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/ガレリアンズ:アッシュ
ページ公開:2014/11/25
GALERIANS
(
ガレリアンズ
)
:
ASH
(
アッシュ
)
プラットフォーム
:
プレイステーション2
開発
:
ポリゴンマジック
発売
:
エンターブレイン
発売年月日
:
2002年 4月
ジャンル
:
3DアクションRPG
プレイ人数
:
1人
セーブデータ
:
1つ約126KB、20ファイルまで
システム
シナリオ
グラフィック
サウンド
ゲームバランス
その他
アクション性あり
サイバーパンクファンタジー
美麗ムービー多数
メインテーマがスタイリッシュ
不安定
キャラクターデザイン:田島昭宇
・ゲーム概要
「
ガレリアンズ
」の続編である3DアクションRPG。
前作の破壊的なラストから6年後の世界を描いた内容で、人類がラストガレリアン「アッシュ」に滅ぼされつつあるという、より退廃的な世界観が舞台となっている。
ジャンルは3Dアクションとして大きく内容を変えているものの、物語は前作のラストシーンから始まるなど関連性が強く、本作の登場においては3Dアニメーションとして前作を編集した「ガレリアンズ:リオン」が先駆けて発売された背景が有る。
薬物、超能力、生物実験、という中二心をくすぐる前作のキーワードに電脳や放射能といった要素を加えて展開されるその後の物語は、ファンにとって強く興味を引かれるものだと思うが果たして・・・?
・ストーリー
本作の物語は、前作からの続きとして簡単なあらすじを挟んで語られる。
西暦2522年。ミケランジェロシティは画期的な自己判断能力と自己修復能力を持つマザー・コンピュータ”ドロシー”によって、管理運営されていた。
自らに絶対服従の新人類「ガレリアン」を生みだし、自らを神とする新世界を作り上げると言うドロシーの暴走 「ファミリー・プログラム」は既に完成しつつあり、高度な自我と超能力を持つガレリアン数体がシティの中で「ある人物」を探して暗躍していた。
「ある人物」とは、ドロシーの開発者の娘であり、ドロシーの活動を停止させるコンピューター・ウィルスを脳に書き込まれた
リリア・パスカーレ
である。
そのコンピュータ・ウィルスを自分の存在を脅かす唯一の危険と恐れていたドロシーはリリアの居場所を必死に捜索させていたものの、その状況は完全に行き詰っていた。
一方でウィルスプログラムの起動には専用のウィルス起動プログラムが必要であり、こちらを書きこまれた開発者の息子、
リオン・シュタイナー
は既にドロシーの手に落ちて薬物実験の被検体として拘束されていた。
しかし、リリアにはテレパシーの超能力が目覚めていた。
大量の薬物を打ち込まれて朦朧とするリオンはある時助けを求めるリリアの声を聞き、これに応えるようにして覚醒、薬物実験の副作用として身に付けた超能力を駆使して脱走に成功する。
実験の副作用としてまた記憶を失っていたリオンは病院の記録から自身の生家をたどり、ここで自らの過去やファミリープログラムの存在、そしてリリアを助けると言う使命を知ることとなる。
だが、この行動はガレリアン「バードマン」によって筒抜けであり、リオンとバードマンはリリアの情報を賭けて死闘を演じることとなった。
やがてバードマンを殺したリオンは、また「レインハート」、「リタ」を手にかけてようやくリリアの救出に成功するも、その肉体は既に薬物と超能力のダメージでボロボロであった。
間もなくリオンとリノアはドロシーへの反撃を行うべく、市のマザーコンピューターが収められたマッシュルームタワーへ乗り込んだ。
そこで二人を迎えたのは、
カイン
と名乗る最後のガレリアンであった。
カインはリオンと瓜二つの容姿で、静かに衝撃的な事実を語り出した。
自分達が同じ場所で生まれた兄弟であること、本物の「リオン」はすでに死亡していること、生家での記憶はドロシーによってコピーされた物であること・・・。
・・・つまり、現在のリオンはリリアを探し出すために作られたガレリアンの一人であったのだという。
