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ページ公開:2015/02/10


CYBER ORGサイバーオーグ


プラットフォームプレイステーション
開発FUZZBOX
発売スクウェア
発売年月日1999年 4月
ジャンルアクション
プレイ人数1人
セーブデータ1つ3ブロック、3ファイルまで


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
やや複雑 映画風 個性的 メタル調 カスタム性豊富 キャラクターデザイン:板橋しゅうほう





・ゲーム概要

 プレイステーション後期にスクウェアから発売されたアクションダンジョンRPG。
 様々な異星人が入り乱れるスペースオペラ的な世界観を持ち、個性的な3人の主人公を使い分けて悪の宇宙人組織「バルゴン」の野望を打ち砕くという内容が展開される。
 視覚面についても板橋しゅうほう氏のキャラクターデザインによってアメリカンコミック調のものとしてまとめられており、ゲームとしての手触りはなんとも濃密だ。
 システム面についても「メディスン」や「メール」などユニークな設計が施されているのだが、さて・・・?


・ストーリー

 地球歴22世紀半ば、WARP航法(超光高速法)の開発により、巨大な空間と時間の壁は取り払われ、惑星間に交流が生まれ始めた。
 交流は徐々に広がり、23世紀初頭には太陽系第三惑星”地球”を含む諸惑星によりジュノ連邦が形成されることとなった。
 連邦政府は、宇宙調査局を設立し、その調査の範囲を未知なる領域へと広げていった。

 地球歴2312年、順調に調査領域を拡大していた連邦の下にひとつの知らせが届いた。
 それは、友好条約調印のために連邦へ向かっていた惑星ラミュレスの親善大使の船が連邦領域内Z3地区で突然、消息を絶ったというものだった。
 連邦宇宙調査局は、Z3地区保安局と合同で調査に当たることにした。
 Z3地区から選ばれた捜査官は3名。その中にはただ一人の地球人、T.J.も含まれていた。
 選ばれた捜査官たちは最新型宇宙調査艦ジェネシス号に乗り込み、親善大使が消息を絶ったポイントへと向かった。
 想像をはるかに超えた世界が待ち受けているとも知らずに・・・

 (説明書より抜粋)


・キャラクター

 ・T.J.
 操作キャラクターの一人。太陽系地球人。
 保安局に入って2年目の新人ながら、やる気と実力の高さを評価されジェネシス号のメンバーに抜擢された。
 性格面では他人と過度に関わろうとしない冷めた面が目立つが、故郷へ対する思いは強い。
 武器は様々な銃器。遠距離や身軽な相手への対応力に長け、扱いやすい。
 また、特殊アクションとしてステルス迷彩を使用して敵をやり過ごせるというものが有る。

 ・ギガンテ
 操作キャラクターの一人。ミスーラ系エノルメ人。
 サイクロップスを思わせる一つ目の巨漢で、体力と怪力が評価されてジェネシス号のメンバーに選ばれた。
 一方で性格は陽気で温厚、無類のパイナップル好きという親しみやすい一面もある。
 武器は右手に装着するアタッチメント。突進や範囲攻撃など接近戦での活躍を得意とする。
 また、その怪力によって一部の壁を破壊し隠し通路を発見することが出来る。

 ・フォシス
 操作キャラクターの一人。カンビオ系メタモル人。
 昆虫のような外骨格と冷静沈着な思考回路を持ち、Z3地区の保安統括者を務める人物。
 感情の起伏がないメタモル人の特徴に加えかつて軍隊に所属していた経験から、常に合理的な判断を導き出す指導役である。
 武器は投擲型の爆弾。加えて腕から生えたブレードによる格闘術も強力である。
 また、空中を長距離にわたって滑空する特技も持つ。

 ・ピュウ モラヴィエ
 サブキャラクターの一人。イリア系ウル人。
 ジェネシス号の指揮を執るエリート捜査官で、3人の活動に対して随時ヒントや指示を与える役割を担う。
 気が強く自分のやり方を押しつける面が有り、皮肉屋のマイクとは衝突が絶えないようだ。

 ・マイク カノン
 サブキャラクターの一人。ミスーラ系エナノ人。
 ジェネシス号のパイロット兼メカニックエンジニアで、パスワードの解析などで3人の活動をサポートする役割を担う。
 親子2代でZ3地区の保安局に勤めてきたプライドのためか、連邦軍付属アカデミー出身のピュウとは衝突が絶えないようだ。

 ・「バルゴン」
 Z3地区に潜り込んでいた謎の宇宙人組織。
 巨大な施設を建設しており、通りかかった宇宙船などを手当たりしだいに拿捕していたようだがその活動目的は基本的に不明。


・ゲームの流れ

 さて、本作はバルゴンの施設「エリア」の探索を目的としており、その過程でキャラクターを選択しながら各地点にある「ダンジョン」を攻略して行くこととなる。
 ダンジョン内はキャラクターを背後から見た3Dアクションの形式で進行し、敵キャラクターと戦闘して「AP(アクセスポイント)」を貯め、情報端末から情報を引き出し、ワープポイントを起動させて新たな「セクター(階層)」へ移動する、という流れを繰り返す。
 各セクターはランダム生成で形作られており、固定の仕掛けや施設こそあれ謎解きの複雑さより戦闘に重きを置いたゲームバランスと取れるだろうか。

