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ページ公開:2012/04/24
玉繭物語
(
たままゆものがたり
)
プラットフォーム
:
プレイステーション
開発
:
元気
発売
:
元気
発売年月日
:
1998年 12月
ジャンル
:
冒険活劇RPG
プレイ人数
:
1人〜(対戦可能)
セーブデータ
:
1つ1ブロック
システム
シナリオ
グラフィック
サウンド
ゲームバランス
その他
合成バンザイ
神話・民話的
ジブリ風
幻想風土的
クリア前は適度
アニメOPは必見
―― 繭 紡げば 糧 祈らば浄化 これ即ち 森と共に生きる掟 ――
・ゲーム概要
1998年に元気より開発・発売されたモンスター育成型RPG。
「アルカナの呪い」にさらされながらも森と共に生きる人々を描いた内容で、スタジオジブリ作品でおなじみの近藤勝也氏がデザインを担当、幻想的な世界観を描いている。
(
ぶっちゃけた話、「もののけ姫」をゲーム化した感じ。
)
後に発売されたプレイステーションベスト版では「しもべリスト」の追加やアナログコントローラーへの対応などの微調整が加わっているが、詳しい部分は省略することとする。
・ストーリー
森の神エルリムによって生命で満たされた地、パレル。
彼の地に生きた精霊アモスはエルリムとの禁を破り、自らが作り上げた「知恵ある獣」との恋に落ちた。
かくて生まれた子は神の力を備え、その力を恐れた神によって光と闇に分かち封印された。
時は流れ、ゲヘナパレの時代。精霊の血を引く娘アルカナもまた人との恋に落ちた。
ゲヘナパレの王子であった恋人は「魔女に惑わされた」と噂され、アルカナは誠の心を示すため妖精の繭から糸を紡ぎ、美しい布を織り上た。
果たしてそれを得たゲヘナパレの王は美しさのあまりに狂気に取り付かれ、娘の暮らす森へ兵を差し向け幾多の繭を奪ってしまった。
王の非道を止めようとした恋人は獄中に息絶え、アルカナはこの世への呪いを抱きながら森の沼へと身を投げた。
アルカナの意識が薄れ行く中、森の神エルリムはこれに応えた。
森に生きる獣は魔物へと姿を変え、ゲヘナパレの国は「滅びの虫オニブブ」によって森に呑まれたという。
かくてパレルの森に生きる人々は精霊の血を引く「ナギ人」によって守られるようになった。
ナギ人の男は笛の音によって魔物を繭に封じる「繭使い」として、ナギ人の女は繭を清めて糧とする「聖魔術師」として。
不可思議な力を持つ彼らは人々に畏怖されながらも、掛け替えの無い存在として、森と、魔物と、人と、共に生きていた。
「サイラスの村」もそんな地の一つであったが、彼の村には村を守る繭使いが居なかった。
パレルの獅子と謳われた繭使いは妻と子を残して森に消え、現在ではナギ人の結界と余所の繭使いが村を守る状態であったのだ。
とはいえ村には別段変わったことも無く、パレルの獅子の子「
レバント
」はやがて自らがその役目を担うと漠然と感じながらも、幼馴染であり、ナギ人の少女である「
マーブ
」や村の人々と穏やかな日々を過ごしていた。
――伝説に残る滅びの虫オニブブが、サイラス村に現れるまでは。
・・・というのが大まかな導入部である。
この後レバントは繭使いとして森に入り、村を救うための冒険を繰り広げてゆくことになる。
そこでの物語は精霊との出会いや悲劇的な展開に満ちた、さながら神話や民話を髣髴とさせるものとなってゆき、幻想的ながらもどこか懐かしさを感じさせてくれる。
物語の背景、サイラス村に伝わる伝承なども物語に深く関わってくるので、墓守のポトじいが語る伝承などに耳を傾けつつのんびりとプレイししよう。
・システム
さて本作のシステムであるが、本作は敵として登場する魔物「
森のしもべ
」を繭に封印・浄化し、「
聖魔
」として味方にすることで冒険を支えてゆく。
「聖魔」は戦闘を繰り返すことで階級(Lv)が上昇し強くなってゆくほか、他の聖魔と「合成」することで新たな特殊攻撃や魔術を覚えることが出来る。
また聖魔の封印された繭は「紡ぐ」ことで「絹糸」にすることが出来、これが冒険の資金源となる。
