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ゲームレビュー
/DEPTH
ページ公開:2011/07/26
DEPTH
(
デプス
)
プラットフォーム
:
プレイステーション
開発
:
Oups
発売
:
ソニーコンピューターエンターテイメント
発売年月日
:
1996年 12月
ジャンル
:
ミュージックアドベンチャー
プレイ人数
:
1人〜
セーブデータ
:
1ブロック
システム
シナリオ
グラフィック
サウンド
ゲームバランス
その他
一見複雑、
実際は簡潔。
無し
平坦だが良好
主役
プレイヤー次第
イルカと言えばやっぱり・・・
・ゲーム概要
Oups発の、音楽の楽しさや喜びを追求するゲームシリーズ「SweepStation」の一つ。本作は「イルカと海。それから、音」をテーマに、旋律の海の中で音楽とたわむれる快感を表現したらしい一本。
・・・というか、パッケージを見ただけではイルカをメインにした海ゲーにしか見えず、そっち方向を期待した側からするとプレイしてみて肩透かしを食らった気分である。
・ゲームの内容
このゲームには達成するべき目的・目標が一切無い。強いて言えば、「思いきり音楽と遊び、楽しむこと」だろうか。
プレイヤーはイルカを操作して3つのゲームモードを行き来し、さまざまなステージから旋律を集め、組み合わせて音楽を作る。作った音楽はそれぞれのステージで流れ、その中で泳ぐことが出来る。
この、自分の作った音楽の中を泳ぐ・・・という快感が、プレイヤーを「DEPTH」というゲームへ導く最大の魅力となっている。
さて、具体的なゲームの進め方についてだが、ゲームを始めたプレイヤーは先ず「SILENT SPACE」という場所にたどり着く。
ここは12個+1のモミュメントが浮かぶ小さな海で、イルカを操作してモニュメントに触れることで「CRUISE STAGE」や「GROOVE EDITOR」へと移動することが出来る。
例えるならばそれぞれが「モード選択」、「音楽遊泳&素材収集」、「音楽編集」に当たるわけだが、これらの内容についてはもう少し詳しく見ていくとしよう。
・「SILENT SPACE」
このゲームの玄関口で、イルカを自在に操作できる小さな海。
このモードでは12個の「ステージモニュメント」に触れることでそれぞれのステージへ、1個の「エディターエントランス」に触れることで音楽編集モードへと移動することが出来る。
言うなれば各ステージへの中継点、ターミナル・・・「マ○オ64」のキノコ城のようなものだ。
だが、このモードがなかなかバカに出来ない。
イルカを操作して自在に泳ぐことが出来るわけだが、イルカの体に映る海面からの光や、海底すれすれを泳いだときに立ち上る砂煙などグラフィックは上々。
さらにアクション面を見ると、ボタンを連打し、速度を上げて海面に出ることで・・・なんと、
イルカがジャンプする
のだ。
静かで平淡な海からジャンプすることで一瞬映る海上の景色は非常に美しく、衝撃的だ。
さらにはボタンを連打し続けることでイルカは連続でジャンプし、方向キーと組み合わせて宙返りなどの技も見せてくれる。
視点変更によってさまざまな角度からその雄姿を見ることも出来、イルカ好きにはたまらないモードではないだろうか。
・・・ただ、このモード自体はオマケ程度のボリュームで、移動するのにもいちいちボタンを連打しなければならないのがやや面倒なのだが。
・「CRUISE STAGE」
そして、ステージモニュメントから移動してくるのが12のCRUISE STAGEだ。
その内容は美麗なムービークリップと音楽を背景にイルカの遊泳する姿を眺め、アドリブを交えて音楽を奏でる・・・というもの。
イルカの操作は上下左右の平行移動のみで視点変更も出来ず、ムービークリップもモロ合成と判る平坦な物なのだが・・・。
それを差し引いても光のエフェクトを巧みに扱った背景と、その背景に合わせて刻々と変化するイルカの陰は、音楽への興奮を高めるのに十分な力がある。
そんな12のステージを軽く紹介すると、
・PEACE
魚の豊かな、平和な海。伸びのある旋律が多く手に入る。
・ABYSS
異次元を連想させる幻想的な空間。奇妙な音が多い。
・WIRE
鉄塔と電線の間を泳ぎぬけてゆく。神秘的で悲壮感ある旋律が手に入る。
・CRYSTAL
水晶の柱が林立する海。弦楽器風?の美しい旋律が手に入る。
・TUBE
透明な海底洞窟。鳴き声の入った旋律など、民族音楽風の旋律が多い。
・TEMPLE
ローマ風の海底神殿。神秘的な旋律のほか、意外とサイバーな音も手に入る。
・SPACE
宇宙のアステロイド群。サイバー音の宝庫。
・FLOWER
光を放つ巨大花群。ジャズ風の音が手に入る。
・WOODS
海底に沈んだ森。衝撃的な1番の旋律が印象に残るが、音のバリエーションは豊富。
・SHELL
