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ページ公開:2011/08/23


WEB(ウェブ) MYSTERY(ミステリー)予知夢(よちむ)()(ねこ)


プラットフォームドリームキャスト
開発メビウス
発売セガ
発売年月日1999年 4月
ジャンルアドベンチャー
プレイ人数1人
セーブデータ1つ12ブロック、3ファイルまで


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
劣悪 重症、一本道 実写中心だが・・・ ミステリー調 無し ゲーム内に仮想WEBサイトあリ・・・が・・・





・ゲーム概要

 ドリームキャストの初期に発売されたテキストアドベンチャーゲーム。
 当時まだそれほど普及していなかった「インターネット」を題材として取り上げたゲームであり、実写画像をふんだんに用いたグラフィックスやゲーム内の仮想WEBサイトの存在など、当時にとっての「新時代」を予感させる内容となっている
 ・・・ように見えるのだが・・・。


・グラフィックス

 先ず、本作はそのグラフィックとして実写画像を中心に使用している。登場人物や背景に実物の画像を使用することでリアルなドラマ性を生み、同時にその美麗さによって「ドリームキャスト」というハードの実力をアピールしているわけだ。
 まぁ、実写中心という方針自体はセガサターンの時点で散々行われているわけだが。

 実写画像を使用すること自体は良い。演技力云々、制作費云々言う気も無い。だが、画像が画面の80%を占め、文字は右端に縦書きで3行までしか表示されないという設計はどうにもいただけない。
 繰り返すが本ゲームは「テキストアドベンチャー」であり、文字を読むことでゲームが進む。それなのに文字が隅に追いやられ、たれ流すように少しずつしか表示されないのだ。
 正直言って読みづらい
 画像と文字を表示するだけの基本システムでさえこの有様なので、詳しい内容は推して知るべきといったところである。


・システム

 本作のシステムは、異様に読みづらい画面設計と後述の「仮想インターネット」を除けば特に特徴的な部分が無い。だらだら文章を読む合間に仮想パソコンを立ち上げ、「Cat's Eyes」というWEBサイトのミニゲームを攻略してゆけば話が進む。ほとんどそんな感じである。
 で、そのミニゲームの具体的な内容というのは、断片的なムービーを見た後に表示される3枚の写真から、「ムービー内に存在した場面を選ぶ」というものである。失敗したらムービーからやり直しであるが、特にペナルティは無い。
 加えて、本ゲームには「選択肢」というもののが一切存在しないため、ゲームオーバーはおろかマルチエンドさえない内容となっている。
 冗談抜きで、適当にボタンを押しているだけでほとんどをクリアできる程度の内容なのだ。


・仮想インターネット

 本作では実際のインターネットを模した仮想インターネット、仮想WEBサイトが存在する。その数は説明書によると18ジャンル、150以上にも上る・・・という。
 現代ほどインターネットが普及していなかった当時において、その環境がなくともネットサーフィンを擬似的に体験できるという斬新かつ魅力的なシステムだ。
 いくつか抜粋して具体的な内容を見てみると、

「美味しい魚の見分け方」魚の部位や旬を解説。
「電子メールってなに」「電子メール」の概要や活用法を紹介。
「悠々のページ」親馬鹿の赤ん坊成長記。・・・の、はずが・・・?
「どんぐりさん」シリーズどうしようもない内容の8コマ漫画。
「街でであった怪しい人々」スタッフの変人遭遇記。
「石の愛し方」わりと本格的な鉱物愛好家入門。
「クトゥルー神話入門講座」クトゥルー神話のあらすじや概要を紹介。

 などなど・・・(ある意味)リアルすぎてゲーム内容と全く関係が無い
 謎解きのヒントを収集するとか、日記に隠されたメッセージを読み解くとか、そういう要素も一切無い。
 いや、100人以上の見知らぬ個人が一つの謎で結ばれている・・・というのはさすがに無理があるだろうが、それでもゲームを攻略する上で閲覧する必要があるのは150以上のうち4つ程度(ネタバレ)というのはあんまりだ。
 タイトルの「WEB」ミステリーという文字がかすんで見える内容である。


