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ページ公開:2015/05/19


ETERNAL RINGエターナルリング


プラットフォームプレイステーション2
開発フロム・ソフトウェア
発売フロム・ソフトウェア
発売年月日2000年 3月
ジャンルアクションRPG
プレイ人数1人
セーブデータ1つ約100KB


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
シンプル 殺伐 指輪のデザインが豊富 重厚 粗い PS2のロンチタイトル





※今回のレビューは若干のネタバレを含みます※


・ゲーム概要

 プレイステーション2のロンチタイトルとして発売された主観視点アクションRPG。
 フロム・ソフトウェアの代表作「キングスフィールド」シリーズの作風を受け継ぐ一本で、剣と魔法の指輪による空想的な世界観が強烈なゲームバランスや仄暗い物語で繰り広げられている。
 タイトルやパッケージ裏でもアピールされた「100種類もの指輪」を駆使して読み説く内容は、果たして・・・?


・ストーリー

 すべてのものが魔物になるという「不帰の島」
 主人公カインは王命を受け、絶海の孤島へ旅立つこととなる
 彼の地に赴く事が、自らの運命とは知らずに……

 島に潜む竜に秘められた謎
 本国から送り込まれた使者の行方
 そしてカインの出生の秘密

 すべての謎を解明するべく、島の最深部へ―――

 (パッケージ裏より抜粋)

 物語の舞台は魔法の指輪と魔法の力を秘めた石の眠る「不帰の島」。
 絶大な力を秘めるという「エターナルリング」を手に入れようと長老派の調査団が送り込まれたことを警戒し、国王と親しい主人公・カインがその後を追って島へと潜入することとなった・・・というのが導入部だ。
 主人公カインは調査団に潜入して島の調査の進捗度を探りながら、エターナルリングの正体を見極めてあわよくばそれを奪取するという目的の下に行動してゆくわけである。

 実際、序盤に攻略することとなる「水の神殿」では調査隊のメンバーと協力して物資や回復の支援を受けながら攻略することとなるのだが・・・。
 このダンジョンの終了直後、調査隊のメンバーは「指輪」に魅入られて怪物化した隊長によって壊滅することとなる。
 互いに自己紹介を交わして長い関係を築こうとしていた仲間たちがゲーム開始後1時間程度でことごとく帰らぬ人となるあたりは強烈なインパクトがあり、「不帰の島」、そして本作のシビアさを物語る洗礼となっているだろうか。


・指輪の使用

 主観視点でキャラクターを操作し、モンスターを倒しながらダンジョンを攻略して行くという流れを持つ本作。
 比較的シンプルな構成だが、その内容を特徴づける最大の要素は「指輪」の存在だろう。

 「指輪」とは6つの属性と「魔法」を秘めた装備品で、主人公は剣を持つ右手の指に属性の力を高める「補助指輪」を5つ、空いた左手の指に魔法を秘める「魔法指輪」を5つ、それぞれ装備することが出来る。
 戦闘中には現れないがこの指輪には一つ一つ異なるデザインが施されており、キャラクターとの一体感が強い「主観視点」ということも相まって空想が広がる設定と言えるだろうか。

 さて「魔法指輪」の使用方法だが、5つの指輪から発動したい魔法を一つ選択し、一定のチャージタイムを経て発動準備を整え、ボタンでMPを消費して発動という流れ。
 いくつかピックアップして紹介して見ると・・・。

