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ページ公開:2014/12/16


CRIME CRACKERSクライムクラッカーズ22


プラットフォームプレイステーション
開発メディア・ビジョン
発売ソニーコンピューターエンターテイメント
発売年月日1997年 11月
ジャンル3DアクションRPG
プレイ人数1人
セーブデータ1つ1ブロック


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
快適さは向上 かなり粗い キャラクター性が弱い ムービー内ではボイスあり 周回制を採用したが・・・ アニメムービー多数





※※今回のレビューはややネタバレを含みます※※


・ゲーム概要

 PSのロンチタイトルとして発売された「クライムクラッカーズ」の続編に当たる3DアクションRPG。
 前作の世界観やアニメ風の作調をそのままに、主人公チームの交代やシステム面の見直しを行ってパーティー選択の楽しみや操作の快適さを実現している。
 またゲームの進行に関してはマルチストーリーや周回プレイ制を採用しており、繰り返し楽しめる内容になっていると思われるが、果たして・・・?


・ストーリー

 これは遠い未来、はるか彼方の銀河系でのお話です。
 大規模な銀河戦争の終結によって宇宙にはわずかばかりの平和が訪れたものの、ほんの少し銀河連邦警察の目から離れたところではいまだに暴れ足りない無法者たちがうようよしておりました。
 これを取り締まりきれないと判断した連邦は民間人に協力を仰ぎ、彼らの確保に賞金を出す「バウンティーハンター制度」を制定したのです。
 さてその成果はと言うと・・・。
 荒くれ達を捕えるところまでは良いものの、それ以上の荒くれとして周囲はほとんど壊滅状態。
 人々は皮肉を込めて賞金稼ぎたちを「クライムクラッカーズ(犯罪粉砕者)」と呼ぶようになったということです。

 とはいえ、クライムクラッカーズ達の活躍によって銀河の平和が守られているのは本当のこと。
 2年前に起きた海賊ボルゴーンによる囚人蜂起と科学者マグナによる先史時代の超兵器「ヴァイデン」の復活を食い止められたのも、凄腕のクライムクラッカーズ「ピンクドルフィン・チーム」とそれを率いるエミリア・F・アルカネットの活躍があったからでした。
 
 今回の主人公、セリア・ハッセルバーグもそんなキャプテン・エミリアに憧れてクライムクラッカーズになった一人。
 大富豪のハッセルバーグ家を飛び出して、ジャンマイケル、シーザ、ウェンディ、マードック、といった仲間たちと共に、今日も宇宙船NEWグッピー号で飛び回っています。
 さて、今回はギャラクシーポリスから大物賞金首「カラスのバスク」確保の依頼が舞い込んだようなのですが・・・?


・キャラクター

 ・セリア・ハッセルバーグ
 大富豪ハッセルバーグ家のひとり娘ながら、親の決めたお見合いに反発して家を飛び出した少女。
 その後はキャプテン・エミリアへの憧れもあってクライムクラッカーズとなり、グッピー・チームを率いることとなった。
 武器はハンドガンで、弾速と連射力に優れることから状況を問わずに使いやすい。

 ・ジャンマイケル・ハッセルバーグ
 セリアの祖父で、元軍人の冒険家。
 現在は脳をサポートドロイドに移しており、戦闘からNEWグッピー号の航行までセリアの冒険をサポートしている。
 武器はグレネードランチャーで、命中率に難を持つもののクリーンヒットした時の威力が魅力的。

 ・シーザ・カナグスク
 グッピー・チームの一員として修行の旅を行う格闘家の狼少女。
 普段は少々ガサツな部分が目立つが、戦闘においては非常に頼もしい人物。
 武器はグローブ。射程こそ短いものの連射が利くほか攻撃しながら移動でき、時には画面全体を巻き込む必殺技も放つ。

 ・ウェンディ・ウィルキンソン
 ハッセルバーグ家に仕え、エミリアの世話役をしていたメイドの少女。
 セリアの行動にいつもハラハラしながら、グッピー・チームの一員として宇宙海賊と闘う日々を過ごしている。
 武器は掃除用具。戦闘力は全く期待できないが、仲間を回復させる「救急箱」を扱うことができる。

