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CUBE BATTLERキューブバトラー デバッガーしょうへん


プラットフォームセガサターン
開発やのまんゲームス
発売やのまんゲームス
発売年月日1997年 2月
ジャンルデジタルバトルアニメーション
プレイ人数1〜2人
セーブデータなし (セーブ機能が無い)


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
不可解 単純 アニメ中心 声優は豪華 運ゲー アンナ未来編 4月発売予定





・ゲーム概要

 セガサターン中期に発売された「デジタルバトルアニメーション」ゲーム。
 「デバッガー翔編」という続編を出す気マンマンなサブタイトルもさることながら、
 「今、ゲームはOVAオリジナルビデオアニメを超える!!」
 という競争相手を間違えているとしか思えないキャッチコピーが印象的な一本である。


・ストーリー

 望月システム社が開発していた次世代の体感ゲーム「キューブバトラー」。
 電脳空間に入り込み相手と対戦するという画期的な内容であったが、望月システムは謎の爆発事故により倒産。
 その開発は経営難を抱えるブレインボンバーズ社に引き継がれることとなった。

 かくしてブレインボンバーズ社に所属するプロゲーマー「デバッガー翔」はその日もテストプレイを行っていたが、謎の男たちの乱入と共にテストは中断となる。
 ブレインボンバーズ社は大手ゲーム会社「シャインエンジェルス」社からの圧力を受け、その筐体と開発データを譲渡することになったのだという。
 後日シャインエンジェルス社から販売された「キューブバトラー」はまたたく間に人気を集め、賞金100万ゴールドの全国大会が開催されることとなった。
 デバッガー翔は奪われたプライドを取り戻すため、また賞金でブレインボンバーズ社を立て直すため、招待状を手に大会会場へと向かうのだった。


 ・・・と、おおまかにはこういう流れだろうか。
 OVAを意識したゲームらしく本作のストーリー部分は全てアニメムービーで表現されており、その合間に「キューブバトル」による対戦が挟まる形式となっている。
 そのために開発コストがかさんだのか、ムービーの長さは合計で30分ほど、「キューブバトル」もキャラクターを一通り倒して終了と、ゲーム内容は非常に短い。
 ムービーゲーならムービー単品で出せば良いのにとは、間違っても言わないように。


・キャラクター

 ・デバッガー翔 (CV:石田彰)
 不動産関連の大会社を経営する親に反発し、各地のゲーム大会を渡り歩き賞金稼ぎを行う少年。
 一度ゲームをプレイしただけでプログラマーの癖や思考性を読み取る才能を持ち、「デバッガー翔」の異名をとる。
 現在はブレインボンバーズ社にデバッガーとして所属しており、開発中のキューブバトラーを奪われたこと、会社の経営が危ないこと、などが今回の大会へ参加する理由となっている。

 ・アンナ未来 (CV:小森まなみ)
 未来科学研究所の所長であるドクター未来の一人娘。
 純心無垢で暴走気質なところがあり、かっこいいゲーマーの男の子を恋人にすると意気込んで大会への参加を決めた。
 大会参加経験はおろかキューブバトラーをプレイしたことさえろくに無い素人だが、その実力は侮れない。

 ・ボンバー高山 (CV:中村大樹)
 「コンピューターゲームは格闘だ!」を信条とする肉体派のゲーマー。
 その鍛え上げられた肉体で一時期キューブバトラーの頂点に立つ男であったが、デバッガー翔に敗北(本人はシステムエラーと言いきっている)して以来リベンジに燃えている。

 ・電脳寺博士 (CV:平松昌子)
 1才でオムツがとれ、2才で小学一年生程度の漢字が読め、今では理数系について大学院並みの知識を持つ天才幼稚園児(年長組)。
 教育ママな母親の目を盗んでゲーセンに通い、ゲーマーとしての頭角を現した。
 キューブバトラーについては何らかの懸念を抱いているようだが・・・。

 ・甲賀忍 (CV:高乃麗)
 忍者装束に身を包む凄腕の覆面ゲーマー。
 何か暗い過去を抱えているらしく、翔に大会から棄権するよう勧める。

 ・ミラクルバニー (CV:高田由美)
 ゲーム大会の会場に出展する奇術小屋の花型スター。
 デバッガー翔の運命に暗い物を感じ取り、大会から棄権するように勧める。

 ・ダーク (CV:安西正弘)
 シャインエンジェルス社の総帥。
 キューブバトラーに対し異常ともいえる執着心を見せ、今回の大会を開催するまで様々に暗躍していたようだが・・・?


