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ページ公開:2014/06/03


POP'N TANKS!ポップンタンクス!


プラットフォームプレイステーション
開発シンビョウシステムズ、PIXEL、NEWTON
発売エニックス
発売年月日1999年 7月
ジャンル対戦型3Dシューティング
プレイ人数1〜2人
セーブデータ1つ1ブロック(「タンクワールド」モードのみ)


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
明快 冒険活劇 ホビーチック ポップ スピード感あり キャラクターデザイン:吉崎観音





・ゲーム概要

 プレイステーション末期に発売された対戦型3Dシューティングゲーム。
 子供向け玩具のようにデフォルメされた戦車へ乗り込み1対1の対戦を行うという内容で、吉崎観音氏(代表作:「アーケードゲーマーふぶき」、「ケロロ軍曹」、ほか)のキャラクターデザインによってゲーム全体をポップな雰囲気でまとめている。
 メインキャラクター達を操作するストーリーモードや対戦モードはもちろん、「タンクワールド」なるエディットモードも備えた内容は、果たして・・・?


・プチタンク

 本作に登場する小型の戦車たちは「プチタンク」と呼ばれ、「タンク競技会」なるものが設立されるほど人々に広く流通している。
 タンク競技は1対1で戦闘を行い勝敗を決定する対戦型スポーツとされ、作中では確認できるだけでも31人ものタンク乗りが参加している。

 さて、プレイヤー視点でのプチタンクの操縦方法は至って明快。
 コントローラーの上下で前進・後退、左右が旋回で、が主砲、が機銃、が体当たりで、×が必殺ワザだ。
 ・・・と、見事に「ラジコン操作」であるわけだ。
 またL1・R1で砲塔が左右90°を向き、L2・R2では相手に向けて自動旋回、同時押しだとガードになる。
 左右のキャタピラを個別に回転させるような本格設計では無いのだが、むしろ対戦ゲームとしては快適な操作性がありがたいところか。

 また余談であるが、本作における対戦前のローディング画面は相手戦車を題材にしたボックスアート風のデザインとなっており、ホビーらしさ、ラジコンらしさを強調しているのがなんとも心憎い。

 実際の対戦では戦車を後方から見た視点でこれらの操作を行い、相手タンクへと主砲を向けて攻撃を叩き込んで行くこととなる。
 とはいえ主砲には一度に撃てる弾数に限りがあり、消費した弾は一定時間の回復を待たなければならないのでむやみな連射は禁物だ。
 機銃で牽制しつつ走りまわり、相手へ確実に砲撃を叩き込める位置関係を取ることが基本だと言えるだろうか。
 一方で相手と接近した場合などには体当たりで大ダメージを与えられ、限られた回数のみ使える切り札として「必殺ワザ」という攻撃もある。
 箱庭状のフィールドを走り回りこれらアクションを駆使して相手と対戦するプレイ感は、重厚な戦車と言うより正に「プチタンク」なる軽快なホビーに寄ったものと言えるだろうか。


・キャラクター/搭乗戦車

 さて、一人用のストーリーモードにおいてはこれらプチタンクを軍事目的で利用する「タリン帝国」と9人のタンク乗りたちとの騒動が描かれ、個性豊かなプチタンクたちが激突することとなる。
 キャラクターにはそれぞれ専用の物語が用意されており、タンクそれぞれの性能と合わせて繰り返しプレイする楽しみが感じられるだろう。

 ・プエル (CV:くまいもとこ)/プチMk-1
 町はずれで父親と自動車整備工場を営む機械大好き少年。
 ある日うち捨てられていたジャンクパーツからタンクを組み立てて愛車としたものの、なんとそれはタリン帝国の試作兵器であった。
 愛車「プチMk-1」は扱いやすいバランス型で、必殺ワザは大爆発を起こす火の玉。

 ・プエラ (CV:大谷育江)/フォアグラン
 プエルの幼なじみのおてんば少女。
 プエルの後を追うようにしてタンク趣味にはまり、今ではタンク戦の良きライバルとなっている。
 愛車「フォアグラン」は水陸両用として設計されたアヒル型プチタンク。相手をどこまでも追いかけるボムタイプの必殺ワザが強烈。

 ・ビットマン (CV:伊藤健太郎)/プチMk-2
 タリン帝国軍の元エースパイロット。
 現在は開発途中のプチMk-1が紛失した事件の責任を受けて軍に追われる身となっており、あてもない逃亡生活を送っている。
 愛車「プチMk-2」はプチMk-1の完良型に当たるタンク。装備はホーミング性能の高いミサイルとなっており、攻撃面での使い勝手に長ける。

 ・ガント (CV:山形満)/ロングトム
 突撃突破を身上とするパワフルな老将軍。
 愛する妻の命日に花を探しに出かけ、数々のトラブルに巻き込ま・・・引き起こしてゆく。
 愛車「ロングトム」は一体型の二連砲塔を持ち死角が広いものの、必殺ワザを含め高い火力と超信地旋回の特技で暴れ回る。