この事実に激しい動揺を覚えながらもカインを打ち破ったリオンは、新たな決意を胸に母「ドロシー」の元へと向かうのであった。
間もなく現れたドロシーは、リオンを息子として扱いリリアを殺すように促した。
しかし、リオンはドロシーを母と認めたうえでその指示に逆らった。
やがて自身に従わないリオンに業を煮やしたドロシーは、リオンを失敗作と罵りながらその凶悪な本性を表した。
最後の力を振り絞ってこれを退けたリオンはリリアからウィルスプログラムを受け取り、ドロシーの破壊に成功するも、遂に力尽きてリリアの腕の中で息絶えてしまう。
外の街では、マザー・コンピュータが破壊された影響で街の明かりが消えて行き、静かな暗闇が広がっていった・・・。
(一部説明書から抜粋)
しかし、リオンの意識はカインを倒した直後に引き戻される。
リオンは再び母と会う決意を固め、ドロシーの元へ向かい、ドロシーを破壊して、自らも息絶え、そして引き戻されるという繰り返しの中にいた。
そして何度目かの繰り返しの中で、リオンの頭に「リリア」を名乗る何者かが語りかけてきた。
初めは自分の隣にいるリリアを守るべくその声を無視していたリオンであったが、やがて自分の置かれた状況の不自然さと、その声の助けを求める内容に気付くと、詳しい話を聞くべく耳を傾けた。
・・・いわく、現在リオンのいる世界はドロシーが破壊の間際に残した情報空間であり、リオンは既に死亡、現実世界では既に6年の歳月が過ぎていると言う。
そして、世界はドロシーが遺したラストガレリアン、「アッシュ」とその軍勢によって滅ぼされつつあるのだ、と。
一方でリリアはこの6年間リオンを蘇生するべく研究を続けており、その集大成として情報空間に残るリオンの意識とこうして接触しているのだと言う。
結果としてアッシュとの戦いを任せる形になるが、どうか保存してある肉体に帰還し自分たちを守ってほしいと言うリリアの求めに、リオンは力強くうなずいた。
そして、リオンは人類に残された数少ない拠点「エアポートターミナル」の一室で目覚めた。
地上からラストガレリアンの軍勢に襲撃され、軍の抵抗も空しく徐々に進攻されるこの場所で、リオンを迎えてくれたのは少し大人になったリリアだった。
「ようこそ、6年後の世界へ……おかえり、リオン」
・キャラクター
・リオン (Cv:石田彰)
主人公。6年前にドロシーを破壊し、ファミリー・プログラムを停止させた人物。
ドロシーを止める使命を託されていた開発者の息子、リオン・シュタイナーの容姿と記憶がコピーされたガレリアンであり、その事実を知らされた後は苦悩しながらもリリアを守る道を選んだ。
その後はウィルスプログラムを起動した負担から死亡したものの、低温保存された肉体にドロシー内に残るデータを移植する形で現代に蘇生した。
様々な薬物を摂取することで超能力を発現する能力を持ち、またアッシュによってもたらされる放射能汚染に強い抵抗力を持つ。
・リリア (Cv:菊池志穂)
ヒロイン。リオンと同じくドロシーの開発者の娘で、6年前にはドロシーを破壊するためのウィルスプログラムを託されていた。
リオンと共にドロシーを破壊した後は、息絶えたリオンの肉体を保存し蘇生させるべく研究者となった。
その後はラストガレリアンへの対抗策を探す中でドロシーのデータ内にリオンの意識を発見し、リオンの蘇生に成功した。
脳内のウィルスプログラムはすでにリオンへと移動しており、リオンの蘇生が結果としてラストガレリアンへの対抗策となることに複雑な思いを抱いている。
・アッシュ (Cv:三木眞一郎)
宿敵。ドロシーが破壊される瞬間に解放した「ラストガレリアン」。
濃縮ウランを摂取して体内で臨界を起こし、高熱と放射線をばら撒く能力を持つ。人類にとって天敵と言える最悪のガレリアンである。
本拠地である濃縮ウラン精製工場から動くことはないが、その軍勢によって地上は汚染され人類の活動可能な範囲は徐々に狭まりつつある。
活動の目標はドロシーの復活と人類の淘汰にあり、同じガレリアンでありながら真逆の目的を持って行動するリオンを激しく憎悪している。
・スパイダー (Cv:小林由美子)
