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ページ公開:2012/02/21
クリックメディック
プラットフォーム
:
プレイステーション
開発
:
ゲームフリーク
発売
:
ソニーミュージックエンターテイメント
発売年月日
:
1999年 1月
ジャンル
:
ハイパーテキストアドベンチャー
プレイ人数
:
1人(一応、対戦・交換モードあり)
セーブデータ
:
医院データ1つ1ブロック、
バクルスボックス1つ1ブロック
システム
シナリオ
グラフィック
サウンド
ゲームバランス
その他
快適
単純
ポ○モン的?
雰囲気にマッチ
良好
理科教材にぜひ
・
ゲーム概要
ご存知「ポケットモンスター」シリーズの開発を手がけたゲームフリークがプレイステーションにくりだした「ハイパーテキストアドベンチャー」。
「ハイパーテキスト」と言うのは「超スゴイ文章!」なんて意味ではなく、今ご覧になっているようなWebページの形式、「HTML(ハイパーテキストマークアップランゲージ)」を模したもの・・・という意味。
人体に巣食う未知の病原体「バクルス」を退治するために人体内を冒険する、といういわゆる「ミクロの決死圏」モノの内容で、
「
一日に必要なゲーム栄養素「謎解き」「好奇心」「冒険心」を全てカバーします。
」(パッケ裏)
という
なんとなく健康によさそうな宣伝文句
が期待をかき立てる一品である。
・治療(ゲーム)の流れ
本ゲーム内で、プレイヤーは対「バクルス」専門のドクター、「VBドクター」となって数々の患者さんを治療してゆくことになる。
「VB」とはバーサス・バクルスの略であり、病原体となっているバクルスを治療用のバクルスで撃破する・・・という
荒っぽい
治療法のことである。
その安全性・確実性を高めるために医者自らがミクロサイズにまで縮小し、患者の体内を患部目指して冒険する、というのが本ゲームのあらましなわけだ。
その流れとしては、
・問診
予約していた患者(1〜6人)に問診を行い、症状や状態から当日に治療する人を決定する。
↓
・テキストダンジョン(体内探検)
治療する患者の症状から患部(=バクルスの生息地)を類推し、のどなどから体内に侵入。患部を目指して移動する。
↓
・バクルス戦闘
無事患部に到達したら治療用バクルスを投下し、敵バクルスとの戦闘に突入する。
↓
・治療成功
バクルスを撃破すれば治療は成功となり、次の日まで休養を取る。
↓
・バクルス研究
撃破したバクルスが「ヌケガラ」を残した場合、それを元に新たなバクルスの再生を行なうことが出来る。
↓
・問診
次の日も患者に問診を行い、症状の進み具合などから治療する人を決定する。
↓
・
・
・
を繰り返してゆくというもの。
ではさっそく、本ゲームのメインであり、最も特徴的である「テキストダンジョン」の詳しい内容を見てゆくことにしよう。
・テキストダンジョン
「人体探検モノ」の良さとは、人体という広大で複雑なダンジョンを我々がある程度把握していること、だろうか。
口から入ってのどを通り、食堂と気管に分かれて胃に入り・・・と、複雑なダンジョンを初めから思う様に行動できるのはなかなか爽快だ。
そんなダンジョン内での行動を、本作は「ハイパーテキストアドベンチャー」というシステムによって管理している。
例えば現在地が「胃」の場合。
ここが消化器系の一部であること、
食道
や
十二指腸
につながっていること、などを説明する文章が表示されており、下線部のような単語が別の器官へ移動するためのリンクとなっている。
「食道」をクリックすれば食道へと移動し、「十二指腸」をクリックすれば十二指腸へと移動する。そこで表示される文章の中からさらにリンクとなる単語を選択し、リンクをたどることによって次第次第に患部を目指して移動してゆく、というわけである。
いまいちピンとこない場合、
Wikipedia
の本文中にあるリンクをたどって項目「A」から項目「B」へ移動する遊びを想像して欲しい。
(「小学校」→「トイレ」など。)
これが「移動先が明確」、「移動の手間が少ない」、など非常に快適なものとなっており、見知った人体内を探検するシステムとしてばつぐんの効果を発揮しているのだ。
また実際のゲーム内では各器官がさらに部位ごとに分けられており、広さを演出するのとともにちょっとした人体知識が身につくようにもなっている。
(「胃」だけで「噴門」、「幽門」、「胃底部」、「胃体部」、などに分かれる)
移動する手段として「臓器」、「血管」、「骨格」の3ルートが用意されている点も、それらの長所をより伸ばしていると言えるだろう。
そうしたテキストダンジョンを患部に向かって進行し、見事バクルスの発見に成功するとバクルスとの戦闘に突入するわけだ。
・バクルス戦闘
バクルスとの戦闘では、バクルスから放出される「分子」を敵バクルスの「本体」に特攻させて撃破することが目的となる。