・「ファイアボール」前方に火球を発射する初歩的な魔法。クセの無い性能から遠距離攻撃として使いやすく、この魔法を必要とする謎解きも用意されている。
・「ファイアウォール」前方の地形に沿って火柱を走らせる下位魔法。ファイアボールよりも威力に長け、集団戦でも使えるが、地形や相手との位置関係によって当たらないのがネック。
・「トルネード」前方に竜巻を呼びだす中位魔法。移動しない相手に対しては連続ヒットが望めるため効果が高いが、接近してくる相手には効果が薄く自分が巻き込まれる危険性もある。
・「スピア」風属性の上位魔法。巨大な槍を召喚し、相手の頭上から貫く。単体にしか効果がないが、発動時に相手の動きを停止させる効果がありどんな相手にも一定の有効度を誇る。
・「キュアウォーター」水の力で自分のHPを回復する補助魔法。序盤から作成でき、用意しておけば生存力が飛躍的に向上する。
・「ウォール」地の力で相手を岩に封じ込める補助魔法。ダメージこそ与えられないが一定時間相手を無力化することが出来、乱戦で重宝する。
・「ヘヴン」光属性の下位魔法。光属性に対して耐性の無い相手を即死させる。強力だが消費MPやチャージタイムの長さ、弾速の遅さなど難点も多い。
・「アバドン」闇属性の補助魔法。一定時間相手の魔法を喰らってMPを回復させる。魔法への防御壁になると同時に相手を選べばMPの回復手段としても重宝する。

 ・・・などなど。
 それぞれの魔法は独立しており火の攻撃魔法と水の回復魔法を同時に装備することも可能だが、同属性の指輪で揃えると属性の力が重なってより威力が高まる、という特徴もある。
 「補助指輪」はこの属性の力を後押しする物が中心で、火属性を中心とする場合は火属性の指輪を、水属性を中心とする場合は水属性の指輪を、と揃えると高い効果が得られるだろう。
 だが、補助指輪の中には宝箱や強敵からしか手に入らないレアな物もある。
 魔法にホーミング能力を付与する「パワーオブシーク」、獲得経験値をアップさせる「パワーオブグロウ」、チャージタイムを短縮する「アンプリファ」、といった物が有り、属性の強化と強力なサポート効果とどちらを優先するかはなかなか悩ましいところだ。

 ・・・と、言いたいところだが。
 序盤の「水の神殿」の最後では、ダッシュ機能が使えるようになる「パワーオブムーブ」という補助指輪が手に入る。

 いや、そこは基本機能として組み込んでおいてくれ
 本作の移動速度はかなり重めで、ダッシュ機能なしには快適にプレイできない程度。率直なところゲーム中はこの指輪が手放せないのだ。
 先の「パワーオブシーク」もこの指輪の存在が逆に通常の魔法指輪にホーミング性を持たせることをタブーとしてしまった感があり、これらレアアイテムは存在感の過ぎた物である気がしないでもない。

 また「100種類」用意された指輪の比率は52が魔法指輪、48が補助指輪である。
 とはいえ正面に属性の力を飛ばす下位魔法、武器を召喚して攻撃させる上位魔法、など攻撃魔法の多くは性能がかぶっており、特に光と闇の攻撃魔法はほぼ同一の性能。
 補助指輪の方も属性ごとに同じような物が用意されているため、数字のインパクトの割にあまりバリエーションの豊富さを感じない点も残念かもしれない。


・指輪の作成

 さて、ではこれら指輪の作成方法について見てみたい。
 先ず指輪に宿る魔法の力は「魔法石」というアイテムから得られるもので、本作では敵を倒して「魔法石」を集め、集めた魔法石で指輪を作り、作った指輪で敵を倒してゆく、という流れが設定されている。
 そして「魔法指輪」の作成にはまた素材となる指輪も必要であり、こちらはダンジョン中の宝箱や強敵を撃破した報酬として手に入るプレーンな状態の指輪「リングオブマジック」が基本アイテムとして位置づけられている。

 作成の手順については、ゲーム中で一部のセーブポイントの近くに配置されている魔法陣から指輪製作用の空間へ移動。
 魔法指輪の作成か補助指輪の作成かを選択して6つの台座に任意の魔法石を置いて行き、それら魔法石の組み合わせによって完成する指輪が変化するという流れである。
 火属性の魔法石を少数並べればファイアボールが、多数並べればファイアウォールが、といった具合だ。
 また「魔法石」には属性のほかにランクの概念が有り、強力な魔法石が手に入る後半ほど強力な魔法や補助指輪が解禁されて行くこととなる。

