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ページ公開:2013/07/02


ピノビィー&フィービィー


プラットフォームゲームボーイアドバンス
開発アートゥーン
発売ハドソン
発売年月日2002年 7月
ジャンル2Dアクション
プレイ人数1人
セーブデータ3ファイルまで


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
新システムあり シンプル 3D調だが、ムービーなし ワンパターン またも悪い バッドエンドなし





・ゲーム概要

 GBAのロンチタイトルとして発売された「ピノビィーの大冒険」の続編に当たる一本。
 ピノビィーの妹「フィービィー」が新たに登場し、新システム「スーパーダッシュ」や「パワーアップ」を取り入れた内容は果たして・・・?

 なお、「ピノビィーの大冒険」のプレイステーション版発売は本作の2ヶ月後となっているが、残念ながらあちらに本作の内容は収録されていないようだ。


・システム

 ライフ制の2Dアクションとして王道的な内容を持ちながら、空中を自由に飛び回る「ダッシュ」の爽快感で独特のプレイ感が楽しめた前作。
 本作はその概要を押さえつつ、さらに
 「キャラクターの切り替え」による操作感の変化、
 「スーパーダッシュ」による更なる爽快感、
 自由な「パワーアップ」によるカスタマイズ性、
 を加えた物となっている。

 本作の主人公はおなじみ「ピノビィー」と、新登場の妹「フィービィー」の2人。
 2人とも基本的なアクションは「移動」、「ジャンプ」、「ダッシュ」、「スーパーダッシュ」、と変わらないのだが、それぞれ得意なパラメータに差があるため操作感には差が感じられる。
 「ピノビィー」は体力と地上での移動速度が高く、戦闘や未知のステージに挑戦することに長けている。
 「フィービィー」はダッシュの回数とエネルギー容量が高く、ステージをくまなく探索することに長けている。
 またそれぞれに必殺の攻撃として設定された「スーパーダッシュ」も異なるものとなっており、ステージ中では適度に2人の「交代ポイント」を利用して進むことが大事となる。

 「スーパーダッシュ」とは大量のエネルギーを消費することで使用できる長距離・高速ダッシュのことで、移動や攻撃に高い効果を発揮するほか特定の障害物を破壊できるという特徴を持つ。
 ピノビィーは回転をかけて荒々しく突撃する「スパイラルダッシュ」で岩を砕き、フィービィーは一点に集中し鋭く貫く「ニードルダッシュ」で泡を破く。
 ステージ中ではこう言った障害物の奥に2人の性能をカスタマイズする「ディスク」などが隠されているので、コンプリートを目指すならば2人の使い分けが重要となるだろう。

 そしてステージ内に隠された「ディスク」を一定枚数集めるとピノビィーたちの能力を「パワーアップ」させる事が出来る。
 それぞれ得意な能力で必要なディスクの枚数が少なく、また強化の限界値も高く設定されているためそれぞれの特徴を活かすように選択するとほどよく楽しめると思われる。


バランス

 と、いったあたりが本作の特徴なのだが・・・。
 注意深く見返してみると、ピノビィーの特徴として「体力が高い」というものがあった。
 すなわち本作は「体力が2人の主人公で別々」であり、どちらかの主人公が倒れても残りの主人公でゲームが進行する設計となっているのである。

 これが何を意味するかというと、本作は「詰み」に陥る状況を避けるために基本的にダッシュをほとんど使わなくても攻略出来るステージ設計がなされており、ゴールするだけならばキャラクターを切り替える必要性がほとんど無い、ということである。
 もちろんダッシュ回数に意味が無いわけではなく、地形や罠を大きく迂回して進めるなどそれなりのメリットは有るのだが・・・あくまで「快適にプレイできる」程度のメリットであり、それもフィービィーの体力の低さによって相殺されている感が無くも無い。
 フィービィーの初期状態の体力はわずか「1目盛り」であり、うっかり画面外の敵や落下地点の罠に接触するとそれだけでアウトとなってしまうのである。
 一方ピノビィーの初期ダッシュ回数は「1回」のみと非常に少ないのだが、これでも足場をフル活用することでクリアできることからこちらはあまり問題ではない。
 ステージ設計については前作も初期状態クリアが可能であったが、新キャラクターを売りの一つとする本作においては使い分けの楽しみを削ぐ難点となるだろう。

