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ページ公開:2012/08/21


まじかるめでぃかる


プラットフォームプレイステーション
開発コナミ
発売コナミ
発売年月日1998年 9月
ジャンルRPG
プレイ人数1人
セーブデータ1つ1ブロック


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
面倒 シュール シンプルだが、
微グロ注意(卵系)
ファンシー 悪い 監修者:無し





・ゲーム概要

 プレイステーション後期にコナミから発売された「人体ダンジョンRPG」。
 プレイヤーは世界最小の主人公「ぱやーん」を操作し、人体内を冒険して未知のウィルス「X」とその手下である悪玉ウィルスを撃退してゆく、と言う内容。
 とはいえゲーム全体の雰囲気はリアルさよりもむしろファンシーさを押し出したものとなっており、可愛らしいというか、脱力的というか、いいかげんというか、 ほのぼのとした展開が微妙な味わいをかもし出す一本である。


・ストーリー

 ある日、未知のウィルスXが現れた。Xはすべての病原菌(悪玉ウイルス)を支配し、感染した人間の体内で増殖させることができるのだ。
 そして感染者に次々と病気を併発させる悪魔のウイルスだ。
 現代の科学ではXに対抗できない…
 Xを倒せるのはミクロの勇者、ぱやーんだけなのだ!
 急げ!ぱやーん!Xを倒すのだ!

 (説明書より抜粋)

 ちなみに「ぱやーん」とは、Xに感染した女の子の体内でなんとなく誕生した免疫っぽい何か。
 免疫細胞をお供に、メス電気ノコで悪玉ウィルスをバラバラ やっつけてゆくミクロの勇者だ。
 なんかもういろいろ間違っている気がしてならないが、とりあえずスルーしてゲームの流れを見てみるとしよう。


・ゲームの流れ

 本作は患者(登場人物)の体内を舞台にしたダンジョンRPGの形式を取っている。
 「胃」や「肺」といった臓器をマップとして行き来し、ターン単位でマスを移動したりアイテムを拾ったりして進むわけだ。
 そのうえで本ゲームならではのユニークな点は、ゲームの目的が「ボスであるXを撃退する」と同時に「患者の健康を守る」ことにある点だろうか。

 マップである各臓器の中には、敵キャラである「悪玉ウイルス」、その卵である「ウイルス」、移動を妨げる「障害物」、冒険を助ける「栄養アイテム」、そして臓器を管理する「臓器の主」が存在している。
 「臓器の主」とはその名の通り臓器を管理する細胞(?)で、臓器の栄養状態やXの情報を教えてくれる重要キャラクターだ。
 本作はぱやーんのHPが0になるほかこれら臓器の栄養状態が壊滅的な値になってもゲームオーバーとなるため、臓器の情報にはこまめに気を配る必要があるのである。
 敵キャラクターである「悪玉ウイルス」も、ぱやーんに攻撃するほかに臓器の栄養状態を悪化させるという能力を持っている。
 臓器の栄養状態が悪化すると悪玉ウイルスの元である「ウイルス」が発生しやすくなり、さらに悪玉ウイルスが増殖するという悪循環に陥るので、これらは可能な限り駆除しておきたい。
 また、臓器の栄養は「栄養アイテム」を与えることで回復可能だ。
 栄養アイテムはぱやーんにも効果があり、ビタミンCはHPを100回復、カルシウムは毒状態を回復、などといった効果がある。
 加えて「カプセル」と併用することで、胃の栄養を上昇させる「イゲンキ」、ビタミンの減少を防ぐ「ビタミンガード」、などの特殊な薬品を調合可能である。
 なお「障害物」は特に変哲も無く1マスを塞いでいるものだが、広大な臓器内に若干の変化を与える役目を担っている。

 ・・・といったシステムを元に、体内を暴れまわる「X」の情報を臓器の主から収集し、栄養状態を維持しながらウイルスを駆除、臓器を移動してイベントを進め、最終的に「X」を追い詰めて撃退する・・・というのが本ゲームの流れとなっているわけだ。