・キューブバトル

 さて、では本作の内容となる「キューブバトル」とはどういったものだろうか?

 先ず「キューブバトル」に参加するそれぞれのキャラクターは3×4、合計12枚の動画画像によって構成されている。
 戦闘開始時にはモノクロの状態であるが、ここに手持ちの「キューブ」の対応した面をはめ込むとその箇所が色付きの動画に置き換わってゆく。
 キューブの6つの面にはそれぞれ動画が割り当てられており、上半分に対応するキューブと下半分に対応するキューブの2種類で6×2の12枚を構成しているわけだ。
 これらキューブを素早く回転させて必要な動画を見つけ出し、キャラクターの全身を先に完成させれば勝利となる。

 ・・・とまぁ、非常にシンプルな動画版積み木パズルである。
 もっともキューブの「回転」という部分は十字キーで縦横に回転できると言うものではなく、Bボタンで順送りに動画を変えるのみとなっているのでキューブである必要性はまるでない
 と、言うか、順送りなら12枚全てまかなえば良いものをわざわざ六面体2つとして分けているあたり、キューブであることの悪い面のみを取り入れた形となっている。

 これだけだと「よいこのあたまのたいそう」未満の内容だが、本作はこれに「体力」、「攻撃」、「防御」、の3要素を加え対戦ゲームとしての戦略性を追求している。
 「体力」は相手の攻撃によって減少し、これが0になるとパズルの状態に関わらず敗北となる。
 「防御」は相手の攻撃に合わせてガードボタンを押すことで行い、受けるダメージを減少させる。
 さて「攻撃」は・・・攻撃ボタンを押すことでランダムな位置の動画が点滅し、一定時間以内に対応したキューブをはめ込むことで発動する。
 相手の体力を減少させつつ動画を数枚モノクロの状態に戻し、手持ちのキューブ3つの画像を並べ「リンク」させることで技が変化する。

 ・・・「ランダムな位置」というのはすでにキューブがはめ込まれた位置も対象であり、その場合新たなキューブは弾かれてしまうため攻撃は失敗となる
 かたくなに「キューブを回してはめ込む」という基本動作を貫く姿勢がいっそ清々しい。


・アンナ未来編

 さてそんな内容でも大ヒットを見据えていたらしく、本作発売の2ヶ月後には続編の「アンナ未来」編の発売が予定されていた。
 実際ひと月遅れで発売された内容は本作の大会をアンナの視点で描いたパラレルストーリーであり、恋あり笑いあり涙ありのドタバタコメディとなっている。

 と、続編や新作というよりは一本のゲームのストーリーモードを別のキャラクターでプレイしたような内容だ。
 ひょっとして一本のゲームに全キャラ分のストーリーを収録するはずが、容量か開発期間の問題で分割せざるを得なかったのか・・・?
 などとつい邪推してしまうが、エンディング後に続編の広告を掲載しているあたり同情の余地は無いと思われる。


・まとめ

 ゲーム部分は相手より早くパズルピースを探してはめるというシンプルな内容、
 アニメ部分も裏のある大会を勝ち上がって黒幕と対決すると言うシンプルな内容、
 それがなぜこんな個性を放つ仕上がりになるのかむしろ不思議である。

 面白がって手を出す分には対戦込みで3、40分程度という短いプレイ時間がなかなかありがたく、対戦の度に勝利ムービーが流れると思えば手軽に達成感を味わえると言えなくもない。
 またムービーはスキップすることもできるので、好きな場面から再開するのもそれほど苦にはならないだろう。
 結局どの部分でOVAと勝負したかったのかさっぱりわからないのだが、息抜き程度として手を出す分にはアニメの見ごたえとゲームの遊びごたえが「ほどほどに」味わえる一本と言えるのかもしれない。





・関連作品

・キューブバトラー アンナ未来編続編。デバッガー翔編 絶賛発売中


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