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ページ公開:2012/11/20


HARD LUCKハードラック


プラットフォームプレイステーション2
開発ガーデン
発売スパイク
発売年月日2004年 10月
ジャンルACTION 人命救助
プレイ人数1人
セーブデータ1つ48KB


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
物足りない 短め やや粗い 緊迫感あり 良好だが・・・ 音声は吹き替え(?)のみ





・ゲーム概要

 2004年にスパイクから発売された3Dアクションゲーム。
 高層ビルの火災を舞台に消防士、警察官、ビル設計士、の3人の主人公が人命救助に奔走するという内容で、パッケージ裏から引用すれば
 「全ての被災者を救出できるか?
 「(ビル崩壊の) 制限時間までにクリアできるか?
 「個性・能力が違うキャラクター達を使い分け、崩壊寸前のビルから救出せよ!
 という緊迫感あるコピーが印象的である。


・3人のヒーロー

 本作に登場する主人公は消防士、警察官、ビル設計士、の3人。
 ゲーム開始時にこのうちの1人を選択し、9+1の「エピソード」をそのキャラクターの視点で攻略してゆくこととなる。
 それぞれに能力が異なるため、ゲーム中ではその個性を生かして消火・救出活動を行うことが重要だ。

 ・Douglas Brantley (ダグラス ブラントリー)―消防士―
 数々の場数を踏んできたベテラン消防士で、「01小隊」のリーダーとして絶大な信頼を得る人物。
 通報を受けたことで部下と共にビルを訪れ、前線で指揮をとりつつ被災者救助に当たっている。
 能力としてはホースや消火器の扱いに長け体力の伸びが良いほか、酸素マスクを装着することで高温の空気によるダメージを回避することが可能。
 本職なだけあってストーリー中では消火に救出にと大活躍し、他の主人公の出番が極端に少ない。

 ・Max Broderick (マックス ブロデリック)―警察官―
 自分の直感を信じ大胆に行動する問題警官で、上司曰く「鉄砲玉の様な奴」という頭痛の種。
 上司の付き添いとしてビルを訪れたところ事件に巻き込まれ、偶然爆弾犯らしき人物を目撃したことから現場に留まって捜査を強行する。
 能力としては拳銃によって障害物を安全かつ速やかに破壊出来るほか、被災者を抱えた状態でも素早く走ることが可能。

 ・Scott Winkler (スコット ウィンクラー)―ビル設計士―
 事件現場となった高層ビルの設計を手掛けた若手設計士。プライドの高い野心家。
 ビルの完成披露パーティーの為に滞在していたが、恋人がこの混乱に乗じて誘拐されたためビルに留まり捜索を行う。
 非力なため放水しながら方向転換することができず、特殊能力のミニマップ強化も微妙。


・ゲームの流れ

 本作の目的は「ビルが崩壊するまでの5時間の間に一人でも多くの被災者を救助し、自身もビルから脱出すること」にある。
 そのうえで本作のストーリーはキャラクターごとの「プロローグ」と9つの「エピソード」に分けられており、この中でいかに素早く、適切な行動が取れるかがゲームのポイントとなっている。

 具体的な被災者救助の手順というのはエピソードやイベントによって異なるが、おおまかには
 ・消火活動によって通路を確保し、被災者を捜索する
 ・被災者を阻んでいるトラブルを解決する(炎の壁やがれきの崩落など)
 ・被災者を安全地帯まで誘導・運搬する(「セーフポイント」、「レスキューポイント」)
 という流れになっている。
 それぞれの段階は「ミッション」というイベント形式で区切られており、目的性やゲームテンポは良好である。

 この際の「消火」が、一般的なアクションゲームにおける戦闘に当たるだろうか。
 ビルの壁や家具を焼く「炎」は時間の経過とともに燃え広がり、徐々にプレイヤーや被災者の行く手を阻んで行く。
 触れることでダメージを受けるほか、「引火」して継続ダメージを受けたり、室内の温度を上昇させて呼吸時にダメージを与えたり、爆発物に引火して大ダメージを与えたり、と様々な形で暴れ回っている。
 プレイヤーであれば多少のダメージを無視して突っ切ることも可能だが、負傷した被災者などは目の前に炎が迫ってきただけでおびえ、その足を止めてしまうこととなる。
 そこで、プレイヤーには「ホース」から放水したり、「消火器」を噴射したりして消火活動を行うことが必要となってくるわけである。