 ・マードック・フーバー
 グッピー号のパイロット兼メカニックを務める犬人の老人。
 前作のアイテムショップの店員とそっくりだが、関連は不明なようだ。
 武器は光線銃。またアイテムの位置をマッピングする特殊な道具を扱うことができる。

 ・ベイツ・ハミル
 銀河連邦警察(ギャラクシーポリス)の新人警官。
 物語の舞台となる宙域に詳しいため、カラスのバスク確保の手伝いとしてチームに協力することとなる。
 武器は火炎放射機。純粋な銃と比べて射程に劣るものの威力に長ける。

 ・PAN・G
 改造手術を施され、漂流船の中で長い眠りについていたサイボーグ少女。
 自分の過去を探るためにグッピーチームの一員となり、共に戦うこととなる。
 武器は腕に装着するブレード。連続で攻撃していると稀に敵の動きを止めるサイキック能力が発動する。

 ・ドルフ・フィッシャー
 先史時代の秘宝を探して旅するトレジャーハンターのイルカ青年。
 偶然出会ったグッピー・チームに半ば強引に加わり、先史の秘宝を探ることとなる。
 武器は音波銃。弾が大きいため命中率に長け、また高威力の機雷を扱うことが出来る。

 ・カラスのバスク
 現在指名手配中の大物宇宙海賊。
 ギャラクシーポリスを標的とした派手な犯罪を繰り返すため海賊内で英雄視されており、彼の下に集まる者も多い。
 戦闘ではライドマシーン「ガンクロウ」に乗り、セリアらグッピーチームの宿敵として立ちはだかる。


・基本システム

 そして、本作はこれらキャラクターから4人のパーティーを組んで1話ずつ3Dダンジョンを探索・攻略して行くという流れを持つ。
 ダンジョンはアニメムービーの「CCシアター」とインターミッションを挟んで開始され、それぞれ舞台の異なる「ステージ」という形で進行。
 「ステージ」内では主観視点でパーティーを動かし、敵と戦闘しながら仕掛けを解いてボスの撃破や目標地点への到達を目指すこととなる。

 うち、ダンジョン内での「戦闘」は前作から大きく変わった要素である。
 キャラクター達の武器通り本作では主に銃を用いた射撃戦が繰り広げられるのだが、その中心を成す通常攻撃は攻撃時に自動的に敵をロックオンし、また弾数も無制限のものとして設定されているのだ。
 このことからキャラクターと照準を同時に操作するわずらわしさは省かれており、また残弾数を気にせず攻撃を繰り出せるなど、戦闘に関しては前作から大きく爽快感が増していると言える。
 また本作には通常攻撃のほか、弾数に制限のある特殊攻撃と言うものも用意されている。
 基本的にはキャラクターそれぞれに専用の物が設定されており、広範囲に弾幕を張るバルカンや強力なミサイルが戦闘を補助するほか、ウェンディとマードックは仲間の回復やアイテムの表示といった特殊な能力で活躍することとなる。
 基本武器と併せたこれらの個性的な能力が、5人+ゲストのグッピーチームから4人のパーティーを選択する基準となるだろうか。

 そして、パーティーに選択して活躍させたキャラクターは経験値を積んでレベルアップして行く。
 経験値の入手手段は「前衛に立って直接敵を撃破する」ことと「ステージ中に隠されたシェリフ・スターを見つけ出す」ことが主なもので、また前衛以外のメンバーも若干の経験値が入るようになっている。
 言うなれば愛着のあるキャラクターは積極的に使用することで目立った強さを発揮するようになり、また「ステージ」を丁寧に探索していればパーティー全体も自然と強くなってゆく、という設計である。
 シーザなどキャラクターによっては操作感が変わることもあり、気兼ねなく好きなキャラクターを突き詰められるこの設計はなかなかにありがたい。