 実際、公式に「ジャンル:アクション」を名乗るだけあってキャラクターの操作は快適だ。
 ダンジョン中におけるキャラクターの主なアクションは移動とジャンプ、そして通常攻撃の「格闘技」と武器を用いた「スキルアタック」といったところ。
 うち戦闘の基本である「格闘技」は素手で格闘攻撃を繰り出すもので、キャラクターによってアクションに差が有るほか、ボタン連打によって連続攻撃となったりジャンプやスキルアタックと組み合わせて技が変化したりとなかなか多彩。
 間合いや敵の数に応じて技を使い分けるあたりには格闘ゲームのような面白味が有るだろうか。
 また「スキルアタック」はいずれも個性的で強力なほか、ダンジョン内で新たな種類の武器を発見できることからアクションと探索の両面に彩りを与える存在であると言える。

 そして、そんなキャラクターは「メディスン」システムによって成長してゆくこととなる。
 ダンジョン内ではオブジェクトの破壊や敵キャラクターの撃破によって、たまに「メディスン」と呼ばれる薬系アイテムが手に入ることがある。
 これは飲んだその場で効果を発揮する「非残留系メディスン」と飲んだ後効果が残り続ける「残留系メディスン」に大別され、うち「残留系メディスン」がキャラクターの成長において重要な要素となるのだ。
 残留系メディスンは、飲んだ後キャラクターごとの「キャパシティ」枠だけストックされ継続的な効果を発揮するアイテムである。
 例えば「攻撃力が上がる」、「防御力が上がる」、といったものがあり、これらを服用することでキャラクターは一時的にステータスへの補正を受けることが出来るわけだ。
 さらに、残留系メディスンの効果が有る状態で一定量の戦闘をこなすとメディスンの効果が肉体に蓄積し、基礎パラメータが上昇するという効果もある。
 いうなれば、残留系メディスンの活用によって任意のパラメータにレベルアップを施してゆくというシステムとなっているわけである。

 もちろん、ダンジョン内で手に入るアイテムはメディスン系のみではない。
 画面内全体にダメージを与える「フォース」系アイテム、
 武器や防具に装着して属性を付与する「ラミュレスト」系アイテム、
 武器に装着してスキルアタックの性能をカスタムする「パーツ」系アイテム、
 それらアイテムを収納し、強化や増殖と言った特殊な効果を発揮する「ボックス」系アイテム、
 などなど。
 いずれもシステム的にひと癖ふた癖ある存在なのだが、上手く扱えば攻略に役立つのは間違いない。
 中には若干レアリティの高いアイテムなどもあり、アイテムの収集は目的と手段の両面でダンジョンの探索を支えてくれると思われる。

 ・・・ただ、スペースオペラかアメコミ風を過度に意識してしまったらしく、ゲーム本編中ではアイテムの名前や効果表示がことごとく英語という不必要にハードルの高い面もある。
 ちゃんと日本語のヘルプも呼び出せるのだが、やや雰囲気に暴走した感が無いでもないか。

 さて、振り返るとフロアの移動(APの入手)、キャラクターの活躍、アイテムの入手、キャラクターの成長、の要素は一通り敵キャラクターとの「戦闘」に集約されている。
 キャラクターを選んでダンジョン内を探索する、というのも戦闘に関して多彩なシチュエーションを与えているようで、やはり本作は戦闘をベースに据えたゲームなのだと言える。


・メール

 また、ゲーム中では仲間から謎解きのヒントや「バルゴン」に対する考察などの「メール」が送られてくることが有る。
 このシステムのユニークな点は、第一にある仲間のメールに対して他の仲間がメールへの返信を送ることがある点だろうか。
 ジェネシス号のリーダーとして指揮を執りたがるピュウと、長年地元でやってきたプライドのあるマイクの衝突などはここで顕著に表れており、お互いの主張をぶつけあう様がしばしば見られる。
 時にはゲームの進行から離れて話の内容がエスカレートするなど生々しすぎて胃が痛くなるところだが、システムの第二の特徴として送られてきたメールを読むタイミングは基本的に自由なので件名の不穏なメールはスルーすることも可能である。
 またアクションゲームとして緊張感を維持する場面の多い本作、会話をストックしておいて後でまとめて読み返せるというシステムは実情に沿っておりなんとも心憎い。
 ほか、第三の特徴として操作キャラクター達もこのメールのやり取りに参加するという事を挙げておきたい。
 寡黙に敵と戦い施設を調査するゲームキャラクターという面とはまた違う、登場人物としての人間臭い面、仲間同士で意見をぶつけ合うチームとしての団結面、が具体的に描写されており、キャラクター全体の存在感に厚みを与えているわけである。

 1999年当時まだそれほど普及していなかった「メール」という概念だが、物珍しさのみならずアクションゲームに適した形として取り込めていることにはなんとも唸るほかない。


・まとめ

 スペースオペラやアメリカンコミックといった濃密な世界観を持ち、システム面でもまた独自の概念を盛り込んだ意欲作。
 難解で親しみづらい部分もあるものの、詳しく見て行くとその要素にはきちんとした統一感が有り、完成度は良好である。
 スペースオペラが好きな人、3Dアクションが好きな人、3Dダンジョンが好きな人、などにオススメしたい一本だ。


・ワンポイント攻略

 ・残留系メディスンは、特定の組み合わせで服用すると特殊な作用を発揮する。
 同Lvを組み合わせる物が基本だが、ほかに・・・?
 ・「□+×」のアクションは覚えておいて損はないぞ。
 ・ダンジョンの探索漏れに注意。セクターを一通り回っておかないと、ゲーム後半で悲しい目に・・・。





・関連作品

・ランニング・ハイPSのレーシングゲーム。
パワードスーツを着た人間が疾走して時速200キロ超のレースを繰り広げるという強烈な内容で、板橋しゅうほう氏がキャラクターや世界観のデザインを担当した。
・キャロル・ザ・ダークエンジェル「プレイステーションコミック」シリーズの一本。作:板橋しゅうほう氏。


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