 ・ボックル (CV:竹内順子)/マルゴポーク
 ガーデンロイド財閥の長男にして、ボックル・モーター社の社長を務める食いしん坊少年。
 しかし何一つ不自由のない現在の生活に疑問を抱き、ある日家を飛び出してタリン軍に入隊してしまった。
 愛車「マルゴポーク」はバギーを改造したタンク。小回りが利くが必殺ワザ含め攻撃の誘導性能が低く、使いこなすにはちょっとした慣れがいる。

 ・ドミナ (CV:氷上恭子)&ヘッケル (CV:竹本英史)/パンツァーシナモン
 家出したボックルを探して回るメイドのドミナと執事のヘッケルのデコボココンビ。
 タンクに関する知識はほとんどないはずが、ヘッケルの操縦は妙に戦闘慣れしているらしい・・・?
 愛車「パンツァーシナモン」はデリバリーカーを改造したケーキ型のプチタンク。元・食品保存用の冷凍弾やドーナッツ状の必殺ワザなど侮れない攻撃力を秘める。

 ・フェリーナ (CV:大谷育江)/ドリルガー
 タリン帝国軍の女子タンク部隊を率いる隊長。
 軍を脱走したビットマンの実の姉でもあり、力になるべくその行方を追っている。
 愛車「ドリルガー」は名前の通り巨大なドリルを装備し、強烈な体当たりを放つタンク。砲撃や必殺ワザは弾速に優れ遠距離に強く、死角が無い。

 ・ダテ (CV:高橋広樹)/38式双頭蛇中戦車
 かつて伝説のエースパイロットとして知られた日の出公国の将校。
 日の出公国と運命を共にし故人となったはずなのだが、最近タリン国内で戦車を駆る姿が目撃されているらしい。
 愛車「サンパチシキフタエガシラノオロチチュウセンシャ」は上下2門の砲塔による火力がウリ。接近戦用の必殺ワザである火炎放射も強力だ。

 ・タリン皇帝 (CV:山形満)/???
 タリン帝国の現皇帝。
 高齢だが短気でわがまま、思い通りにならないと所かまわず暴れ出すなど幼稚な人物で人望はゼロ以下。
 「ある秘密兵器」の起動準備を進めているようだが・・・。


・タンクワールド

 そして、本作にはプレイヤー自身がタンク乗りとなってタンク競技のチャンピオンを目指す「タンクワールド」なるモードもある。
 内容としては競技に参加するNPCらと対戦を行ってタンクをカスタムする「パーツ」を集め、性能や戦績を高めてランキングの上位を目指してゆく・・・という流れ。
 登場するタンクは基本形の8台をカスタムした物に留まるなど少々単調なものの、砲塔や必殺ワザの収集に楽しみが感じられる内容だ。
 当モードでカスタムしたタンクのデータは持ち寄って対戦することもでき、それぞれで一味違ったカスタマイズが驚きや白熱した対戦を与えてくれるはずである。

 また対人戦にこそ敵わないものの、本モードに新たに用意された22人の対戦相手はいずれも個性的な存在だ。
 対戦のほか「タンクニュース」なる新聞にコメントを投稿する彼らは自分の名前と戦車に加え、吉崎観音氏によるイラストや専用のカスタムパーツを持って個性を発揮しているのである。
 その存在感はストーリー中のメインキャラに勝るとも劣らず、個性を反映したカスタムパーツは専用の対戦イベントで入手する思い出深いコレクションとしてプレイ内容に彩りを与えてくれる。
 脇役ながら個性豊かなキャラクターたちは、忘れてはならない本作の魅力の一部といえるだろうか。


・まとめ

 「プチタンク」なる小型戦車を操り対戦を行ってゆく本作。
 その設計はデザインや演出を見るに対戦型の仮想ホビーとしてデザインされているようで、様々な点で少年の心をくすぐってくれる。

 とはいえ、戦車というテーマには対戦以上の可能性があった気がしないでもない。
 ゲーム内容はストーリーにしろタンクワールドにしろ1対1の対戦に留まっており、1対多のボーナスステージ・・・強行突破や拠点攻撃といった豊富なシチュエーションに欠けるあたりは物足りなさを覚えるところだろうか。
 タンクワールドのカスタム性などを突き詰めてRPG要素を取り入れれば大きく化けてくれた気もするのだが、そのあたりもまさに「プチ」に収まっていると言える。

 あくまでも対戦ゲームという枠内で、なのだが、戦車型のホビーをカスタマイズして仲間と対戦するという内容に魅力を感じるならばオススメの一本だろうか。
 また若干のアニメムービーもあるので、吉崎観音氏のファンも要注目、かもしれない。





・関連作品

・コンバットチョロQPSで発売された、「チョロQ」シリーズのゲーム作品の一つ。
戦車を題材とした「コンバットチョロQ」を操り、様々なミッションを攻略してゆく内容。
・パンツァーフロントPSで発売されたリアル志向の戦車シミュレーション。
第二次世界大戦期を舞台に各国の戦車を操縦しシナリオを攻略する内容で、左右のキャタピラをそれぞれ操作できたり所属国によって照準のデザインが異なっていたりと非常にマニアック。


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