アッシュと同じラストガレリアンの一人。
少年的な性格と容姿を持ち、本来は非好戦的な人物であるものの、自身の誕生の原因となったリオンに対しては激しい憎悪を抱いている。
タランチュラのレオを友人としており、自身も戦闘においては蜘蛛の巣などの能力を使用する。
・パラノ (Cv:細井治)
アッシュと同じラストガレリアンの一人。
暴力的かつ精神が不安定な危険人物で、ナイフで相手を切り刻んだり、メカチップを埋め込んで洗脳したりといった狂気的な趣味を持つ。
反面臆病で警戒心の強い面も有り、リーダーであるアッシュに対して刃を向けることも少なくない。
・ニトロ (Cv:ゆかな)
アッシュと同じラストガレリアンの一人。
万事に対して無関心な傍観者然とした女性で、仲間内での騒動さえ眉一つ動かさずに眺めていられる徹底的なポーカーフェイスの持ち主。
ただし、唯一リオンに対しては関心を見せ表情をゆがませている。
・ロメロ (Cv:飛田展男)
リオンのいるエアポートターミナルの守備を命ぜられた軍の司令官。階級は少佐。
司令官としての能力はお世辞にも高いとは言えず、状況に反して軍の戦力を過信しているほか上層部からの指令を曲げようとしない権威主義な面もある。
またガレリアンの一人であるリオンに対しては不信感を抱いており、戦力として扱うことへは強い抵抗を見せている。
・キャス (Cv:たかはし智秋)
ロメロの下で前線部隊を率いる女隊長。
前線で戦闘しているだけあって軍とラストガレリアンの戦力差を認識しており、ロメロの的外れな指令については内心反発を抱いている。
一方でリオンの能力については高く評価しており、共に闘う仲間として期待を抱いているようだ。
・パット (Cv:相田さやか)
ロメロの下でハッカー兼パイロット見習いとして活躍する少年。
キャスの計らいでリオンの協力者として紹介され、リオンをアッシュの本拠地へと連れて行く重要な役目を担う。
リオンについては人間離れした能力を評価する一方、人格面では普通の青年として気さくに接している。
・システム
さて、では本作のシステム面について見て行きたい。
本作は3Dアクションを基本としながら、人と会話したりアイテムを集めてキャラクターを強化したりといったRPG性を持つゲームとしてまとめられている。
操作面で言えば、位置によって視点が切り替わり、移動方向が固定であるラジコン操作を採用していた前作に対し、視点がキャラクターに追随し、方向キーがそのまま移動方向となる直感操作を採用している本作という対比が印象的だろうか。
視点による緊張感や演出性よりも、操作の快適さや敵と相対する迫力を優先した形である。
リオンの超能力についても、前作の「ナルコン」、「レッド」、が活躍する一方、情報収集のための「メラトロピン」は自動使用となり、新たに防御能力である「シールド」や回避行動「前転」が追加されていると言うアクションらしい変更点が有る。
さてそれぞれの能力を詳しく見てみると・・・。
・ナルコン
前方に衝撃波を繰り出す能力。
チャージしなくても簡単な能力を使用することが出来、近距離用の基本攻撃として位置づけられている。
コストパフォーマンスが良く補充も容易、チャージすれば遠距離まで届くなど、最初から最後まで主力として活躍する。
・レッド
前方広範囲を炎でなぎ払う能力。
発動に要するチャージ時間が難点となるが、高い威力と範囲からザコを一掃するうえで効果が高い。
反面クスリ一つ当たりの使用回数がやや厳しいので、ゲーム中では節約しながら進めたい。
・D-フェロン
周囲の敵を空中に固定し、地面に叩きつける能力。
自分の周囲を満遍なくカバーでき、チャージ中は簡単な攻撃を防御するなどザコに対して非常に強い。
が、クスリの消費が激しく、Lvが低いと重い敵に通用しないなど使いどころを選ぶ面も。
・バスタノール
新能力。目標めがけて急角度で落下するレーザーを放つ能力。
チャージ時間が短く、命中率も優れており扱いやすい・・・のだが登場が遅く、威力もやや物足りない。
本作の「スキップ」の仕様を考えると、あえて取らずに置いた方が便利なことも・・・?