 では、火属性と水属性、など属性を複合させた場合はどうだろうか?
 基本的には、この場合は補助魔法や複合属性の補助指輪が作られることとなる。
 補助魔法は相手を弱体化したり主人公を強化したりといった魔法で、複合属性の補助指輪はメイン・サブの2つの属性を強化するものだ。
 ・・・ただ、指輪の作成には一定の法則があり、これを把握していないと望みの指輪を作成することは難しいだろう。

 作成の例を見てみよう。火属性の補助魔法を秘めた指輪を作りたい場合。
 火属性を4ランク分、地属性を2ランク分、と用意して指輪を作ったところ、なぜか地属性の攻撃魔法「スタチュー」の指輪が出来た。
 怪訝に思って再度同じ設定を試してみると、今度は火属性の攻撃魔法「ファイアボール」が出来、3度目には地属性の補助魔法「プロテクト」が出来てしまった。
 ・・・など、どの指輪が完成するかには法則性に加えてランダム性も絡んでくるのである。

 もちろん火属性の魔石から水属性の指輪が出来るなど極端に法則を外れた結果にはならないものの、作中ではこのランダム性によって相当悩まされることとなる。
 何しろ目当ての指輪を作りうるレシピを試したとしても、運次第では作成に失敗し材料の無駄と徒労を重ねることとなりうるのだ。
 作成する際に威力や消費MPのボーナスが付くといった要素も無く、このランダム性は繰り返しを感じさせる蛇足要素で有った気がしてならない。

 なお魔法指輪を作る際の具体的な法則は、左側の台座に配置した魔法石のいずれかがメイン、右側に配置した魔法石のいずれかがサブ、となり、後は魔法石の合計ランク数に近い指輪が完成品となるというもの。
 水属性と地属性はこの法則を知らないと攻撃指輪が作りづらいため、よく押さえておきたい。


・剣の役割

 ・・・と、魔法の指輪を中心とした本作であるものの一応「剣」の存在もある。
 魔法中心のバランスとはいえMPはきっちりと消費する本作。攻撃にコストのかからない剣を使ってMPを節約するというのは大事な事だ。
 剣を使った戦闘では相手の行動を読んで素早く懐に潜り込み、攻撃して相手の反撃を誘いつつ後ろに下がる、というヒット&アウェイ戦法が基本となる。
 本作のキャラクターは全体的に動作が遅く、また攻撃のパターン数も少ないためパターンにはめてしまえば近接戦闘もそう難しくは無いだろう。
 MPは回復アイテムの使用のほかに敵の撃破によっても一定値回復するため、折を見てMPを回復できるよう剣での戦闘にも慣れておきたいところである。

 ・・・ただ、本作に登場する武器はわずか8種類のみ。
 それぞれにグラフィックやモーションが異なるとはいえ、100種類存在する魔法の指輪と比較するとやはり脇役という位置付けであるだろうか。

 ところで、剣で敵を倒すことにはもう一つメリットがある。倒した敵の位置が明確だ、という点である。
 どういうことかというと、本作の敵キャラクターは撃破すると魔法石などのアイテムをその場に落とす・・・のだが。
 魔法石は外見が小さな石ころであるうえにこれといったエフェクトを持たないので、一度見失うと回収が困難になるのである
 魔法を使って遠距離の敵や複数の敵を倒すのは快適ではあるのだが、一方でアイテムの回収でゲーム内容を間延びさせてゆく事に繋がってしまう。
 その点、剣で敵を倒せばそのまま足元を見るだけで狙いのアイテムが見つかるというわけだ。
 ・・・単純にゲームテンポが悪くなるので、アイテムのデザインや取得方法はもう少し考えてほしかったところである。