 また2人の切り替えがステージ中の「交代ポイント」でしか行えない点も困りものである。
 足場の少ない場面はフィービィーで、罠の密集した場面はピノビィーで・・・と臨機応変に切り替えられないことも難点なのだが、それ以上に難点と言えるのはこれらの近くにキャラクターの切り替えを必要とする仕掛け、つまり岩か泡がほぼ確実に設置されている点だ。
 どういうことかと言うと、ゲーム中でキャラクターを交代させる理由の大半がスーパーダッシュによる土木工事が必要なためとなってしまっているのである。
 より正確に言うと「交代ポイントの近くに仕掛けがある」というより「仕掛けの近くに交代ポイントがある」といった設計で、便利と言えば便利なのだがただでさえ少ない各キャラクターの出番をさらに限定的にしてしまった感がある。
 ステージによっては岩、泡、岩、などと交互に設置されている箇所も有り、障害物をどかすためだけに呼び出される相方や往復しつつ撤去してゆく工程などはなんとも作業色が強いと思わざるを得ない。

 なお後回しになったが、本作のステージはキーアイテムの「ハートのかけら」を探し出して「ゴール」に到達することでクリアとなる形式。
 ダッシュの自由度が高いゆえに進行方向を見失いやすい、という難点は相変わらず残っており、これら2つの探索が必須となるのは相当に面倒である。
 「パワーアップ」によってステージ中に進行方向を示す看板が追加される、という機能もあるが、そういったヒントは無条件で欲しかったものである。


・ストーリー

 むかしむかし あるところに
 ハチのはかせが すんでいました
 はかせは ハチがたロボットの ピノビィーをつくり
 むしたちのせかいのへいわを まもっていました
 しばらくしてはかせは・・・

 ピノビィーのいもうとの フィービィーを つくりました
 うまれたての フィービィーは さっそくわるものをこらしめようと とびだしました
 でも フィービィーのまえに あくのぐんだんの「ベスター」 があらわれて・・・
 たたかいの のち フィービィーの ハートは こなごなに されて しまいました・・・

 ピノビィーが かけつけたとき もうフィービィーは うごけなくなっていました
 そこでピノビィーが じぶんのハートの はんぶんを フィービィーに あげると
 フィービィーは うごけるようになりました
 でもふたりは ひとつのハートを はんぶんにしてしまっていたので ちからがたりませんでした・・・

 このままでは むしたちの せかいをまもれません
 ふたりは こなごなになった ハートを とりもどすため
 いっしょに ハートさがしの たびに でかけたのでした・・・

 (オープニングより抜粋)

 ・・・と、前作の後の物語ではあるが若干パラレルな設定が見受けられる内容だ。
 どこかシニカルな前作のピノビィーとは異なり、清く正しいヒーロー像を貫く王道的な内容なのでより親しみやすい物と映るかもしれない。


・まとめ

 続編として前作にさまざまな新要素を加えたが、いまひとつ練り込みが甘く独自の魅力に欠ける本作。
 前作から続く「ダッシュの爽快感」はあるが、「迷いやすいマップ」や「探索を必須とする作業感」といった難点もまたそのままに残っているためクセの強さは否めない。

 ただステージ内に一定枚数隠された「ディスク」を探し出す楽しみは前作のアイテム収集とは一味違うものであるので、この点に興味があればそこそこ楽しめるかもしれない。
 前作を未経験であっても、爽快感と財宝探索の2つに興味があり、方向感覚に自信のある人にならばオススメできなくもない一本である。


・ワンポイント攻略

 ・前作に引き続き、本作もほぼ初期能力でクリア可能。ただし、最終ワールドだけはある強化アイテムが必須となっているのでここは割り切ろう。

 ・ある程度ゲームを進めた後、「はかせのいえ」にカーソルを合わせて←↓→↑↓←A、で・・・?
 ・追加イベントは「なぞのようさい」ステージ2、「おもちゃのまち」ステージ1でステージ開始後にAA←↓→Aを入力すると、「なぞのようさい」ではスタート地点の右に、「おもちゃのまち」ではゴール地点の左に・・・?





・関連作品

ピノビィーの大冒険前作。ステージ中の行動によってはピノビィーが悪人になることも・・・。


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