・ブレイカロン
新能力。周囲に強力な稲妻を落とす能力。
チャージ時間が非常に長い代わりに最高の攻撃力を持ち、強敵への効果が高い。
とはいえ登場がほぼ終盤で、ボスに対してはリスクが目立つなど使いづらいか。
・シールド
クスリを消費しない防御能力。敵の攻撃を防ぐシールドを張る能力。
「スキップ」による変化が大きく、Lv1では前方のみであったシールドがLv2では全方位、Lv3では完全無敵に成長する。
・・・といった変更や追加が加えられており、特に「一対多」に対応した攻撃手段の充実が見て取れるだろうか。
さて、リオンはこれら能力の使用に「クスリ」を消費してゆくわけだが・・・。
本作にはRPGに良くある「ショップ」の概念がなく、クスリを無限に補給できるポイントというのは存在しない。
クスリの回収方法はマップに落ちている物を拾うか、敵キャラクターがたまに落とす物を拾うか、となっている。
ところが敵キャラクターは強敵だろうがザコだろうが一度に一つのクスリしか落とさず、特にクスリの消費が激しい強敵は赤字になりかねないなど無視するのが得策となってしまっている。
落とす薬の種類もランダムなので最悪「詰む」恐れが有るなど、ゲームバランスについてはあまり良くないと言えるだろうか。
・グラフィック
さて、前作の魅力と言えば3Discにわたる長時間のCGムービーであった。
本作もまた多数のムービーを収録しており、PS2ならではの美麗な内容で大きな魅力となっている。
本作のムービーは、
ゲーム中のキャラクターがそのまま会話などを行うイベントシーン、
少しポリゴン数の上がったキャラクターが繰り広げるイベントムービー、
滑らかなハイポリゴンのキャラクターが活躍するCGムービー、
の三段階のクオリティに大別される。
うち、物語の要所で流れるCGムービーは光のエフェクトや複雑なカメラワークも取り入れた迫力ある美しさを持っている。
連続再生しても場面が飛ぶなど物足りなさが有るものの、トータルで1時間以上にわたるCGムービーの見ごたえは物語と合わせて本作の中心的な魅力となっていると言えるだろうか。
・まとめ
前作の続編として関連性の強い物語を持ち、CGムービーという魅力もクォリティとボリュームを兼ね揃えつつ実現した一本。
作中で飛び交う中二心くすぐる単語の数々は、ムービーだけでも「見る楽しみ」を感じさせてくれるだろう。
一方でゲームの基本となるアクションRPGとしての面はどうかというと、アクションが快適ながら物資面でのランダム性が厳しく、敵キャラクターとドロップの仕様から逃げゲーとしてまとまってしまっているなど、粗さが目立つ状態と言える。
すなわちムービーを楽しみに見進めるムービーゲー、としてまとめられるだろうか。
薬物、超能力、電脳、といった中二ワードに魅力を感じ、ゲーム中のムービーに見入るタイプの人にオススメの一本
・・・なのだが、作中では暴力やグロテスクな表現が多く、この点は要注意である。
また、放射能汚染に敏感な現在においては積極的に勧めづらいという難点も、ここに特記しておきたい。
・関連作品
・
ガレリアンズ
:
前作。アドベンチャーゲームとして仕掛けを解いてゆく内容で、ホラーゲームのような緊張感を押し出している。
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