・意外な落とし穴

 そうして剣と魔法を駆使して戦って行く本作だが、実のところ本作最大の敵は剣も魔法も通用しない相手である。
 それはつまり、崖からの転落死だ。
 ・・・主観視点としてあまり視界の良くない本作なのだが、ダンジョン中には必ずと言っていいほど「崖」が用意されており、少しでも足を踏み外せば即死というバランスに調整されているのである。
 その頻度はと言えば、ゲーム開始直後の洞窟に流れる川はおろかその手前にあるイベント用のマップ、海岸でさえ深みにはまっただけで即死する始末
 ここまでカナヅチだと水に触れられない呪いにでもかかっているんじゃないかと勘繰りたくなるが、まあそれは置いておいて。
 本作はこうした「崖」によってプレイヤーの周囲を固め、敵との戦闘において逃げ場のない緊張感を演出していると言えるだろうか。
 このあたりは「キングスフィールド」シリーズに連なる特徴だと言えるのだが、魔法の指輪による遠距離戦闘を推し出した本作においては剣での接近戦を迫られる難点としての側面が強いかもしれない。


・まとめ

 剣と魔法の指輪を駆使して敵と戦い、島に眠る謎を探って行くという王道的なテーマをシビアな作風で描いた本作。
 その最大の特徴は多彩な「指輪」を使い分ける事にこそあるものの、攻撃魔法の性能の重複や一部の補助指輪の強力さ、指輪作成時のランダム性などバランスの悪さを感じる部分も多く、剣や転落死といった要素には「指輪」の存在感を霞ませる蛇足感もある。
 全体として煮え切らない、粗めの内容となっていると言えるだろうか。

 両手の指に付けた魔法の指輪を使い分けるという設定や雰囲気に酔える人にはなかなか貴重な内容だと思われるが、くれぐれもシビアな雰囲気や足元に良く注意して欲しい一本である。


・ワンポイント攻略

 ・魔法指輪の作成について、指輪の「ランク」はおおよそ5刻みで決定されている模様。
  攻撃系が5未満〜20、補助系が5未満〜20、最上位魔法が25・30、程度なので参考として欲しい。
 ・闇属性の攻撃魔法は少々作りづらい。火属性と水属性を同時にサブに置いて見ると良いようだ。
 ・補助指輪に空欄があるとすれば、それは「ソード」系だろうか。光と闇の複合がポイントだ。
 ・物資の少ない序盤では、先ず水の魔法石から「キュアウォーター」の作成を狙うのがオススメ。
  攻撃では貫通力と直進性に優れた風が使いやすいが、最終的にはお好みで。

 ・作中序盤の森と谷の二択。一応は谷ルートが推奨されているのだが、走り抜けるつもりならつり橋を渡った森ルートの方が楽だ。
 ・樹の集落の次の目的地は、谷の奥の穴から行ける火山の洞窟。竜のいる火口は足元に注意して迂回しよう。

 ・最初のダンジョンを逆走すると出る海岸。実は、このどこかに隠しダンジョンへの入り口が・・・。
 ・個数限定アイテムの「リングオブマジック」は、隠しダンジョンでは無制限に手に入る。コレクションはそれからでも遅くは無い。
 ・隠しダンジョン中では強敵が貴重品を落としてくれる。ただし、ここで一品モノを取り逃すと取り返しがつかないのでバックアップを忘れずに・・・。
 ・火山入り口で眠る地竜は、ある攻撃で起こす事が出来るものの倒す事は出来ないようだ?

 ・PS2初期のタイトルであるため本体の型番によっては効果音などにバグが起きる模様?





・関連作品

・「キングスフィールド」シリーズフロム・ソフトウェアの代表作たる主観視点ダンジョンRPGシリーズ。世界観・ゲームバランス共に極めてシビアであり、賛否が分かれた一方でそこに病みつきになるコアなファン層を獲得した。


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