 ・・・ただし本作は画面の構成も前作からだいぶ変わってしまっており、ステージ攻略中に見ることが出来るキャラクターの姿はHPゲージの横にある小さなキャラクターアイコンのみ、となってしまっている。
 当然、前作のように攻撃や被弾でキャラクターの表情が変化するということも無く、キャラクターボイスなども無いため、キャラクターが活躍しているという意識はやや湧きづらいだろうか。
 また随所随所で挿入されるアニメムービー「CCシアター」については、ムービー画面が小さく見づらいほか、ゲーム全体を通して感じる「アニメらしさ」にムラを生んでしまった側面もあるといえる。
 操作性を再設計して得られた快適さや、キャラクターの能力や育成の概念から来る選ぶ楽しみは前作より向上していると言えるものの・・・。
 前作の魅力であったキャラクターの顔グラフィックを省いてしまったのは、やはり痛い。
 総合としてはあまり印象に残らない、無難な内容にまとまってしまったと言える。


ストーリー分岐

 さて、本作はまた「マルチストーリー」制を採用しており、プレイヤーは物語を分岐させながら繰り返し「クライムクラッカーズ2」の物語をプレイしてゆくこととなる。
 なるのだが・・・。

 残念なことにこの物語の「分岐」は到達時点で自由に選択できる物ではなく、ストーリーをクリアした回数に応じてキーアイテムをアンロックし、ダンジョン内の新たな仕掛けを作動させて行く形で解放されて行く。
 物語は最大で4つのルートと8つのエンディング(+α)に分岐するのだが、各ルート内の分岐はほぼ一度ノーマルエンドコースとグッドエンドコースに分かれるのみで、かつノーマルエンドを経験した後でなければグッドエンドに分岐することは出来ない。
 言い換えれば、プレイヤーにとって選択の余地はほとんどなく、同様のストーリーを何度もなぞり直すという内容と表現できるだろうか。
 一方でそんなストーリーの都合によって「ステージ」内で登場するキャラクターが制限される場合もあり、せっかくのキャラクターを選択する楽しみを自ら潰しているのが残念である。

 またここで思い出したいのが、本作がレベル制を採用していることだ。
 クリア後の周回プレイはレベルが引き継ぎがれる一方、分岐の起点となるステージはキャラクターのレベルを問わずに同じ難易度となってしまっており、周回を繰り返すとプレイヤー側に敗北の危険性が無い退屈なゲームと化してしまうのである。
 周回数に応じて難易度を解放するとか、そもそもレベルの引き継ぎを無くすとか、何がしか対応はあっただろうに水増しを感じさせる内容となっているのがやるせない。

 加えて言えば、ストーリー上においてこういった「周回」の必然性が無く、各ルートのキャラクターが集結する最終ルートが唐突な内容になっているのも解せないところか。
 このルートではパーティーメンバーも固定であり、それまでに鍛えていた愛着あるキャラクターをむげに扱ってしまうあたりも残念だと言える。


・まとめ

 前作の難点であった操作性を大きく改善し、またキャラクターを入れ替えてパーティーを選ぶ楽しさを取り入れた本作。
 一方で前作の魅力であった「アニメらしさ」を失ってしまっており、システム面では平凡な印象にまとまってしまっている。
 また魅力として取り入れたマルチストーリー制は選択の余地がなく水増し感を加速させるばかりと言った内容で、ゲームバランスから見ても蛇足と言える。

 結果、ダンジョンを舞台とした3DアクションRPGにどれほどの魅力を感じるか、で肌に合うかどうかが決まるだろうか。
 一応、前作と連携した要素が用意されているため前作のプレイヤーであれば若干のお得感が加わるのだが、魅力となる部分が変わっているので若干難しいかもしれない。
 3Dアクションに目が無くSFファンタジーに抵抗を感じない人、またアニメムービーが好きな人にチェックしてほしい一本である。





・関連作品

クライムクラッカーズ前作。PSのロンチタイトルながら、3Dダンジョンとして完成度の高い一本。
セーブデータが有ると本作にオマケアイテムやオマケムービーが追加されるほか、ピンクドルフィン・チームはゲームの随所にゲスト出演している。
・マスモンKIDS魔物の召喚士を題材とした戦略シミュレーション「マスターオブモンスターズ」シリーズの入門編的一本。
本作同様ここまひ氏がキャラクターデザインを担当した。


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