貝の群れ。ジャズ風で軽快なテンポの旋律が多い。
・CORAL
岩のアーチがある浅瀬。緊張感のある旋律が手に入る。
・GARDEN
色とりどりのサンゴがある浅瀬。意外と緊迫感のある旋律が手に入る。
・・・といったところだ。
ステージにはバックストーリーも到達するべき目標も無いので、そこから受け取る物語やイメージは個人の想像に任せられる。
そしてそのイメージを「GROOVE EDITOR」で音楽に編集してゆくことで、それぞれのステージは自分の感性を反映した自分だけの海へと作り上げられてゆくのだ。
・「GROOVE EDITOR」
「CRUISE STAGE」での遊泳を終えたら、今度は「GROOVE EDITOR」で音楽を編集する番だ。
音楽編集・・・と聞くとなにやら専門的な響きだが、たじろぐ必要はない。このゲームではあらかじめ旋律を組まれた「サウンドパターン」という物が用意されており、それらを選ぶことで音楽を組み上げてゆけば良いのだ。
「バスドラム (低い太鼓)」、
「スネア (高い太鼓)」、
「ハイハット (シンバル)」、
「エクストラリズム (補助的な旋律)」、
「ベース (ベースギター)」、
「シーケンス (中心的な旋律)」、(×3つ)
という8つのトラックに好みの演奏パターンを入れてゆけば面白いように音楽が組みあがってゆく。
より工夫を凝らしたいのであれば、テンポを調節したり、トラックごとに残響音などのエフェクトをつけるといった事も可能だ。
(いまひとつピンとこない人はRPGで装備を選ぶようなものだと思って欲しい。)
ところで、ゲームを始めた直後は移動できるステージが一つしかなく、エディターで使用できるサウンドパターンも少ない。
新しいステージに進むことでサウンドパターンも増えてゆくのだが、それには一度音楽編集をはさむ必要があり、これがなかなかにもどかしい。
というのも、きっと「もっと気に入った音楽を編集していたい」というとどまる気持ちと「新しいステージに進んでもっと豊富なパターンを手に入れたい」というはやる気持ちが葛藤するからだ。
もっとも結局いつかは全ての素材が手に入るわけで、素早くステージを回るもじっくりと音楽編集に取り組むもプレイヤーの自由である。
編集した音楽に関しては1ステージにつき4曲ずつ保存可能なので、どんどん作っても大丈夫だ。
・そして”Another One”
こうして遊泳と編集を繰り返すことでゲームは進み、自分のイメージに沿って音楽を編集してゆくことで12のステージが自分だけの海となってゆく。
と、なると、「他のプレイヤーはどんな海を作るのか?」ということが気になってくるはずだ。
考えてみれば映像から受ける印象がそれほど極端に変わるかどうかも疑問だし、サウンドパターンの組み合わせも相性の良い音同士でまとまるのが自然と言える。本当にこれは自分「だけ」の海なのだろうか・・・?
そんな疑問をYouTubeで解決してみたところ、
あ、ぜんぜん違った。
完全に杞憂だった。同じステージでも人によって奏でられる音楽はまるで違ったもので、自分の知らない海が新鮮な驚きを与えてくれた。
ハイテンポ、スローテンポ、ロック調、ジャズ調、シンプル派、こだわり派・・・自分の海は間違いなく自分「だけ」の海だった。
しかし、それは自分が独占する海、と言う意味ではない。自分にしか作れないオリジナルの、という意味だ。
胸を張れる自分だけの海が出来たなら、他のプレイヤーを探してお互いの海を泳いで見て欲しい。そこにはきっと新しい驚きがあって、自分の海をさらに深く、豊かなものにしてくれるはずなのである。
・まとめ
正直言って、作った音楽によってステージが分岐するとか、ステージの色調が変化するとか、ステージ中はもっと自由に泳げるとか・・・もう少しゲームとして追求できる部分があった気がしてならないが、音楽の中で泳ぐという独特のプレイ感が確かに光る一品。
得点やクリアの概念がないため人によっては強い好き嫌いがあるかもしれないが、自分だけの空間が欲しい人や、イルカや音楽の好きな人、そして友達の多い人には特にオススメだ。
・ワンポイント攻略
・初めてプレイするときは、一通りステージ内のサウンドパターンのみで音楽を作ってみることをオススメする。
素材が把握できるし、種類が絞られるので過度に迷うことが無くなるはず。
・割と機能が多いので、説明書には目を通しておいたほうがいい。
・ゲームの流れを確認したい場合、タイトル画面のまま放置しておこう。デモプレイが始まるぞ。
・関連作品
・グルーヴ地獄V
:
「SweepStation」シリーズの一つ。「電気グルーヴ」が監修した自称クソゲー。まぁ想像通りの内容。
・Beat Planet Music
:
「SweepStation」シリーズの一つ。こちらはSFシューティング?風の音楽ゲー。
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