サイトトップ/ゲームレビュー/ドラゴンヴァラー
ページ公開:2012/01/01


DRAGON VALORドラゴンヴァラー


プラットフォームプレイステーション
開発ナムコ
発売ナムコ
発売年月日1999年 12月
ジャンルアクションロールプレイング
プレイ人数1人
セーブデータ1つ1ブロック


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
単純明快 やや物足りない 粗い 迫力あり やや易しい 原作:「ドラゴンバスター(1985:ナムコ)」





・ゲーム概要

 1985年からアーケードで稼動したナムコのアクションゲーム「ドラゴンバスター」。
 「悪のドラゴンを倒してさらわれた姫を助ける」という王道的なテーマを基に、剣と魔法の本格的アクションを構築した名作である。

 本作「ドラゴンヴァラー」は、それから14年の時を経てプレイステーションという媒体でドラゴンバスターをアレンジ・リメイクした一本。
 ゲームのシステムは3Dとなり、「世代交代」の概念を導入してドラゴンと戦い続ける滅竜士一族の物語を描いた内容となっている。

 「分岐する家系とシナリオ」、「世代を越えた宿命の闘い」、という文字と共に歴代の主人公・ヒロインたちが描かれたパッケージや、2Discに分けられたボリュームからはその内容の壮大さに力を入れていることが伺えるのだが、果たして・・・?


・初代:クロヴィス・バークレー

 本作の物語は、最初の主人公「クロヴィス」が暮らす辺境の村に「滅竜士」と「ドラゴン」が現れたことにより始まる。
 偶然村を訪れていた「滅竜士」――不死のドラゴンを唯一殺すことの出来る「魔剣」を操る天敵――を抹殺せんとしたドラゴンは、得意の炎で村を、森を、人々を、ことごとく焼き払った。
 幸か不幸か村の外にいたクロヴィスは命こそ助かったものの、既に変わり果てた村の中、炎に包まれ、今にも息絶えようとする妹を抱きしめこの理不尽な運命を呪っていた。
 と、そんなクロヴィスを導くかのように、目の前に一振りの剣が突き刺さる。
 それが「魔剣」であると直感したクロヴィスは剣を高らかに掲げ、肩を震わせた。これで、自分から妹を奪ったドラゴンに復讐できる、と。
 剣を手にしたクロヴィスは、すぐさまドラゴンを追うべく森の中へと向かった・・・。

 ・・・というところから、先ずはチュートリアル用のステージが開始される。
 内容は基本的な操作についてで、方向キーで移動、□で攻撃、×でジャンプ、○で魔法の、L1がダッシュでR1がしゃがみ・・・といったところ。
 ボタンの組み合わせによっては「カブト割り」や「連続斬り」といった必殺技が可能で、技によっては連続してつながる、など操作性はかなり良く、かつ直感的なものばかりであるからストレス無くゲームをプレイ出来ることだろう。

 チュートリアルが終了したらいくつかの戦闘を終えた後に「ドラゴン」との一騎打ちが開始される。
 3Dならではのなぎ払うようなブレス攻撃をかいくぐり、ドラゴンへと剣を振り下ろして、見事宿敵を打ち滅ぼすことが出来ると・・・。
 ドラゴンは新たな姿へと転生し、どこかへと逃げ去ってしまう。
 このドラゴンを追って「ラクシス王国」へとたどり着くところから、クロヴィスの物語は本番を迎えるわけだ。


・2代目:コーデル・バークレー

 そんなクロヴィス編では、途中である分岐点が現れる。
 ラクシス城に捕らえられた「セリア姫」を助け出せたかどうか・・・という物で、これによってクロヴィスと結ばれるヒロインが変化し、2代目の主人公が異なる物となるのだ。
 ・・・もう少し複雑なロマンスを期待していた側からすると単純すぎて残念なのだが、アクションを邪魔しないと言う意味ではこれでいいのかもしれない。
 そんなわけで、「セリア姫」の救出を忘れていた場合にたどり着くのがこの「コーデル・バークレー」の物語、というわけである。

 クロヴィスは息子コーデルに一通りの剣技を教えた後にいずこかへと姿を消してしまい、コーデルはその剣技を活かして海賊専門の泥棒、「カモメのコーデル」として活躍していた。
 その日もいつもどおり海賊船へと忍び込んだコーデルだったが、盗み出した財宝に混じって父の剣、「魔剣アゾス」を見つけたことから、父が失踪した理由、自らの滅竜士としての運命を知ることになってゆく・・・というもの。

 コーデルが父、クロヴィスから受け継いだ物は以下の三つ。
 一つに、クロヴィスが鍛えた攻撃力やMPといった「ステータス」。
 二つに、魔法の本やHPを上昇させるペンダントなどの「伝承アイテム」。
 三つに、伝承アイテムの中でも取引に用いられる、ワインや香水といった「交換アイテム」。