・ストーリー

 ・・・で、あからさまに書くのを後回しにしてきた「ストーリー」についてだが・・・。
 実はこのゲームの中で最も

   壊  滅  的  である・・・。

 概要としては、
 元天才的デジタルエンジニアで現フリープログラマー兼デザイナーである「津田佳佑(28)」通称ケイが、仕事の待ち合わせで会員制インターネットバーを訪れたが待ち合わせをすっぽかされ、仕方なしに美人バーテンダーの作ったギムレットを飲みながらネットサーフィンをしていて「Cat's Eyes」というサイトに飛ばされ、中年男性が殺されるムービーを見てしまったところ実際にその事件が起きたことを知る・・・。
 という所から始まり、
 その後動画と殺人事件の関連性に気付いて人気アイドルを守ったところ付きまとわれ、いろいろ協力しつつ事件を防ごうとしていたら重要人物がアジア方面にバックれ、それを追ううちに事件の根幹がアジアの犯罪組織にあることを知る・・・。
 といった感じで進む。
 要は、前半は「CAT's Eyes」と殺人現場を往復しているだけ、後半はアジア諸国の捜査が中心でWEBがほとんど登場しないのだ。

 で、この主人公についてだが、

 ・元天才デジタルエンジニア
 ・ハッカーによって全てを失った過去を持つ
 ・自身も天才ハッカーとなって裏ネットの住人とコネクションを持った
 ・現在はしがないフリープログラマー兼デザイナー、人に縛られない生き方
 ・問題のハッカーのシンボルマークを見ると苦しみだす
 ・女性にモテモテ
 ・人気アイドルに追っかけられる
 ・警察に追われる
 ・犯罪組織に命を狙われる
 ・カクテル好き、でも決して酔いつぶれない
 ・出生に秘密がある
 ・ロン毛

 ・・・と、まるで中二病のテンプレートのようなキャラクターである。
 そのくせネット知識がいいかげんだったりほとんどの殺人事件を救えてなかったりと設定負けしている感がぬぐえない
 殺人事件を知っているのに警察に連絡しないのも「信用できないから」というなんとも身勝手な理由であり、感情移入しづらく魅力の無いキャラクターとなっている。


 ついでに一方の人気アイドルについてだが・・・
 主人公が失踪した重要人物を追って誰にも告げず韓国を訪れた時のことだ。
 長旅を終え、主人公が宿泊先のホテルで一息ついていると、ふと、ドアをノックする者が居る。ルームサービスを頼んだ覚えは無い――。
 身構えながらドアに近づき、そっ・・・とドアスコープを覗くと、そこには・・・。


 プ レ ゼ ン ト を 持 ち 満 面 の 笑 み を 浮 か べ る ア イ ド ル の 姿 が・・・。




   「  来  チ  ャ  ッ  タ  ♪  」




 (((((;゚Д゚)))))  ストーカーアイドル怖えぇぇぇぇぇ!!!

 ・・・そのほかにも父親まで交際にノリノリだったり殺人現場を見た後平気で焼肉を食ってたりと明らかにマトモじゃないのだが、主人公もまんざらでない様子で余計に感情移入できない
 まぁ、「登場人物全員事件に関係していたんだよ!!」というMMRかFF8ばりに衝撃的な事実の伏線だった、とも取れるのだが。

 まぁそもそも、急に時間が飛んだような場面転換やキャラクターのセリフで全てを語ろうとする姿勢、意外性だけでプレイヤーに推理の余地を与えない内容などなど、全体的にシナリオの出来が悪いのでキャラクターで台無しというわけでもない


・まとめ

 ・・・と、グラフィックは高画質ながらも遊びづらさの原因となり、仮想インターネットは莫大なボリュームがあるものの内容に生かされず、シナリオは壮大な物の「WEB」や「ミステリー物」とはかけ離れた内容となっている・・・という、魅力を生かしきれていない、非常にもったいないつくりのゲーム。
 結果としてどうしようもない出来なのだが、面白半分でやってみる分には中二病っぷりや超展開っぷりがぞんぶんに楽しめる内容となっており、それらを笑って楽しめる人にはオススメできる内容である・・・かも知れない。





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