バクルスは戦闘用のマップに配置されると特定の方向に向かって「分子」を放出し、分子は敵バクルスの「本体」を目掛けて移動する。
敵バクルスも同様に分子を移動させてくるので、分子同士の戦闘に勝利し、敵の本体まで分子を到達させることで攻撃が成立する・・・と言う具合だ。
イメージとしては砦と兵士を用いたウォーゲーム、といったところだろうか。
まぁそれほど複雑に考えなくとも、バクルス間に存在する「相性」さえ注意しておけばなんとかなる。
熱系列の「ヒートラ」、棘系列の「ニドルス」、液系列の「ゾルタン」、からなる三すくみが存在しており、敵バクルスに対して有効なバクルスを用意しておけば戦闘がかなり有利になるのだ。
そして敵のバクルスがどのタイプであるか?を事前に知るためには、治療前の「問診」が重要となってくる。
・問診
治療を行なう患者さんから身体の不調について聞き出し、事前にバクルスの位置や種類を類推するのが「問診」である。
例えば「お腹が痛い」や「セキが出る」といった症状は、それぞれに対応した器官が患部である、と推定できる。
「お腹が痛い」ならば消化器系だろうし、「セキが出る」ならば呼吸器系だろう、といった具合だ。
これだけではやや心もとないが、患者さんの話にはより詳しい話を引き出せる言葉(リンク)が用意されており、それを元に情報の絞込みが可能となっている。
例えば「お腹が痛い」ならば「お腹のどこが痛いのか?」という話を引き出すことが出来、上のほうが痛いなら「胃」、へそのあたりなら「腸」、と特定できるわけである。
また、症状によってバクルスの「種類」を特定することも可能だ。
「熱がある」ならヒートラ、「痛みがある」ならニドルス、「腫れている」ならゾルタン、といった具合である。
これらの情報を組み合わせれば、例えば「へそのあたりがチクチクする」という発言から患部:大腸、病原体:ニドルスと予想がつき、治療がグッと有利になるわけだ。
言い換えてみれば、「問診」は広大なダンジョンに攻略目標を設定するのと共に、目的地やボスキャラクターのヒントを与え、かつ「医療」というテーマで全体をまとめる役を担っている。
それほどボリュームのある部分ではないが、この「問診」があるからこそ「クリックメディック」全体の遊びやすさや完成度が支えられているのである。
・ストーリー
なお、本作のストーリーは
「医者でありながら未知のバクルスによって命を落とした父の後を継ぎVBドクターになった主人公の治療日誌」
とでもいった内容であり、ほとんどヤマもオチもなく淡々と進んでゆく。
物足りないと言えば物足りないが、ただでさえ文章を読むゲームでこれ以上文章を読まなくてもいいのはありがたいと言えばありがたいか。
ちなみに患者さんとの交流が全く無いわけではなく、治療に成功した患者さんから届く感謝の手紙を励みに頑張ることもできるようになっている。
・バクルス研究
また、治療に使用するバクルスには育成の要素がある。
敵バクルスから入手した「ヌケガラ」に手持ちのバクルスの分子を加えて再生させ、新たな治療用バクルスとして使用できる、というものだ。
レベルの高いヌケガラからはレベルの高いバクルスが生まれる確率が高く、戦闘経験豊富なバクルスの分子からは強力なバクルスが生まれやすい。
そして誕生した強力なバクルスは強敵を倒しやすく、戦闘経験を積みやすい・・・と、順調に戦力を強化してゆけるわけである。
そんなバクルスは「Bボックス」に保存され、他のボックスを読み込むことでバクルス同士の対戦や交換が可能だ。
が、対戦についてはあまり本格的な内容ではない。
タイプが3つしか存在せず、同タイプ同士でなければ公平さを欠くのが一つ。
バクルスの配置位置が固定されており、バクルスによっては満足に能力を発揮できないのがもう一つ、だ。
バクルスの交換についても明らかな仕様ミスが存在しており、「ポケモン」的な要素はオマケ程度にとどまっているのが少々残念である。
・まとめ
・・・と、起伏に富んだストーリーや熱い対戦などは無いのだが、複雑ながらも快適なダンジョン、問診による目的地の推理、強力なバクルスの研究、といったゲーム性に富んだ一本。
問診から詳しい原因を謎解き、豊富な人体知識に好奇心を刺激され、広大なダンジョンに冒険心が踊る。
それらのゲーム栄養素が不足している人にぜひ処方したい一本である。
・ワンポイント攻略
・上手い注射のコツは素早く一息に入れて、薬が入りきったと同時に抜くこと。薬の効果には影響しないが、やはり痛くない注射のほうが気分がいい。
・治療結果の「毒素の中和」は病原体であったバクルスによって決定する。問診で中和に時間がかかる病気だと判断したらなるべく優先して治療しよう。
・良い子は実験中にメモリーカードを抜いたりしないように。約束だぞ!
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