 「ステータス」は父親が剣技中心の戦いをしていれば攻撃力が、魔法中心の戦いをしていればマジックポイントが、とそれぞれ特徴を受け継ぎながら伝承してゆくため、ある種の感慨深さとプレイヤーへの負担軽減を実現している。
 また連続技のフィニッシュなどといった「剣技」は、父から子に伝わる上でより強力なものにアレンジされてゆく、と言う面も持っている。

 「伝承アイテム」は世代を越えて受け継がれていくアイテム群で、新たな魔法を習得したり、パラメータを底上げしたり、といったキャラクターを強化する物と、取引に使用する「交換アイテム」からなる。

 その「交換アイテム」が活躍するのは、ゲームの進行上で特定のタイミングに立ち寄ることの出来る「取引所」だ。
 「取引所」では特定のアイテムの売却、買取、交換、を行っており、ここで売却したり、そのお金で強力なアイテムを購入したり、あるいは物々交換したりして使用するのだ。
 ここでも伝承システムならではの特徴があり、例えば「ワイン」は年代が経つにつれて値段が上がる、装飾品は流行があるのか値段が落ちる・・・など、世代によってアイテムの価格が変動するという特徴があるのである。
 このため、ステージ中で得た交換アイテムなどは子に残すか、それとも今の値で売却してしまうか・・・という難しい側面を持っているのだ。

 ・・・しかし、一度の来店で取引できる品物は店側が提示する3つのみであり、取引所を利用できるのも特定のステージを攻略した直後のみという悪い意味で難しい側面もあるため、初プレイでこの特徴を活かすことは難しいだろう。


・3代目:???

 いずれはコーデルも父と同じように運命の分岐点を向かえ、第3の主人公は全部で3人の中から決定されることになる。
 「4人」でなく「3人」なのはもう1人の2代目、「アーレン・ラクシス」の物語に分岐点が存在しないためであるが、ともあれ。
 3代目の主人公はいずれも「魔剣アゾス」のほかに存在する2振りの魔剣にまつわる物語を向かえ、「ドラゴンハーフ」なる存在も登場して物語が大きく展開する内容となっている。
 そして新たな魔剣を手に入れ、また滅竜士として竜と戦う運命にある彼らも、いずれは運命の女性と出会い、わが子に自らの剣を伝えてゆくことになる。

 ネタばらしになるので伏せるが、4代目、5代目はこの「ドラゴンハーフ」、そして黒幕である最後のドラゴンにまつわる共通の物語が展開され、全員がほぼ同じ内容という物足りない状態になってしまっている。
(アスペクト出版の攻略本ではまとめて攻略されている有様である。)


 ・・・と、滅竜士一族の物語を描いた内容ではあるのだが、全体を見ると物語・家系の分岐自体はわずか2回のみであり、多くの主人公はドラゴンと無関係の人生を送っているなどドラゴンとの因縁や宿命も薄い、と、最初の「報復者」たるノリを最後まで維持できなかった・・・「竜頭蛇尾」な流れとなっているのがやや残念である。


・まとめ

 中途半端に物語性を出そうとして収拾がつかなくなった・・・というのは邪推だが、やはり「アクションロールプレイング」を名乗るには物足りない一品。
 ゲーム攻略後の「ギャラリー」で登場する大量のボツキャラクターたちが物悲しい。

 ただ、その軽快なアクションからなるステージの数々は3Dアクションとして十分以上に楽しめる「王道的」な内容となっており、全2Discというボリュームある内容もうれしい。
 主人公たちの物語も個々に見ればはっきりとした目標を持つ、まとまった物となっているので、「世代交代」にこだわらなければそこそこ楽しめる物だろう。
 剣と魔法の王道的なアクションを探している人、ドラゴンとの戦いに燃える人、など、ファンタジーや3Dアクションが好きな人にならば十分オススメできる良作だ。


・ワンポイント攻略

 ・ラストダンジョンで詰まった人へ。(レバーを前に倒してみてください。





・関連作品

・ドラゴンバスター1985にアーケードでデビューした、本作のリメイク元。
アクションゲームとして本格的で、「カブト割り」、「垂直斬り」は当時から存在している。
・ドラゴンバスターII 闇の封印ファミコン版ドラゴンバスターの続編・・・?主人公の武器は弓で、視点も見下ろし型となっている。
・ナムコミュージアム Vol.2ほかアーケード版「ドラゴンバスター」を収録。
・テイルズ ジ アビスドラゴンバスターを基にしたミニゲームが。
・ナムコスーパーウォーズ往年のナムコキャラが大集合するシミュレーションRPG。本作からクロヴィスらが参戦。
・ゼビウス本作のザコキャラ「バキュラ」の元ネタ・・・?


サイトトップ/ゲームレビュー/ドラゴンヴァラー