(
ぶっちゃけた話、「和風メガテン」を想像すれば近い。
)
そして、このうち聖魔の「合成」が非常にユニークである。
というのも、合成のシステムは「聖魔Aと聖魔Bから新たな聖魔Cを作る」というものではなく、「聖魔Aと聖魔Bの特徴を組み合わせて聖魔ABに変化させる」と言うものであるのだ。
例を挙げてみよう。犬型の聖魔「マアドレッグ」と鳥型の聖魔「ヒラルコ」を合成する場合。
マアドレッグは物理攻撃に優れており、素早さと攻撃力に長けるほか、角に風の力を込めて相手を攻撃することが出来る。
またヒラルコは魔法攻撃に優れており、風の力を用いた魔術のほか、角を用いて命中率を強化した攻撃を行なうことが出来る。
この2体を合成すると、風の魔術に加えて角から命中率を強化した風属性攻撃を繰り出す聖魔が完成する・・・わけなのだが、合成の真の面白さはここからだ。
犬の聖魔マアドレッグをベースに鳥の聖魔ヒラルコを加えると、出来上がる聖魔は
鳥の顔をして翼の生えた犬
といった外観になる。
逆にヒラルコにマアドレッグを加えると、
空を飛ぶ犬に見える鳥
といった聖魔が出来上がる。
さらに、先の合成聖魔に鬼型の聖魔「パタルチュー」を加えると、
鬼の顔をしつつ2本足で立つ翼の生えた犬
というなんとも形容しがたい姿になったりする。
そう、
聖魔の合成では能力のみならず外観までもがほどよく合成されてゆく
のである。
これが実に面白く、かつ聖魔のパラメータと外見にある程度の統一性があるため、素早そうな聖魔を合成してゆくと実際に素早い聖魔が出来たり、タフそうな聖魔を合成してゆくと実際にタフな聖魔が出来たり、と効率の良い合成の目安にもなっているのだ。
本作に登場する聖魔は色違いを含めずに32種類+αと決して多くは無いが、ヘビ、昆虫、木、妖精、壷、とそのぶん個性的な物が揃っており、かつ自分の聖魔はそのいずれとも異なる姿になってゆくためしっかりとしたボリュームが感じられることだろう。
・グラフィック、サウンド
さて本作はスタジオジブリ作品でおなじみの近藤 勝也氏がデザインを担当するだけあって、非常に「らしい」デザインも一つの魅力となっている。
冒険の拠点となる「サイラス村」の家をのぞいてみると、屋根がわらぶきであったり、
土器の壷
が置いてあったり、
家の軒先に魚が吊るしてあったり
、と実にいい具合。
森の中ではほのかに光る植物や、森に呑まれたゲヘナパレの遺跡が幻想的でわびさびのある景色を作り出している。
また声優のラインナップについても、ヒロインのマーブ(CV:
高山 みなみ
)を始め、ガキ大将ルーイ(CV:
田中 真弓
)、師匠コリス(CV:
大塚 明夫
)、預言者 ギ(CV:
三國 連太郎
)、と非常にゴージャス。
これらのキャラクターがメインストーリー上でほぼフルボイスの活躍を見せる・・・などとは、にわかに信じられることではないだろう。
・まとめ
と、多彩な魅力を持つ本作。RPGとしては(クリア後のアレを除いて)やや短い部類だが、クリア時にはしっかりとした充足感が感じられるはずだ。
古代日本にあこがれを感じる人、神話や民間伝承が好きな人、聖魔の合成が面白そうに映った人、などにオススメしたい良作である。
・ワンポイント攻略
・同じ階級の聖魔を合成すると階級が+1される。同じ聖魔を何体も封印して合成を繰り返せば、時間はかかるが確実にレベルアップが可能だ。
・ゲームクリア後の特典について解説するなど、本作の説明書は内容が充実している。面倒くさくても一通り目を通しておくといいぞ。
・スロット1のメモリーカードがポケットステーションか否かで最初にもらえる聖魔が変化する。つまり「しもべリスト」は絶対に埋まらないのであしからず。
・それでも可能な限りしもべリストを埋めるならば、作中中盤の展開に注意しよう。
・関連作品
・
玉繭物語2 〜滅びの蟲〜
:
続編。だが良くも悪くも雰囲気・内容はほぼ別物。
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