 その炎にはいくつかのバリエーションが存在しており、色や形状、鎮火までの耐久力などが異なっている。
 火災現場ではこれらの特徴から、火元となっている炎はどれか?速やかに鎮火できる炎はどれか?通路の確保にはどれだけの炎を消すべきか?といった判断を行い、救助・消火活動を行っていくわけである。
 またミッションによっては巨大な炎と鎮火するか力尽きるかの対決を行う場面も有り、これがボス戦さながらに気分を盛り上げてくれることだろう。


・ゲームボリューム

 さて、そんな本作には「5時間」というタイムリミットが設けられている。
 ゲーム中ではキャラクターが力尽きた場合も(一部エピソードを除いて)ゲームオーバーにならず、-3分のペナルティと引き換えにゲームを再開できるなど時間が重要な要素となっている。
 ではこれが尽きるとどうなるのか?というと、未攻略のエピソードを省略して強制的にエピソード8「決死の脱出」が開始されることとなる。
 当然、未プレイのエピソードで救助を待つ被災者たちは取り残され、バッドエンドへと直行することになるのだが・・・。
 実はエピソード8はタイムリミットを迎えずとも終盤に攻略することとなるため、これはバッドエンドの確定のみが気になる形となっている。
 また普通にプレイしていればエピソード1〜7は2、3時間(イベントシーン除く)もあれば十分攻略出来るはずなので、このタイムリミットは相当甘めの設定である。

 なお本作では3人の主人公が登場しているわけだが、活躍の場となる「エピソード」の内容はいずれも大部分が共通であり、キャラクターごとの個性と言うのはあまり活かされていない。
 最初のエピソードである「プロローグ」は3人それぞれの視点で事件発生当時の混乱を描いたものとなっており遊び分けが楽しいのだが、その後はビルの設計士だろうと警察官だろうと地下のボイラー火災に突撃するなど無理の目立つ形となっている。
 共通の内容だからこそ能力の違いが活きる、と言えなくもないが、ビルの設計士は被災者の避難誘導を中心に、警察官は犯人確保や爆弾処理を中心に、と異なる活躍を見たかったという思いがぬぐえない。
 キャラクターや被災者救助の状況などによって6×3、合計18もののマルチエンディングが用意された本作であるが、おそらく達成感より食傷感のほうが勝る形となるだろう。


・まとめ

 消防士(ファイヤーファイター)を題材にしたユニークなアクションである本作。
 炎を消火する、被災者を救助する、と言った基本システムは良好で遊びやすく、ストーリーにもドラマチックなシーンがあるものの、キャラクター毎のエピソード構成やマルチエンドの多さに水増し感を感じる点が少々残念である。
 細かいことを言えば3Dアクションにもかかわらず「視点回転」が無く、「視点リセット」のみが用意されている点も不満点である。
 とはいえなかなか特徴的な内容であり、1エピソードあたりのプレイ時間は3〜40分程度にまとめられているので手軽に消火アクションを楽しめるという魅力もある。
 そういった内容に惹かれる、消防士やドラマチックなアクションに興味がある人へオススメの一本だ。


・ワンポイント攻略

 ・ジャンプ中にロープに接触すると、そのままつかまり状態になる。一部のエピソードでは必須テクニックだ。
 ・エリア移動の際に被災者がある程度近い範囲にいれば自動でついてくる。ドアを開けた後に被災者を担ぎ直したり避難はしごを利用したりする際などは気にしなくても良い。





・関連作品

・「ザ・ファイアーメン」シリーズSFC、PS用の見下ろし型アクション。放水の切り替えや被災者救助、バックドラフトと先駆的な内容を持つ一本。
・バーニングレンジャー近未来を舞台にしたSS用アクション。ショットやホバーなど近未来的な装備で火災救助に挑む。
・ファイヤーパニック
〜マックのレスキュー大作戦〜
イギリス製のPS用アクション。真面目な内容だがどことなくユニーク。
・桜坂消防隊本作の少し前に発売された、PS2用アクションアドベンチャー。仲間との連携や事件の謎に迫る遺留品システムが特徴的。


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