・ゲームの内容

 さて、本作には冒険の舞台となる「患者」が4人+α登場する。
 女子小学生、男子高校生、女子高生、中年男性、の4人で、ゲーム中ではこれらを順番に攻略してゆくことになる。
 ダンジョンRPGとして見れば全部で4つ(+α)のダンジョンが用意されているというわけだ。

 用意されているわけだが・・・。
 人体内を舞台にしている以上、4つともその構造に大きな差はない。
 侵入可能な臓器の数が異なる、敵の強さが異なる、ボス到達までの消化イベント数が異なる、と言った違いはあるものの、マップのグラフィックは使い回しであり、ゲームの展開にも大きな変化は見られないのだ。
 ただでさえ「各臓器の健康を守る」ために同じ臓器を行ったり来たりする本作においてこの変化のなさは相当辛く、ゲームが進むほど作業感や食傷感を強く感じさせる状態になってしまっている。
 もっとも各臓器の健康を守る方法からして、臓器に栄養を与える、悪玉ウイルスを倒す、のほかにウイルスをプチプチ(梱包材)潰しのごとく踏み潰してゆく必要があるため、多少変化があっても「面倒」という印象はぬぐえないのだが。
 さらに・・・ゲームの舞台、つまり患者を思い返すと、小学生、高校生、中年男性、と後半ほど体格が大きくなっている。
 早い話が、体格に比例して内臓(マップ)の大きさもだだっ広くなっているということである。
 確かにマップが大きくなればウイルスの量も増えるし、臓器の移動にかかる時間も増える。難易度やプレイ時間も確実に増えるだろう。
 でもこんなことでプレイ後の充足感はまったく増えない。増えるのは疲労感ばかりである。

 「+α」のボーナスステージでは多少事情が異なるものの、本作は全体的に「水増し」感の強い内容であるのだ。

 そう考えてみると、栄養素がアイテムであるのもどことなく怪しい。
 本作のアイテムは、

 ・「ビタミン系」 7種類、
 ・「ミネラル系」 7種類、
 ・「アミノ酸系」 7種類、
 ・「脂肪酸系」 7種類、
 ・「糖質系」 3種類、

 計31種類に加え「食物繊維」や「コラーゲン」、「武器」などからなる。
 これだけあると「HP回復」、「状態異常回復」、「能力アップ」を一通り用意してもまだ数が余ってしまうようで、
 「能力値が下がる(※敵に使用不可)」、「ぱやーんの服の色が変わる」、「通常攻撃で敵を即死させる(※ボスにも有効)」、といった妙なアイテムまで出てくる始末。
 水増しとは言わないが、どうにも数に振り回されている気がしてならないのだ。
 また素人知識でもビタミンKを差し置いてビタミンUが登場していたり、心臓の中で食物繊維が発見できたりするあたりには違和感があり、いまいち設定に「栄養」へのこだわりが感じられないのである。


・まとめ

 正直に言って、本作には難点が多すぎる。
 ダンジョンRPGとしてみた場合は内容が単純で、同じマップを繰り返す、マップの形状が変化しない、など作業色の強さが耐え難い。
 医療モノとしてみた場合はウイルスと細菌の違い、栄養素の働き、など設定がいい加減で、お子様プレイヤーに妙な知識を与えかねない。
 キャラクターはどちらかと言えば 可愛らしいが、内臓を舞台にウイルスの卵を踏み潰してゆく内容なので生理的嫌悪を覚える人もいるだろう。

 それでも本作を楽しめるとすれば・・・件のウイルス潰しをプチプチ(梱包材)代わりに楽しめる猛者であれば、割とオンリーワンな一本として楽しめないこともないかもしれない。
 ・・・たぶん。


・ワンポイント攻略

 ・序盤では、ぱやーんの能力値を上げる「タウリン」、「トリプトファン」が多く手に入る。ボス戦前にAT、DFとも70程度までは上げておこう。
 ・味方進化ではパラメータ上昇のほかに二段階のランクアップが可能。「?」のアイテムと同じ色のアイテム2種類を使うといい。
 ・二人目以降を「健康」でクリアするには、「X」を倒すまでにそれぞれ「あるクスリ」を使用しておく必要がある。レシピは序盤で教わっているはずなのでメモを忘れずに。





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