良作である。
・ワンポイント攻略
・武器選択中にLを押しこんでからXを押し、Lを放す。これで2Pプレイ用のゴーストを出現/退場させる事が出来るぞ。
・精霊の祭壇に有る燭台。実はあれには隠された意味が・・・。
・関連作品
・ストーリーオブトア 〜光を継ぐ者〜
:
前作。マップ内のオブジェクトから精霊を呼び出して謎や戦闘を切り抜けて行く・・・というコンセプトはこの時点で完成されているようだ。
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